ねぇ、泰喜は今まで幸せだった?
私はね…
「死にたい」
どうして私、生きてなきゃいけないの?
どうして私、いじめられなきゃいけないの?
どうして私、高校に行かなきゃいけないの?
もう嫌だ。やっぱり生きてても意味ないよ。
命を粗末にしちゃいけないとか、ちょっとは分かるけどそんな余裕はないよ…
お父さん、お母さん、紗夜、ごめんね。
こんな娘で、お姉ちゃんで。
私は、屋上から飛び降りる。
…いいよね。もう苦しくなくなる。楽になれる。そう思うと体が軽い。
身を投げた。
その時だった。
「だめだ!!紗菜ーー!!」
「…っ?」
な、んで…泰喜…?
でも、もう遅いよ。考える時間なんて無かった。
ガンッ!!
そこで私の記憶は途絶えた。
私は、最初いじめられるような子じゃなかった。憧れの高校に入学して、キラキラの高校生デビューを果たした。クラスでは、目立つ方だったし友達もいた。顔も自分で言うのもなんだけどまぁ、良かった?うん。皆、親と喧嘩したとか言ってたけど私の家は、そんなことも無かった。妹とも仲が良かった。
何もかも全て順調だった。
だけど、ある日それが壊れた。
きっかけは、私が、クラスメートの地味な女の子をかばったのが原因だった。パシられてた彼女をかばった。それは、私が偽善者だったから。そこからクラスでの私の立ち位置は変わっていった。でも、本当のきっかけはその次の日の事だった。
「好きです!付き合ってください!」
「…え」
「えっと、いきなり言われても困るよな。ごめん。」
「えっ…あっうん。」
「もう一回言うな。好きです。付き合ってください。」
「…なんで!?そんなに話した事もなくない!?」
「なんかさ、気付いたら目で追ってて…」
「追ってて?」
「好きだって気付いた。」
「…そんなマンガのような話がありますか?」
「いやーまぁ。はい。」
「…ごめんなさい。あなたとは付き合えません。ごめんなさい。」
「そっかー…ゴメンな、いきなり」
「ううん。こっちこそ」
「これからも友達としてよろしく!」
「…うん。」
この会話を、私に告白してきた男子の事を好きな女子に聞かれてた。
その次の日から私へのいじめが始まった。
毎日、飽きずに続いたいじめは最高潮に達していた。
トイレに入れば水を上からかけられて。上履きと机は、落書きだらけ。教科書は、ボロボロ。お弁当は、ゴミ箱へ。
もう飽き飽きだ。皆よく飽きないなと思ったほどに長続きしていた。
そしてついに、私が自殺しようと思う出来事が起きてしまった。
偽のラブレターを書かれた。
しかも、泰喜宛。
幼なじみの泰喜の事を好きなのは本当だった。でも、こんな形で告白なんてしたくなかった。
だから、必死に戦った。
私をいじめていたのは全員女子だった。男子も知ってはいたがそこまでの事じゃないだろうとしか思ってなかった。泰喜は、クラスが違ったから私がいじめられていたことを知らないだろう。
でも、取り返せなかった。
もう、悔しくて悔しくて悔しくて。心に何もかも全て残らなかった。感情が失せた。
もう、何も分からないまま屋上に行った。
私が死んでも誰も悲しまないと思った。
家族は、わからないけど。この世界で考えたらいらない存在だと思った。
だから、自殺しようと決めた。
そう。飛び立とうと決め、足を地上から離したとき、聞こえた。
「ダメだ!紗菜ーー!!」
「っ…?」
た、いき…?どうして?あぁ。あの偽物のラブレターを読んだのか。もう、遅いよ。
「ねぇ、キミは今まで幸せだった?」
私は、問いかけた。
◆◇◆◇
紗菜は、可愛かった。
俺が、幼なじみで良いのかと思ったぐらいに。
俺は、紗菜に好意を寄せていた。
でも、高校生になってからあまり関わりが無くなった。
同じ高校なのに、クラスが違うとこんなにも会わないものなのかと思ったほどに会わなかった。
ある日、高校に行ってから仲良くなった親友の智也に紗菜がいじめられていると言うことを聞いた。
紗菜は、いじめられるような子じゃない。
俺は、そう願った。
だが、その願いは叶わなかった。
俺の下駄箱にラブレターが入ってた。
宛名は、紗菜だった。紗菜が、俺を…?