海沿いぎっしりとライトされた、
プラントタンク、
倉庫にもオレンジライトが当たる
工場夜景の中。
「確かに、首都地下には 私道
といえる地下道網がありますね。
戦時中に張られた遺産ですよ。」
ケイとヤマモリ、護衛の1人に、
合流してきたのは、
いつかにケイが滞在する
レジデンスに急遽訪問してきた
『氷の貴公子』。
ハジメが、Dirと呼ぶ
若き企業研究所長だった。
「可笑しな話ですが、今まで
各動産企業は、自社開発をする
過程でその遺構が開発地下に
存在しているのは 解っていた
わけですが、特に動産企業で
情報共有することも、国に
問い合わせる事もしないまま、
固有の地下資産として 内密に
活用をしてきました。」
工場の高所からは
夜空にスチームがあがり
クールグリーンな内部ライトが
幻想的。
Dirの長身をソリッドに
闇に浮かび上げる。
ヤマモリの報告で、
アザミが勤務するバンケット
オフィスの上司である、
課長が オフィスタワーを所有する
財閥の末端に属し、
所有特権で 持っていた
オフィスタワーの
地下部に、アザミを監禁していた
事が解った。
「それが、皮肉な事に ヒルズ
ビレッジステーションに東西
地下メトロを開通させる計画で、
初めて動産企業が一堂に介して
独自に地下遺構を利用していた
情報をオープンしたわけです。」
ヤマモリをはじめダレン達も
すぐに 地下監禁場に入ったが、
一足遅く、アザミの姿はなく、
そこには 本来の犯人で
あるはずの課長が
拘束されているのみだったのだ。
「ハジメさんの所にいる
スタッフの話では、西の都市部に
同じような地下私道が存在した
様ですが、メトロ開発指定地下
でなければ まだ開示されて
いない 私道があっても 不思議
ではないでしょうね。」
拘束された課長への尋問で
他からの拉致犯が現れ、
当初、課長達が使うと計画だった
地下私道を利用し、
アザミを連れて行ったであろう
予想がされたのは容易で、
「問題は、何故 ボート20艇を
一緒に運んだのかという事です
が、わたしも、ハジメオーナーの
意見と同じ事を考えましたね。」
そこから、
ギャラリー探偵の異名を密かに
持つハジメが 出した答えは、
「国家式典で、海外賓客が首都に
まだ滞在する中で、陸路を車で
1人を隠して移動は検問が酷く
出来ません。なら、自由がきく
地下私道と、空、川、海を
私でも それは、使いますよ。」
地下私道から、川を下り
海か、特に規制が酷い区内から
離れた港に移動して、
程なくしてからの
拉致脱出ではないかとの
推測だった。
「そろそろ、用意が出来ました。
本当に運がいいですね。丁度
重工が開発した国産防災ヘリの
テスト飛行をする予定だったん
ですからね。ああ、緊急テスト
ですから、私も同行します。」
臨海工場地区は
ナイトクルーズで夜景を楽しむ
スポットにもなっているが、
今は、その隣にある
テストヘリポート。
離陸信号を赤く光らせ、
サーチライトを照らす 機体が
ヘリポートのライトに
照らし出しされる。
「Sorry、Dirにはsupportされて
ばかりだ。Thank Youしかない」
ケイは護衛と合わせて、
しっかりとヘリ防護服を着込み
アジャスターがついた
ベルトを体に回して、
ハンズフリーのイヤホンを
ONにする。
4人で、ヘリポートを出れば
『タクタクタクタクタクタク』
と、羽を旋回させてテストヘリは
準備音を立てていて、
「カスガからはよく、カイザー
王子からのクレームを聞いて
ますからね、今更ですよ。」
そうDirは口を弓なりにして
ケイにイヤホンごしに
笑った。
「御主人様!ハジメオーナーから
連絡です。2てに別れて、目的地
に救出の予定ですが、我々が
向かう湾岸に 信号を送らない
船が出ていると、船舶無線が
飛び交っているとのことです。」
何故か 執事服のままに
アジャスターベルトを体に
回して装着する
ヤマモリの声が、ケイの耳に
響く。
「But、さすがに Coast guardも
黙ってないだろう?偶々
By chanceじゃないのか?」
ケイが 呟くのを聞いた
Dirは、それを遮る。
「いえ、やはり本命ですよ。
海域によれば、湾岸署轄海上区域
との境界線になります。
海上保安庁区域との境で
もし クルーザー航路なら 判断が
緩くなりますね。」
爆発的な風圧をいなして、
すぐにコックピット後ろに
入れば
独特の旋回リズムと
『シュゥーーザ、カチャカチャ』
エアーを切る、機械音が
離陸体制に入って、全員が
シートセキュリティをセット
する。
「Why それでも Secret shipなら
侵犯で、emergencyになるぞ。」
ケイと護衛は、
ヘリシートで、部品確認を
していく。
「もちろん、侵犯航路を行けば
そうでしょうが、別に船で国外に
出なければいい。 とりあえず
拉致対象のボートを船で
確保して、すぐクルーザー航路で
陸路に戻れば。警戒体制は、
賓客が集まる、首都圏だけです」
いたって冷静な判断をする
Dirの台詞に、全員無言に。
それを、合図に
ケイ達を乗せたヘリは
夜の海へと 離陸する。
「結局、カイザー王子自ら ワイヤ
ーダウンして救出するつもりです
か?夜の海ですよ?」
まるで、緊迫した空気を
変えるようにDirがケイに
聞いてくる。
それには、護衛が 変わりに答え
「My road is genius!la
No problem!la」
ケイは、笑って
「Night jungle でもinvincible
オレは、無敵なんだ。」
だから行くよと 付け加えた。
眼下には、
白いスチームを高く吐き出して
赤い鉄塔ランプが輝く
メガファクトリーの姿が
海に浮かぶ軍艦のように
闇夜に浮かんで見える。
『バリバリバリバリバリバリ』
思うより night seaは明るい
のが
ケイには 意外だった。
自国の夜を飛ぶのとは
一味違うと。
空気を混ぜるプロペラの振動音に
揺られながら、
ケイは 眼下の黒い海原に
伸びる光の帯を
見ていた。
空に浮かびはじめた
栗満月は
まだ海に近く 黄色く、
大きいからか
真っ直ぐと闇の海に
光を落としす。
まるで、滑走路にも
レッドカーペットにも
見えた。
『お前が探していた娘が、
運命の花嫁でもあったというわけ
なのだな?ならば、受けよう。』
今日、
式典が始まるまでの時間。
国王である父親に、
これまでの 自分の行いと
花嫁候補について、
ケイは 兄王子達の前で
全て話して、
1つの
宣言を成したのだ。
キュイ---ィィィィ… キュイィィィィィィ … キュイ…
『ティカ』だ。
ふと、まだ下に見える月の空を
ケイは声のする場所を
探す。
先に
ヘリの旋風に
巻き込まれないよう放した、
『ティカ』の姿は
見えないのに、
鳴き声だけを
満月の光と同じように
波が
空に 反響させていた。
タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~、、、
波。
夜の空気を孕んだ
機体の振動に揺られ
ケイは 王の言葉を
思い出す。
『しかし現実、その娘は、この
豊かに発展してきた国で育った
人間なのだ。我が国との違いに
驚くだろう。大丈夫なのだな?』
その意味は ケイにも分かる。
When I first met。オレも
考えた事だ。
Rich とはいえ発展途中の自国。
でも、
「Downfall したアザミは survive
しました。間違えず go straight
な 彼女です。伴侶となります」
きっと、躊躇う事なく
格差さや、貧富のある国を
見つめる事が
アザミには出来る。
そう、ケイは描いたが、
No、、それは excuseだ。
『バリバリ
タプントプン~タプン~トプン~トプン
タプンタプン~~トプン~~、、、
バリバリバリ』
『運命の花嫁』は
政略結婚の好条件な相手でも、
恋愛結婚の互いに望む相手とも
違う。
では、どんな 相手なのか?
ベルベットブラックの海を
イルミネーションの陸地が
囲んで、七色の橋や、
光の観覧車、
その光の下は パーティーや
イベントで賑う人の波がある。
そんな、気配に無性に焦燥する。
対して、
今 オレは Black oceanを
military suit を着てsurviveだ。
『ティカ』はケイが
ロイヤルクマリに望んで
自ら育てた
守護鳥だった。
本来なら、必ずしも王族が
育てるモノではなく、
史実では 王太子権の奪還に
利用した王子もいたが、
『運命の花嫁』の為にその鳥が
必ずしも
その王子の代で
鳴き声を上げるとも
決まっていない
賭のような存在とも言える。
キュイ---ィィィィ… キュイィィィィィィ … キュイ…
半信半疑に育てていた。
なのに、
『ティカ』が アザミを
Looking for and crying
泣いているな。
胸を握られる切ない 歌を。
「あれは、、、鳥?ですよね。」
操縦士の隣に座る
Dirが
ふと、外を見て 呟くのが
ケイと、全員の耳に
聞こえた。
まるで、ケイの心を暴いて
読んだような
タイミングに、
ギクリとしながら
「Amulet bird だ。」
ケイが短く 答えると、
Dirは、 静かにケイの方を
振り返る。
「 守護鳥?ですか、、
貴方の兄上に 話は聞きました
が、さすがに 初めて見ますよ。
運命を、、連れてくるの
ですよね、、。にしても、
巻き込まれないですか?」
Dirは
口を弓なりにしていた。
思わず、何に?と、
ケイは 返しそうになるのを
「慣れてる。No problemだ。」
ヘリに慣れているから
と、忌々しさ半分で付け加えた。
まるで、アザミを自分達に
これから巻き込むのか?と意味
含んでいるのではと。
子供の時にクマリ族の
幼なじみから聞いた話に、
憧れて 育てる事にした『ティカ』
オレは、、、
「My road!見つけました。」
白い鳥達の向こうを
スコープで見ていた護衛が
ケイに叫けぶ。
『バリバリバリバリバリバリ』
と
ヘリの音が降り注ぐ
眼下に、
点々と明かりが
繋がっているのが
ケイにも確認できた。
ハジメのが睨んだ通り、
ネットのつぶやきで
発見した 20艇のライトボートは、
その行き先を
雷門方面と、空港方面とに
2てに分けて
進んでいた。
ハジメ達が
『風雷神門』側のライトボート
を追跡してくれているお陰で、
ケイ達は、迷わず海側の
ライトボートを追えたのだ。
タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~、、、
「あれは、、
先頭のライトボートに
簡易のリモートモーターか何か
つけて、プレジャーボートへ
変えてますね。これは、、
割りと新しいモノですよ。」
Dirが、下のライトボートを
見下ろして イヤホンごしに
説明する。要は、海洋拉致に
手慣れた国の関与も、
示唆しているのだ。
「間違いないです!人が
寝ています!My road!!」
スコープで引き続き確認をした
護衛がケイにスコープを
手渡した。
ググーーバシャッザーアーー
タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~、、、
『タクタクタクタクタクタク』
独特の定位置旋回のリズムが
始まる。
そのスコープの、向こうに
ケイは
ボートのまま
水の上、光に囲まれて浮かぶ
見知った顔を見つけた。
キュイ---ィィィィ… キュイィィィィィィ … キュイ…
パタタッ。
ティカ達は白く光ながら
上がったり、下がったりして
アザミの胸の上に 一匹
降りていく。
アザミは
まるで棺に眠るようで、
顔さえ酷く白い。
!!!!!
『暗闇のジャングルを、息を
潜めて1人戦闘する 、 そんな
兵役さえある世界に、その娘を
連れて行くのだと 理解してか?』
王が重ねて問いかけた言葉に、
さすがのケイも
一瞬ためらったのを、
今
アザミの白い顔を
スコープごしに見て
思い浮かべてしまう。
Coup d'etat、、
文字通り、政変があってもの
世界で、
頂点に立つ王族と言えど、
奈落の底辺へと落ちる覚悟が
いつでも必要なのだ。
ならないように
幼い頃から 足掻くように、
中途半端な立場で尚、
国を導く礎の 道が
孤独で。孤独で。
タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~
栗満月に照らされたアザミ顔。
『アサミ様の住まいを 見に行かれましたが、家財道具は 全くなく』
ヤマモリの report は、
これまでのアザミの lonely を
映し出している。
そうだろ?アザミ。
ケイの目にツーーーっと
涙が筋をつける。
ならば、、
「found it!!」
ケイがイヤホンに叫ぶと
すぐにヘリは定位置飛行に入る。
『シュゥーーザ、カチャカチャ』
よく見ると、
ライトボートの沖に
大きな 船影が見える。
あれは?あれが、
Capture ship か!?
『タクタクタクタクタクタク』
独特の旋回リズム、下降の音。
ゴーゴーと低音の風に
煽られ波うち始めた海面に、
アザミが、飛び起きたのが
解った。
ああ、生きているな。
ここからのケイは、無心だった。
離れた位置に
スーッと海面上へワイヤーを
落として、ケイが降下。
海から
ボート寄せを指示すれば
「ケーーイーー!!」
アザミが 呼ぶ。
その場所を見定めて
ボートのヘリに手を掛けて
ケイはベルトに
引っ掻けた救助ベルトを
膝立ちするアザミの股下に
手早くかけた。
「なんでさ、貴方が来るのよ!」
非難するアザミをケイは無視
しながらも
ベルトを回して、
股下からのベルトと繋ぐと、
引き上げの合図をする。
とたんに
凄い衝撃に
ケイはアザミを抱いて、
海飛沫を撒きながら
ブアッと 夜空に舞い上がった。
「まるで、dance silhouetteだ。」
海面に出来た
光の道に
回るケイとアザミの影が
舞うように
黒く落ちている。
まだアザミは文句を言うのを
「黙ってろ。舌をbiteする。」
わざと 嫌味を口にするのと
裏腹に
アザミの目に膨らんでいる
涙を 慈しむように
ケイは吸って
「 Use magic、他に誰がいる? 」
ヘルメットから妖艶に
笑って流した。
容赦ない世界で、
2人身体を重ねると、
踊る様に
情事な熱が燃えて
アドレナリンが炸裂する。
踊る程に
隙間なく満たされて
その至高に恍惚と癒される。
「王子なのに?」
ああ、アザミの前では
オレはカッコ悪いPrinceだがな。
「Military trainingだろ。いつもの
事だ。なんだアザミ元気だな」
ん?と眉をあげた瞬間、
ケイは片手でしっかり、
アザミの胸を下から掴んだ。
初めて会った時と同じように
手の平が 甘く
「信じられないよ!ケイさ、
本当、エロ王子だよね!」
弄ぐるケイの手を叩くアザミに
「10年前から nice bodyな君
が悪いな。Sorry、アザミ 」
重なる心音の感触が
ケイには
「 美味くて 堪らないんだ。」
殊更 腕をすり寄らせて
バックバグしたまま
ケイはヘリの機体を仰ぐ。
ヘリの足が見えきたのだ。
「やあ、タムラさん。ご無事で
何より。大分、心配したよ。」
場違いな執事服が
お帰りなさいと 見える。
「ヤマモリさん、救助アシストも
出来るって、どんなP.Bですか?」
呆れてその顔を見上げるアザミに
「お褒め頂き。SS級なのでね。」
執事は、手を出して
ケイとアザミの体を機体に
引き上げた。
ケイには
まだ 『運命の花嫁』が
どんな存在なのか わからない。
ただ、腕に護ると溶けて
カイザーのままに
縋り付くことができる 体 だった。
I had a long long never dream 。
長い、夢を みた。
白くて
産毛の小さな
オウムを
両手に乗せると、
マスターが 男の子の額に
印を
指で描いて、
鳥を手に 男の子は、泣いた。
神殿を歩く男の子に、
たくさんの大人が
頭を垂れている
宮殿には 沢山の家族がいて、
仕える者が 礼をとる中、
男の子は 1人で
勉強に勤め、鍛練に励む。
沢山の人々が
押し寄せるテラスに
少年は 満面の笑顔で
手を振る。
羨望の人々に見送られ、
少年は
寄宿舎に入った。
同年代の少年達が、
少年を
何時も取り囲み
仕切りに話かける。
囲む男子達の向こうに、
彼は
凛とした女子の 横顔を見つけた。
彼女を
追いかけて 彼が
港に出ると、
ヨットの上に
白スーツの探偵 手を
ヒラヒラさせている。
探偵に、彼は
彼女の行方を聞く。
探偵は、
ヨットの鍵だと、
金の鳥籠を
彼に
渡してくれた。
「お~いぃ、emperor~。
グッドモーニングぅ?
お寝坊さんだなぁ emperorはぁ」
間の抜けた声と共に
顔を ペシペシと
叩く衝撃で、ケイが
瞼を押し開ける。
「Fast morningが どうして
オマエ、Sherlock、、なんだ」
額に片手を当てて
ケイは気だるそうに上半身を
ソファーから起こした。
朝の眩しい光に照らされ
周りは、
残念なほど荒れた
オフィスタワーに入る
ブランドホテルのスイート。
「Wau?!stormか?!オイ!」
ケイがハジメに叫んで、
はたと記憶を探るのは既視感。
ここと
同じように荒れ果てた
VIPルームを見たのは 確か、、
「Sherlock、KOBEの vip roomは
オマエだったか、、」
間違いないと、ケイは
ハジメに ホテルメイドを
今すぐ呼べと指示して、
シャワーに向かう。
そんな機嫌斜めのケイに
夢と同じ様に手を
ヒラヒラさせるハジメは
「えぇ、連れないなぁ。
昨日は、アサミくんに『Please
marry me、オレのものになって
手を取ってくれ、アザミ。』
ってぇ、あんなに可愛いくさぁ
プロポーズしてたのにさ~」
嫌味に、
ニカッと白い歯を見せて
笑って見せた。
それを聞いて、ケイは
顔面を真っ青にして ハジメの
襟元を両手で掴んで
ブンブンと揺さぶり。
「Stop!!Forget!ロクデナシ」
今すぐ忘れろと襟を締める。
そんな
ケイに、ハジメはさらに
「『I protect you 愛している
んだ』とぉ、
『10年。あの日からずっとだ
fell in one moment』だっけ?」
昨日 アザミを救出して戻った
ヘリポートで
ケイがプロポーズした言葉を
吐いていくから、
「NOoooooooo!Shut up!」
ケイは、掴んでいた
ハジメの襟を投げ放して
今度は
周りに散らばる
ハジメの着替えやら
小物やらを
投げつけまくって
「サイ、アクだな オマエ」
と、シャワールームに入った。
「よく言うよねん?その後さぁ
お尻を触るからぁ、アサミくん
に、ツネラレテてたよねぇ。
emperorってぇ エロ王子だよ」
しかも、プロポーズは成功なんて
爆発したらいいよねん~と、
ハジメは
シャワールームの前で
大声でケイに話してやめない。
「あ!ダーレンはぁ、もう先に
メガヨットに行ってるよん。」
洋服をかき集めるハジメの気配。
『ご依頼の、ホテルメイドです』
その時、
スイートルームのドアから
呼び鈴と声が聞こえる。
ケイがシャワールームから
出るのと入れ違いに
ホテルメイドが眉間に
皺をよせて、
出ていくのが見えた。
「 でぇ、コレは餞別だよん。」
片付いたスイートの窓辺で
コーヒーを飲んでいた
ハジメが
嗜好を凝らした細工の
金鳥籠を ケイに投げ 渡たし、
ついでと
ヤマモリが用意した、
スーツも指さす。
昨日、
アザミを救出したケイは、
そのままヒルズビレッジの
ヘリポートに
ヤマモリも一緒に降り立った。
アザミの無事を心配しつつ、
もう1つの
ライトボート列を追いかけた
ハジメ達、
監禁されるアザミを
捜索した先輩ミズキ、
自分の言動で迷惑を掛けたと
猛省するマユも、
ヘリポートで
ケイとアザミを待っていた。
そして、
ケイがアザミにプロポーズを
した事で 一気にヘリポートは
歓声に湧いて
そのまま女子会と男子会を
各々、ヒルズビレッジで
夜通し開催したのだった。
スイートルームの惨状は
その名残だったわけで。
「ねぇ、emperor。昨日言ってた
『運命神の使い、花嫁の鳥』
ってさぁ~、
そのオカメインコなのん~?」
いつの間にか、
スイートルームの天井を飛んで
いる白い鳥に、
ハジメが指を出すが、
その鳥は、見向きもしない。
「『ティカ』!」
なのに、ケイが呼ぶと
ティカは ケイの指に止まるから
ハジメは、肩をすくませて、
やれやれとポーズする。
「ガルーダ信仰だっけぇ~?」
ティカの後ろ頭を指で
なでて、渡された鳥籠に
ティカを大切に入れる。
そして、
ケイは 朝の都会のパノラマが
満面に広がる窓を背中に
座るハジメに
「Question『運命の花嫁』とは」
静かに聞いた。
ハジメは タレた目尻を
面白そうに上げて、両手を
顔の前で思案するかに、組んだ。
「何~?果たし状かなぁ?」
口をニマリと形づくる。
「 No idea なだけだ。Sherlock、
もしかしてアザミの事知って
いて、illusion offer したのか?
オマエの answer は興味ある。」
そもそも、アザミの名前さえ
ハジメにはしゃべっても
ないのになと、
ケイは 感嘆すると
ハジメは、夏の芸術祭で
ケイがクルーズギャラリーに
訪れた時
『聖母の青』談義をしたのを
覚えてないのかと揶揄して、
ケイが自分で
「探しているのは、
高嶺の ロザリオフラワーだ」と
呟いていただろ?と
声を立てて笑った。
「ねぇ、emperor? ガルーダって さぁ、 この国では金翅鳥
ーこんじちょうーとも呼ばれ
てるんだ~。金翅鳥はねぇ、
神さまを背負って
時間 三世、宇宙天地、全世界を
飛ぶ事がねぇ
出来る神の鳥なんだよね~。」
そういう、相手なんじゃ
ないかなぁと、
ハジメは 目を見開くケイを
優し粋な眼差しで見つめた。
Great ハジメ!Thank You。
ケイは おもむろに 自分の
左手の中指から外したモノを
ハジメに投げ
「God's blessing for ハジメ。」
瞳を滲ませる。
「そろそろ『嫁』を迎えにさぁ
いけばいいんじゃないのん?
ボク達のメガヨットも 出港
用意ができたってさぁ~、
ダレンから連絡入ったよ、、」
早く着替えなと、促した
ハジメも
顔をグシャグシャに歪ませてた。
甲板に、白のワンピースを着た
アザミを ケイは
後ろから
ガッシリ抱き締めて立つ。
見送りの顔は、それを呆れて
見ているのが甲板からも
分かるが、
ケイは気にしていない。
ケイのスタイルは、
ヤマモリが用意していた
白のオータムジャケットに
チーフを指した
アザミと揃いの
ブライダルホワイト。
そんな SS級な
ヤマモリの計らいを、
粋な事をと ケイは苦笑しかない。
次第に
甲板から デッキゲートが
上げられて、
白く輝くメガヨットのトビラが
ロックされると
出発の合図がする。
「ダレンは、アザミをmiss it
して、サヤンだろうな。」
手を振るアザミと、港に佇む
見送りの1人を
み見下ろしてケイが
満足そうに云い放つ。
嫌味なほど にこやかに、
アザミを抱きつつ 手を振るケイに
「えっ?ダレンってさ、もともと
シオンちゃんが好きなんだよ?」
アザミが 何言ってるのと
言葉を続けた。!!!
「シオンちゃん、学園の時から
男女年齢問わず 人タラシ 力が
凄かったんだって。
1つ上の学年でもさ、有名な
『花』の1人なんだから。」
いやだなぁ、とケイの
頭をなでるアザミの言葉に、
ケイは
港の見送りに混じるシオンを
見つめて
「Really?」
と、
アザミの空いた背中に
驚きの吐息を乗せて、
そのまま
信じられない自分の
バカさ加減に
顔を擦り付け埋めた。
本当にオレは
アザミしか見えてないな。
サヤンはオレだ。
始まりは
足を踏み抜かれた danceで、
mistakeは いつくもあって。
そんなオレの life cruze航海から
セラマ プーランと
友が 待つ場所に、、還れる。
キュイ---ィィィィ… キュイィィィィィィ … キュイ…
時間 三世、宇宙天地、全世界を
共に飛ぶ相手。
ふと
オレ達のPrinceやprincessも
『ティカ』を手にするか?
と近い未来に思いを馳せる。
何?と聞き返すアザミを
もう一度腕に力を込めて
ケイは
港の見送りに 大きく手を振った。
自分の腕に彼女を
抱くと
溶けてしまう様な 感覚襲われて
それに縋り付けば
何度も
「サヤ サヤング アワッ」と
口にしている。
そんな
褐色の王子の 恋愛旅は
無事にフィナーレを迎えた。
世界最大級
国際クルーズターミナル。
まだ真新しい海の駅に、
アザミとケイが乗るメガヨットが
停泊している。
甲板に、白のワンピースを着た
アザミを 後ろから
ガッシリ抱き締めて立つ、ケイも
白のオータムジャケットに
チーフを指して、
2人は潮風に吹かれながら、
揃えてブライダルホワイト
スタイルだ。
「ケイ、いいかげんにしてっー。
アザミちゃん困ってるでしょっ」
アザミがショートヘアなのを
良い事に、ケイはしきりに
頬擦りをしたり、
首元に顔を寄せたりをして、
見ようによっては
大型犬のジャレに錯覚。
「おまえアザミ獲られてjealousy
なのは分かるが、Communicate
loveが強いのは種族のoriginally
だ。昨日のおまえ達も悪いぞ。」
シッシッと片手で避けられた。
2人の前にいるシオンをはじめ
ギャラリー武々1Bメンバーは
呆れた 眼差しで
大型犬に無言の合図を
送っているが、聞きそうに
ない。
「Yes!↑ヘリポートパーティー
サイコー↑↑でしたわね!」
パチンと両手鳴らしケイトウが、
思い出すような顔で、空気を
変えてつつ、アザミに破顔した。
「本当にさ、みんなには感謝
しかないよ。有り難うね。」
アザミは、頭を下げる。
そうだよ!昨日はもうさ、
目まぐるしくハチャメチャだよ!
拐われたのを皆んなが
全力で探してくれて、、。
海からケイに引き揚げられ
1番近い空港に
降りると思った時、
湾を越えて
アザミの瞳に映り始めたのは、
グラデーションに色変する
湾岸の観覧車イルミネーションに、路をランするテールランプ。
夜空に
浮かび上がった
ツリーのようなレインボー橋。
だった。
今は それさえ越えていく。
という事は!
「ケイ!もしかしてさ、このまま
ヒルズビレッジに戻るつもり!」
ヘリの爆音にアザミは叫んだ。
言ってるうちに、暗闇に沈む
皇居の森を飛び越えて、
開発ビル群には
もうすでに、大小タワー。
旋回して
メイン駅に、和光時計の交差点。
そこは白光に、ネオンの洪水。
だった。
電飾看板が川となって
通りを 動くランプの星達が
まるで、銀河から
四方へと流れる 宝石の大地。
これが この国の代表する夜景。
それはもうさ、
メトロポリタンイルミネーション
だよ。
「アザミ!stand-by!」
奥にさ、ライトアップされた
ヒルズビレッジのオフィスタワーが見えたよ。早い!!
「着くぞ!ヤマモリGet ready!」
え?!それ!
川のような道路のオレンジ光、
スカイライン
それに
航空障害灯が点滅する赤々、
定位置飛行になって、
「one!two!Descent!GO!!」
次の瞬間、
固定したアザミの体ごと
ケイはヘリから 空中へ出て
真上から迫る夜景に
スーーー、、降下して
ポートへ着地した。
「ウソでしょ、、」
唖然とするアザミを余所に
反対の扉から、ワイヤー下降した
ヤマモリが、当然のように
安全器具をはずせば、
自動巻き上げ
ヘリは湾岸方面へ、飛びさった。
「信じられないっ!」
へたへたと腰を抜かしそうな
アザミを肩に
「何回目だ。そのセリフ。」
ケイは面白そうに笑って
待っていた一団に手を上げた。
「「アザミちゃん!」」
「「アサミ!」」
「タムラさん!」「華姉様!!」
グリーンガーデンのヘリポート。
シオン達、ギャラリー面々と
ミズキ、繭嬢が待っていて、
アザミに次々抱きついてきた!
涙と笑いとが一緒くたになる。
それは、ヤマモリが
「ハイハーイ!今からポートで
ガーデンナイトピクニックの
用意しますので、お手伝い下さ
いますでしょうか、皆様!!」
と、
叫ぶまで続いた。
「で、こう言っては 何なんです
けども、住之江 繭様が、ここに
いらっしゃる理由を聞いて
も宜しいでしょうか?」
ふと、
ミズキが、今回の騒動の一因は
貴女じゃないですかと、
言わんばかりの視線を、着物令嬢
に投げ掛ける。
それに、応えたのは
「あーーっ。それはですねっ、
かなり残念な不可抗力といいます
かっ、マユお嬢様は『華親衛』
アザミちゃんの、学園時代の
熱烈ファンだったんですよっ!」
「「『華親衛』?」」
思いがけない単語に畳み掛ける。
「アザミちゃん凄かったんです。
短髪で長身二枚目気質、女学園の
麗人で、恋い焦がれる憧れの的っ
ラブレターとか山で。そんな行き
過ぎファンを統率するチームの
1人に、マユお嬢様はいてたと」
シオンが、マユ嬢を押し出す。
「華姉様、ごめんなさいませ!
御髪をまとめられたお姿から、
もしやと考えあぐねてましたら
あの様なひどい行い。華姉様に
二目会えるかもしれないと、
本当にごめんなさいませ!嫌いに
ならないで下さいませ!」
いやいやさ、お嬢様よ。
そりゃ、そんな有志団いるの
知らなかったわたしも、
だけどさ。
アザミは苦笑した。
「華姉様、、わたくし、
ケイ様の、どこか華姉様に似て
いらっしゃる、面影を慕って、」
え。何。と思うと、
「マユ。止めろ。それ以上は
Don't talk だろ。控えろ!!」
ケイが ヘルメットで乱れた髪を
整えて 慌ててやってきた。
しかも、手には
薔薇のドでかい花束を抱えて。
ヤマモリ以外呆気にとられる。
「アザミ、」
例の如くケイが 指を鳴らすと
白い鳥達が 飛び出して、夜空を
旋回、1匹がケイの左指に降りて
その鳥を指に、
「約束のAmulet bird
『ティカ』を貰って欲しい。
運命神の使いとして ティカは
王子と共にある鳥。花嫁の鳥だ」
薔薇の花束とをアザミに
差し出した。
「 10年。あの日からずっとだ、
fell in one moment。」
「 Please marry me、、
なあ、オレのものになって。
手を取ってくれ、アザミ。」
熱の発する瞳で 乞うケイ。
その左指に留まるティカを
見つめる。アザミ。
「パパの事、何も片付いてない。
今度と同じ事さ、何回もあるよ」
だから、躊躇うのに、
「I protect you 愛しているんだ」
ケイがその言葉で 言い訳を
消してしまった。アザミは
ティカを 自分の左指に誘う。
「花嫁候補いたんじゃないの?」
なのに、ケイはニカッと白い歯を
魅せて笑い
「だから迎えにきた。love you」
膝付いて、両腕を薔薇の薫りを
くゆらせて 優しく開くから、
「Me too!」
アザミは、思わず飛び込んだ。
ケイの匂いがして、
背中に回される腕が 心地いい。
すぐ、お尻を触るからさ、
ツネッておいたよ。
それを合図に、
固唾を飲んで見守っていた
面々が 大ハシャギで手を叩く!
「やったねっー!エロ王子っ!」
「どうなる事かとヒヤヒヤした。
主が108本薔薇を用意しろって
いきなりオーダーするしな。」
シオンとヤマモリが ハイタッチだ
「NO!!ハロウィンピクニック
から、マリッジパーティーです
わよ↑↑アフターは、パジャマ
パーティーですね!☆↑↑」
「ヤマモリ?このドームテント
どーしたの?いつの間にか、
LEDランタンまで配置して。」
ケイトウは、早速テーブルから
シャンパンを掲げて、
ミズキは、すぐ後ろにある
グランピングテントを指差した。
「ちょっと、ちょっとぉ!誰の
お蔭でさぁ、最速救助できたと
さぁ、思ってるんだい?少しは
労ってくれないのかなぁ~。」
ハジメとヨミも、ジャケットを
脱いで、寛ぐが、
「オーナーは、後で事情聴取モノ
ですよ!雷門に置いてる船をキャプテンとターミナルに移動で!」
ヨミだけは、抜かりない台詞で
オーナーを小突いた。
「まて!そのドームテントは、
アザミとNight time テントだ!」
アザミを抱き上げて
くるくると 舞わすケイの
怒号がするが、
「えー!今日はっ このテントで
女子会ですぅっ。エロ王子は、
下で、ボディーガード待ってる」
シオンの一撃で、却下された。
ヘリポートで夜空のピクニック。
賑やかな声は深夜まで続き、
ケイは男性陣に引き摺られ、
女性陣は、
さらに パジャマパーティーに
突入したのだった。
昨日の夜を非難する
ジト目で、シオンを睨みながら
相変わらず アザミの腰から
離れないケイに、
「最もらしさを言葉にして、
要するは 独占欲の塊が通常運転
とお国柄を抜かしている様だ。」
ダレンがグラデーションな
前髪を掴き上げ 嘆いた。
「そっちのおまえは、wordsense
だけは、goodチョイスだ。」
そんなダレンをケイは、無敵と
笑顔で撃沈する。
「嫌味が通じん色馬鹿だった」
ダレンは諦め顔をした時、
そろそろ時間となる。
ヤマモリがP.B最後の仕事と、
シックな 片目達磨を
ケイに差し出した。
ハジメが 目を見開いて
「イリュージョニストはぁ、
すっかりジンクス担ぎ屋だぁ?」
楽しそうに達磨を撫でる。
よくわかないと訝しがる他の
面々を余所に、ケイは
満足そうに、達磨の目を
両面に仕上げ、
さあ、帰りは ギャラリスト探偵が
用意してくれたメガヨットで
出発だ!と、
喜びの雄叫びをする。
シオン達は、アザミとケイに
カラーテープの端が付いた
13本の白薔薇のブーケを
ゆっくりと 手渡した。
「アザミちゃんのお母さんに 、
ケイが挨拶したらっ、そのまま
船で行くんだよねっー。」
シオンの感慨無量な声と、
「うん、マカオをさ経由して、
ケイの国に行くよ。だからさ、」
アザミの 淋しさが混じる顔は、
「結婚式さ、来てよ。絶対!」
固く握った女子2人の手の感触で
確信に変わった。
「 決まってるっ!世界でお金持
ちな国の王子様と結婚だよっ!
大富豪とラグジュアリーな結婚!
絶対いくっ!だって同志だよっ」
それはさ、幸せの合図だよ。
あの日とは180度違う世界。
閉まるのは、
無機質なエレベーターじゃない。
「アザミちゃん!幸せにねー!」
甲板から デッキゲートが
上げられて、
白く輝くメガヨットのトビラが
ロックされた。
出発の合図が 鳴る。
ブーケから
カラフルなテープがどんどん
延びて、ゆく。
手を振るショートヘア美人と、
嫌味なほど にこやかに、
パートナーを抱きつつ 手を振る
褐色の王子。
遠ざかる船の距離が、
やがて 潮風にテープを
舞い散らせる。
船影が 遠くなる。
「ケイ、もう抱き締めてたらさ、
動けないよ。少し腰から離れて」
「Why?漸く2人のSweet time
だろ?離すわけない。このまま」
人目が無くなったと、
ケイは遠慮なくアザミの首や
空いた背中に 音をたてて
跡を吸い付ける。
「なわけないでしょ!船に警護
も、キャプテンもいるんだよ。
恥ずかしいから駄目!!」
「マジか!!全員、このまま
海にDive in しろ!すぐだ!!」
凄くいやそうなサングラス顔
そこにいるんだよ。
「やめてよ!船が進まないよ!」
腰の手を 叩くのに、
「じゃあ、着くまで Stay SEX ?」
この不埒な褐色の王子は
相変わらず わたしにベタ惚れだよ
「ケイさ、蹴り上げるよ!」
side A Fin
HAPPY HALLOWEEN!!☆🖤★
『 秋に黄昏、褐色の王子は
恋愛魔法陣を行使する。sideA』
2020・10・1~31
脱稿
side K Fin
Merry Christmas!!☆🖤★
『 秋に黄昏、マジックタイム
褐色の王子は
恋愛旅を航海する。side K 』
2020・11・1~12・22
脱稿