地球中に一気に蔓延した、
新型ウイルスの脅威は
日本の神戸で
無事に稼働完成した
メガコンピューターの天文学的
データ計算によって 有効薬品を
算出され、
原材料となる 有役植物を
再構築し
治療薬と、体内排出薬を
生み出すことによって
終焉を迎えた。
人類は 今回も
地球上に存在する事を
許されたのだろう。
それは、とても些細な そして、
密度の高い波紋だった。
それは、1つではなく、
些細な1石が 波紋を重ねるように
1つが投じられる事で
必ず 次々も投じられる
些細で、重度ある
波紋。
私は、今の場所で 『監査女さん』と呼ばれる。
そして私は、彼女を『副女さん』
と呼ぶ。
宇宙中には無数の選択肢がある。
それは、
神様により造られた
慈悲プログラムなのだろう。
初めて 出会った 副女さんは、
斜め上 ばかり見る 私を
真っ直ぐに 正面から 見つめて、
『貴女いつも斜め上と話すよね』
直球に事実を 脳天に撃ち込んで
困った風に
彼女は 微笑んだ。
「私の事 誰かに聞いたんですか」
必ず用意されている、
網目の中に 組み込まれた
存続の
百千万億那由他阿僧祇劫%の
出会なのだろう。
私は しがない 能力者だ。
本来なら、
流派に属して 修行すべきだけど
この先も そのつもりは無い。
能力者の世界にも 派閥があり
宗教界にも 権威や大きさへの、
いや、やめよう。
『貴女、誰と話す時も、何か見る
時も、斜め上に視線あるから、
きっと、ここを見てないの
かもって、思っただけ。違う? 』
「気味が悪いって、言われるん
ですけど。私、見えるタイプ
なんですよ。 信じます?」
『見えるって、どこらへん?』
「!」
この一言は、正直驚いたかも。
目の前の彼女は、
きっちり
『チャンネルの概念』を
知ってる 人間で、
私は そんなタイプには
初めて 会ったからだった。
「副女さんって、凄い精神暗殺者
なんですね。今までの人が
まんま、
やり返して 来てますよ。」
その、相手の様子や 見かけを、
彼女に 伝えると、彼女の顔が
衝撃的に 強張ったのが わかった。
『あら、貴女、凄いわ。』
とても、冷静で 感嘆の声色で、
彼女は 私に 返事する。
私の見えるモノは
変則的だ。
子供の頃から 変わらない。
だから、本来は
能力の体系化をするべく、
修行が必要なのだろう。
けれど、人はとても
流されやすい
ほんの少し 自我が入れば
見える 世界が 影響される。
何かに 属するのは、
その 影響下に 入りやすい。
なら、属しないのが
1番 影響されずに 見える。
でも、
見える ことは、
大した事 じゃない。
聴く事の方が 遥かに 難解。
読み解く事。
聴く事が出来れば、
話せる。話せれる存在ならば
見える事の整合性が高くなる。
見える事は、
あまりにパズルなのだ。
『監査女さんって、総合委員女
さんの事、惹かれてるよね?』
彼女の誘いで、
見えるモノの組織ではない、
普通のPTA役員に入った。
彼女は、
好奇心や、損得ではない、
けれど 私の存在も 認める。
「総合委員女さんの、魂の
キラキラが尊くて、ボーッと
してしまうだけです。」
オーラ見える。
魂の色、見える。
前世、見えるけど
何回めのかは?
人や物、場所の念、見える。
アカシックレコード
わずか見える
未来、予言、断片たまに見える。
相手の行いの残像、見える。
幽体、生き霊、見える。
守護霊、先祖霊、見える。
悪魔、見える。
宇宙人、妖精、見える。
天使、1年に1回見えるかどうか。
仏様、神様、見たことない。
しがない者では、無理。
『大切な事 だって監査女さんが
思った事だけを、知らせてくれ
たら いいよ。
あとは、些細な話だ。』
最初に 副女さんが
私に 言ったルールだ。
この世界には、たくさんモノが
存在していて、私が見る日常は
密度が濃くて 思考が 困る。
どうして、
電車の 優先座席に、
宇宙の人が
某ファストファッションメーカー
のTシャツを 着て、
大手ハンバーガー店の 袋を、
匂い させながら
座ってる?
そのお金は?
水道料金とか 払って住んでる?
突っ込みたい 気持ちが 一杯で、
どうしても ガン見てると、
向こうも気が付いて、笑う?
副女さんに 大切だと思った事を
いつに 伝えたかは、
覚えていない。
見える時間軸が 多過ぎて
実際のカレンダーが
どうしても、疎かになる。
「副女さん、1ついいですか?」
今日も、
この居酒屋のレジには
『ちっさいおじさん』が
店のお酒を 飲みまくっている
のが、見える。
県P交流会は、
鼻血が また出そうだった。
見える残像がヒドイ。
不倫横行とか 体罰とか あと、
いや、やめよう。
そういや、あそこの体育館。
若い霊がいたけど、
あいつは 最低だな。
若い ミニスカ お母さんとか、
キモイ 目でみて、
スカート 覗くって!
しになさい!って、しんでるか!
何万回でも 逝きなさい!!
「とても、大事な話です。」
『じゃあ、個人としての会に』
副女さんの瞳が 光った。
そうして、
たまに、打ち上げで来る
居酒屋に、私は副女さんといる。
『ちっさいおっさん』がいる
飲食店は、美味しいから
間違いはない。
あれは、座敷わらしと妖精の
ハイブリッドだから。
「パーツでの自由選択肢です。
きっと、副女さんの意思が
尊重されます。ただし、これが
貴女の最後の 選択になります」
私は、
見える限りを、まんまに
彼女に 伝える。
パズルの断片では、
私にだって、何が いつ、
もしくは、
もう前世に 起きた事かも
しれない事。
わからない。わからない。
でも、伝える。
副女さん、とんでもない人だ。
私は、
ビールの泡が 弾ける音や、
焼き鳥の 甘しょっぱい
匂いがする
居酒屋の 青空席で 夕方の凪を
顔に受け止めながら、
宇宙中にちらばる
無数の選択肢の中から
神様により造られ、
掬い上げられた 釈迦の掌にある
マスターの慈悲プログラムだと
感じる 選択のビジョンを、
彼女に伝えた。
きっと、
これが 今世の 私の役目。
それは、とても些細な そして、
密度の高い波紋。
1つの 投石が
1つの 投石を救い
その 投石が 成される 事で、
大事な 投石が 成就する。
そして、水面自体が 存続
出来る。
世界は、私達しだい。
「そうかぁ。グリーンチャペル
では わからないはずたよねぇ。
もっと~、本質のところで
聞けば 良かったんだぁ~。」
ハジメは、
オープンカーを 走らせながら
1人ごちる。
キャンプに、
最近なら、グランピング。
ボーイスカウトなんかの
野外活動。
その概念は、開国後に
キリスト教によって
もたらされた文化。
英会話学校の 走りも
キリスト教による所が 発祥だ。
そして、 グリーンチャペル。
野外礼拝場。
そうかぁ。そうだったの~。
失念していたよん~。
真っ白い オープンカーの
ハンドルを握り、
ハジメは 思わず 苦笑する。
まだ 国内の移動が 緩和な時、
本土から 島に
ある 宗教者のもとへと
ミサに 参加していた
話のままなら
グリーンチャペルに参加していた と、 口伝される だろう。
けれど、戦後、その人が
荼毘に伏して
グリーンチャペルが
現行して いなければ、
もっと 別の 記憶文言に
変化している 可能性を、
考慮すべきだった。
記憶になるよう、
苛烈な 名称へと。
「こ~ゆ~のを、焼きが回るって
言うんだろうね~。やだやだ」
今と なれば、
昔の仕事の 癖。
今の仕事の 延長。
そこに 好奇心と
趣味心が 加わっての 偶然だ。
「だからと言ってぇ、見つけて
僕は どうするってわけじゃあ
ないんだよねん~。
埋蔵金でも ないからねぇ。」
ただ。
ただ、決して大きくない島なのに
あまりに、事象が 集まりすぎる。
「事象がぁ ブラックホールに
吸い寄せられ 集まる みたい
だよねぇ。
その先に、何が あるのか~?」
ただ、
ただ、生まれた疑問を 解いて
見たい。
今、
人口も 金融も、経済も
パワーバランスを 日本地図に
落としてみれば、
主要都市に 大きくマーキング
されるだろう。
悲しいかな、
ウイルス拡大地図でもだが。
それを、少し
要項を変えてみると、
その 場所が 変化する。
例えば、時間軸を変える。
とたんに、
地方に マーキングが変わる事が
多々あるのが 面白みとなり、
人は
歴史を 研究するのかもしれない。
金、人、税。
面白い事に 比例していない
矛盾が 地図にすると
明確になる 軸がある。
良いも悪いも 人の営みだと
それが ハジメに 警鐘を 鳴らす。
この嗅覚が、
前職では、大いに役立ち
今職では、
アイデアや 扉を開く鍵になる。
ある 要項に当てる。
とたんに、離島や島に移る
パワーバランス。
分かりやすいのは、人口密度。
今の東京なんて 及ばない
密度を叩き出す 島がある。
真っ白い オープンカーは、
港の 集落を ぬけて、
少し 山に 向かう。
「始めはぁ、研修レポートから
かなぁ。まだまだ駆け出しの
頃なら~、何年前かな~?」
この島には 昔から
島の 年予算を越える
石の産業があった。
それほど
資質の良い石材だったのだろう。
石職人の優秀さは、
城はもちろん、
国会議事堂をも 作った事から
理解できる。
「ほらぁ~、この時点で
国レベルで 渡りあう軸がある
んだよねぇ。 あれ、確か1回
首都が 広島に移った時も、
議事堂も 広島に移ってるかぁ。
きっと『議院石』の石工でも
仕事してるよねん。明治天皇も
広島に 移ってるから~。」
ああ、本当にねぇ。
土木事業っていうのはぁ、利権も
いいところだよ~。
それが 面白そうで、
着眼したわけ だけどねぇん。
あの頃は 若かったなあ~。
今もだけどぉ。
ハジメは、ちらりと
ハンドフリーに セットした
電話の案内書を 確認する。
「迷いそうにない~ 1本道だよ」
そんな島に 戦時中1人の思想犯
として、宗教家が 閉込められた。
「不思議だよね、巣鴨プリズンが
あった場所と同じ漢字なのはぁ」
本土決戦の際に、
世界に 名の通った その人。
交渉戦略に
差し出す計画さえも あった人物。
大正の時代を代表する
ベストセラー本を 出し、
ノーベル文学賞候補や
ノーベル平和賞候補に なった
人物でも ある。
伝説や 批判も多く 真の姿は
今となれば 計る事は、
ハジメにも できない。
それでも、
時代の渦を 造るような モノを
この島は 引き寄せるのは
結果に 明らか。
かつて、思想犯と呼ばれた
『世界の三賢人』を 引き寄せ、
『未曾有の産廃』を
呼び込んだ 宿命の島。
「さらに 呼び寄せるは、
『不死身の長官』と『平成の鬼平
弁護士』 なんだよねん」
世界的にも 罪悪となった
産廃事件の訴訟は、
1人の産廃業者のみならず、
認可した 県をも相手となり
泥試合になる。
それを 他県である
兵庫県警本部が 詐欺まがい
産廃の不法投棄容疑で 業者を
摘発したのだ。
青天の霹靂だった。
そこから、事態は
大きく 動いた。
担当官は、
後に 警察庁長官に まで なり、
カルト教団に 狙撃される人物だ。
「地方警察に いても~敏腕は、
敏腕 だったんだよねん。
でもぉ、
当たらないで有名なパイソンで
3発当てるスナイパーも すごいけ
どぉ、3発受けて 生きてるとか
不死身さ すごいんだけどぉ。」
あわせて、
『平成の鬼平弁護士』と呼ばれた
人物が弁護をすることになり
『豊島事件』は
ようやく 潮目が変わった。
取り調べで、
産廃者は、服役 経験があり、
刑務所の 囚人に、
産廃のカラクリを 教えられたと
供述している。
産廃犯罪の メソッドだ。
若き日のハジメの
好奇心は、闇と背中合わせの
スラムだった地域に
無邪気な 足を 運ばせた。
「そこで 耳にしたのがぁ、
スラムで無縁仏の火葬をする~
賢人の話だったんだよねん。」
ゴミを 焼いて
黒煙を あげる島には、
慈悲の 火葬をする
『切り札』という名の贄 がいた。
これを
神は 何と 見ていたのだろうか?
かくして、
ハジメは 世の陰と光を 1つに
集めた 島に興味を持つように
なった。
白いオープンカーは、
街では 想像がつかない
小さく 黒い家の 前に着く。
そこには、
夕方のミサと、
カフェを していると 書いた
手書きの 黒板が ポツリとある。
「さてぇ、何の お土産を持って
帰ることが~出来るかなん~」
ハジメは、
開けられた、建物の入り口を
くぐる。
主よ、
私に とっては 未だ 懐かしくも
苦い 思い出なのです。
あの
浸したパンを 渡された瞬間。
ああ、そうなのか とだけ
胸に 飛来した 感情は
未だ名前が わかりません。
それは
どんなに 生まれても
忘れられない でしょう。
『シオンの丘の上の階』
夕食の場で、
主は、
使徒の 1人が 裏切る事を
告げ、
主の 苦難に ここにいる使徒は
この後 逃げ去ると
突然 予言した。
弟子使徒達が
騒然となる中、
主は
ただ
祈りを 捧げ、
これから 示す
新しい 契約を
覚えている ようにと
パンを「自分の聖体」、
葡萄酒を「自分の聖血」として
12の使徒達に与えた。
それは、
全人類の 依代となりし
主の 受難と、
肉と血を いかに
与えられたかを
決して 忘却無きよう との事。
そして
浸したパンを 渡した。
このモノが 裏切り者と。
夕食の後、
主は、
その身に これから起きる 光景を
脳内に 見据え
「身を低くされた神」を歌う。
何も 知らぬ 弟子使徒達に
この 深淵なる 教えを
食べながらにして、
歩きながらにして
一挙手一投足 最後まで 大事なる
教えを 捧げながら。
オリーブ山の 麓
断罪舞台となる
『ゲッセマネ』に 主は向かった。
前日の
晩餐は
絵画にまでなって 残る。
が、
その後の 事は
あまり 知られないのでは
ないだろうか。
『機密制定の 晩餐』の後
待ち 受ける のは
『断罪捕縛』の接吻 であります。
主は
『ゲッセマネ』に来て、
弟子使徒達に
「我 祈る間、座っていなさい。
我が魂。死ぬ程の深悲である。
故に 留まり、見張りなさい。」
と告げ、地面に 伏して 祈る。
「全能で あられる 神よ、
この杯を
我より除き たまえ。
我の 望む事では なく、
神の 望む事を。」
では、
『この杯』とは 如何に?
それは、別して
無残な死を 味わうという 杯。
心に
陰謀、悪意、横暴、怒り、蔑み、罵り、拒絶、欺き、偽善、邪悪、
体に
打撲、裂傷、刺傷、貫通、破裂
悪しきモノ 全てを受ける。
濃く 凝縮された 受難の 器。杯。
それは、総じては
神の怒りの杯 でもある。
神の
『罪』に 対する 『怒り』を、
人の罪を、
主の体を 依代にして
贄とし
裁きを 受ける 器。杯。
故に
想像を絶する
真の死の恐怖に
主は苦しみ 悶えた。
神に
存在として 造られた者が、
一切の 存在を
断絶される、獄を受ける苦しみ。
これが
十字架刑。
主を
この後 襲うは、 尋常でない事象。
それを
身に受入れる、 孤独な戦いを
主は、理解し 強いられた のだ。
いわんや 試練いか程か?
答えて曰く
天から使いが現われ、
主を 彼を勇めるが 程に。
故に
主は、熱烈に 祈るのみ。
苦しみは
毛穴からの 汗が 大粒の 血となり
地面が ぽつり染まる。
弟子使徒達は、
理解できず 浮かれ 故に
見張りを 頼まれたに 関わらず
眠いり、
主に 叱責を 3度される。
以下の様に。
「誘惑に
陥らなきよう、祈りたまえ。」
「見張り、
祈りたまえ。肉体は 弱い。」
しかし、使徒達の眼は 開かれぬ。
「ならば 眠り、休みたまえ。
時は来た。
見よ、人の子は 罪人の手に
売られる。立ちて 行こう。
見よ、我を売る者、近づけり」
刹那
捕縛の兵が 入り乱れ
逃げ惑う、弟子使徒達の 乱闘。
それを 制して
主は 進んで
その体を 兵に 示した。
裏切りモノの
接吻を、進んで 受け入れた のだ。
主の 天への 叫び。
「今、我が魂 騒ぐ!この為に
我は至った!
神よ、名の 栄光の 掲示を!」
すると
天は呼応し、
「その 栄光を 現わし。
再び 栄光を 現さん!」雷鳴す。
主、
「この 神の声、我でなく
人類が為に来た! 今こそ、
裁きの時!
世の 支配者は
投げ 出されよう。
我が 世から
挙げられるなら、
全ての 人を
我へ 引き 寄せるだろう!」
死の形で 持っての 宣言。
「神よ、 我が願い では
無く、 御心のままに」
続き 主は
敢然と 死へ 向うが 為に
神に 身を 委ね 受けた。
「もしできるならば」との
主の祈りに、
答えは 無言。
無言と 言う 祈りの答である。
そして、その祈りは 突き抜けた。
主は、弱く、汚れて、無力、恥
に見えるだろうが、それでも
人類の 身代わりと
なされた 器、モノ。
敵を 打ち砕く勝利が、
『ゲッセマネ』の祈りにて
与えられた のだ。
晩餐の場に おいて
ゲッセマネで、
起こる未来を 知るは どれ程
いたか?
それは、
主と 裏切り者
光と闇の
2人 であった。
私は 言いたい。
主よ、
この世に、肉と血を
与えられ 生まれ、
心を尽くして、感謝します。
例え
生まれないほうが、よかった程の
罪のモノであったとしても。
そして、今世紀
主と共に また、あらん事に。
主が、
血の汗を 流し 祈りを 捧げ
裏切りの 接吻を 受ける 中
兵に 捉えられた 場所が
『ゲッセマネ』であり、
世界で 今も ベストセラーで
あり 続ける 本の名は、
『聖書』である。という話。
さあ、ハレルヤ。
レモンのホテルで、
母親達の ボランティアが
終わって、
ハジメも
ユキノジョウ達が、わたした
チラシの場所に
あの オープンカーで
行ってしまった。
「副女さん、今日はもう 宿に
向かうので いいのー?」
ユキノジョウの母親が、
副女さんに 声をかけて、
全員で とめている、
電動自転車を 取りにいく。
「そうだね。まだ 明るいうちに、
宿に行った方が いいからね。
みんな、疲れてる だろうけど、
頑張って 自転車、漕いでね。」
そういう、
副女さんの 後ろを、
ユキノジョウ達は、自転車で
追いかけた。
てか、やっぱ 気まじー。
ユキノジョウは、副女さんの後を
走る、ユリヤを こぎながら
見る。
チラシん時は、ユリヤから
声かけてくれたけど、、、
その後、やっぱ さけてる。
ユリヤの後ろを アコが走り、
1番後ろが、ユキノジョウだ。
いつもなら、
アコが 間に 入らない。
立つ時も、並ぶ時も
ユキノジョウと ユリヤは
となりどうしが、当たり前。
今は、なぜが
アコ1人分を はなれてしまう 。
「・・・・」
宿、とまる 間、オレ、
どーしよう。
仲直り 、できるのか、、、
とにかく、
行きに 電動自転車で 通った道を
もどる。
棚の 田んぼとか、黒い家、
うすい 夕方の色になる 海。
ひたすら、
おいてけぼりに、ならないよう
のびてく、影を おいかけて、
電動自転車を こいだ。
来たときに、
副女さんが 『今日の泊まるとこ』
って、いってた
学校みたいな たてものが
池の 向こうに
見えた。
緑の山が 後ろに あって、
小学校の校しゃ みたいな 感じだ。
知ってる、
ドラマとかの ロケしそうな
感じって、こんなとこだろ?
「お疲れ。みんな 自転車、駐輪に
置いて、奥の建物に行くよ。」
副女さんは、
手前の いかにも学校じゃなくて、
その奥の 2階?の たてものに
歩いて 上がる。
料理してる、においがして、
ユキノジョウは なんだか、
おなかが、すいた。
にしても、ここ。
けっこう 古いんじゃないか?
それを DIYしてて、古いのに
カワイイような 感じに してた。
『ここはね、キリスト教団が
もっていた 乳児院を
みんなで リフォームした
ゲストハウスです。』
チェックインをすると、
スタッフの人が、
子どもたちや、保育士さんの
写真を 見せて
教えてくれた。
こーゆ時も、
いつもなら、となりは ユリヤ
なのに、
今は アコが はさまってる。
『元が 乳児院が ゲストハウス
なんて、全国でも ないでしょ』
スタッフさんが、
ていねに、ユキノジョウ達に
教えてくれたのは、
戦争がおわってから70年間、
3000人ぐらいの 育てられない
赤ちゃんを 受け入れてきた話だ。
この島は、
戦争で 大変な 時でも、
牛が たくさんいたから、ミルクを
手に入れられたとも、聞いた。
『キリスト宣教の人物が 精力的に
福祉に 取り組まれたので、
乳幼児だけでなく、
障害者さんの更正施設や、
特別養老院も、早くにあったの』
今は、たてものが 古くなったので
赤ちゃんの預かるのは、島から
引っ越したけど、
たまに
ここで 育った子どもが、
里親さんと やって来たり、
はたらいてた、保育士さんが
今でも 来るって。
『ここの、大浴場は、日帰りに
開放もしてて、懐かしくて、
皆入りに くるんですよ。
もとは、赤ちゃんのお昼寝する
サンルームだったから。』
ユキノジョウ達は、
そんな スタッフさんの
話を 聞いて、
すっかり、そのお風呂が
楽しみになっていた。
見たら、
カフェやバーもかねてる
ダイニングの 食堂は
レモンとか みかんのビンが
あって、
スコーンが 黒板のメニューに
書いてる。
『空海』って名前の
あれは、お酒だな、きっと。
折り紙の かざりが
カラフルで、ようちえん
みたいな 食堂には
島の人っぽい お客さんが
おじさん、おばさん、
若い人?
けっこーいてて、
その 子どもとかが、
キャーキャーって、
走りまわって 遊んでたり、
ゲームしたり、絵本を見てた。
アコは、ちゃっかり、
オセロしてる子どもん とこを
見てた。
すげーな。なんか。
『島の行事とかあると、打ち上げ
とか、家族で お風呂に 来たり
してくれるんで、助かります』
2階に上がる 階段にも
子どもが すわってるぞ。
そのまま、
部屋に 連れてくれる。
果物の名前が ついた、ドアが
並んだ 2階のろうかが あって
学校のいす とか、
まんまだ。
ここにきて、
スタッフさんが、
『男女で、部屋が別れるけど、』
どうします?と、副女さんに
聞いてきた。
あ!!
ユキノジョウは、副女さんが
スタッフさんに、答える前に、
「オレ、男だから、1人でも
部屋 別で いけるから!!」
って、さけんだ。
ユリヤとも 気まずいし、
行きの 船ん時 みたいなのも
たまん ねーんだよ!
「でも、ユキノジョウ、1人で
男部屋だよー。大丈夫なの?」
母親は、なんか
そんな事を いってきたけど、
オレは、
だんこ キョヒ。
ガッて、
荷物つかんで 1人だけで、
男の部屋に 入ってやる。
そんな荷物とか ないけど、
とにかく 荷物を 部屋ん すみに
投げて、
下の 食堂に おりる。
島で とれたモノで
ご飯が つくられて
いるって
スタッフさんが
ジマンしてた夕飯を
食べる ために。
船で、
このクルーズギャラリーの
留守を護る、
ヨミと シオンは
明日の 石工房体験を 案内して、
ゲスト達を 無事に
今日の 宿泊先へ 送った。
そして、
オーナーのハジメは
まだ 戻って
来ていない。
「先輩ー!どうします?
キャプテンは さっき お風呂から
戻って来られましたよー。」
次は、
留守番の 自分達も
食事を 済ませて、
バスタイムに しなくては
いけない。
「先に、ご飯と お風呂いっちゃ
っていいんじゃないですー?」
少し 船室で 休んだ事で、
気分を持ち直した、
シオン。
船には、船室が3つあり、
ヨミと シオンは 相部屋だ。
全快して すぐに
ゲストの 対応を 始めた
シオンは、ヨミと共に、
ゲストを 送り出し、
今 ジャグジー テラスから
叫んでいる。
それを聞いて、
サロンの片付けをした ヨミが
返事をかえす。
夕方の潮風は、少し 冷えてきた。
ジャグジー テラスが ある
この フロアは、
半分 、開口している。
「仕方ないわよね。海から見えた
レストランに、連絡するわ。」
ヨミが、電話をかける間に、
シオンの方も ハジメに
先に 自分達の予定を
進める事を 電話に 送る。
ギャラリーオーナーである
ハジメは 割りと自由に仕事を
するタイプだが、
今回は 珍しく、 ヨミやシオンに
預けていくのが 多い気がした。
「それにしても、今回はさすがに
海外ゲストが 多いですねー。
こんなに、日本の芸術祭 が
海外で知られてるのは、
意外でしたよー。」
シオンは、『キャプテン』と呼ぶ
クルーザー運転手に、
声をかけて、ヨミと ステップに
降りる。
「そうよね。あのゲスト様は、
なんでも、有名アーティストの
心臓の音が聞けるからって、
わざわざ、芸術祭をしている
この島に 来たって言ってたし。
海外で 紹介が ずいぶん
されてる 証拠ね。」
それに してもと、
シオンは ステップから、
自分達が 乗るクルーザーサイドを
改めて 見る。
サイドボディの ライトが点いて
夕方の海を 明るく照らす 姿。
ここが
瀬戸内海だと 忘れそうになる。
「海外で収録した 心臓の音を、
聞く為に 日本に来るなんて
本当に セレブですよ。」
まあ、自分達も セレブ社かあー。
シオンは、デッキから
手を 振る お爺様なキャプテンに、
手を 振り返した。
港に 停泊していると、
珍しさで、人が集まってくる。
前の島でも、そうだった。。
「本当に。まあ、お陰様で
私たちも、船で旅行とか、
美味しい 地元食材の お料理が
食べれるわけよ。後輩ちゃん」
とくに、
この船は、クルーザーというより
『メガヨット』の分類で
深水に柔軟な 珍しい形だ。
もとは 性能のいい 日本の 漁船を
海外企業が、リメイクして
最近は よく逆輸入されていると、
教えられて 驚いた。
さすが、
オーダーメイドで 船を
デザインする ような国だと
昨日、初乗りした時は 発想に
シオンも 弱冠 呆れた。
なにより
操縦している
お爺様な キャプテンも、
もとは 漁師という。
それは、色々聞けて 良かった。
漁船の 操縦機関部は
そのままなので、
よく知る
日本沿岸部の 海域を
お爺様 キャプテンは
自由に 散歩してくれる。
もと 漁師は 頼りになる。
「しかし、オーナーは、よく
こんな船のツテ ありますね。」
今さらながら、
自分の 上司の 有能 さに
脱帽だ。
「オーナーが 言うには、もっと
大きな『スーパーメガヨット』に
なると、ヘリポートも、オーダー
オプション出来るそうよ。」
いや、それヨットなんですか?
シオンは、ヨミにつっこんで、
桟橋に出る。
船底 付近にある方の デッキは、
本来 ジェットスキーや、
テンダーボートを 搭載できる。
なのに なぜか、
ハジメは、
オープンカーを 載せてきた。
「オーナー、あのオープンカーで
いったい どこまで 行ってるん
ですかねー。帰えりもなし?」
船には、シャワーも
設備されているが、どうしても
共有になり、広くは ない。
船で 夜に 停泊する 島には、
なるべく 日帰り入浴がある 島を
ハジメは 選んでいた。
漁師が 多い 島は、
意外に 貰い湯ぐらいの
銭湯が あったりすると、
この旅で わかった。
最近まで 五右衛門風呂が
多かったともいう。
少ない湯船で 肩までつかれる
五右衛門風呂は、
水が 限られる 島では
重宝される のだとか。
その点
この島は 水を含む『豊島石』の
性質で、自然雨を 貯めやすく、
地中の石を 天然のろ過装置に
ミネラルの 多い
不純物を 取り除いて
清水を 湧かせる。
瀬戸内海の島には
珍しく、棚田や 溜池が多く
豊かな 植物地帯もある。
江戸時代 林業が
盛んだったのは 驚異だ。
西日本でも 屈指の材木商が
拠点し、その栄華は
樹齢 600年のソテツを
当時の 琉球から
島に 運んだ というほどに。
『海の道』
島は 船への積込がしやすく
帆船技術の いかんで
海を
縦横無尽に 走ったのだろう
島の材木 販売範囲の広さが
これでも わかる。
「ほっときましょ。
ディナーをしたら、ゆっくり
大きな お風呂が あるところで、
羽を 伸ばしたい わよね。」
さすがに、途中まで 1人で
ゲストの 対応したせいか、
ヨミは グリグリっと
首を回して、
ささやかな 願望を 口にする。
「先輩、明日は 朝から ゲストを
石の工房に 案内 ですよね。
その前に、1度 あの 石の浜に
降りても いいですかー?」
シオンは、
かつて 石職人の小屋が並んだ浜に
降りて みたいと 言う。
「まあね、レストランから
見た時、なんだか独特の 風景は
興味あった けど。そんなに?」
浜には、
昔に
石工職人が 残した 石や、
加工品が
そのまんま ゴロゴロと
取り残されて
波に 洗われて いたのだった。
ミネラル多く 栄養ある 水が
島から 海に流れて
『ママカリ』が沢山
捕れる 豊かな島、
自給自足のシステムが
あった 島の 別の顔。
「古代人の 貝塚があって、石工
職人が放置した 石があるって、
やっぱり 見ておきたいじゃない
ですか! なんか 手頃なヤツ !
遺構的な お土産がわりに!
あと、キャプテンに ビール
差し入れしましょ!空海!」
電気自動車は、レンタルに
全部 出払っていたので、
電動自転車を 借りる シオンに、
あら、シーガラスならぬ
シーストーンな モノを拾うのねと、言い
「後輩ちゃん、飲酒操船は
取り締まり 対象だから ダメよ」
ヨミが 残念そうなモノを
みる顔で 伝つつ
自分も シーストーン探しを
密かに 楽しみにする。
『この島』で 『拾う』 それは
とても
極上の 『お土産』になりそうだ。
『カラ。』
まだ 外は 明るく 男大浴場の
着がえの部屋は、
ユキノジョウと、おじさん
1人しか いなかった。
けれど、
入り口が 開く 音と
「あれぇ。もしかして、白鷺くん
じゃないのん?
さっきはぁ ありがとうねぇ~」
チャラい 声がして、見たら
白のスーツの タレ目 男。
白しけメンの、『ハジメさん』が
ノレンの前に 立ってた。
「おじさん。なんで、
なんで、ついてくんの?」
ユキノジョウは、服を
とっとと、ぬいで タオルを
肩に ひっかけた。
「白鷺くん!おじさんじゃない!
もう~、さっきまでぇ、
ハジメさんって 呼んでくれてた
よねぇ?!わざとだよねぇ?!」
ドカドカと ユキノジョウの前に
「たまたま、だよん~。もう!」
て、
ハジメは やって来て、
うでを 組んで ニラんできた。
けど、
目線を 下にすると、
「白鷺くん、毛 はえてるんだぁ」
とかを、ニヤリとして
言いやがる!!
しかえしかよ!
「『ハジメさん』
そーゆーの、 セクハラだろ!
思春期だし、やめろよな!」
そう 言って、
肩のタオルを ふりまわして
ポフポフ
ハジメの顔を たたいた。
タオルだし、イリョクゼロだ。
「わっ!!ごめん~。ふざけすぎ
たよん。ごめんごめん~。」
ハジメは、
それでも 半分 笑いながら
白のスーツを ぬぎ 始める。
それを、おかまいなしに
ユキノジョウは 風呂の ドアを
開けて 先に入った。
「わ。」
目の前に
天井から 光がそそぐ 大浴場に
ユキノジョウは、声をだす。
コンクリートのまんまの
中に、木のにおいが して、つい
しんこきゅう する。
湯気が 体いっぱいに なった。
「白鷺くん~、待ってぇ。あれん
すごく 明るいって 思ったら~
天井が ガラス張りなんだぁ。
サンルーム みたいだねぇん。」
入り口で、立ちっぱなしだった
ユキノジョウに、追いついて
ハジメも 入って、
中の 明るさに おどろいてる。
「もともと、赤ちゃんの お昼ね
部屋だったって、ここの人が
言ってた。赤ちゃん、育てる
所だったん だって。」
ユキノジョウは、
オケを 手に取って 洗い場に
すわって、聞いた話を する。
ハジメは、
「そうなんだぁ、、、乳児院って
聞いてたけどねぇ。明るい。」
天井のガラスから、おりてくる
光を まぶしそうにして、
ハジメも、ユキノジョウの
となりに すわって、
オケに お湯を 入れた。
洗う 所には、ちゃんと 鏡が
あって、ユキノジョウが
鏡ごしに ハジメを 見て思った。
やっぱ、頭1個よりも ずーっと、
オレの背が ひくいよなあ。
この人も、あんま 高くないのに。
学年変わるまで、
ガンガン 背がのびねーかなー
と、ユキノジョウは
シャンプーのポンプを
おした。
シャワーを 2人が 出して、
ガシガシと 頭を あらう。
「白鷺くん達はぁ、もう ご飯
食べたのん?もしかしてぇ、
ここに今日~泊まるのぉ~。」
ハジメが シャンプーをしてる。
ユキノジョウは、
「そうですよ。ここでとまり。
ご飯も、さっき ここで食べた」
自分も シャンプーを流して、
この人、洗う順番、オレと
おんなじ 人だー。
と、目を細めて、
コンディショナーの、ポンプを
おす。
そこで、思い出して
「あ!ケーキ!あった?」
レモンのホテルで、教えた
教会のカフェを 聞いた。
「あったぁ、あったよん~。
ホント、助かったぁ。先に、
ケーキは、お留守番の子達に、
置いてきてぇ、
お風呂に来たんだよねぇ。」
簡単に
体も、洗いおわった 2人は、
さっそく
木のにおいが する、
湯船に むかう。
さきに、お風呂に 来ていた、
島のおじさん だと思う 人が、
お湯に 気持ちよさそうに、つかる
「これかあ~、いい香り
するのはぁ、入浴木だぁ~。」
ハジメが、お湯に プカプカしてる
輪切りの 木を つまんだ。
『兄さん、この コマイの、
あんたさんの 息子かの?』
ユキノジョウ達が、
お湯に入ると、おじさんが
聞いてきた。
「えぇ~。やだなぁ、僕、子ども
いる年に 見えるんだぁ~。
まだ、結婚もしてないしぃ、
彼女だってぇ、いないのに!」
うあ、この人 彼女もいねーの?
ユリヤを
ナンパ どこじゃなかった。
ハジメの 言葉に、
ユキノジョウは、少しだけ
かわいそうな顔を、向ける。
『すまんの。なんや、似とった
けんね。 従兄弟か?なら、
ここに 泊まるんかの?』
かまわず、しゃべる おじさんに
ユキノジョウは、あきらめて、
「はい。今日は、
ここで とまり なんです。」
と、答えておく。
『おー!なら、ここの 朝メシ、
ご飯を 選びよ。玉子かけが、
旨いんね。
あれや、島に移住
した夫妻がな、洗卵してない
玉子作っとおけ、鮮度が ええ。
冬は室温でな、1ヶ月持つのぉ』
頭に、タオルをのせて、
おじさんが ユキノジョウに
ニコニコと、教えてくれた。
「玉子って、洗わないだけで、
そんな 持つんだ。すげー。」
ユキノジョウの おどろきに、
満足したのか、
おじさんは、きげんよく
お湯から 体を 出して、
『だからの、朝は ご飯な。』
といって 水を かぶって、
浴室から 出てった。
ハジメは、
玉子の話を 聞いていたと、
思うけど、
お湯に、肩まで つかって
浮かぶみたいに 天井を 見ている。
あんまり、見てるから
ユキノジョウが、
「ハジメさん。どーかした?」
聞くと、
「うん。赤ちゃん達ぃ、ここで
お昼寝してたなら~、きっと
気持ち よかっなんだろなぁって
思ってたぁ~。」
て、木の輪切りを クンクンと
ハジメは においを かいでいる。
子どもか!!
絶対、ユキノジョウと 2人に
なったから、と思う。
今度は 平泳ぎのフリをして
お湯の 中を、ハシからハシまで
ハジメは、遊んで 動き 回った。
「も、オレ出ますね。」
ユキノジョウが、
お湯から 上がると、
「待ってよん、息子くん~。」
ユキノジョウを おいかける
ハジメが さっきの おじさんに、
乗っかって フザケてきた。
白しけメンめ。って、
ちょっと イラってしたけど、
まてよ?
ユキノジョウは、体を タオルで
ふきながら ハジメに
「じゃあ、お父さん、、ちょっと
聞いて 、、 いい?」
言ってみたら、
「ええ?!お父さんって!
年になるのぉ~。僕って~」
の 返事をされて、この大人は!
って顔に でたんだろーな、
「うそ うそぉ~。」
って、ニコニコ ごまかされて
すぐ、
「香箱ちゃんとぉ ケンカした事」
当てられた。
レモンの ホテルん 時から、
ハジメには、バレているだろうと
ユキノジョウは、予想していた
とおりで、
カッコわるくなる。
「どぉしたら、仲直できるかぁ?
なんて相談ならぁ、何が あった
のか~ 聞いちゃうよん~。」
ハジメは、
タオルを まいて、
扇風機の 真ん前で、風に 声を
ふるわせて ユキノジョウに
目線を 合わせる。
うーーーーーん。
いえない。
「じゃあ。今日とまる 間、
気まずいのって、どーやって
いてたら いっかなーとか、、」
ユキノジョウの ことばが、
だんだん 小さくなったのを、
最後まで、ハジメは
聞かないで、
「よぉし!白鷺くんはぁ、今日
僕と 一緒の部屋に
泊まりたまえ~。
うん! そう~。僕も 今日は
ここにぃ、泊まるよぉ。空いて
るか、聞いてからになるけど
決まりだぁ!!」
そう言って、悪そうな顔を
ユキノジョウにして、
洗面台に やってきた ハジメは
ドライヤーで 頭を 急いで
かわかし はじめた。
そして、
「今日だけ、白鷺くんの ファミリ
ーに、なった気分で、相談に
のるよん。まかせて~!!」
へんにウレシそうな
笑顔になって
ユキノジョウの 頭に ドライヤーの
風を 当てて 遊ぶ。
しまったかもって 思って、
ユキノジョウは、
「あの、大丈夫です。いいです」
まさか、この大人と
とまるのも、やっかいだと
やめるって、
言おうと したのに、
ハジメは、
ユキノジョウに 早く服を
着ろと せかす。
「ほらぁ、 僕のパジャマ 取りに
白鷺くんもぉ、一緒に いく ~」
ハジメの 言葉に、「?」って
なる ユキノジョウ。
それでも、
2人で、
ノレンを くぐって、
ゲストハウスの スタッフを
探す、ハジメが
ユキノジョウの 手を 引いた。
だれかと、手をつなぐのは
お昼ぶりだったし、
なんだか、
まあ いっかって ユキノジョウは
思った。
「林間学校って 思っとくか。」
ハジメは、
風呂をでると、早速 ゲストハウス
スタッフに、
「ごめんねぇ~。空いてる部屋
あったら、今日1泊 出来る
かなあ~。どこでもOKだよ~」
と、声をかけた。
ちょうど、個室で キャンセルが
出たらしく、案内をしてくれる。
途中で、
そうそう~、
副女さんにぃ 白鷺くんの事、
言って おかなきゃねん~。と、
ユキノジョウを 連れて
母親達に、ユキノジョウと
ハジメで、部屋に 泊まる事を
伝えたりした。
「じゃあ~、白鷺くんの荷物~、
こっちの 個室に、移動してぇ
僕の パジャマ取りに、
ドライブ 行こねぇ~。」
あ、ヨミ君に 連絡いれてぇ、
船の外に パジャマを 持ってきて
もらおうかな~。
ハジメは 電話を 取り出し、
ヨミに 事情を 知らせておく。
「えっと、ホントに?
ハジメさん、別んとこに、
とまるん だったんじゃないの」
ユキノジョウが、
ハジメに 誘われて ついてきた
白の オープンカーで、
申し訳なさそうに、聞く。
ああ~、まだ全然 明るくって
夏は ビックリするよねん~。
夜の7時なのにぃ、夕方みたい
だよねぇ。
「いいの、いいの~。せっかく
だからぁ、あのゲストハウスを
もっと堪能させて もらうよん」
ハジメは、
そう ユキノジョウに ウインクを
すると、アクセルを 踏んだ。
オープンカーで 風を切る。
夕方になると
潮風が 島の中に 強めに吹くのか
耳に受ける
風量が 増して、喋るに 至らない。
ハジメの頭に、
ユキノジョウ達と 檸檬のホテルで
別れた後の 情景が
浮かんだ。
「あそこはぁ、、分校の 教室?
そんな雰囲気のぉ チャペル?」
チャペル、教会。
どれも しっくりこない。
家族の 祈りの 教室 というのが
ハジメが、受けた印象だった。
「なんの~、飾りのないがない
潔いほどの、十字架がぁ
祈りの 場だってぇ 告げてる、」
そんな
場所の 入り口からは
夕方の ミサの声、歌が
聞こえていた。
ケーキを 自ら焼く、
牧師は 意外に、若かく、大柄だ。
ハジメは、1番後ろにある
小さな 木の椅子に 座った。
「驚いたのはぁ、ケーキの種類が
たくさんあったのだよ~、
チーズケーキ、ガトーショコラ
ショートケーキ、プリン、
苺シュークリーム なんだよん」
この決して、大きくない島で、
ミサに来ている、大人や 子供の
数は、多い。
ケーキのプレートカードに、
牧師の コメントが
書かれているのを 見れば
この 場所が
気さくで、愛される 場だと
想像できる。
「あのぉ~、このケーキ持ち帰り
しても 良いです~?
待ってる子達にぃ、食べさせ
たいんですけどぉ~。」
ハジメは、
副女さんに 持たされた 容器を
お手伝いの 信者さんに、
渡した。
ミサが 終わり、教会カフェと
なった 場所で、
早々に ケーキのセットを 食べた
子供達。
『おかわりケーキ』と、
書かれてる ケーキが あり、
子供が 食べ終わった皿を
持っていく。
お手伝いさんの 手で
容器に入れてもらった、
ケーキの 代金を 渡しながら、
ハジメは ぐるりと、
中を 見回した。
「牧師さまぁ、少し
お話を聞いて いいですか~?」
前で、何かしている様子の
牧師に 見計らって、
声を掛かけ ハジメは 近づく。
「用意かぁ、されてるところ
すいません~。こちらは、
初めて来ましたぁ。ケーキに
釣られてなんですけどぉ。」
ハジメは、
最前列の 席に シュっと、座った
「皆さん~来られるんですねぇ。
島の教会に、
こんなにもぉ。驚きました。」
若い牧師は、
そんな ハジメに 手を止めてる。
「旅行ですか?芸術祭に?」
「はい~。昨日、直島の教会に
行ってぇ、あっちでも驚き
ました~。
アートの島の教会って感じの、
デザインされた 建物でしてぇ」
そんな ハジメの問いかけに、
牧師は 人のよさそうな 面持ちで、
「じゃあ、こちらの建物が
小さくて、普通なのには 驚かれ
たでしょうね。
もともとは、この教会から、
宣教の者が 近隣の島に 出向いて
教えを広めていたのですが。」
どうとでも、捉えられる
笑顔を、ハジメに 投げた。
「今はぁ、個々に活動をされてる
ようになったぁて事ですね~
すいません。お忙しいのにぃ 」
ハジメは、ペコリと頭を下げる。
「かまいませんよ。明日は、
終戦の日のミサなので、
用意をしていただけですよ。」
牧師の1言に、ハジメは
ああ、すっかり 失念していたと
言葉にする。
そして、
「やっぱりぃ、終戦の日って、
祈りが変わるのでしょうねぇ。
広島や~、長崎でも 意識がぁ
違うなあって思ってました~」
仕事で、訪れた時でですけどと
ハジメは 笑顔で 続けた。
「そうでしょう。投下された所は
その日も、尚更でしょうし、
戦争が 終わった日も、
ひとしお でしょうかね。」
こちらでも、と 牧師が答える。
ハジメは、ならと
「この島に『ゲッセマネの園』が
あると聞いたのですがぁ~。
場所を 教えて 頂いてもぉ?~」
「・・・」
牧師の 人の良さそうな顔 は、
変わらず、少し間が 空いた。
「かつてぇ、敗戦時に来られた、
GHQ元帥に~、日本人で
唯一面会された 人がぁ この島に
いらっしゃったと、読みました」
ハジメは、
牧師の 次の言葉が
紡がれるまでを、 自分の
知る 事柄で、
呼び水にするように 注ぐ。
「その方の、
日本への戦争を~、なんとか
止めようという動きも 読み
ましたぁ。本当でしょうか?」
図々しいでしょうがぁ
出来るならねぇ、
その方が、祈りを捧げた場所に、
行ってみたいんですよぉ。
ハジメは、子供の様に
ニコリと 笑った。
そんなハジメに、
「私も、ここに長く いらした
長の『書いたモノ』でしか、
知りませんが。
その『賢人』と呼ばれた方は、
直接、戦争回避の約束 を
させようと渡米されました。
その相手は、
当時の 米国大統領でした。
そのような人物に、
会える人だったという事です。
しかし、
本当に 紙一重で、
交わしたばかりの 約束が
白紙になる事を、当時の軍が
起こしたそうです。」
戦争にならないよう、
あのような
兵器の投下が ないよう
祈り、実際に 動いた人が
いたは、本当です。
牧師は、ハジメに 語った。
白のオープンカーが、
港に着くまでは、さほど時間は
かからない。
「白鷺くんのぉ、チラシのお陰で
僕の長年 追いかけてた事~、
1つ 叶いそうなんだよぉ~。」
本当にぃ、白鷺くんの存在なくて
行き着く事って出来なかったよ~
「ハジメさんの 追いかけてた事?
そんなに、大事なこと?」
ユキノジョウは、
風に煽られる髪を、片手で
払いながら
ハジメに 問う。
「そうだねぇ、学生時代の、
『やり残した 宿題』みたいな
モノかなぁ~。ならなくても、
卒業は出来るけどぉ。なんだか
ついつい 気になってねぇ~。」
ふーん。と、ユキノジョウは
相づちを 打って
前に 迫る港を 見つめた。
港には、
船を シルエットに、
2人の 人影が 佇んでいる。
良かったよぉ~。
優秀な スタッフ2人がぁ、
着替えを 持ってお出迎えしてる~
「はぁい。到着~。白鷺くん、
そのまま乗っててぇ。
あの お姉さんがぁ、渡す荷物
受け取ってよぉ~。」
ハジメは、
港に オープンカーを そのまま
回して、ヨミと シオンの前に
停まった。
「なんか、
すごい船ある! なにあれ!」
ユキノジョウは、止まった車から
身を乗り出して、
メガヨットを 見ようとする。
「ライトアップしてるとぉ、
余計に目立つからねぇ~。
あ、ヨミくんもシオンくんも
ありがとうねぇ。この白鷺くんに
荷物渡してくれるぅ?
ケーキは、食べたあ~?」
あぁ、ヨミくん、手に持つ 荷物。
高く上げて、批難めいた
視線~、投げてくるよん~。
「いい加減、自由過ぎます。
ハジメオーナー!!今日は、船に
戻らないって事で、よろしい
でしょうか?!本当に!!」
おお!こわぁ~。
ハジメは、両手と肩を
そびやかして
sorryのポーズで、笑った。
目の前の船が、
ハジメの乗ってきた 船だと
感づいた、ユキノジョウは
「ハジメさん。あの舟、戻った方
がいいんじゃないの?」
横の席で、ヒソヒソと 声を
ひそめて、ハジメの耳に 呟く。
大丈夫。大丈夫。問題ないよん。
「だってぇ、これから
初めて『男の恋バナ』だよん」
ヨミと シオンが、
ハジメの 言葉に 軽く 驚いたのを
みて、
ハジメは、
ざまぁって やつだよん~と
口を弓なりに した。
ハジメさんが
白い オープンカーに
オレを乗せてきたから、
荷物持った メガネ美人と、
ユリヤっぽい お姉さんが
目を 丸くしてる。
やめろよな、ハジメさん!
『男の恋バナ』と、
とか、マジで やめろ。
ユキノジョウが、
ドヤ顔のハジメを にらむ。
「 先輩!ハジメオーナーが、
とうとう 家庭的を夢見すぎて
男の子を、拐ってきてます!」
シオンが 仕返しとばかりに、
からかい、
「 オーナー。さすがに、オノコを
いきなり、連れてくるのは反則。
それに、 オノコとの 同衾 !
アウトですね。アウト。」
何それ。お姉さん達、こわいな。
ヨミも シオンに 『乗っかる』
セリフを言って
ハジメに 苦い顔を させた。
「 そこまでに してくれるかなぁ。
僕の 友人がぁ、引いてるよ~」
小さくなる ユキノジョウに、
ハジメは 2人を 紹介する。
そんな風に 話をしていると、
港に人が 集まってくる。
ザワザワと
してきた。
こんな 船に
オープンカーが なんか
とまってるから 当然か?
ユキノジョウは そう思ったが、
どうやら ちがうらしい。
「 聞いたら、盆踊りと花火が
港で、あるそうですよー!
産廃で 報道された 時から 、
元気を 出そって、
島の人で カンパして 花火を
上げ始めた そうですっ。」
シオンが、
キャプテンからの
聞きこみを、続ける。
「 港の一文字波除が 打ち上げ場所
なんですよ!そこじゃないです
か?!行きましょ。君もね?」
「 この島で、まさか花火を見れる
なんてぇ白鷺くん~ラッキ~」
そう、ハジメは とまどう
ユキノジョウを、
いそいそと、オープンカーから
出してしまった。
「 ハジメさん、とまるとこ、
出たまんまで、いけんの?」
それに、花火って、
人が集まるから 中止になった
とこが ほとんどだ。
サプライズで やるぐらいなのに。
「 じゃあ、ゲストハウスには、
電話するわね。まあ、あっちも
知ってるでしょ。今日と、
明日は、島では 各々盆踊りする
みたいですし。」
メガネ美人の ヨミさんが、
連絡してくれるみたい。よかった
一応、母親も、ユリヤも
きっと 帰らなきゃ 心配する。
「 そうだねぇん。ヨミくん~、
よろしくぅ。あとディスタンス
気をつけてだねん。
まあ、
島の人が 800人で、今年は 外部
からはぁ里帰りと、ボランティ
アに、少しだからねぇ、
分別は ありそうだねぇ。」
ハジメさんは
オレに ウインクして言う。
この人、こーゆーとこが、
ウサンクサイんだけどね。
でも、
800人って、少ないんだな。
副女さんとか 事務さんに、
PTA室いると、たまに
うちの 学校の人数って
だいたい 400人て リンテンキを
お願いされる。
最近じゃ、多い方だって聞てる。
でも、学校2つ分の 人数かー。
ユキノジョウは、
「じゃあ、見に行ってもいいよ」
と、OKした。
「行きましょ、行きましょ!
ほらっ、オーナーも、
えーっと、白鷺くん?も!」
ええー。また『シラサギ』。
ユキノジョウが、
あきれて 連れられた所は、
港に、たくさんテントが 張られた
広場だった。
神社とかで いてる、テキヤさんは
いない 祭だな。
ユキノジョウは、広場を
見回して 確認した。
これ、大事。ねだん とか、
いてる お客さんが ちがう。
カラマレたり しないように。
「 わあぁ~。こんなぁお祭り~
初めてだよぉ。いいねぇ。」
ハジメが 喜んで、ヨミとシオンは、ジャンボパエリアを 見に行く
「 ハジメさんて、お祭り行った
ことないの?えっと 神社とか」
うちは、毎年学校であるからな。
ここのも、子ども会でする、
夏祭りっぽいし。
ちがうのは、
祭の会場に、海の風が吹いて
すずしいこと だなー。
あと、『やぐら』?ネオンで、
変わってる。見たことないな。
ヨミとシオン達から はなれた
ハジメに、ユキノジョウは、
聞いてみた。
「 神社のお祭りっていうか~、
行事みたいなのは、あるけど
小学生とかじゃぁ ないかな~」
なんか、その顔。
まずいのか。白いスーツ着るし
お金持ちは お祭りいかないか。
もし、
監査女さんが いたら、
ハジメさんの 何が 見えるんだろ?
ユキノジョウは、
ハジメの返事に、「ふーん」と
かえしておいた。
くじ引きとか、的当てとか
きっと 島の人が 屋台をしてるんだ
やっぱり 学校でする
子ども会の夏祭りを 思い出す。
でも、なんかこう。
いつもの みんな が、いないな。
「 白鷺くんはぁ、どのお店いくぅ
食べ物もあるしぃ、遊ぶのも」
ハジメが あんまり
子どもみたいに
目を キラキラさせるから、
ユキノジョウは、考えて
「じゃあさ!金魚すくい しよ!」
子ども会が仕切ってする 学校の
夏祭りには、
いくつか 保健所の事があって、
だせない屋台があるって 聞いた。
「 オレんとこの 夏祭りさ、
どーしても、『金魚すくい』
出せない んだってさ。だから、
金魚すくい したい!」
早くに、
金魚すくいは 始めているのか、
子どもが、ビニール袋を
持っていたからだ。
ユキノジョウが、
ハジメの 手を ひっぱって、
ちょっと おどろいた。
「 うん~ってぇ、
白鷺くん?どうかしたぁ?」
ハジメも そんな ユキノジョウに
気がついたのだろう。
この人、子どもみたいなのに、
スルドイから よく分からない。
「 いつも、手、ひっぱってくの
ユリん手か、アコん手だから」
ユキノジョウは、
ハジメの手を 外して、
そのままで、金魚すくいの屋台に
2人で、歩いて行く。
「 今頃 お姫ちゃんと、香箱ちゃん
どうしてるかなぁ~ってぇ?」
ハジメは 面白そうな 顔をして、
ユキノジョウを からかい始めた。
「 あれじゃないかなぁ、やっぱり
盆踊りがある?!ってなってぇ、
島の男の子とかと~、
遊んでたりなんかしてぇ~」
何も 言わない ユキノジョウを、
ハジメが チラリと 見るのが分かる
そーゆーことに、なってると、
オレも なんか イラっとする、
かも。
わかんない、けど。
「 ハジメさん、副女さんは、
きっと 知らない とこの祭に、
ユリを 好きに させないから、
そーゆーこと、ならないよ。」
「すごぉいね。僕も白鷺くんの
読みにぃ、賛成~。へぇ~、
白鷺くんちゃんと大人見てる」
何年、あの部屋に オレが
居てるって、思うんだよバカ。
あ、バレてるか。
ハジメの片方の まゆ毛が、
ピクリって、上がったのが、
ユキノジョウにも 見えて 思った。
港で見た、水色の魚を入れる
大きな容器に、
赤い金魚が、たくさん 入ってる。
Tシャツに タオルかけた、
おじさんが、『ポイ』と オワンを
ユキノジョウに くれて、
ハジメさんが、お金をはらう。
ハジメさんも、ポイを持ってる。
「その 白いスーツ、ぬれるよ!」
ユキノジョウが、ギョッとして、
そのままで、ポイを水につける
ハジメに 注意した。
あ、いってるのにー!
ハジメは、すそを
そのまま 水につけた 上に、ポイを
やぶいた。
「はや!!」
「 わあぁ!だってぇ~。初めて
金魚すくい したんだよぉ~。」
やぶいた ポイと、
ボトボトにした スーツのそでを
ハジメが ふって、
水気を 飛ばした しずくが
ユキノジョウとかに、かかった。
『お兄さん!冷たいよー。』
次のポイを、もらう ハジメに、
金魚を すくう 子どもが、
ブーイングだ。
「 ごめん、ごめ~ん。じゃあ、
も~ちょっと 空けてくれるぅ」
まだ
やるの?ハジメさん、ちょっと。
『お兄さん!そんなにしたら、
こっちの、金魚が にげるよー』
バシャッバシャッと、
ポイを 水に入れる ハジメに、
また、子どもから ブーイングだ。
この人、モンスターだ!!
モンスター金魚すくい客だ!!
神戸のホテルで、ゴネてた大人だ
「 ハジメさん、ほら、もう
ポイ やぶけてる!終わろ!」
ユキノジョウも、ハジメの
動きで、金魚は すくえてないけど
ここから、はなれる。
オレ史上 サイテー金魚数だぞ!
持って帰れねーから、いいけど!
ハジメは、
とうとう、白スーツの上着を
ぬいで 肩にかけた。
そでは、カフスを取って まくる。
ユキノジョウは、
冷たいイチゴあめを、
ハジメは たこ焼きを、持って
コンクリートに 座った。
意外に 祭、人きてるし、
さっきまで カラオケだったのが、
ネオンの盆踊り やってるー。
『かえろーかえろーぉよー♪』
流れてるのが、盆踊りの曲か?
ユキノジョウは、
冷たいイチゴあめを かじる。
外は 冷えたパキパキの あめで、
中のイチゴは、ジューシー。
「うまっ!」
中のイチゴ、生イチゴか!
つい、半分食べて、
「うまいから、食べる?」って、
いるのが、ハジメだと
気がついた 、ユキノジョウだ。
「 白鷺くんってぇ、本当に
香箱ちゃん達と一緒なんだぁ」
ハジメが、たこ焼きを 口にして
ニマニマと 笑う。
しょーがないだろ。1年生から
だから、4年5カ月だぞ。
会計男さんみたいに、言うと。
「 役員してっと、休みん時も
たいてい、行事あるし、毎日
宿題して、いっしょだからな。」
ほとんど、365日 会うし、いる。
「 白鷺くんってぇ5年だよね?
香箱ちゃんがぁ、6年でぇ~
お姫ちゃん、4年でよかった?」
ハジメに、ユキノジョウは
うなずく。
「 なら、香箱ちゃんは卒業か~。
中学になるとぉ、また変わる
もんねぇ~。テストぉ、クラブ
とかぁ、始まるもんねぇ~。」
ユリヤにとっても、夏祭りで、
クイズ作ったり、コイン落としも
最後になる。
中学になると、子ども会の屋台を
するなら、
男子と女子は、わかれるんだ。
それに、
祭も、中学なると、みんな
男子だけでとか、女子だけで
回るように なってる。
次の年に、ユキノジョウが
中学に入って、母親が役員に
なっても、
もう 春になったら、今と ちがう。
中学になると、変わる。
「 ハジメさん、彼女、今
いないんでしょ? はじめて 好き
になった子って小学校ん時?」
盆踊りの曲に 合わせて、
タイコの音が ドンドンってする。
ますます、暗くなると、
真ん中に やぐらみたいに、
色とりどりの 丸風船のランプが、
キレイに 光る。
ハジメは、ユキノジョウの
問いに、「キタ~、恋バナ~ぁ」
とか 言って、
「僕さぁ、けっこう~子どもん時
学校を転々としててねぇ、初恋
あるのかなぁ~。って、感じ~」
あ、でも 恋多き 青年だよん~。
相談welcomeだよぉ~、どう?
と ユキノジョウに、ハジメが
話を せがむ。
なんだよ、
初恋わかんないぐらい
ナンパしてんのか、この人。
「はあ~。」
ユキノジョウは、思わず
いったい 何度目か、わからない
ため息を ついた。
「 それにぃ。白鷺くんだってぇ、
わかんないんでしょ~?
どうしたらいいかぁ。それでぇ
香箱ちゃんのこと~、今好き
なんだなぁってぇ 思ってるん
だよねぇん。いいんじゃない?」
何が?!
ユキノジョウは、ハジメを見た。
「 自然んな まんまぁ。
次どうしたい~とかぁ、まだ
わかんないまんまぁ。でもぉ」
ハジメは、他人事にケラケラと
「 言う時はぁ、言わないとぉ、
ず~っと後悔するからねぇ。
どんなにぃ、運命の相手でも」
「だから、ハジメさんは、
すぐ、あんな ナンパするの?」
ユキノジョウが 口をとがらせた。
「ハハ!ナンパ?ちがうよん。」
どこに運命の相手がいるか、
わからないからだよー。とか、
ハジメは 言いながら
ラストの たこ焼きを
口に入れた。
『運命の相手』かー。
さすがに、ユキノジョウの周りに
そんな、ギザっちいのを
言う 子どもも、大人もいない。
けど、
「 ねぇ、ハジメさんは、
スピリチュアルな 話って どう?
信じる?ウソだと 思う?
もし『あなたは、イケニエだ』
って、ヨゲンされたら信じる?」
さあ、
ハジメさん、
どう オレに 答えるんだよ。
何度目か 終戦記念日が、
また やってくる前日。
ミサの後に 開くカフェに、
その旅人は、来られました。
島には、
常設された アートが 出来まして、
ずいぶん 国内外からの
お客様が 増えました。
隣の島の 教会は、
アート島に ふさわしく、
クラウドファンディングを
活用されて、
とても、
モダンな 建物に 修復を
されています。
その為、
アートをご覧になられる、
初めての お客様が、
ミサに 来られるように、
なっています。
私共の教会は、いかにも島の
チャペルらしく、
本当に 何の変哲もなく、
細やかモノで ございましょう。
それでも、
かつての宣教の方は
偉大な方でした。
先々代は、勿論の事
先代も、真の先導の方でした。
一時期は、
その崇高な 行いに、
近隣の島などに、
出向き、ミサをされていた
ほどなのです。
旅人は、
『ゲッセマネの園』を
聞きました。
本当に 久しぶりに その祈り場を
聞きました。
その人は、
この島に幽閉のごとく、
閉じ込められていたと、
島の長の手記で、
私も 読みました。
あの旅人が、
一体、どのようなモノを 目に
されたのかは、わかりませんが。
私は、
今は、療養の為に、
島を離れた 長の手記で、
目にしたのです。
『世界の賢人』と言われた人は、
この国に、読書文化を もたらした
人物でもあります。
かの方が 書かれた本は、
大正時代にベストセラー本となりました。
その売上金で、
出版社が 潤い、本格的に
印刷書物の値段が 下がります。
現代文学の1円本という、
『円本』が 誕生したのです。
この円本なくして、
この国に、
読書ブームは 起きませんでした。
読書大国の 礎となる
資金を、稼いだ本が、
かの方の 書かれた 本なのです。
それを、長の手記で、
知るというとも、縁を、
感じます。
私は、開戦時の 歴史には
明るく ありませんので、
手記に 書かれた 内容しか、
わかりません。
第二次世界大戦は、
この国と中国、そして米国での
緊張が 張りつめた中で、
堰を切る ような
出来事だった のだと、
手記から 感じます。
先の 中国との戦いに、
勝った とは言え、
国の力は 大変失われ、
とても 次の戦争など、
出来ない状況が、正直な
様でした。
ですから、
開戦傾向の 軍とは別に、
内閣は 米国に 調停を結びたい
その調停の役に、
宗教家として、世界に名もある
先生に、渡米を内密に
依頼していた というのです。
なるほど、
国の勅使として 秘密裏に
海を渡ったので なければ
国外には 出れる
当時では ないのは、
私でも 想像できます。
では、なぜ それは公表されず
今に 至るのか?
それは、
後の動きで、分かりました。
さて、手記を進むと
時の 米国大統領に、
直接、会うことの 叶う人物と
かの方を
国は、認識していました。
米国歴史で
1番長く就任した
その 大統領は
先生の 宗教家としての
姿や人格に、共鳴しています。
政治家でも、
国の役があるわけでも
外交官でもない
1人の宗教家を
信用した 瞬間でした。
大統領は 会見 すぐに、
和平調停の電報を
天皇に 打ったのです。
これで、
国は 開戦を 免れた
はずなのです。
しかし、電報直後
国の軍部は 米国の島を
襲撃してしまう。
パールハーバーです。
大統領も、先生もあまりの
事に 驚かれて
いました。
調停の 先生に、
大統領は、
米国の軍が、
攻撃を受けて 仇討ちと
躍起になり
抑えこむことが 出来ないと、
お詫びをされ
直ちに 帰国を促されます。
その後、再度
交渉を 試みられますが、
正式に
国民に ラジオで軍より
パールハーバーにて、
開戦を宣言が 成されたのです。
この国と、相手の国。
史実だけを 見れば
1つ1つの国の総意として
開戦したようですが、
手記には、
米国の民の多くが、
戦争回避の ミサを各所で
行っていたのが
分かりますし、
この国でも
同じくミサが 行われています。
結果 かの方は、
それが非国的な行い、
思想に問題有と 判断。
すでに、
本土から 追い立てられる
結核患者を 島は
受けていたので、
結核の療養と、
この島の サナトリウムに
実質、封じられました。
時の米国大統領を 動かした
人物です。
本土決戦と なりし時に、
人柱にする為だったと 資料が
軍に残っていた そうです。
そのように、
旅人が 教えて下さいました。
旅人が言いました
『ゲッセマネの園』は、
かの方が、
この島で 拓いた
グリーンチャペルなのです。
建物のない、
ただ 青空の下、植物を整え、
丸太を椅子にするような
祈り場を、
グリーンチャペルと
申します。
戦前戦後、
可能ならばと
本土から、この祈り場に
かの方のミサをと
人が 行き来したようです。
この 祈り場を、
かの方は
『ゲッセマネの園』とされました
その場で、
終戦を迎えるまで、
切に
戦争が終わり、
世界が平和になる事を
人類の贖罪を
祈られました。
その場所には、
ゲッセマネの如く
沢山の人と、
かの方の
祈りが染み込んでいます。
ゲッセマネ。
オリーブの油を搾る器です。
この島は、
1番の敷地を誇る
オリーブ畑があります。
奇しくも、
オリーブは、
平和のシンボル
国際連合の旗にも
オリーブの枝が描かれています
事は、ご存知でしょう。
神話に
荒れ狂う洪水の後
ノアの方舟に、
再び平和が訪れを告げる
鳩が オリーブを咥えて
描かれます。
以来
平和や 許しを求め者は
オリーブを着ける のです。
その様な
オリーブの油は
『黄金の液体』『最強の薬』と
重宝されたのです。
実際のゲッセマネにも
樹齢2000年のオリーブの古木が
並ぶようです。
かの方は、
島に拓いた
『ゲッセマネの園』には
フェニックスを
植えられました。
フェニックスは、
不死鳥から 名前をとられた
ナツメヤシの植物。
燃える火の中から
生まれ変わる 伝説の鳥に、
かの方は
何を なぞらえたの でしょう。
島は、
それほど 大きな島では
ありませんが、
とても豊かな島でした。
戦後の本土での食料不足。
にもかかわらず
瀬戸内海の島において、
奇跡的に、
自給自足可能な 島は、
ベーコンやチーズを
作っています。
それへは、
農業をするには、
耕地面積が狭い島に
多角な農業を
教えてくださったのも、
先々代でした。
『農業は聖業』
と、かの方が 取り組んだ
デンマーク方式の農業。
循環農法を目指し、
『太る農業』
農業、農畜産加工、販売
「6次産業」の進められました。
今、
先進的な その農業に
再度、光が当てられて
注目されています。
そうして 島は、
ミルクの島や、福祉の島と
言われたのです。
けれども
島は、
毒の島と、呼ばれる事に。
かの方が天に召され
国が 高度成長に入り
大量生産・大量消費・大量廃棄
好景気の しわ寄せを
ゴミという形で、憎悪と共に
島に
持ち込まれるように
なったのです。
それは、それほど昔では
実はありません。
今だ、土壌の毒を 排出洗浄する
作業が、静かにされています。
かつて
この島に いたかの方は、
戦争を回避する 実働の人であり、
世界の賢人の1人と言われた人。
国に、
本の文化を 作る礎をなし、
戦時中、
贄にと囲われたにも
かかわらず
戦後
内閣総理大臣の 補佐官にと
求められた人。
循環型の生活を
提案し、
この海に 囲まれ
人口が限られる国で、
1次産業から 6次産業を
まとめ
多角的に兼業な、
自給自足を促す策の、先見の人。
そして、
ただ、この世の平和を
『ゲッセマネの園』で、
祈り続ける人。
そのような かの方の
姿が、長の手で綴られた
手記を、
私は 読んで
この小さな島の 小さな教会で
ミサを するのです。
アーメン。