私はぎゅっと唇を噛むと、

「ねぇ」
「ん?」
「『好きにする』って、一体何したいの」

と言っていた。
 その言葉を聞いて、蓮は一瞬驚いた顔をした後、にこりと笑い、

「知りたい?」

と楽しそうに言う。

「……やっ! やっぱいい!」

 そう言ったのに、蓮の手は私の頬を撫でた。
 そのしぐさに、体温に、胸がドキリとする。

 ちょっと待て。
 えっと、これは、その……。

 アレですか! ドラマとか、少女漫画で見る例のアレ……!
 唇と唇が合わさる例の……アレ!

「先に知っといた方がいいかもね」
「いいってば! あ、モウイエニツイタ! デハコレデ! マタアシタ!」

 聞きたくないキキタクナイ、やっぱり聞かないままでイイ!
 結局優勝はできないんだし、イイ!

 私は叫ぶと、走って帰って、家に飛び込んだ。



 いや、まじか。嘘だろう。嘘だと思いたい。でも……。

―――私のファーストキスが狙われてますかーーーーーー⁉