けれど、やたらと小さなクリームパンが気になる……。


「そんなにじーっと私のこと見てどうしたの?」


突然、僕の方へ向いた視線とぶつかった。

僕の瞳を真っ直ぐ見据える彼女の視線にどきっと緊張して、


「え?! あー、いや…」


言葉に詰まってしまう。


「もしかして私のこと気になっちゃった?」

「ばっ、バカじゃないの…っ!」


テンパるあまり声が上擦ってしまう。


「もうー、バカってひどいなぁ。今のはほんの少しのジョークでしょ、ジョーク」


おもしろおかしく僕の肩をポンポンッと叩きながらケラケラ笑うから、


「ちょ、邪魔…っ!」


鬱陶しくて手を払いのける。


「向葵くん、照れてる〜」

「うるさい!」

「それに意外とツンデレ〜」

「それやめろって…!」


僕が何度もやめろと注意をしても、楽しそうに僕をからかうことはやめなかった。


「こういう照れてる姿の向葵くんをもっと見てもらったら暗いなんてイメージも払拭できるのにねぇ〜」

「……そんなのべつに今さらどうだっていい」


払拭しようなんて思ってもいない。

それにみんなに本当の僕を知ってもらおうとも思っていない。


だって僕は、何千万という人よりも、たった一人僕のことを知ってくれてる人がいれば。

それだけで、いい。