ユキノジョウと、ユリヤは
船から落ちたものの、
すぐ浮き上がり、船に
戻ろうと 泳ぎ始めたところ、
今度は
母親達が、
勢いよく 飛び込んできて、
目を点にしていた。

そんな子供達を尻目に、
副女は、
ユキノジョウと ユリヤに、
浜に戻るように 言いつける。

先を 泳ぐ、副女に
ユキノジョウと ユリヤ。
そして、最後に 会計女と 続く。

海から 今生まれたように、
戻った4人は、
廃墟のビーチにセットしたモノを
片付けて、
ハジメから戻された
軽自動車に、水着のまま
タオルを巻いて 乗り込んだ。

その性急さに、
ユキノジョウと ユリヤは、
不測の事態が 起きた事を
予感する。

すぐに、
戻るのだ。
自分達の、
学校に。

それは、母親である 会計女も
感付いていると、
ユキノジョウは
後部座席から 伺い知る。
押し黙る車内。

軽自動車は、朝を過ごした
元は 乳児院のゲストハウスに、
アコを 迎えに戻り、
その足で、車をレンタルした
ガソリンスタンドへ行き、
さらに、
置いてた
電動レンタルサイクルに、
乗って、
港に来た。

それは、まるで
急ピッチで 行きの島での行動を
巻き戻したような
慌ただしさだった上に

ユキノジョウの予想の上を
行く事態だと
思わせたのは、
港に ハジメ達が
メガヨットで 待って
合流した事だった。

いかに、早く戻る事態かを
嫌でも感じる。
それでも、緊急災害ではない。
もし、そうなら、
すぐにでも
副女は、
子供達に伝える。

ならば、
大人の事情か、
規模は学校まで。


ハジメが 再び ユキノジョウ達を
船に迎え、
水着のままの4人に、
もう1度シャワーを促した。

先に、ユリヤとユキノジョウ。
その後に、会計女。
皆がシャワーをする間も、
副女は、
充電器を電話にさしたままに、
何軒も電話をかけている。

ハジメには、
子供達も 全員揃ったら、
状況を 話すと 約束をして。

慌てて、出向する船は
島を後に、一路神戸へ舵を切る。