それを見た咲は更に笑みを浮かべて、ナイフを持つ手に力をこめた。


今度はコポッと小さく音を立てて、咲は吐血した。


やがてナイフは咲の体に完全にその身をうずめていた。


出ているのは柄の部分だけだ。


ナイフの端からかすかに血が流れ出す。


咲はそれを確認してそっと身を離した。


咲の目は野生動物のように輝き、今後の展開を期待しているのがわかった。


美緒!!


あたしの叫び声はなおもかき消されてしまう。


美緒はぐったりとうなだれて目は堅く閉じられている。


「行くよ」


咲がそう言った次の瞬間、ナイフが一気に引き抜かれていた。


その瞬間から血が溢れ出す。


美緒が着ていた白いブラウスはあっという間に赤く染まり、肌の色が青ざめていく。


こんなに急激な変化が起こっているというのに、美緒は少しも反応を見せなかった。


ただそこに拘束されたまま動かない。