3. 5年目の悪夢

 シーズンも終わり、私(田村)は久しぶりに自宅へ戻った。

 私は妻の紀子と、来春生まれる予定のお腹の子を連れて、車で東北の温泉へ行くことにした。 

 私達は旅館に二泊して、帰りの車中、楽しかったことなどを話していた。

 高速道路も夕方になると渋滞となってきた。

 「まだ二時間は、かかりそうだな」

 「仕方がないでしょ。もう少しだから頑張ってね」と紀子が言ってくれた。

 「わかったよ」と私は後部座席の紀子の方へ、顔を向けることができないため、左手を上げピースをした。

 車が再び動き出し、スムーズに走れたかと思ったら、数十分で止まってしまった。

 そして、ふと私はバックミラーを見ると、中型のトラックが私達の車の方へ、スピードを緩めずに迫ってきているのがわかった。きっと止まってくれるであろうと私は信じていた。しかし、咄嗟に「ぶつかる!」と私は大声を出した後、すぐにそのトラックが、そのまま私達の車に追突をしてしまった。

 後方で、「痛い」と紀子の声が聞こえた。

 私は、幸いシートベルトをしていたため、少し肩の痛みを感じたが軽傷であった。

 しかしながら、紀子は後部座席で、今回、シートベルトをしていなかったため、頭部と腰を打ち重症を負ったのだ