秋は黄昏マジックアワー。褐色の王子と恋愛混合二重奏

アイスコーヒー1200円。

夢想、無双だよ。
わたしは、今

まだ、入った事がなかった
ここはさ、セレブなコーヒーの
エンターテイメント空間。
に、居てるんだよ。

って、他の人ならさ
大した事ない話よ。

でもさ、
樽熟成豆のアイスカフェって
ヤツが ひと飲みがよ
1200円、、、、幻か!

「じゃあアサミ、改めて
Let's make a ケイヤクだ。」

店内を回遊してサービスをする
コメッサが
腰に下げたデバイスで、
ケイとアサミのオーダーすると、
その場で ケイが
キャッシュレス決済を済ませて、
引き換えのレシートを
もらった。

『シュッ―、ジャー。パチパチ』

カフェに、
スチーム音と拍手が響く。

ケイは、前髪が伸びっぱなしの
見えてない目元に
掛けた眼鏡を
手で直しながら、

さっきも 告げた言葉を
再び、アサミに投げてきた。

「契約って、わたしとですか。」

「そー、ケイヤクだ。君と。」

「・・・・」

暫し、2人の間に沈黙が流れる。

『シーュッー!!
パチパチパチパチ!!』

又、スチーム音+拍手が
ワーワーと 歓声と掛あって、
ビッグウェーブと鳴った。

この歓声に惹かれて、
さっき、
『契約』と聞こえた単語を
聞き返そうとしたアサミを
なんなく、放り出して
ケイは 歓声のした奥、

コンセプトショップなる書店の
深部に併設された
広大なカフェに
好奇心満点な顔をして
行ってしまったのだ。

「えと、意味が分かりません。」


カフェ入り口から
見えるのは、吹き抜けにまで
伸びる巨大な
コッパーメイドのキャスク。

それには 寝かされた
コーヒー豆が貯蔵されて、
カフェフロア、
ティーフロア、
カクテルフロアのサイロに
まるで
スチームバンクの工場さながら
張り巡らされた
シンフォニー管を豆が
移動していた。

「そもそも、わたし、分かってる
と思いますけど、れっきとした
バンケットスタッフで仕事して
ますから、ムリです。」

わたしは、キッパリとさ、
向かいに座るケイに 伝えるよ、、

豆の名前がランプされると
『シュッ』という音がして
豆が降ってくるから、
スタッフが盛大に拍手を、
ゲストも歓声を上げるのだ。

でも、そんな演出さえさ
わたしは今、気にならないよ。

だってさ、向かいに座るケイの
Tシャツの首もとから、

さっきの オカメインコ!
『ティカ』ちゃんが 顔を
顔を、顔を 出して!可愛い!!
のーーー。

カフェに、
焙煎の香りが、立ち込めて、
ローストされた豆が排出される。

今度は、照明が
ダウンして、
ローストされたマメに
スポットライトが当てられた。

まるで、舞台のように
無音に空気が変わる。
陰る世界に、ケイのシルエット。

「そんな固いモノではないから
ノー problemだ。仕事終わりに
プライベートコンダクターを
して欲しいのが、ケイヤクだ。」

それは、まるで本当に
魔術師との契約みたいな
台詞に聞こえてしまい、

首もとの、『ティカ』の
スノーフェイスがさ、
暗い中に 真っ白く
浮かんで、目が光ったと、
パチンて Tシャツの中に潜った。

「ええと、ツアーコンダクターを
個人で、、やったら、いいと」

そうケイに
目の前の世界に、溺れそうに
答えたら、さ

また店内の照明が戻って
今度は、ティカちゃんが
ケイの頭の上に、ピョコッて
出てくるの!よ!

目が覚めたように
頭のティカちゃんに視線を
合わせたら、
その向こうに 美味しそうな
焼きたてのパンを出すさ
ベイカーが見えた。って、

ペットはさ、ヤバくない?
そう焦ったら、また ティカちゃん
ケイのぼっさぼさの髪に
潜るのよね。
そりゃ、わたし
気もそぞろになるよ!

「ケイなら、ちゃんとしたガイド
雇えると、思います、けど。」

あ、袖、袖からティカちゃん!!

そんな
集中できない
やり取りをしてると、
ケイの電話に メニュー
通知音がして、
また ティカちゃんが 袖に潜った。

「Sorry、アサミ。先にカウンター
取りに行ってくるから。Stay。」

わたしが
取りに行こうと腰を
浮かせるのを 制して
ケイが さっさとカウンターへ
長い足を 運んで行った。

緊張が解けて、息をする。
周りを見回せば

科学の実験をするかの
いくつもの、本格メーカーで
抽出する
コーヒーバリスタが見えたり、

バーテンダーが
樽を並べた カウンターで、
コーヒーカクテルのシェイカーを
振る 『シャカシャカ』と
小気味いい音がする。

どのスタッフも ワークスタイル
カッコいいけど、

「お待たせ。アサミは、
カプチーノcocoaと、coffee
タルトレットだね。どうぞ。」

目の前にトレーを持って
立つケイのスタイルも
負けてない。

いや、ぼっさぼさのヨレヨレ
眼鏡変装を引いたらさ、
素顔なら 勝負にならない
イケメンさだよ。

どうも、イケメン様
コーヒー+スイーツ合わせて
2000円近くを
ご馳走になります。です。

「いつもは、『キャンプEARTH』
でボランティアしてる。
たから、出来るだけイージーに
tripしたい。それも出来るなら
この国のGood pointを 見たい」

ふうん。
キャンプアースはさ、
国境を越えて国際協力を
するボランティア団だった
と思う。

そっか、ボランティアしてる人
なんだ。イリュージョンをさ
生業にしてるわけでは
なさそうって事よね。

「ケイは、、国は、どこ?」

「アジア、 南シナのSea Island
だ。アサミは わかるか?」

なんとなくねと、答えて、
今度は シックなスイーツに
手を着ければさ、

うわっ、コーヒーのタルトケーキ
美味すぎて、惚けるよ~

「でも、わたし、プロの
コンダクターじゃないから、
お金とか、、もらえません。」

あ!またケイの首もとから、
『ティカ』ちゃん!

「So、対価は『 Magic』。
オモシロイ だろ?アサミは
After workに、コンダクターを
する。対価に、Lunch time magic
をショーする。滞在は10day。
それと、」

首元に『ティカ』ちゃんを
出したまま、
ケイがゆっくりと、
樽熟成豆のアイスカフェを
口に含む。

「それと?」

コーヒーというより、
樽、モルトっぽい薫りが
ウイスキー的で、

「コンダクターとしてMission
エンドすれば、『ティカ』を
差し上げよう。どうだ?」

向かいのわたしは、クラクラする

「っ!本当に?」

もう正常な判断ではないかも。

「I promise!神に誓う。」

今度は、とうとう肩に『ティカ』
乗せて、ケイは 無駄に長い
足を組んだ。

「ケイ、やりますっ。」

凄い不適な笑いを
されているけどさ、スノー
ホワイトのオカメインコって
4万~なんだよ値段がさ。

「ヨロシク、baby。」

ケイは、アサミに手を差し出して
握手をサインする。
アサミも その手を、しっかり
掴んで 互いに握って放す。

「何かあれば、ここに『魔術師
ケイとコンタクトしたい』
と言えばいい。スタートは
tomorrow!!Are you ready?」

カフェテーブルに出されたのはさ
大手企業の名刺だよ?

まあ、いっか。

「OK、クライアント様。」

ニッコリと笑顔作って
ケイに そう言ったらさ、

それは嫌味かと 笑われたよ。
なんだよ、

だいたいさ、
豆がさ、こう 行き交う中をね、
お互い変装なんか
している、2人なんだよ。

本当にシュールとしか
言いようがない。

それこそ 魔法にかかったような。
いろんな意味で
マジックアワーの
始まりだよね。
Whisky barrelにagingさせた
icecoffee は1200円というcafe。

因果因縁

輪廻転生

諸行無常


coffeeの芳ばしい薫りが
芸術祭で 訪れた 島のカブキを
思い出させるから
不思議なモノだ。

ヤシロ?のtorchが
チロチロ燃えてた カブキstage。

『~壮絶か人生ぃ 如何
清水寺の僧がぁ 姫 に恋し
大破戒するが 長き舞台ぃ
それ 始めの 縁起とは 如何~』

蜃気楼、夢想、無双だな。

ケイは

店内を回遊してサービスをする
コメッサに声を掛けて
アサミの分もオーダーする。

『シュッ―、ジャー。パチパチ』

カフェに、
スチーム音と拍手が響くのが
まるで、

波音と観客の喝采に聞えた気が
またして、ケイは、
目を細めた。

ここは
セレブリティなcafe空間だろ。
アサミに話だ、、

「じゃあアサミ、改めて
Let's make a ケイヤクだ。」

ケイは、前髪をわざと伸ばして
見えてない様にする目元に
掛けた眼鏡を 手で直しながら、

再び、アサミに投げる。

「契約って、わたしとですか。」

「そー、ケイヤクだ。君と。」


ああ、確かあの島でみたカブキも
そんなstoryだったな。
そのせいか、、
この既視感は。

確か
生まれかわった
オヒメサマと、ソウリョが、
promiseを交わして
もう1度 出会うstoryだった。


『~小さき香箱 蓋と身に 分け
蓋を 寺稚児が 左手に
身を 所化に
香箱
蓋と身
互いの名を 認め
起請代わりか~』


「・・・・」

ケイの問いかけに、
アサミは応えない。
暫し、2人の間に沈黙が流れる。

『シーュッー!!
パチパチパチパチ!!』

又、スチーム音+拍手が
ワーワーと 歓声と掛あって、
ビッグウェーブと鳴った。

cafeのguestの声に
惹かれたフリをして わざわざ、
『ケイヤク』のwordを
うやむやに アサミを cafeに
引き込んだ。

cafeは 入れば
すぐには、アサミも
帰らないだろう?

「えと、意味が分かりません。」

それでも、アサミは 足掻いて
きた。

カフェ入り口から見える、
吹き抜けにまで伸びる巨大な
コッパーメイドのキャスクは、
スチームバンクの
工場さながらで

張り巡らされた
シンフォニー管を豆が
移動しているのが

ケイには
波の音に聞こえて
惹かれて、
cafeに入ったのもある。

「そもそも、わたし、分かってる
と思いますけど、れっきとした
バンケットスタッフで仕事して
ますから、ムリです。」

アサミは そんな風に
豆音を
波にして聞くケイに

キッパリと断りを伝える、、


なかなか 硬いな。

だから ケイは、少しヒキョーな
手を使う事にした。

豆の名前がランプされると
『シュッ』という音がして
豆が降って、
スタッフが盛大に拍手、
ゲストも歓声を上げる。

舞台の客席のサザメキがまた
ケイの耳に届く。
と、

向かいに座るアサミの視線が
ケイのTシャツの首もとに
止まった。

『ティカ』に ケイが、
顔を 出させたのだーーー。

ハハ、そういえば、
カブキでも、magicの様に

生まれたオヒメサマの手から
Destiny partnerの
ソウリョnameが
出て来て、
2人が 互いの
peaceを
ピッタリ合わせてたな。

そのpeaceを
白い鳥が くわえて
観客の波を 抜け出て 神に飛んで
いく。
そんなstoryだった。


『~姫の左手が みるみる開きか
掌から 出てきたは
身を 滅ぼしや あの君が蓋
愛おし 寺稚児や
名書かれし
香箱の 蓋!

姫や 愛おし 寺稚児の
生まれかわりか!~』


アサミは、ティカに
気持ちを、もって行かれている。

その調子で、まずは
ケイヤクという
ヤクソクだ、


記憶の底にもう
面影さえ mallageなオレには、
手掛かりは
nameという peaceしかない。
と、思った。

が、、


カフェに、
焙煎の香りが、立ち込めて、
ローストされた豆が排出されると
今度は、照明が
ダウンして、
スポットライトが当てられた。

まるで、舞台のように
陰る世界に、
アサミの肩のシルエットを見て

ケイは 強張った。

見覚えのあるshoulder 。
そうか、
body lineは 記憶しているかもか。


因果因縁

輪廻転生

諸行無常


「そんな固いモノではないから
ノー problemだ。仕事終わりに
プライベートコンダクターを
して欲しいのが、ケイヤクだ。」


首もとの、『ティカ』の
スノーフェイスが、暗い中に
真っ白く オレの胸元に
浮かんでいる。

パチンと合図すれば
ティカは Tシャツの中に潜った。

「ええと、ツアーコンダクターを
個人で、やったら、いいと?」

アサミの声と同時に
またうっすら
店内の照明が戻ってくる。

、、!効いてる!
ティカがnegotiationに有効なら
もう少し 使うまでだ。

ケイが不敵に微笑む。

バーテンダーが
カウンターで、
コーヒーカクテルのシェイカーを
振る 『シャカシャカ』と
小気味いい音がして

orderしたmenuが揃った合図が
された。

ケイが オーダーした品物を
トレーに 戻って

「アサミは、
カプチーノcocoaと、coffee
タルトレットだね。どうぞ。」

アサミのオーダー分を渡す。
それを、手にしながら
アサミはまだ、食い下がった。

「ケイなら、ちゃんとしたガイド
雇えると、思います、けど。」

Lady
まだ言うのか?

続けて ケイは
ティカをケイのぼっさぼさの髪に
ピョコッと出してやる。

と、アサミはもう気もそぞろに
なって
ケイが畳み掛けた。

「いつもは、『キャンプEARTH』
でボランティアしてる。
たから、出来るだけイージーに
tripしたい。それも出来るなら
この国のGood pointを 見たい」

キャンプアースは、
国境を越えて国際協力を
するボランティア団。

「ケイは、、国は、どこ?」

「アジア、 南シナのSea Island
だ。アサミは わかるか?」

なんとなくねと
アサミは 眼鏡ごしに笑い、

「でも、わたし、プロの
コンダクターじゃないから、
お金とか、、もらえません。」

さらにケイに応戦。

手強いな。
ケイが首もとから、『ティカ』を
発動!!して止めをさす。

「So、対価は『 Magic』。
オモシロイ だろ?アサミは
After workに、コンダクターを
する。対価に、Lunch time magic
をショーする。滞在は10day。
それと、」

首元に『ティカ』を
出したまま、
ケイがゆっくりと、
樽熟成豆のアイスカフェを
口に含む。

「コンダクターとしてMission
エンドすれば、『ティカ』を
差し上げよう。どうだ?」

last cardだ。
向かいのアサミはクラクラ
しているぞ。ヨシ。!

「っ!本当に?」

もう正常な判断ではないな。
アサミ?

「I promise!神に誓う。」

愛の証は
断崖絶壁
死に遅れ 生き残り

只只絶壁

秒読みか
在業消滅


今度は、とうとう肩に『ティカ』
乗せて、ケイは 無駄に長い
足を組んだら とうとう

「ケイ、やりますっ。」

ケイヤク完了。
アサミ、やはりチョロいな。
また不適に笑って
ケイは
「ヨロシク、baby。」と

アサミに手を差し出した。

「何かあれば、ここに『魔術師
ケイとコンタクトしたい』
と言えばいい。スタートは
tomorrow!!Are you ready?」

カフェテーブルに出すのは
大手企業の名刺だ。

「OK、クライアント様。」

ニッコリと笑顔作ってアサミは
ケイに言う、

それは嫌味か?

ああ、
これでlast stageが見える。

カブキじゃ、
観客がpaper tape投げて、
まるでweddingみたいだったぞ。

エンディングには

紙吹雪が 舞台に降って

本当にシュールとしか
言いようがない
男と女。
生別が変わり、生まれかわって、近くにいない 場所にいても

必ず2人は 出会うという
last stageだ。

雲偏に愛く 波幕
黄昏時に 吹く風揺らぐ
蝋燭の 行灯


あの島で
燃えてた 行灯の火が
まるで
風で 消えて、こげたような
薫りが

『~夕闇迫る 篝火の行灯揺れ~』

このcafeでも している。
さあ、
始まりますわぁ 幕開け
柏木柏木~


朝、
職場のバンケットオフィスに
出社したら、朝のミーティングで
けっこうな事になってたってさ、
ミズキ先輩の話で
初めて知ったよ。

「昨日は、皆さんお疲れ様。
ご存知かもしれませんが、
急遽対応になったレセプション
会見ですが、依頼企業からも
大変評価を頂きました。
加えて、夕方のメディアは
全局ニュースに あの会見が
アップされました。スタート
から考えても 快挙でしょう。
全員の健闘、課長も本部より
労いと、讃えをもらえました。」

そこで、ミズキ先輩がさ、
最高の美女スマイルを輝かせた。
何十年に一回ある秘仏開帳
並みだよ。
ありがたやー。心ん中で拝む。

「本日は、より気を引き締めて
ヨロシクお願いします。
昨日のメディアリリースから
ボトルシップの取材と、
大使補佐クラスで行われる
ミーティングが予定以外に
スケジューリング
されましたので、、、」

今回の式典招待は、195ヵ国に
為されて、うち王族26組、
国家元首が100組ほど来日、
残る国賓代理大使が65組来日。

これは未曾有の異次元的
国際来賓の数だ。
この数でさえ、実際上式典に
参加する人数で、同伴する
大臣や官僚、補佐官も入れれば
倍の数では 足りない。
少なくとも1000組ほどは、
海外からの賓客が来ている。

そもそも、このヒルズヴィレッジ
ブランドホテルにはさ、
どれぐらいの国賓が今いるのだろう?と思うと 少しゾッとする。

都内の宿泊先は、
滞在だけの場ではなく、
友好外交の場所になっていた。

セレブも多いヒルズでもあるから、セキュリティは半端ないけど
それこそテロの標的にでもなれば
とんでもない。くわばらくわばら

ふと、昨日
ケイとカフェからモールの外へ
出て、じゃあと別れた後。
みれば ケイはさ
ヒルズヴィレッジのレジデンス
方向へGパンにポケットに
手を突っ込んで 歩いて行ったよ。

まあ、
ここを所有する財閥企業の
ペントハウス扱いの部屋が
レジデンスにもあるって、
同僚お嬢さん達がさ、
いつか話してたから
きっと、そんな辺りが
ケイの宿泊でも用意したん
だろう。レセプション救世主の
マジシャンだしと考えて、
頭を振って仕事モードに

切り替え切り替え。

官邸や大使館以外での
協力国での会議や、
初見の国同士が 補佐官クラスで
ファーストコンタクトミーティングをしたりが、うちみたいな
都内バンケットホールでとなる。

だからさ、
ホールのタイムスケジュールを
PC上で細かく確認よ。

やっぱり。

ここに来てのね、
昨日のレセプションは、外交官
のみならず、賓客と民間経済界との会合に起爆剤を与えたようだ。

もともとの 予定を越えて、
急遽リスケジュールされたさ
項目があったよ。
課長バタバタだろうな。

バンケットホールで持つ
幾つかのサロンは、
一斉に外交ミーティング予定で
埋められ 始め
満帆に成りつつあったから。

それでもこれは、ルーティン。
昨日みたいな事でなければ、
セッティングのみがさ、
バンケットスタッフの仕事よ。

ニュースでやっているような、
元首のお買い物や、視察なんて
コーディネートは官僚の管轄。
いやはや、あれはたまったもんじゃないよね。

そういえばさ、
ケイも へんなお土産を
買っていたよ。

へんなというのは 失礼か。
でもさ、なんでカフェにさ、
達磨とか、けん玉?ついでに
花札とか 売ってるかな?
それで、それを買うかなー。

そうなのだ
別れ際のケイは、達磨を小脇に
挟んで、ポケットに手を
突っ込んで帰るという
わけのわからない
出で立ちになってたね。

まあ、コメッサがさ
持帰りの袋は無しでと、
ケイが 言ってさ、
Tシャツの胸元にさ、
けん玉と花札を 飲み込ませた時の
顔ったら ケッサクだったよ!

「フフフ」

ヤバい、つい笑いが漏れた。
向かいのミズキ先輩がさ
変な顔してるって。

さて、問題は 仕事じゃなくて、
昨日の『ケイヤク』仕事の方だ。

幸い、ヒルズヴィレッジにある
昨日のコンセプトモールは、
日本の良質ブランドや、老舗店を
集めている珍しいモール。

ケイがさ、昨日、言っていた

『出来るだけイージーに
tripしたい。それも出来るなら
この国のGood pointを 見たい』

と言うなら、もってこいの
フロアもあるし、店頭体験できる
ショップもあるはずよ。

なにより、
モールの売りになっているの
ルーフトップガーデンが、
新進気鋭の庭師が作庭した
本格的日本庭園なのだ。
そう考えるとさ
まずわたしの、コンダクター
仕事初めは、
コンセプトモールからさ
スタートさせるのは、どうだろ?
お手軽『イージーtrip』だよ。

そういえばさ、昨日
帰りにモールの外に出てさ
芝生を見たら、段ボールは
なかったんだよね。
小人が 片付けたんだろうよ。
「ハハ」
ヤバ。ちゃんと確認よね。

じゃあ、今日あたりから、
本格的に要人ミーティングが
動き出すから、ホールセッティングに 人員が必要になる。

下のフロアへ確認と挨拶に降りる

このヒルズヴィレッジにある
タワーオフィスは、

地下1階からの 地上57階建てで
屋上には 緑化型最新ヘリポート。
56階は展望フロアだ。

49~55階が
うちのバンケット部の
親企業になるブランドホテルが
入って、
会員制VIPラウンジとか、
かなり高級系レストランフロアも
ある。
そして、7~48階が
昨日お世話になった『武々1B』
とか、
シェアカンパニーダイニングが
入っている、オフィスゾーン。
これは
ヒルズの極みだよ。

そして、6階が我がバンケット部
のあるホールフロア。
こう考えても、うちの部が
子会社的な位置になるのが
わかるよ。

6階の作りだけが、異質なのは
サロンホールって使用目的だけが、理由じゃないんだってさ。

なんでも、ヒルズヴィレッジを
所有してる旧財閥総裁の肝いり。
まあ、趣味がかなり
反映されてるってわけよ。

で、6階以降下のフロアには
プレミアムシネシアター、
カルチャースタジアムがあって、
割りとライフアシスタントする
テナントとかが
入ってる。

で、これから行くのがさ、

チューターやコーチャーはじめ
シッターやヘルパーの
主に派遣業をしている
ディスパッチセンターなわけよ。

「タムラさん、今から下に行く?
悪いけれど、ヤマモリさんに、
このタイムスケジュールを、
渡してくれるかしら。マル秘ね」

下に降りる準備をしてたら、
ミズキ先輩から、黒ファイルを
渡されたよ。

メールで送れない、人物の予定が
入っているのだろうけど。

わたしみたいに、
ホールセッティングの人員だけで
なく、
下のデスパッチセンターには
優秀な通訳や、ボディガード、
ショートステイ執事やメイド
なんかも派遣できるような

SSランクの派遣センターだよ。

「だから、わたしじゃなくて、
下なら ツアコン、いるのに、」
つい、ため息だ。

「何?何か言った?タムラさん」

しまった声出てた。

「いえ、何も。下行きます。」

あ、ならさ、
ケイのコンダクターする場所を
ちょこっと、相談できるかもよ。
よし、ケイトウとダレンにも
昨日のお礼に
向かいのモールで和菓子でも
買って持っていこう!

1階からさ、この6階までなら
わたしはさ、
平気で階段登り降りするよ。
常からしっかり
鍛えております。

「今から、下行きます、、」

わたしは、今日も階段で
トレーニング兼ねて
特にこの10日間は、
走り廻る。

なのに、和菓子を買いに行った
モールで、へんな光景を
見てしまった。
アサミとは別れて
ケイは ヒルズビレッジ区画に
あるレジデンスに向かう。

滞在先が 低層ラグジュアリーな
レジデンスのペントハウス。

ここをケイに用意したのは
西の財閥一族の娘
『住之江 繭子』。

ケイにとって 10年前から続く
捜索協力者だった。

『ケイ様。わたくしも、そちらに
間もなく伺わせて頂きますのよ。
せっかくですもの、少しお時間
頂けますこと?
わたくし、間近で ケイ様の
イリュージョンを拝見しとう
ございますの。如何かしら?』

Next morning、

マユから callがされて
オレに 言ってきたのは、
reception illusionがmediaで
流され、好評だったと
いう事だ。

『ケイ様、テレビをご覧に
なりませんですの?仕方ない方
ですわね。あらまあ、もう
近くですので後ほど。では』

ご機嫌ようのセリフで、
ピッとtelephoneが切られた。

やれやれだ。
とりあえず、イリュージョニストとしての workは完了だろ。
今度は
Princeのworkだ。

今回の国家式典招待は、
195ヵ国に為されて、
うち王族26組、
国家元首が100組ほど来日、
残る国賓代理大使が65組来日だ。

これは未曾有で異次元的な
国際来賓の数だろう。

この数でさえ、実際上式典に
参加する人数で、同伴する
大臣や官僚、補佐官も入れれば
倍の数では 足りない。
少なくとも1000組ほどは、
海外からの賓客が来ている。

都内の宿泊先は、
滞在だけの場ではなく、
友好外交の場所になっていた。

マユがケイに用意した
ヒルズビレッジレジデンス
向かいのホテルにも
海外賓客が滞在してる。

とわいえ
これはヒルズビレッジに
マユがペントハウスを
持ったのは全く偶然。

新しい建設されたヒルズビレッジ

西の財閥一族のマユが
そのレジデンスの1つを持つのは
珍しい。

「東にbaseを置いてsearch出来る
ようにマユが したんだろう。」

もう西は手詰まりだったケイに、
今回レセプションを
急遽依頼してきたのは
ヒルズビレッジ所有企業だった。

「Newsを見ろって言ってたか」

ケイが TVをオンにして見れば
丁度、海外賓客の元首が
ショッピングや、視察をしている
模様を映している。

「と言っても、もうlast chance
だがな。2度とここには
来れないだろう。sorry マユ。」

ケイが ニュースを確認すると
再び電話に着信の表示が
されて、ケイは それに応答する。

『やっほ~emperor!!
昨日のレセプションはぁ、
大成功だったみたいだねん~。
海外からのゲストと経済界の
交流に起爆剤を与えたってぇ、
ニュースになってたよぉ。
紹介の価値あったねぇ~。』

ギャラリストのハジメからの
callに、ケイは

「Thank You ハジメ。オカゲで
I did a good job だ『ガンカケ』
がきいたのかもだぞ。フン!」

電話口で機嫌よく笑いながら
ハジメに礼を言って、

『えぇ、マリッジハンター的な
意味かなぁ?それぇ~。それとも
イリュージョニストとしてぇ?』

ハジメの質問にフザケるように
昨日カフェで買った シックな
『達磨』を撫でてみる。

「ハハ!!It's all!だ!ハジメ」

へんなdollを売ってたが、
shop assistantが言うにはだ、
願いをかける『ダルマ』だと。

「ハジメが art festivalで 教えた
power spotのオカゲだろ?」


shop assistant のfaceは
ケッサクだったぞ。
オレが Tシャツの胸元に、
shopping itemを どんどん
入れるんだからな!

「フフフ」

ヤバい、つい笑いが漏れたが、
コイツ早速 『メダマ』を1つ
入れてやろう。

『emperor!ガンカケの指輪ぁ、
それならさぁ、このわたしに
譲ってくれるかなん?もう、
願いが 叶ったならぁ、今度は
わたしの番だよぉ~!!』

ぬかせ!!

「ギャラリスト探偵ハジメ。
自分でpower spotで手にしろ!
『ガンカケ』なんだろ。切るぞ」

乱雑に電話を切ったケイは、
自分の万年筆で、
達磨の片目を黒塗りする。

今日から
お手軽『イージーtrip』だ。
スタートさせるのは、運命。
まだ どっちにコロブか
解らないんだからな。

「その前にprivate butlerを
Dispatch centerに依頼だな。
実に便利なHillsだな ここは。」

このヒルズヴィレッジにある
タワーオフィスには、

地下1階からの 地上57階建てで
屋上には 緑化型最新ヘリポート。
56階に展望フロア。

49~55階がブランドホテル。
会員制VIPラウンジ、
高級系レストランフロアがある。
そして、7~48階がオフィス。

6階以降下のフロアには
プレミアムシネシアター、
カルチャースタジアムがあり、
ライフアシスタントする
テナントが入っていた。

「Conciergeがいってたのは
このcall number だったか。」

そこに
チューターやコーチャーはじめ
シッターやヘルパーの
主に派遣業をしている
ディスパッチセンターがある。

優秀な通訳や、ボディガード、
ショートステイ執事やメイド
さえ派遣できるような
SSランクの派遣センターだ。

「Hi!SS classのprivate butler を、 Residence paint houseに。」

もうすぐ、マユが来る。
そしたら『ダルマ』を見せて
『ガンカケ』の話をしてやろう。

あれ?なんでわたし
こんなに??? なんだろう、、


派遣してもらう人員打ち合わせを
早々に終わらせて、
まだ開店間もないモールへ。

アサミは 目処をつけている
和菓子店に向かうつもりだった。

けどさ、
きっと、アレは ケイだよ。
あ、言い方が 違った。

昨日、
『ヒーローとして現れたケイ』の
その次の日の 姿をモールで、
見てしまった。
と思う。

だってさ、
イリュージョニスト・ケイは、
黒のスーツに、ネクタイ姿で、
前髪も艶やかに整えてよ

まあ、見ようによっては
どこかの若頭風だけどさ、

着物の 大和撫子ご令嬢と歩いて
いなさるわけよ。

それは、もう、和やかに
周りに眩しい オーラ飛ばして。
これはさ、
ショー・アーティストとして
セレブに ゲスト扱いでも受けて
るんだろうよ。

なんだ、もう
ちゃんと ミスユニバースみたいな
ご令嬢に案内されてるじゃん。
ふーん。
じゃあ このモールは、
ツアコン先に、使えないかあ。

声も掛けずに、わたしはさ
テナントの横から ケイ達が
通り過ぎるのを 待つしかない。

お嬢様の着物を見れば一目瞭然。
仕草をみれば、サラブレッド確定
淑やかだけど、瞳を見ればさ、
あれは、、、。

お嬢様達を挟んで、セキュリティ
さえ付いてるもんだから。

レジデンス宿泊を提供できる
ぐらいのご令嬢に、ケイはさ、
見初められたんだろうよ。


これでもさ、『元成金没落令嬢』
なんだよ、わたし。
あの着物が どれだけ高いか
想像できるし、でもって、
生粋の女子学園育ちだからさ
あーゆー、
恋する乙女の瞳ってやつ、
全然知ってるよ、、

良かった。

下のデスパッチセンターで
派遣主任のヤマモリさんに、
海外の友人にツアコンするなら
何処が良いか、

聞いといてさ。

じゃなきゃ、今からまたさ
ツアコン場所探さなきゃだった。

まあ、そんなわけでさ
わたしは、そのまま手ぶらで、
バンケットオフィスに
戻ったわけ。

それからは、
バリバリ お仕事して。忙しく
没頭してたからさ、
夕方を 迎えた頃には、
なんか モヤモヤは
忘れてた。


オフィスタワーの
エントランスホールは
今だけ 一時的に開放されて、
ペットボトルシップの展示を
フリーで鑑賞できる。

どこかの大学生達だよね、
ゼミで見学に来ていて、
あーだこーだ、
レポートを書いたり、
写真撮ったりしている。

そんな学生に 混じって、
ケイは待っていた。

今日の黄昏時は、
ぐっと 気温が下がっている。
その証拠に、ケイは
白の長袖トレーナーに、
濃紺Gパン だった。

昼間のオーラは 何処に、
ぼさぼさ伸びっぱなし髪に
眼鏡をかけて、
冴えない感は 満載だ。
とはいえ、
自分も、似たような地味さだし。

普段は こんな引け目なこと、
思ったりしないのにさ。
やだやだ。

「アサミ!お仕事お疲れ。
今日から、コンダクター
ヨロシクお願いする。楽しみだ」

学生達に紛れて ケイが
スマイルで手を振りながら、
やって来る。

「じゃあ、クライアント様。
依頼の、最初は、Japan trip。
秋の催しに、ご案内します。」

アサミは 硬めな 会釈をして、
アドバイスをもらった先に、

不審者ケイを リードした。


ヒルズヴィレッジからも
遠くない場所。
この国の 政治経済の中枢場所に
緑が広がる一角がある。

高台にある社は、
ライトアップで、淡く灯され
ゲストを迎える。

もともとは、
琵琶湖畔の霊山守護する
お山御神体の信仰であり、
明治天皇が、
東の都に 居住する際、
『王の城、皇居を中心とす首都』を守護する社とされた場所。

摩天楼に囲まれてるだけあって
企業の信仰集める神社でもある

彩飾鮮やかな社。

拝殿の天井草花面や
千本鳥居、
神輿が昇る男坂が みどころ
だが、
この日は
仲秋の名月の下

いかにも 日本的な太鼓や、
管弦 菊の花や刀を使った
巫女舞が 厳か行われていた。

他にも有名な観光寺社仏閣も
あるけど、今日なら、
ここにして正解だと
アサミは ケイと並んだ 席で思う。

『雅楽』は日本と
アジアの音楽が融合した、
最古の音楽で、
交流的な ツアコンなら
もってこいの儀の日だと、
ヤマモリさんが 教えてくれた。
その
アドバイスが効を成したわけ。

奇しくも
ここは、『山王』信仰。
自分の真の名前。2つ名を思う。
アサミには 身近な社だったのも
選んだ理由。


秋の夜空に、
笙の音が響くと、満月が冴えて。

10はある演目の切れを、
森の、虫の声を余興と、
野外舞台の 幕間に聞く。

巫女の舞方が、動から静へ
刀がぴたっと 重なり合う瞬間は
時間が止まる。

そんな
途切れ途切れの流れの
端々に、ケイの横顔がある中
ふいに、
み垂らし月団子の先端が
口に入れられて 驚いてしまう。

悪戯が成功したと
音なく笑って、
『シーッ』と指をたてるポーズを
する、眼鏡の ケイの顔がある。

お月見団子はさ、
さっき ケイが鑑賞の合間にって
買ってた、ヤツだけどさ、
上の一個を串ごと
口に入れられて、残りを
ケイが横にな切るみたいに
自分の、口に、齧り
入れてしまう わけよ。

なんだか 。

次第に盛り上がる 『冬明楽』
4人舞の鳥兜が 2対2、
完全に動きが リンクして
観客全員が 舞台に心を 奪われた
次の 瞬間

ザーーーーーーーー
五十鈴を鳴らして、、風が
境内を 秋吹いて
観客の髪をぉぉ 乱す、、。

バレッタ!! 弾けて長い髪が
無様にぃって広がってしまった、
自分の髪を ハタ押さえる
アサミの 頭を
フワリと、撫でた感触は

ケイの手で作られた
温度で、
アサミは柄になくそんな空気に、
惹き込まれていた。

なんだかさ、
魔術師、恐るべし。

Why?
何故、マユの前にこの男に
ガンカケの話をするハメになる?

ケイの目の前に
悠然と座りながら
一分の隙も見せない男。

企業研究所の所長というには
若くて無駄にイケメンだ。

Sharrock こと ハジメが Dirと
呼ぶが 『Nobleman of ice』が
似合いだろう。

しかも、かなり、デキル。
キレナガのeyeはeasyでも
Trained bodyを そのsuit隠して。

じっと、ケイの左手中指を
見つめる眼差しに
居心地の悪さを感じながら、

ケイは、この中指のモノの
話を、始めた。

「Dir レンも旧知、ハジメに
power spot storyを聞いて
climbing 『ガンカケ』で
手にした ringだ。」

そして、左手の中指を示せば、

龍の紋様に『不動尊守護』と
刻印された銀 の願掛け指輪が
光っている。

「わかりました。そのまま続けて
ください。カイザー王子、いえ、
イリュージョニスト・ケイ。」

長身の体をスッキリ姿勢よく
向かいのソファーに沈めて、
ニコニコと微笑みながら
指を組んだ膝の上で、
交差組むポーズの

『氷の貴公子』に、
ケイは ハアーっと 溜息をついて
話をする事にした。



芸術祭が開催される島の1つ。
には島遍路ができる場所が
ある。

厳しい霊場で、難所や、
山岳寺院も多く、さながら
バーミヤンの石秘仏のような
パワースポットや、

海洞窟を思わせる社も
ある中
ハジメが ケイに勧めたのは
断崖絶壁にある寺だった。

本坊から、とにかく長い
石段を登り ようやくスタート。

「My road!本当にこんな場所を climbing で行かれるのですか?」

ケイの警護人が 思わず声を
上げる。それもそのはず。

「そう、らしい。」

目の前には ほぼ垂直に立つ崖。
岩場に 一応鎖がついているが、
一見にして 酷い急勾配だ。

ハジメいわく。
本来の修行は 鎖なしの
ボルダリングで上がるらしい。

「Impossible !!です!!
My road!
chainを使いましょう!」

なるほど、chainを使えば
目の前の推定90代ladyも
climbingしているのだ、いける。

「ここは nice trainingになるぞ」

「NO!『ガンカケ』にtrainingは
要りません!と、しましょう!」

只でさえ、下から上がってきたのですとか、なんとか
文句を言う護衛を無視して、
ケイは
先に登った 90代ladyの所作を
真似して、

参道入り口にある、
金色の鐘を鳴らして、

「今カラ オ参リサセテモライ
マス。ヨロシク オ願イシマス!」
と挨拶をして、
鎖に手を掛けた。

鎖を持ちながら、
ほぼ垂直の岩場を見回すと、
足を掛けれそうな場所が
ちゃんとあった。

「これは、帰りのdown roadが
キツイversionだな。くっ、おい
下を一緒にgripすると、上がり
にくいぞ。Oh!揺らすな!」

いつもなら影で任務を遂行する
護衛が、今は 影も何もないと
一緒にクライミングする。

下から遍路の読経を読む列が
上がってくるのが見える。

噴火でできた高い山の断崖絶を
登る修験の場。

風に煽られ 天空に祈りの声も
昇る。

はじめの試練を登ると、
不動明王が置かれていた。

「So that you can climb safely」

ケイはその前で安全祈願をして、
さらに
並ぶ子育て地蔵の前を行く。

ここからが後半、
2つ目の岩場だ。
見上げれば
『いろはうた』なる石板が
横にある。

余りの勾配に、根を上げない様に
少しでも気を紛らせれる
配慮らしい。

それだけ、下から順当に上がれば
本殿の前に立ちはだかる
崖は絶望的になるだろう。

本来の修験は山の麓から
始まり、足で登るが、
今は金の鐘まで車で来れるのだ。

「本殿への道はここだけか。」

とはいえ、
勾配は相変わらずキツくても、
中央には鉄で出来た
手すりをつたって登れる。

例え寺の納品があっても、
ここから人力で上げる
スリル満点な岩場を
ケイは護衛と
黙々と 登り切った。

そこには 崖沿いに石橋や、
崖に石仏が添えられた
暗い洞窟の入り口がぽっかり
空いている。

ここをくぐり抜けて
行かなければならない
これが本殿の入り口だからだ。

洞窟に入ると 撫でる仏が
鎮座して、その下には
木をくりぬいた六角形の木枠が
入った穴
『くぐり岩』と入り口にあった
『幸せくぐり』と呼ばれる穴が
見えた。

「『タイナイメグリ』とか
ハジメが言っていた 穴だな。」

産道を意味するこの場所を
抜ければ「滅罪招善」である
とされ、
幸福な縁に結ばれる。

穢れを落とし、生まれ変わる。

厳しい試練の先にだけ
辿り着ける霊場の利益だ。

ケイが入ろうとすると、
電気のスイッチを見つけて
撫で仏を照らして 祈っていた
護衛が

「しかしMy road。我々の体では
穴につかえてしまいます。
Impossible です!NO attack!」

と慌てる。

「いや?ここまで来たらクグル。
つかえれば、引き出せ。行くぞ」

ケイは柔軟な体で、体躯良く
抜け出して、仏に合掌。
それから 護衛が肩を上手く
かわし抜けるのを
腕ごと 引き出した。

洞窟を出ると
標高の高い景色が
広がる景色とあわせて、
すぐ本殿に出た。

「My road!素晴らしいですな!
足場が狭いですが、自然と
恐怖より mother powerに
守られいるようでございます」

薄暗い本殿から 光る、
外の景色は
広い空と緑の山合間に
棚田の里。

抜けた洞窟と相まって
より鮮やかに焼付く。

瀬戸内の海も一望できる眺めは
清廉とした
空気で、仙人さえ感じる。

「Island protected by Godだ。」

自国とは違う風景は 雲の上だ。
ケイは 護衛と暫し楽しむ。
本殿には、
岩場をくり貫いた中に
仏が祀られて、
その横に目当ての
『願掛け指輪』が売られ

ケイは 蝋燭を供えて
祈る。

ずいぶん romantic prayer だ。

ケイは自分に苦笑して
ようやく ハジメに聞いた
評判の銀の指輪達と説明の前に
足を止めた。


右手の親指
不眠、心の安静。
人差し指ー学業、進歩栄達。
中指ー忍耐。苦しみに耐え抜く。
薬指ー厄除け。戒めで魔が退ける
小指ー健康運。病気災難断絶。

左手の親指ー智慧を得。
入学・入社運。
人差し指ー勝負運。力を得。
中指ー良縁。願いが叶い。
薬指ー商売運。財産を得。
小指ー開運。恵みを受。

ケイは当然 ククッと笑って
純銀の指輪を左手中指にはめる。

「Marriage hunterだからな。」

願いが叶えば
指輪は返しに来る。
本堂の外陣には
役目を果たした指輪が
山と積まれているのだから
効果は期待できそうだ。

住職が 2人に声を掛けてくる。
きっと外国からのゲストだと
会話で解ったのだろう、

この場所は
88箇所ある島遍路の 73番札。
72番の寺の奥の院になり、
次の74番には 歩き遍路なら
途中の子育て地蔵の場所の奥に
鐘楼堂があり、
その奥の 88石仏など
山仏や不動明像に
見守られる 道が
続いていると 教えてくれた。

「このprayer groundは ほんの
一分なのだな。オレは それを
切り取っただけのvisiterなのか」

住職に 護衛にスリンを吹かせても
いいと了解を得て、ケイは
スリンー竹笛の音を奉納する。

『シャクハチ』みたいな音色だと
いわれながら

神聖な寺院であり霊場。
祈りを捧げる厳粛な場所で
嵌めた 指輪を


ケイは 再び 目の前の
『氷の貴公子』に示して、

真っ白い歯をニカッと見せて
満面破顔した。

How did you come ! Dir レン!

「 It's late !マユ!
何時まで 付き合わせる!
お陰でmeet troubleだ」

しかも、やっぱりshopping mallを
見たいからescortに降りろだ?
guardしろ?サンザンだ。

「オレを誰と思ってる。
Never walk with me again!
ニモツモチサイテーだ! 」

Maikelにも、マユにもな!

ヒルズビレッジにある
オフィスタワーの
エントランスホールは
今だけ 一時的に開放されて、
ペットボトルシップの展示を
フリーで鑑賞できる。

今日の黄昏時は、
ぐっと 気温が下がっている。
その証拠に、ケイは
白の長袖トレーナーに、
濃紺Gパンで、左手中指に
リング 。

「Dir レンも、don't understand だ
ring story なんか楽しいのか?」


どこかの大学生達が、
ゼミで見学に来ていて、
あーだこーだ、
レポートを書いたり、
写真撮ったりしている。

ふとケイも 電話を鏡変わりに
映る自分の姿を確認する。

ぼさぼさ伸びっぱなし髪に
眼鏡をかけて、
冴えない感が満載で

「OK。Looks normal だな。」

エントランスで
騒ぐ 学生に 混じって、
待っていたいたケイは
丁度仕事を終えて出てきた
アサミを見つける。

「アサミ!お仕事お疲れ。
今日から、コンダクター
ヨロシクお願いする。楽しみだ」

学生達をかき分けて ケイが
スマイルで手を振りながら、
近づけば、アサミが

「じゃあ、クライアント様。
依頼の、最初は、Japan trip。
秋の催しに、ご案内します。」

硬めな 会釈をして、
ケイに
ヒルズヴィレッジから そう
遠くない場所を 示した。


『ヒャアアアアーーーーーン
ヒャアァアアアーーーーン フヨーォォォォォォオオオ』

秋の夜空に、
笙の音が響くと、満月が
一際冴えて見える。

「この国の Central government
近くに こんな Sanctuaryが、、」

高台にある社は、

もともと、
琵琶湖畔の霊山守護する
お山御神体の信仰。

明治天皇が、
東の都に 居住する際、
『王の城、皇居を中心とす首都』を守護する社とされた場所で
企業の信仰集める神社、
男坂や、千本鳥居。天井絵が
有名だが、

今日は
彩飾鮮やかな社は
ライトアップで、淡く灯され
ゲストを迎えていた。


仲秋の名月の下

いかにも 日本的な太鼓や、
管弦 菊の花や刀を使った
巫女舞が 厳か行われている。

『ヒャアアアアーーーーーン
ヒャアァアアアーーーーン フヨーォォォォォォオオオ』

巫女の舞方が、動から静へ
刀がぴたっと 重なり合う瞬間は
時間が止まれば

野外舞台の 幕間に 森の音。

「Jungleの音がしそうで、
Nostalgicさえ感じるな。」

雅楽の音色も、どこか
自国の音楽に近く感じてくる。

ケイは 途切れ途切れ 何かの
端々に、アサミの横顔を
盗み見た。

どちらにしても ティカが懐いた
眼鏡に地味な彼女。
に、見える。

明らかに 瞳の大きさを変える
コンタクトは、怪しい。

もっと違う表情が見れれば。

さっき 買った、
み垂らし月団子の先端を
ケイはアサミに
悪戯と口に入れて
食べさせる。

自国では 婚前はプラトニックが
前提。
一線を越えるどころか
キスも しないのが
良しとされるから
Say ahhnの行為はお手のものだ。

「!!!」

アサミの驚いた顔にケイは
成功したと
音なく笑って、
『シーッ』と指をたてるポーズを
とる。

上の一個を串ごと
アサミ口に入れたら、
残りを
ケイが横にな切るみたいに
自分の、口に、齧り
入れてて 満足げに笑う姿は

その実、捕食しようとする獣。

独占欲の強い国柄だ。
だから、相手への アピールは
厭わない。

「・・・・・」

ドギマギしつつ
口に入れられたモノを咀嚼して
アサミ が 再び野立舞台に
視線を戻すのを、
改めて ケイは笑顔で 見つめる。


舞台は
次第に盛り上がる 『冬明楽』
4人舞の鳥兜が 2対2、
完全に動きが リンク

まさに 神聖な山場を迎え

観客全員が 舞台に心を 奪われた
次の 瞬間、、

『ザーーーーーーーー』

五十鈴を鳴らして、、神風が
境内を 秋吹いてぇぇ

アサミと
観客の髪をぉぉ 乱す、、。

アサミの髪飾りが!! 弾けると
長い髪が 煽られて ブアーーー
広がってしまう。

?!!

そんなアサミの耳から首が
真横で見え、
ケイは 思わず髪を 押さえる
フリをして
アサミの 頭なぞる。

フワリと、リングをつけた手で
撫でた頭のラインと
顕になる耳首の形に

自分の身体の中から
籠る熱が動いて

10年前の彼女のラインと
重なった。

間違いない。

ケイは触る手から
温度を通じて
記憶の感触を 咀嚼する。
出来れば あの日と同じ様に
触れさえすれば。

『すぐにでも、ソコから
齧りつきたくなる衝動だ。』

ケイは 神風に 煽られる
アサミの髪が 揺れる
横顔に
固唾を飲んで
惹き込まれていた。


━住之江 繭子の青春日記より━


海と山見える都市に佇む
旧居留置街は
歴史的にも 異国情緒あふれる
坂道の街。

わたくし住之江 繭子が通います
学園は、幼小中高短が完全に
一貫しました子女学園で
ございまして、
その青春の時を
全てその場所で過ごしましたの。

わたくしが、
学生会の学年会長を
務めてまいりましたのは
やはり、財閥一族の娘だから
でございますわ。

その様に公の場を司る
責務は古き時より常ですもの。

首都圏では考えられない
山麓を取り込んだ 広い敷地。

17年も学友と共に成長します
学舎は、
同じ学年の皆様とは、
幼なじみ、姉妹と言って
差し支えございませんわね。
そう、
ソウルメイトになりましょう。

レンガが緑に映えるよう
建築家が設計した
スパニッシュミッションの
校舎に庭園、噴水は
文化財。

ああ。
外部入学もございますが、
クラスが別れておりますもの、
17年のヒエラルキーは
伊達でないモノになりますわ。
あら、ですけど
学年の家族意識が強いで
ございましょ?
イジメとか ちっぽけなマウントは
生まれませんのよ。

あまり知られてませんが
首都の高級住宅地のモデル
になった
モダニズム文化の地が
わたくし達の
母校の地域でございますの。
誰もが誇りを持ってますのよ。

もともと 家の立場が
ございますけど、
それが大前提のお話。

本当にどこを切り取っても
絵になるような
学園での日々。懐かしい。

学園にいる間は ソウル姉妹と
してシガラミに
囚われる事なく
娘時代を謳歌できますの。

ただ、例外というのは
ありますものね。

学園にも 密やかに
上下学年関係なく 憧れの
御姉様や、可愛らしい子は
ありますのよ。

わたくしの2つや
1つ上の学年には 『花さま』と
呼ばれる、素敵な方々が
いらっしゃいましたの。

その中で取り分け
人気あそばしたのが
『華ねえさま』ですわ。

まさに あの年は革命の時。

中学の外部入学で入っていらした
『西山 莇美 せいざん あざみ』様

お父様が不動産で頭角を
現され風靡を起こされましたわ。
言い方は好ましくございませんが
成金と仰いましたか?
よくその様な外部入学の方は
ございますの。

華ねえさまは、
凛々しくも スレンダーな
長身のお姿
男装の麗人のごとく。

釣り上がった瞳に
スッキリと高い小鼻が
普通の男子より
よっぽど 格好が宜しくて。

ジュニアのボールルームダンス
大会で優勝されるほど
ダイナミックなダンスを
舞踊されますの。

皆様たくさん コールで応援を
いたしましたものです。

もちろん 華ねえさまは、
レディパートですわ。
パートナーさまは
地域交流先の男子学生と
組んでいらしたの。

周辺大学様などにも
サークルで社交ダンス部も
あったりしますもの、
地域としましても、
小さい時から
お稽古されます習慣も
ございましたの。

でも
うふふ、
お相手の男子など
皆様目もくれなかったですのよ。
だって、普段は男装の麗人なのに
ダンスの時は
まるで 戦いの女神が降臨
されるんですもの。
全ての瞳が その舞踊に
釘付けですわ。

あら、それで思い出しましたわ。
忌々しい。

当時は盛んに海外交流が
ありまして、わたくしどもの
学園は、港都市にございます
でしょう?
ミッションスクールとしての
歴史も長く、語学も何ヵ国と
堪能な姉妹生も多いものですから

交流の受け入れもよく
してましたけれども。

あ、こちらがチャペルですわ。
礼拝の場所はよく
セレモニーに使いましたわ。

王族や、貴族といった
諸外国交流は、男女共に
受け入れがございましたの。

そして
こちらが講堂。

素敵でございましょ?
アーチ形の開口部に
ベルベットの幕で、
レトロモダンなステージが
印象的で わたくしも
大好きな場所でしたもの。

クリスマス礼拝などは
なんとも静謐ですわ。
学園にはツリーも飾りますし
正門にはイルミネーション、
このシャンデリアにも
柊の飾りがされますの。

あらあら、
お話が飛んしまいましたわ。

こちらをダンスホールに
デモンストレーションを
あの時も
行ったのですわ。

ええ、わたくしも踊れますわよ。
お恥ずかしくも
嗜み程度ですが。
まあ、本格的な社交ダンスでは
ごさいませんわよ。
短大には舞踊専科ございますし。

紳士淑女の舞踏会では
必要な礼儀でもありますから。

そうですわよ、
デモンストレーション交流で
ハプニングがございましたの。

もともと本格的ダンスの
交流は予定してましたわよ。
ですけど、あんなに
交流の、お相手が男子ばかりは
初めてで、それにお相手は
階級を、お持ちでしょ?

普段なら学年会委員が
パートナーをいたしますのを、
本格デモンストレーションに
なってしまいましたから、
華ねえさまに
姉学年会が
お願いを、してしまいましたの。

これが間違いでしたわ。
そもそも、何故
わたくし達『華親衛』にまず
話を通されなかったのか
理解に苦しみますわよ。

失礼。
わたくし 住之江 繭子は
西山 莇美こと 華ねえさまの
学園 ファンの会 の節度を
統率します 『華親衛』の
会頭ですのよ。

あの頃の
華ねえさまの人気は
凄まじく、学年代問わずの
嵐が如く。

華ねえさまの下足入れや
お荷物入れに、恋文が散乱
しましたのよ。
それが始まりでしたわ。
学内環境に影響が
出ましたので、仕方なく
恋文の窓口を
中学年会で設けましたら、
なんということでしょ!
下の、可愛らしい方は
小学園の5年子女から
上は短大1回姉子女と
文が入れられてますのよ。
本来は、
小中短は 敷地が異なりますし
関係敷地しか立ち入り
できませんのに!

あらあら、またお話が飛んで
しまいましたわね。

とにもかくにもですわ。

華ねえさまが、
海外交流王貴族の男子どもを
パートナーに
デモンストレーションダンスを
披露したのですわ。

それはもう、
皆様詰めかけて、
ご覧になられて 大変で。

その中ですわ!
あの腐れ王子が
あろうことか 華ねえさまの
ご神体を 不埒に触られたの
ですの!!

講堂のわたくしどもは、
それを見逃すはず
ございませんの!あのクソ王子!
天誅ですわ!!
わたくしたち女子を
なんとお考え?
よりにも 我等が華ねえさまに?

そう殺気立った時ですわ、
華ねえさまが、
実に鮮やかに 美しいおみ足の
高い高いピンヒールの
踵を 不埒な真似をした
パートナーのくず王子の足の甲に
思いっきり踏み下ろし抜き
ましたの!!

ざまーですわ!

ええ?
その後ですの?余り覚えて
おりませんわ。
だって講堂は お相手男子が
抗議に華ねえさまに
詰めよりましたから、
もうわたくしども姉妹生も
黙っていられず、
大乱闘になりましたもの。

おほほ、
わたくし達を 甘く見ないで
頂きたいわ。
やるときには、やりますのよ。
だって仕方ございません
ことよ。
あの中には、当時組長様される
子女もいらっしゃったの
ですもの。
楽しかったですわ、。

あらあら、いけない。

もちろん 後程正式に
華親衛の会頭として
バカ王子に抗議に参りましたわよ

そしたら、
あのタコ!華ねえさまに
直接謝罪するから
逢わせろとか 世迷い言を
いいましたから、
一昨日きやがれ セクハラ王子!
と追い出しましたのよ。

それが、何故
10年もの間、あんな
ストーカー王子と行動をともに
しているか?で
ごさいますか?

諸事情が ありますのよ。
それに、
まあ 何ですわね。
昔はですのよ、
あのヘンタイ王子が 身体が
スレンダーな頃は
華ねえさまの 身体つきと
少し似てらしたのよ。

だから、
華ねえさまが、お隠れなさって
麗しの姿が拝見できない
さみしさから、
交換条件で 手を組みましたの。

カイザー王子に、
華ねえさまのお姿に
なって、
舞踊していただくという
条件で、
華ねえさまの捜索を協力すると。

でも ここ何年かは
それは無しですわ。
王子の身体が どんどん
変わりましたもの。

まことに 残念ですわ。


『アサミ姫は、
件の イリュージョニストと、
一体、どういう 関係なのだ。』

次の日の午前中。

かかってきた、電話の向こう
から聞こえたのは、
不機嫌なさ
ダレンの声だったんだよね。

もしかして ダレンってさ
昨日ケイと出掛けたのも
知ってるわけ ?
怖いよ。え、違うみたい。


『別に、、ただ、 何処か観光。
見れる所、 紹介、頼まれた』

おずおずとさ、 答えておくけど。

ケイトウならまだしも
ダレンから わざわざ通話って。
最初、だれ?って
躊躇したんだよ、これでもさ。

『イリュージョニストから、
アサミ姫に伝言だ。約束の
ランチタイムマジックを 披露
してくれるそうだが?
どうやら、我々にも 礼がてら
同席の許可が出ている。』

ダレンってさ、こんな押しの強い
、、タイプなんだ

なんでケイは、ダレンに連絡
したんだろうって思うけど、
もともとはさ、ハジメさんから
窓口を受けて、なんだった。

忘れてたよ。

『とりあえず、ランチタイムで』

わたしはさ、早めに、
切り上げの言葉をダレンに
投げる事にしたらば。

『場所は、庭園茶室だ。』

端的に、カンって投げ返されて、
今に至るわけ。

↓↓↓↓↓↓

「アサミ!!マイガッ!これは
ミラージュ、Why??」

隣にいるはずの、
ケイトウの狼狽えが半端ないし、

「騒ぐなケイトウ。スモークだ」

そのまた 向こうにいる
ダレンの顔さえ、わからなく
なりつつある これって
スモーク!!

「ダレン!NO!
エマージェンシーレベルですわ」

ハハ、確かに、
茶室に入るなり、突然
かーなーり、濃い霧になって。

ここは本当に、お昼の 日本庭園
なのかってぐらいに、
隣のケイトウ達が
一瞬、見えなくなった。

前後不覚、視界不明瞭。
ドクドクと
心拍数が上がるのが 自分でも、
分かる中

ユラリと 濃霧の空間に、
いつくもの人影が
伸びれば、わたし達
3人を 人影が並んで取り囲んで
ギョッした。

視界が奪われると
鼻腔を くすぐる深い薫りが
より強くなる。

「白檀の薫り」

ダルンが 低く呟くと、

横笛の高く細い音色が
霧の中に 聞こえてきた。

パタタ

風が 扇がれて
空気に、道の流れが出来る
のが わかる。

フア~サ~ッ~

霧が 左右に別れ、空いた空間。
庭園に 『和笛』を吹きながら
すくッとたつ

黒のローブ姿のマジシャンが
シルエットから 現れた。

しかも、その
傍らには ギロチン台がある
のだから 三度 驚く。

「Uwu!?」

アサミの隣で、ケイトウが
体を強張らせて、おののいた。

ローブのマジシャンは、
横笛を、バトンのように

くるくると回しながらも
ギロチンの周りを
一周する。

そして?
空中から取り出した
一輪の『桔梗花』を スッと

銀光りする、ギロチンの歯に
当てた、れば
『桔梗花』の頭が、ポトリ
と落ちた。

霧めいたモノトーンの世界に
『桔梗花』の 鮮烈な青紫が
目に残る。

少しずつ辺りにまた、
霧が上り始め
ローブのマジシャンは
自分の首に
赤い布を巻き付けた。

静かに、屈んで
ギロチンの首置きに 自分の顔を
こちらに
向け 首から上を出すと、

横笛を奏でる。

間髪入れずに、 ギロチンの歯が
『ダン!!!』「ひっ」
と、落ちた。

ゆっくり 屈がめていた 体を
起こす動作。

もちろん、そこに頭はなく。
首の辺りに
巻かれた 赤い布より、
上には 空間がある。

マジシャンの頭は
首置きに乗ったまま。
頭と胴体が
切られ離れてしまってる。
そう、見えた。


首なしのローブ体が、
そこに 立ち上がる、異様な風景。
次第に、
グリーンのレーザー光線が
首なし体から
発光されて、さざめいた。

再び、首なし体が、
切られた マジシャンの頭に
持っていく。

グリーンの光が 更に放たれ
目がくらむ間に、
また濃い霧に覆われる。

笛の音色、霧の中から
聞こえてた。

『ブアッ!』

茶室に 爆風が吹き込むんだ!!
たちまち
濃霧とギロチンは 泡と消えて、
そこには、
『桔梗花』を胸にあて、
礼のポーズをする
ローブのマジシャンが
いた。

3人は 唖然としつつ、庭方向に
パ、ラ、パ、ラ
拍手を贈るしかない。

茶室に、足を踏み入れたとたん
どこか、陰陽師の作る
霧の空間で 幻を、
みているような 短い
イリュージョンだったのだ、、。

立ち込めていた
霧はもう、茶室からは
それは、きれいさっぱり
無くなっているけど、

とても、声を上げるところでは
ない 3人。

けれど 静寂を破って

茶室の戸が開く。

茶室を借りるオプションとして
お願いしていた、懐石弁当が
コンシェルジュから
運ばれたのだ。

呆然とする 3人の前に
お膳に 全て整えられた。
昼食が 四角く
4つ並べられて、きちり
急須の日本茶も セットされた。



「イリュージョニストは、
アサミ姫と 如何な関係か?」

綺麗に仕切られた
枡の弁当に
あしらいの 紅葉が
添えられてるのを
ケイトウが 喜んでいてたり、

「たまに、こんな
正統派、 お弁当、いいよね。」

と、アサミが ケイトウに
おしゃべりをしていた時、

出し抜けに ダレンが
向かいの ケイに聞いてくるのに、
ケイは お弁当を
口に運び
ツイッと応えた。

「アサミさん には、パーソナル
コンダクターをお願いしたのです
ダレンさんに話すべきでしか?」

それを、聞いた
アサミの 隣に正座する
ケイトウが 面白そうに

「Ohー 事件ですか?↑↑」と
アサミに小突いて 揶揄してくる。

「貴方は、どうも好きに
やり過ぎるようだ。皆、日常の
仕事があるのだから、普通に
然るべき会社にでも、頼まれる
が良いのではないだろうか?」

これは、
ものすごく 硬い拒絶を、ケイは
アサミでない 人物
ダレンから 手厳しくされた
ようなモノ。

そんな言い方をした ダレン
なのに、
ケイは 笑みを湛えつつ

「I see、however 初めて 会った
アサミさんに助けられました。
信用する人のリードを 希望する
のは、ダメでしたか。」

やっぱり綺麗に、お弁当を
食するダレンを
真っ直ぐ見据えて負けていない。

ケイの台詞を理解した
ダレンの
『そんな事があったのか?』と、
言わんばかり、
アサミへの視線が 痛すぎる。

「なるほど。其処まで仰有る
なら、ほんの8日9日程の滞在。
すぐ自国に戻るのだろうなら
口出しは止めましょう。」

ケイと ダレンは さ
それでも、向きあって
構えていたけど、

その後は終始よ
さっきのイリュージョンや
この日本庭園の
見所なんかをさ
口々に話して 普通だったから
ようやく、ホッとした。

んだったはずが。


「アサミが迷惑なら『ケイヤク』
無しにしても、いい。」

ケイは、食事を終えて、
ケイトウと ダレンが 茶室を
出た瞬間、
後に続いて 部屋を出ようとする
アサミの手を引いた。

ダレンの 言うことはさ、
全く 正しい。
9日もすれば、また日常なんだよ

わたしは、ケイと 手を繋いだ
ままで、

「『ケイヤク』した、から、
やります。
イリュージョニスト・ケイ。」

と応える。そうすれば

「アリガトウ。次は『オンセン』
に、行きたい。ヨロシク。」

良く聞くと、とんでもない
リクエストを 今度はされ。

わたしは、ケイから繋がれた 手を
ほどいた。