あたしの手は美緒の体をすり抜けてしまったのだ。


あたしは驚いて自分の手を見つめる。


「ごめんねナナ。あたしの体はもう使い物にならなくなったの」


「え?」


使い物にならなくなったって、どういうことだろう?


美緒は今ここにいるのに。


「ここにいるあたしは魂だけ」


あたしの疑問を掬い取るように美緒が説明した。


「魂だけ?」


「うん。体はあの廃墟においてきたから、きっとすぐに見つかると思う」


そう言う美緒の体が少し透けていることに気がついた。


「美緒はこれからどうするの? まだ、一緒にいられるんだよね?」


すがるように聞くと、美緒は悲しそうな表情を浮かべた。


「あたしの役目はもう終わったよ。3人がいなくなって、ナナの願いは叶ったでしょう?」