地下水道のクエストを終えて、町へ戻ってきたウード達。
まだ夕方に差し掛かったばかりなので、ギルドは冒険者達で賑わっている。
「おう、ウードのおっさん。もう帰って来たのか?流石に1日じゃ、見つけるのも大変か?」
「馬鹿おめー、あの養成学校の首席で卒業様がいるんだぞ?もう、倒して戻ってきたのかもしれねーじゃねーかっ、はっはっはっは!」
今日分の稼きを終えたのか、先輩冒険者である者達が酒を飲みつつウード達をからかう。
ただウードを馬鹿にしていると言うよりは、先輩冒険者として冒険者稼業はそんな易しいもんじゃねーだろ?という、意味を含めて言ってるみたいである。
その証拠に、「俺らも新人のころはよー」と昔話に華を咲かせている。
しかし、当の本人はというと。
「ああ、そうだな」
と軽い相槌を打つだけだった。
ウードは、『ええ、終わりましたよ』という意味で返したつもりだったが、反対の意味で捉えられたらしく『そうか、そうか。だが、そんなもんでめげるんじゃねーぞ!』とバンバン背中を叩かれた。
うん、流石熟練の冒険者達だよ。
叩かれた背中が結構痛い。
いくら脅威度Dの討伐対象とはいえ町の地下だったし、一日でクエストを終わらせて帰ってくるのが普通だと思っていたが、そう思っていないと思われる周りの反応に少し戸惑いを覚える俺達。
(あれ、1日で終わったのってかなり早かったのか?)
『まぁ、討伐対象が脅威度Dのジャイアントウーズだからな。新人冒険者なら、初見で倒せるなんて思わないんだろう。それよりも、さっさと報告をしたらどうだ?』
(そういうもんなのか。まぁ、俺以外の3人が周りの期待以上の能力を発揮したって事だな)
ウードが周りにバレないように、ヘルメスとこそこそと話をしていると、クレスが不思議そうに顔を覗き込んできた?
「どうしたの、お父さん?早く報告終わらせて帰ろうよ!早く湯あみして、この汚れを落としたいの」
「あ、クレス!どうせならうちに寄っていくといいわ。お風呂に一緒に入りましょうよ。うちなら一緒に入れるから」
「あ、ずるい!私も混ぜてよ!」
クレス達は下水も流れるあの地下水道でついた臭いを早く落としたいらしく、さっさと報告してきて欲しいみたいだ。
そのあと、どうなるかは想像もしていなかったが…。
「お帰りなさい、ウードさん。首尾はいかがですか?初めての本格的な依頼でしたし、大変だったでしょう。今日はどこまで潜れましたか?」
冒険者ギルドには、クエストの受発注をしてくれる受付嬢が必ずいる。
強者たちを相手にするだけあり、ちょっとやそっとじゃ表情を崩したりはしない。
そんな彼女の表情が、次の言葉で一変した。
「はい、いただいていた地図の通りに進んで対象を発見して、無事に討伐出来ましたよ。アドバイスもありがとうございました。いやー、助かりましたよ」
にこやかな笑顔で、そう報告すると一瞬固まり。
「なるほど、討伐出来たんですね~。って、ええええっ!!??あ、いやいや、冗談ですよねウードさん?もう、…一瞬信じちゃったじゃないですか。そういう冗談はダメですよ!」
もう、ウードさんはそういう悪ふざけしないと思ってたのに、と可愛く怒る受付嬢に、再度本当の事を告げる。
「え?いやいや、本当に討伐しましたよ。はい、これが素材と魔石です」
そう言って、あの半透明の膜とこぶし大の大きな魔石が入った荷物袋を渡す。
受付嬢は受け取るとすぐに中を確認し、それらをカウンターへ並べていった。
「…。あはは…、本当だー。本当にこれジャイアントウーズの素材と魔石ですね…。って、ええええええええええっ!!?脅威度Dですよ?!それをたった一日?しかも、皆さん全然怪我も装備の損傷もないじゃないですか!」
普段そんな大きな声を出さない受付嬢の声を聞いて、なんだんだと集まってくる冒険者達。
みな娯楽に飢えているので、こういう時はすぐに集まってくるんだな。
てか、俺の装備はほぼダメになったんだけどなぁ。
クレス達のは、綺麗なままだからそう見えるのか?
「ヒュウ~ッ!マジじゃねーか。あのデカ物を本当にやったのかよっ」
「おい、あの魔石の大きさ見ろよ。ジャイアントウーズの中でもかなりの大きさだぞ」
「たった一日で討伐!?マジかよ。マジであの嬢ちゃん達はすげーんだな。噂以上じゃないか?」
と、冒険者達が驚きの声をあげるのでカウンターがざわざわと騒がしくなってきた。
そして、皆の視線は受付嬢に集まっていた。
皆、『で、クエストは達成なのか?』と。
「あっ、はい!ウードさん達のパーティー。『ジャイアントウーズ討伐依頼』を無事達成です!!」
すると、周りの冒険者達から一斉に『おおおおおおおっ!!!』と歓声があがった。
そして、周りの冒険者達から賞賛の嵐が巻き起こる。
「ウードさん、あんたんところの娘はすげーじゃねーか!良かったな、これで誰もが認める冒険者だぞ!」
「ウードのおっさん、あんた頑張ったなー。また一つ、あんたの話がこの町に広がるぞ!『冒険者を諦めなかった男ウード』ってな!」
「マジかよ、俺達ですらあんなの倒せないぜ?!まさか、ウードのおっさん達に先をこされるとはなー!」
と、クレス達を褒める人半分、冒険者として成果を上げた俺を称えてくれた人半分という感じだ。
冒険者達に囲まれて、もみくちゃにされる(主に俺が)。
しかし、この町の冒険者はいいやつばっかりだな。
冒険者になったばかりの頃は、『ウードのおっさん、いい歳して無理するなよ?』と良く忠告されたが、どうやら本当に心配して言ってくれてたようだ。
言ってた冒険者本人が、いい笑顔で背中を叩いて称えてくれた。
いや嬉しいけど、それ本当に痛いからねっ!?
そんな冒険者達に俺は捕まってしまい、奢りだ飲めだの乾杯ラッシュに遭う。
酔っ払いのおっさん達に付き合って貰うわけにもいかないので、クレス達はマリアの家に言って貰う事にした。
「すまんなマリア。クレス達を頼むな」
「いえいえ、私もクレス達に来て欲しかったので気にしないでください。ウードさんは、私達の分まで皆さんからの洗礼をきっちり受けて来てくださいね!」
もう家には帰れそうにないので、俺は宿に泊まるとクレスにも伝えて、ギルドにいた冒険者達と酒場へ行く事になった。
「お父さん、…ほどほどにしてきてね?明日も、し・ご・と、あるからね?」
「はは、ははは…、わ、わかったよ」
若干、目が怖かったが、周りが奢るといって聞かないので仕方ないのだよ。
そう、これは不可抗力なんだ!
と、自分を誤魔化しつつ誘ってくれた冒険者達と酒場へと流れていった。
───
「ほんと、男の人ってお酒が好きなんだね。まぁ、今日くらいはいいけどね…」
「ふふふ、仕方ないわよ。あのウードさんだもの」
「そうそう、あのウードさんだもんな!」
マリアとレイラが湯船に浸かりつつ、にやにやしながら含みのある言い方をする。
髪を洗いながら、二人にそれってどういう意味って聞いた。
「前に言ったことがあるでしょう?ウードさんは冒険者を諦めたけど、努力したおかげでちゃんとした生活を送れているんだって話。それを、みんなが知っているって」
「うん、前に学校で教えてくれたよね」
「そうそう。だから、皆嬉しいんじゃないかな?ウードさんが、本当は冒険者を諦めていなくて、努力し続けてきたから、あの歳でも一人前の冒険者になる事が出来た事をね」
「ウードさんは、秀でた能力を授からなかったですが、不思議な魅力がありますから。実は、みんなウードさんの事を慕っているんですよ?」
レイラの話もそうだが、マリアの話はもっとびっくりだ。
お父さんって、みんなに慕われていたんだね。
確かに、町でお父さんを嫌っている人を見たことはないし、意外とみんなに声かけられるなとは思っていたけど。
「案外、あの蛇の神様もその不思議な魅力に引き寄せられたのかもね」
「あっ!それはありそうね」
「ああー、確かにそうかもね。お父さん動物には異様に好かれるから、案外あるかも」
女の子三人、お風呂に浸かりながらお父さんの事や自分達の事、そして今度のことから他愛のない事を話を咲かせていく。
私達は卒業後、久々に3人で夜遅くまで盛り上がるのだった。
──
その頃、ウードは数人からひたすら酒を注がれたせいで酔いつぶれていた。
普段はあまりお酒を飲まないせいもあり、酔うのが早いようだ。
『全く、明日二日酔いになっても我は治療などせんからな?』
「え~、つれない事いうなよ~。俺とお前の仲だろ~」
「がははははっ!蛇にまで話しかけるのかよ、ウードさん。かなり酔ってんな!」
「おー、その蛇をテイムしてからウードさんのクエストこなす回数増えたよな?なりは小さいけど、そいつはかなり優秀なやつなんだろう?」
「……」
「ありゃ、もう潰れてるぜ。あっはっはっは」
『全く。これでは大事な事が伝えれないではないか…。』
ヘルメスはジャイアントウーズから大量の魔力を吸収したことで、新しい能力(チカラ)に目覚めていた。
ヘルメスは元々様々な能力(チカラ)を持っていたが、長い年月を経て魔力を失いその大部分を失っている。
こうやって、魔力を集めれば再び元の能力(チカラ)を目覚めさせる事が出来るのかも知れないと一人思うのだった。
『まぁ、この話はいずれするとしよう。今回は、能力(チカラ)を取り戻せることが分かっただけでも大きな収穫であったな。しかし、神の贄に銀の娘か。なんとも、数奇な廻り合わせなことよ』
ヘルメスはそう呟きながら、酔いつぶれたウードの頭を小さな羽でペシペシと叩くのだった。
まだ夕方に差し掛かったばかりなので、ギルドは冒険者達で賑わっている。
「おう、ウードのおっさん。もう帰って来たのか?流石に1日じゃ、見つけるのも大変か?」
「馬鹿おめー、あの養成学校の首席で卒業様がいるんだぞ?もう、倒して戻ってきたのかもしれねーじゃねーかっ、はっはっはっは!」
今日分の稼きを終えたのか、先輩冒険者である者達が酒を飲みつつウード達をからかう。
ただウードを馬鹿にしていると言うよりは、先輩冒険者として冒険者稼業はそんな易しいもんじゃねーだろ?という、意味を含めて言ってるみたいである。
その証拠に、「俺らも新人のころはよー」と昔話に華を咲かせている。
しかし、当の本人はというと。
「ああ、そうだな」
と軽い相槌を打つだけだった。
ウードは、『ええ、終わりましたよ』という意味で返したつもりだったが、反対の意味で捉えられたらしく『そうか、そうか。だが、そんなもんでめげるんじゃねーぞ!』とバンバン背中を叩かれた。
うん、流石熟練の冒険者達だよ。
叩かれた背中が結構痛い。
いくら脅威度Dの討伐対象とはいえ町の地下だったし、一日でクエストを終わらせて帰ってくるのが普通だと思っていたが、そう思っていないと思われる周りの反応に少し戸惑いを覚える俺達。
(あれ、1日で終わったのってかなり早かったのか?)
『まぁ、討伐対象が脅威度Dのジャイアントウーズだからな。新人冒険者なら、初見で倒せるなんて思わないんだろう。それよりも、さっさと報告をしたらどうだ?』
(そういうもんなのか。まぁ、俺以外の3人が周りの期待以上の能力を発揮したって事だな)
ウードが周りにバレないように、ヘルメスとこそこそと話をしていると、クレスが不思議そうに顔を覗き込んできた?
「どうしたの、お父さん?早く報告終わらせて帰ろうよ!早く湯あみして、この汚れを落としたいの」
「あ、クレス!どうせならうちに寄っていくといいわ。お風呂に一緒に入りましょうよ。うちなら一緒に入れるから」
「あ、ずるい!私も混ぜてよ!」
クレス達は下水も流れるあの地下水道でついた臭いを早く落としたいらしく、さっさと報告してきて欲しいみたいだ。
そのあと、どうなるかは想像もしていなかったが…。
「お帰りなさい、ウードさん。首尾はいかがですか?初めての本格的な依頼でしたし、大変だったでしょう。今日はどこまで潜れましたか?」
冒険者ギルドには、クエストの受発注をしてくれる受付嬢が必ずいる。
強者たちを相手にするだけあり、ちょっとやそっとじゃ表情を崩したりはしない。
そんな彼女の表情が、次の言葉で一変した。
「はい、いただいていた地図の通りに進んで対象を発見して、無事に討伐出来ましたよ。アドバイスもありがとうございました。いやー、助かりましたよ」
にこやかな笑顔で、そう報告すると一瞬固まり。
「なるほど、討伐出来たんですね~。って、ええええっ!!??あ、いやいや、冗談ですよねウードさん?もう、…一瞬信じちゃったじゃないですか。そういう冗談はダメですよ!」
もう、ウードさんはそういう悪ふざけしないと思ってたのに、と可愛く怒る受付嬢に、再度本当の事を告げる。
「え?いやいや、本当に討伐しましたよ。はい、これが素材と魔石です」
そう言って、あの半透明の膜とこぶし大の大きな魔石が入った荷物袋を渡す。
受付嬢は受け取るとすぐに中を確認し、それらをカウンターへ並べていった。
「…。あはは…、本当だー。本当にこれジャイアントウーズの素材と魔石ですね…。って、ええええええええええっ!!?脅威度Dですよ?!それをたった一日?しかも、皆さん全然怪我も装備の損傷もないじゃないですか!」
普段そんな大きな声を出さない受付嬢の声を聞いて、なんだんだと集まってくる冒険者達。
みな娯楽に飢えているので、こういう時はすぐに集まってくるんだな。
てか、俺の装備はほぼダメになったんだけどなぁ。
クレス達のは、綺麗なままだからそう見えるのか?
「ヒュウ~ッ!マジじゃねーか。あのデカ物を本当にやったのかよっ」
「おい、あの魔石の大きさ見ろよ。ジャイアントウーズの中でもかなりの大きさだぞ」
「たった一日で討伐!?マジかよ。マジであの嬢ちゃん達はすげーんだな。噂以上じゃないか?」
と、冒険者達が驚きの声をあげるのでカウンターがざわざわと騒がしくなってきた。
そして、皆の視線は受付嬢に集まっていた。
皆、『で、クエストは達成なのか?』と。
「あっ、はい!ウードさん達のパーティー。『ジャイアントウーズ討伐依頼』を無事達成です!!」
すると、周りの冒険者達から一斉に『おおおおおおおっ!!!』と歓声があがった。
そして、周りの冒険者達から賞賛の嵐が巻き起こる。
「ウードさん、あんたんところの娘はすげーじゃねーか!良かったな、これで誰もが認める冒険者だぞ!」
「ウードのおっさん、あんた頑張ったなー。また一つ、あんたの話がこの町に広がるぞ!『冒険者を諦めなかった男ウード』ってな!」
「マジかよ、俺達ですらあんなの倒せないぜ?!まさか、ウードのおっさん達に先をこされるとはなー!」
と、クレス達を褒める人半分、冒険者として成果を上げた俺を称えてくれた人半分という感じだ。
冒険者達に囲まれて、もみくちゃにされる(主に俺が)。
しかし、この町の冒険者はいいやつばっかりだな。
冒険者になったばかりの頃は、『ウードのおっさん、いい歳して無理するなよ?』と良く忠告されたが、どうやら本当に心配して言ってくれてたようだ。
言ってた冒険者本人が、いい笑顔で背中を叩いて称えてくれた。
いや嬉しいけど、それ本当に痛いからねっ!?
そんな冒険者達に俺は捕まってしまい、奢りだ飲めだの乾杯ラッシュに遭う。
酔っ払いのおっさん達に付き合って貰うわけにもいかないので、クレス達はマリアの家に言って貰う事にした。
「すまんなマリア。クレス達を頼むな」
「いえいえ、私もクレス達に来て欲しかったので気にしないでください。ウードさんは、私達の分まで皆さんからの洗礼をきっちり受けて来てくださいね!」
もう家には帰れそうにないので、俺は宿に泊まるとクレスにも伝えて、ギルドにいた冒険者達と酒場へ行く事になった。
「お父さん、…ほどほどにしてきてね?明日も、し・ご・と、あるからね?」
「はは、ははは…、わ、わかったよ」
若干、目が怖かったが、周りが奢るといって聞かないので仕方ないのだよ。
そう、これは不可抗力なんだ!
と、自分を誤魔化しつつ誘ってくれた冒険者達と酒場へと流れていった。
───
「ほんと、男の人ってお酒が好きなんだね。まぁ、今日くらいはいいけどね…」
「ふふふ、仕方ないわよ。あのウードさんだもの」
「そうそう、あのウードさんだもんな!」
マリアとレイラが湯船に浸かりつつ、にやにやしながら含みのある言い方をする。
髪を洗いながら、二人にそれってどういう意味って聞いた。
「前に言ったことがあるでしょう?ウードさんは冒険者を諦めたけど、努力したおかげでちゃんとした生活を送れているんだって話。それを、みんなが知っているって」
「うん、前に学校で教えてくれたよね」
「そうそう。だから、皆嬉しいんじゃないかな?ウードさんが、本当は冒険者を諦めていなくて、努力し続けてきたから、あの歳でも一人前の冒険者になる事が出来た事をね」
「ウードさんは、秀でた能力を授からなかったですが、不思議な魅力がありますから。実は、みんなウードさんの事を慕っているんですよ?」
レイラの話もそうだが、マリアの話はもっとびっくりだ。
お父さんって、みんなに慕われていたんだね。
確かに、町でお父さんを嫌っている人を見たことはないし、意外とみんなに声かけられるなとは思っていたけど。
「案外、あの蛇の神様もその不思議な魅力に引き寄せられたのかもね」
「あっ!それはありそうね」
「ああー、確かにそうかもね。お父さん動物には異様に好かれるから、案外あるかも」
女の子三人、お風呂に浸かりながらお父さんの事や自分達の事、そして今度のことから他愛のない事を話を咲かせていく。
私達は卒業後、久々に3人で夜遅くまで盛り上がるのだった。
──
その頃、ウードは数人からひたすら酒を注がれたせいで酔いつぶれていた。
普段はあまりお酒を飲まないせいもあり、酔うのが早いようだ。
『全く、明日二日酔いになっても我は治療などせんからな?』
「え~、つれない事いうなよ~。俺とお前の仲だろ~」
「がははははっ!蛇にまで話しかけるのかよ、ウードさん。かなり酔ってんな!」
「おー、その蛇をテイムしてからウードさんのクエストこなす回数増えたよな?なりは小さいけど、そいつはかなり優秀なやつなんだろう?」
「……」
「ありゃ、もう潰れてるぜ。あっはっはっは」
『全く。これでは大事な事が伝えれないではないか…。』
ヘルメスはジャイアントウーズから大量の魔力を吸収したことで、新しい能力(チカラ)に目覚めていた。
ヘルメスは元々様々な能力(チカラ)を持っていたが、長い年月を経て魔力を失いその大部分を失っている。
こうやって、魔力を集めれば再び元の能力(チカラ)を目覚めさせる事が出来るのかも知れないと一人思うのだった。
『まぁ、この話はいずれするとしよう。今回は、能力(チカラ)を取り戻せることが分かっただけでも大きな収穫であったな。しかし、神の贄に銀の娘か。なんとも、数奇な廻り合わせなことよ』
ヘルメスはそう呟きながら、酔いつぶれたウードの頭を小さな羽でペシペシと叩くのだった。