そりゃそうだ。このタイミングで言うと、どんな人間もそう言うと思う。
『いいや、本当だよ。僕が小学5年生の時にお父さんの浮気が原因でね。』
僕だけ何も話さないのは不平等だと思ったし、麗音になら話していいとも思った。すると、
『同じです』
そう送られてきた。何が同じなのだろうか。でも、考える暇もなく続きが送られてきた。
『私も小学5年生の時なんですよ、離婚したのが。私の場合は母の浮気なんですけどね。耳が聞こえなくなったのもちょうどその時です。』
嬉しくもないところで共通するのは何故だろうか。
僕と麗音を引き合わせたのが、親の浮気。いや、そんなことはない。この河川敷だ。そして、この綺麗な夕日だ。そう思うようにした。