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 外に出てみたら、やはり上着を着て正解だったと改めて実感した。
 部屋の中は暖房を点けていたからそれほど寒さは感じなかったが、外はやはり、まだ冷気が漂っている。
 吐き出される息も、ほんのりと白かった。

 ひんやりとした空気の中、朋也はブルゾンのポケットに手を突っ込みながら街中に向かって歩き出した。
 気分転換のために外に出たようなものだから、目的は特にない。
 とはいえ、昼時だから、とりあえずはどこかで腹ごしらえでもしようか、などと考えていた。