建物が元に戻ったり、拳銃が消えたりは聞いていたが銃の効力も消えてしまうなんて聞いていなかった。

「じゃああんまり意味なくね? 一瞬だけ好きになられても」
「人間の恋だって一瞬で冷めるでしょ」
「急に辛辣じゃん」

「それに、意味はあるでしょう。あるものは多数の人間に迫られる喜びを知り、あるものは自身の想いを伝える勇気を知り、あるものは誇りに隠れた本当の痛みを知った」

 こちらへ振り向く天使は淡く光り、透けていく。

「人間はやはり、神にはなり得ない。だから面白い」

 天使は微笑み、消えていく。

「意味わかんね」

 俺はシュシュの輪っかから空を覗く。地平線の向こうへと、日が沈む。