島の 中腹の 空の下

棚田に 囲まれた 緑の絨毯に

60メーター広×20メーター高の
盛り土をして
網掛の 骨を 組み

白練り コンクリートで 覆う
2ヶ所の 大穴を 天に開けて

固まれば
盛り土を 抜いて
さらに
土を 掘り出し
下げる

内部を 白く 整え
深めの 床も 整え
床に 特別の 仕上げ

地中に 少し 埋まって
白の ドームが 出来たら

天に 明けられた
大穴に
風に たゆたう ほどの
1本の
長いリボンを 渡す

影牢の ように
空気に 揺れる へその緒 の様


さあ
足に
なって

特別に 仕上げられた
肌障りの よい 床を
子宮の口の ような
半トンネルから 上がると

目の前に 広がるのは


天に 明けられた
大穴から
青空が見える

白い 惑星の内部 だよ

ママ


歩みを 進めてる
!! 思わず 足を上げる

水が

水が 足もとに
生きている!!


無数の水が 水玉に生まれ

意識を持つかの様に

床を 走る

水玉のまま

水玉と水玉が ぶつかり
合わさり

長い 水の生き物に
姿を 変えて

ピローっと 走った


1日をかけて
水玉は
たまに
また 床に消えたり しつつ

だんだんと
白い 惑星の中に
透明な
泉を 出現させる

天に 開けた 大穴から
体を出せば

緑と 鳥と 虫の声と
太陽の光を 浴びて

へその 緒の ような
リボンの たなびくを 眺める


白い 惑星の 端じっこに
行けば
天井は 体が入るか
どうかになって

そのまま床に 寝転がる

耳に わずかな
水の音

ここは 母体
子宮の中で みる
生まれる光

白い コンクリートの膜

その境に 体をつけると
外の棚田を 感じる

目を閉じる

水の音がして
安心する

水を辿ると
棚田に 意識は 出て
山際の
四角い清水に 着く

弘法大師が作った
湧水の社

水場は 古代から
枯れる事ない
水場で

白い母体に流れる
水の源
水は 島人により 日々
白い子宮に
水玉を 綿々と あらわす

1日かけて 泉をつくり

母体子宮を 流れた水は

地中に帰る

『 ねぇ ママ。 ここは、

そんな 美術館 です。』

生まれておめでとうございました。