銀河を走る
電車みたいに、
日が暮れた 棚の田んぼを
島のバスが 上がってきて、
ユキノジョウ達は
バスに 乗っている。
『来年も こいよ。虫おくり
とか、今度は やろうぜ!』
カイトは
ユキノジョウに、中山の行事を
いくつか 教えてくれた。
例えば、
秋の歌舞伎の 後には、
今日の 昼みたいに 芝生の階段に
キモノを干すみたいだ。
『「どぅやぶつ」って
言うんだぞ。キレイな衣装が
いろいろあったろ?』
そうカイトは言ってた。
神様の場所で ある行事 なら、
絶対、カイト達は あそこに
いるから、
また 会えるって 言うんだよ
ユキノジョウは、
暗くなる バスの外を 見つめる。
ふと、ガラスに 隣のユリヤの
顔が 映ってるのに
気がついた。
「なあ、ユリは また、
ここに来たい?」
1日、男子と女子に 別れて
ボランティアを していたから、
本当に、ユリヤと いるのが
久しぶりに 思えるし、
バスが 大きく動くと、
自分の腕に、ユリヤの腕が
あたるのも、うれしい。
オレも ユリヤも、
腕が 焼けて ほてってる。
「うん、来たい。
教えてくれた。虫おくりの日とか、秋の舞台とか、屋台がでるって。」
なんだ、女子も おんなじ事
言ってたのかよ。
少し。日焼けした顔を、
ユキノジョウに向ける、ユリヤに
「そっか。ユリが 、、来たいなら、
オレが また 連れていくな。」
ちょこっと、ドヤ顔をして
また、窓の外を見て おいた。
映ってる ユリヤがうなずいてる。
そっか。そっか。
窓の自分がの口が
上がってた。
ユキノジョウの住む街は、
どっちかといえば、都会よりだ。
港も山も あるけど、
夜も明るいし、コンビニばっか
あるから、遅くまで 子どもは
歩いてる。
『ユキノジョウ達は、
いいよなあ。遊ぶとこ いっぱい
あるだろ?ここだとさ、
芸術祭ないと、見に行くとこ
ねーし、デートもできねー。』
カイトは、そんなこと言ってた。
ユリヤの向こうに、寝てる
アコを、ちらっとユキノジョウは
見てみる。
アコ、同い年の男子と、
帰ってくるのん、遅かったよな。
『ユキノジョウ見たか?
坂手港んとこの ミラーボール?
あとさ、井戸の神社とか。
他の港にもアートってやつ
あるだろ? あーゆのんさ、
芸術祭なると、
だんだんふえたり、
その時だけ 店ができるだろ?
それを 見たりする
ぐらいしか、ないんだよなー。』
なんとなく、
カイトが 言いたい事は、
ユキノジョウにも わかった。
でも、それは
反対に、ユキノジョウ達に ない
モノ だとも、今日は 思った。
オレ達んとこは、
毎日が、おんなじで、
そのまま 何年しても、
周りに見える世界は かわらない。
ある日、あんな ヘンテコが
現れたりしない。
「ねぇー、副女さん。
今日って、泊まるとことか、
ご飯どーするの?」
前の 2人席にいる、
ユキノジョウの母親が、隣の
副女さんに、予定を聞いている。
日焼け止めしてても、
さすがに、母親達も 焼けたな。
「会計女さんっ、今頃聞く?
行き当たりばったりだなあ、本当。
明日早くに、次の島に行くから、
今日は 船が出る、土庄港の近くで、泊まるよ。
ご飯も、宿の近くに、
スペイン料理を 予約したから。」
「スペイン料理ってなに?」
「知らない」
2人席で話すのが、聞こえる。
始めは、暗くなった 山の中を
走っていたバスが 、
少し町っぽい道を走りだしてた。
気がつくと、たまに、
夜の海沿いの道を 通ったりする。
「?!」
ユキノジョウの肩に、
やわらかいけど、汗もかいた
髪が、のっかった。
「ユリ?!」
肩の頭に、声をかけたけど、
返事がない。
あたまり、肩を動かせないから、
隣をのぞけないけど、
ななめ下にある、ユリヤのヒザに
アコの頭が のっかってるのが
見えた。
ヤミに、重い、、。
2人分の重みが
ユキノジョウの肩に かかるけど。
「まあ、いっか。」
とりあえず、
肩にのっかるユリヤの髪に、
スリスリと 何回も ほおずり
しておいた。
たまに、
夜の道のカンバンに、
『ようかい美術館』とか、
『迷路のまち』とか
なんか へんな文字が 見えて
気になったけど、
肩にのっかる髪ん においを
かいでると、
どうでも よくなった。
あれ? そういや、
島のバス、ディスタンスって
どーなってんだ?
「ハジメオーナー、お茶の用意
できましたよー。
淹れさせて もらいますねー。」
そう言うと、シオン君は、
慣れた手つきで、中国茶を淹れる
中国茶器で、丁寧にお手前を
ハジメの目の前で、披露して
くれるのだ。
こう、小さな 急須に
高く まるで 虹を かける
みたいに、
お湯を 注ぐんだよねぇ。
どうやら、お茶請けは、、、
オリーブ?!
「これは~、オリーブの実で
いいのかなん?」
鮮やかな
グリーンのオリーブは、
艶っとして、
みずみずしく見えるから、
オイル漬け じゃないよねん~。
「塩漬けオリーブですよ。
珍しいですよねー。でも、
本当は、新漬けって 熟れたて
オリーブの浅漬けが
欲しかったんですけど」
シーズン じゃないんですよねー。
って、苦笑して
中国茶葉の薫りを
クルーザーに 孕ませる。
相変わらず、
シオン君の美味しいものセンサー
万能だよねぇ。
「ねぇ、後輩ちゃん。
この茶葉って 何?なんだか
花の香り?
あ、キンモクセイよね?」
ヨミ君が 錨の細工が ついた、
眼鏡の ツルを 指で上げる。
「これは、『黄金桂』って茶葉
ですよー。ヨミ先輩、ご名答!
キンモクセイの香りから、
ついた 名前なんです。」
そう 手を拍手させながら、
シオン君は、黄金色をした
お茶を前に、置いてくれる。
本当に、金木犀の 香りするよ~。
今クルーザーにはぁ、
ギャラリーオフィスの人間だけ
あ、クルーザーの運転手もだねん
2組のゲストは、小豆島に
そのまま滞在する為、
下船したのだよん。
もともと、直島のホテルにある
クルーザー桟橋から
連絡頂いての乗船ゲストなんだ~
初めてのゲストもいたけどねぇ。
意気投合~。ボクの気持ち汲んで
くれる いい人だったよぉ。
それに、お買い上げぇ
有り難うございますだよん。
『新しい青』にまつわる
話をしたら、小豆島にね
残るって なったのだよ~。
明日はね、小豆島八十八遍路の
景勝を堪能するってねん。
オススメした
のが、ボクだからなんだけど~
お遍路して 願掛け叶うと
いいと思ってさぁ。
また芸術祭中に 会えたらねぇ
お遍路の感想を聞いてみよう~
小豆島はぁ、
芸術祭のアートも 見所だけど
古からある祈り場は 凄い。
ここは、中国の敦煌か?
はたまた、バーミヤンか?って
眼を疑うぐらい
それはもう、信じられないぃ
光景が~。いや、奥深い島だよぉ
撮影禁止だからねぇ
どうしても メディアに出ないし
認知度が 低いんだよねん。
それが 残念なような~
穴場秘された場でね
安心なようなぁ、、、複雑。
夜の潮風に吹かれ
クルーザーデッキに、花の香り。
「農村歌舞伎、試行凝らして
あって 面白かったですよね 」
シオン君は、2煎目を急須に
淹れるのに、再び高く お湯を
掲げながらも、おしゃべりだ。
「とにかく全員が 主役って感じ? 三番叟が何人も出てくるのもね。」
ヨミ君は、ちゃっかり 2煎目を
貰う気 マンマンだよね~。
「あ、でも!たしか
どこかで、三 番叟姿で盆踊り
する 地域ありますよ!」
「え、そんなとこあるの?!
面白い。一晩中盆踊りってとこも
あるのに、三番叟だらけって。」
うん、ヨミ君が 驚くのもわかる。
だよね~。
しかし、あの歌舞伎の演出。
なかなか 粋でぇ、深い思考を
感じたよねぇ。
「まさかねぇ、桜姫の最初の場を
クローズアップさせて持ってくる
なんてぇ、目から鱗だよん。」
もちろん、ボクも2煎目頂くよん
「長い話です からね。本来は、
本当に 序盤の動線と 場面を、
あんな風にすると、今風ってゆう
か、、
後々 けっこうゲスい内容になる
のが、嘘な 幻想さ でしたね。」
ヨミ君は、何やら お茶を見つめて
感想を呟く。
「あの話の タイトルを、そのまま
お約束で 終わらして 本題に
行くんだよ 本来はねん。」
そう、
あの話は、歌舞伎の、というか
当時のゴシップを お約束で、
知っているのが、前提から
始まる 話だ。
「そうなんですよ! 本来は
タイトルを 聞いただけで、
あ、あの事件がベースね!って、
ピンとくるって話 なんです」
当時の人間なら、
あ、あの話ねーになるけど、
何百年たった ボク達には
わからない ワイドショー。
1つは、関東の御家騒動。
家宝を盗まれて、当主と双子の
息子が盗賊に惨殺された事件。
もう1つは、
初演される十年前の事件
関東で、京都の公家出身と
詐称する遊女がいた事件や
ある 遊女の正体が
日野家の姫御前 だったという
当時賑わせた スキャンダルだ。
この2つの事件を
『ご存知、例の話を元に』と
タイトルにしているからこそ、
物語の序盤に お決まり場面だけ
それで観客には、お約束が
頭に浮かび、話に入れる。
「これって、今の流行りの話に
似た流れ!!って、途中で
思ったんですよー。
どう 思いま す?オーナー?!」
えっ?話が見えないよん。
シオン君?そんな かぶり付きで。
「あれ?今の流行り?確かにぃ、
この話は、初演から大分長く寝か
されて、昭和に復活した本だよ。
それで、最近は やたら、
現代劇や映画とかで
上演してるけどぉ~」
え?ヨミ君?何?残念そうな
顔で、ボクをみるのん!!
「後輩ちゃんが、言いたいのは、
最近のライトノベルの傾向との
比較ですよ、オーナー。」
最近の、ライトノベル、、、
「今、書店で幅を広げてる分野、
知りませんか?悪役令嬢や、
勇者とかの異世界モノですよー!
やたら、長いタイトルとかで、
そのタイトルだけで、中身の予想
が出来るんです。しかも、
お決まりのテンプレがあって。
悪役令嬢は 婚約破棄 されて、
急に 異世界に 飛ばされ聖女
とか、勇者とか。現代スキル
を、チート能力に 転換して。」
あわわ~、なんだかイキオイが~
「後輩ちゃん!わかる!わかるわ
本当だわ!歌舞伎のお約束設定
と、ライトノベルのお約束設定。
最後、ざまぁするあたり!
タイトルに 設定を匂わすね!
あら、なら時代劇もそうかも?
え、サスペンスもそうねぇ。
出てくる温泉地までわかるし。
でも、歌舞伎が 如実かも。
凝縮させた 世界観が
非現実で華やかさを出すとこ。」
う~ん。なるぼどぉ。
クールジャパンカルチャーで、
そんな事になっていてぇ
そこに 日本人の嗜好傾向が
あると~。
「そう考えると、『タイトルだけ
で、内容がわかる』っていうのは
『てっとりばやく、無駄なく、話
に どっぷり 浸かりたい。』と
いう傾向で、昔っからの 日本人
の気質 なんですかねー。」
シオン君は、3煎目を 淹れて
口にしている。
明らかに、お茶の香りが 変化した
船はゆるやかに、
夜の海を 次の島へ 走る。
遠くに 漁火も 見える。
イカでも 釣るのか。
デバイスが 変われば、
書式も変わる。
5年もしたら、今の常識も変わる
その証拠に、旅行鞄に マスクを
入れるなんてぇ、海外ゲストは特に 考えも しなかったよねん。
たまに、ハジメは思う。
素材としては、
何百年も残る、残ってしまう
そんな 科学の素材が 日常ある。
そんな中で、自分の仕事は
何百年も先に、何かを残す
それに、値するような 仕事が
出来ている だろうか?
「なのにぃ、気がつくと、
人間の 本質ってぇ、
あんまり進歩ないっ て、
ことなのかねん? なんだか、
嫌になるほど、 笑うね~」
まだ、デッキで 話に花咲く
女性陣を 横に、ハジメは
次の島影を、タレた瞳に捉えた。
ユキノジョウ達は、朝
次の島に行く 船に乗っている。
最初に乗った 大きな船とは
全然ちがって、
中くらいの船は 波の上を
バイクみたいに シブキを上げて
気持ちよく 走る。
「普段は、ホテルからの 船を
チャーターしないと 次の島には
行けないんだけど、今は ほら
芸術祭期間だから、臨時で船が
土庄港から 出てるんよ。」
副女さんが、サンドイッチを口に
ユキノジョウの母親に 話してる。
「だからって、こんな早くに船
乗るなんて、さすがに 朝ごはん
食べれなかったねー。」
まだ、化粧が出来てない母親は、
大急ぎで、『顔をつくって』る。
大きな船とちがって、白いアワに
なった波が、船の後ろから
オビみたいに 出来て、消えてく。
あんまり、それを 見てると、
気持ち悪くなった。
フナヨイする らしい。
「ユリ、ヨッてないか?」
となりに座る ユリヤに
ユキノジョウは、声をかける。
アコは いつもとおんなじで、
船を 飛び回ってる。
「いける。ユキ、しんどそう。」
へーき、へーき、と言っとく。
単に 今日も寝たりない。だけ。
たまに、波が 風にのって、
ユキノジョウのほほが ぬれた。
保健の授業でやった、
2次成長期ってやつを たまに思う。
「昨日泊まったゲストハウス!
すごく、お洒落で、景色良かった
ねー。あそこなら、人数増えても
大丈夫って、確かにだよねー。」
化粧が 終わったんだろう、
ユキノジョウの母親が 副女さんと
サンドイッチをつまんでる。
このサンドイッチは、
昨日のスペイン料理のお店で、
副女さんが、朝用に 持ち帰りを
お願いしてた やつだ。
昨日、
暗くなった道を行くと、
海沿いの ホテルが 並ぶ
バス亭から 坂道を歩いて、
ゲストハウスに なんとか 着いた。
ゲストハウスの となりが
ハムの工房で、
その おとなりが スペイン料理店。
ゲストハウスは、
副女さんが 言ってたけど、
最近多い、パスワードを入れて
鍵を開ける みたいな 宿だ。
坂がすごくて、
ユキノジョウ達は 疲れたけど、
ゲストハウスは、
すっげー キレイで
大きな窓から見える
景色は、海とか港とか みえて、
ゼッケー だった。
「やっぱり、芸術祭の影響だろう
ね。 島に カフェとか、
ゲストハウスが、多くなったよ」
外国のドラマにでてくる みたいな
キッチンとか、部屋で
でっかい お風呂からは
外が見える。
朝、
見える景色を、
副女さんが 『エンジェルロード』
天使の散歩道だって、
教えてくれた。
「あんなに、お洒落なキッチン
せっかくだから 料理したかった
なーんてねー。」
「ママ、いっつも テキトーに
お料理するもんねー。」
アコが、母親に 笑ってつっこむ。
もともと、ユリヤ達だけで
泊まる予定だったせいか、
ベッドの用意は 2人分だったけど
大人達が、夏だし、広いソファー
使ってねることにした。
すごく、広いベッドを 子どもが
使うって、アコを真ん中に
オレもユリヤも 同じベッドだった
あれが、ダメだったなあー。
親達は どーゆーつもりだよ?!
まあ、子どもってこと だろうけど
『ユキノジョウ!おまえ、まだ
男じゃないよなー!!』
キレイな天井を ベッドから見ると
昼間、カイトに言われたのを
思い出した。
なんか、ムカつく。
寝返りをうつ。
アコの頭ごしに、ユリヤの横顔。
全くケイカイ してない。
はあーって、ため息がでる。
気分ワル。
反対に寝返る。
『大丈夫!すぐだろ。なんでか?
わかるって、おまえ 見てっ
と。そーゆーもんなんだよな。』
カイトが言うことを まとめると
体が先か、気持ちが先かは
わからないけど、ちゃんと 2つは
同時に 成長期らしい。
だから、オレの行動をみてると
わかるっんだとっ。
そんなもんか?
それじゃあ、まるで、
そーゆー風に プログラムされてる 気持ちみたいで、
イヤだな。
失せろ!!2次成長期!
背ぇー低いのんは なしだけどな!
わっーー!!
『ニャーニャー、ニャー、』
船が カモメ?の大群の横を走る。
『ニャーニャーニャー』
「ユキくん!!頭!」
ユリヤがさけんだけど、
『ガッ!!』
ユキノジョウは、自分の頭を
カモメ?につかまれ 頭の皮が
ムケタ、、、。
「ウソだろ。あだーっっっ!!」
その後、母親達にユキノジョウは
ムケタ ところに
消毒液を ぶっかけられて
船で 頭を シュワシュワさせて
涙目になった。
島、見えた。
寝不足なんだよ、、、。
小豆島の 次の島。
『豊島←てしま』って読むって。
船は、 平らな島に 向かってる。
なんとなく、平らな島って
ユキノジョウは、思った。
日本で1番古い歴史の話で、
1番はじめの 天皇さまの ご先祖?
ひい祖父ちゃん?、
『豊玉彦』って
海の大神さまで、
それが 島の名前に
なってるって伝説もあるとか
別の由来も あるけどって。
副女さんが 教えてくれた。
そんで、
島の 『神子ヶ浜←みこがはま』
って浜が、
はじめの 天皇さまの お父さんが
生まれた浜とか っていって
昔は 海に
石の鳥居が立ったってたんだ。
ってのも 聞いた。
それって、神さまが 海から来る?
海から、お参りするから?
謎だ。
その鳥居も、
島に たくさんゴミが
捨てられようになると
嵐で しずんだって。
この島には 昔の『イセキ』が
たくさん あるらしい。
副女さんは、
豊島ってのは、瀬戸の海を
ツカサドル? 海人族の 祈る場所
だったんだろうね。って。
いろんな意味で
意味の深い 島なんだよ。って。
そのうち、わかるよ。
そんな話を、船で聞きながら
ユキノジョウは、監査女さんの
たまに 聞く 言葉を 思い出す。
『人の 祈りや、思い、念は
場所とか、相手に 積もるんだよ』
だから、
それを 副女さんに 言った
「そうだな。祈りの種類は違う
けど、小豆島なんかはキリシタン
も多かったんだよ。この島も、
人口からいったら、キリスト教
の礼拝する人、多いと思う。
人の何かが、積るなら この島
に、彼女が 来たら、一体 何が
彼女には 見えるのかな、、」
全部の意味は、わからないけど、
副女さんが、あえて この島に
ボランティアに 来たってことは、
ユキノジョウにも なんとなく
わかった。
小豆島と、同じように、
建物が 1つあるだけの 港に
船がつく。
港の 建物ん横に、
レンタルしてる 電動の自転車 が
たくさん、並んでる。
ユキノジョウ達は
その電動自転車を それぞれ借りた
ふつうより 小さめだから、
アコも ちゃんと乗れる。
てか、ギア付きの 男子自転車が
いつものだから、
電動は 初めてだ。
ユリヤも、アコも ちょっと
ビビってる。
最初のこぎだしで、
グンって、持ってかれる感じが、
なれてなくて、
体が 置いてかれる みたいだ。
港で、電動になれたら、
そのまま 道に出る。
平らな 道ー。
電動サイコー。
走ると、小豆島と
全然ちがう島だと 思った。
きっと、1日あったら
電動自転車で 1周できそうって。
海の風で サビたんだろうな、
灰色のナミナミ板の お店。
畑ん中に ある ガソリンスタンド。
そこにも レンタルの自転車。
「この国道のある、集落を抜けて
登り坂になると、低い林の山道が
ずっと、続くから 無理しないで
ノンキに行くよ。」
前を走る、副女さんが
ふりかえって、教えてくれる。
ところどころ、
黒い家があったり、
変わった石の組み方をした
壁があって、
「黒いのは 家の外板を焼いて、
潮風に強くしてるんよ。
石組みが 変わってるのは、島の
石を切り出して、京都とかに
運んでた 名残かもね。
コケが着きやすいから、庭とか
神社とかに 昔から使う石なん」
桂離宮って、わかんないか?
とか 言いながら
ユキノジョウ達の 前を 走る。
途中で、
変わった建物が見えて
そこが 今日の泊まるところだと
言われた。
学校みたいな 建物で、
昔の『乳児院』とかいうらしい。
昨日のゲストハウスと
全然ちがう!
で、
似たような、
建物を また抜けて、
ため池の 横を走る。
変わった屋根の小屋とか見えると
「あの かわいい 三角屋根の小屋は
『ベーハ小屋』って言うんよ。
米国の葉たばこを乾燥場させる。
だから、『米葉小屋』。
あれも 産業遺構だろうに。」
説明が入る。
社会見学だなあー。
副女さんが 言うのには、
周りの ちょっとしたことを、
説明しとけば、目印になるから
って 笑う。
それもそうかも。
道と木、たまに 家。
どこまで 続くんだろう?って
思うぐらい、迷いそうで
不安にもなる。
そんなにして、
かなり山のゆるい 坂を 走ると、
左っかわに、細くて 白い道が
出て来て、そこに入ると、
輪っかがたくさんある何かと、
四角い 石のプールみたいな
神社が 見えた。
もし、異次元ってのがあるなら
この島は、そんな
入りこんだ 気分の場所で、
落ち着かない。
夏の太陽が、
道を白くして、
低いオリーブの木とか、
果物の木が 出て来て
かと思うと、
棚の田んぼ とか、黒い家が
出てくるからなのか?
いつもの 芸術祭なら
もっと、人が 多いみたいだけど、
今は、まだ午前で 人も
少ない。
四角いプールみたいなの がある
神社には、、
子どもが いてて、
ユキノジョウは なぜか
安心した。
「先輩。オーナーって、船の部屋
普通に使ってますよねー。
なんか、意外でしたよ。
さっき、オーナーの頼まれ物
取りに入ったのですけど。
キレーでしたもん。
モンスターVIPじゃないです!」
ハジメのオフィスの スタッフ
シオンと、ヨミは 電気自動車に
乗って、島を走っている。
島で試験的に、導入されている
電気自動車を 港でレンタルして、
2人乗りの 運転席で、シオンが
ハンドルをにぎる。
電気自動車 には、ガラスが
入っていないため、走ると
風が 通りぬけて、オープンカー
さながら、2人は 髪を 靡かせる。
「オーナーの 非常識さは、
ホテルに泊まっている時だけよ。
まあ、1年の半分以上は ホテル
生活だから、もっぱら 非常識な
モンスターVIPさが普通だけど」
次の島に、
クルーズギャラリーは 停泊して、
オーナーである、ハジメは 1人
新しく出来た アート作品を
ヒラヒラと 先に 見に行った。
初めて島に来た シオンとヨミには
ハジメとは 別行動で、
最初に 行くべき 場所 へ行くよう
仰せを つかっている。
今、シオンとヨミは
その 見学予約をされた 場所へ
電気自動車を 走らせているわけで
「それでも、全国をギャラリーで
移動するって言っても、ほとんど
ホテル住まいって、落ち着かない
でしょ?大変ですよねー。」
うっそうとした、
背の 高い草が 密集するように
両側を 囲う道を、
電気自動車を 運転しながら
大声で シオンが 話す。
いつの間にか
アスファルトが なくなっいた。
ガラスが ないから、
風で、声が流れてしまう。
「後輩ちゃんは、知らないのね。
オーナーって、子どもの頃から、
ホテル住まいなのよ。」
ヨミは、風で
眼鏡が とびそう なのか、
波細工の ツルを 押さえている。
「は?!なんですか!それ?
実家がホテルでも、やってると
か?ホテルグループ御曹司?」
電話を 地図案内機能に して、
ハンズフリーにセットをしている
シオンは、チラリと 横目で
その 地図を 確認した。
「違うわね。オーナーは 確か、
お母上と、ホテルを渡り住んでい
たのよ。
常宿は いくつか あった
みたい だけど、家はなかった
みたい、、、、
ほら、神戸のホテルも
その1つだったってことね。」
そろそろ、見えてくるんじゃ
ないかしら?とヨミが
前を 指さして 言う。
さすがに 延々と
山道 みたいな 風景で、
前も 後ろも おんなじ 見えかた。
「なんですか、その規格外?!
やたら VIPな、
家なき子 じゃないですか!」
ガタガタと、
車体が 揺れるような 道。
本当に 道 あってる?
「あの人にとっては、
ホテルって場所が、家なのかもね
だから、取り繕わないとか。」
前方に、何か 看板が
見えた。
「ヨミ先輩!それ以上は 言っちゃ
おしまい じゃ ないですか?
ホテルメイドに、まるで
甘えてる なんて、、、?!」
1度 電気自動車を、
シオンは 止めて、看板を 見る。
「そんな、悲しい 事。
言えや、しないわよ。本人には」
┏一一一一一一一一一一一一一┓
┃この先は 立ち入り禁止
事前に 見学は 以下に連絡を
┗一一一一一一一一一一一一一┛
シオンと、ヨミは
道が 間違いなく 合っている事を
確信して、
アクセルを踏み込んだ。
『ウオオオオトッッーー!!!
青い空と
青い海の境目が
なくなったみたいな、道に
唯一
真っ白に
光るガードレールが
ユキノジョウに
ぐんと 大きく曲がるカーブを
知らせてくれる!!
電動のリミッターは
ゴーーーーって 開きっぱなしだ
ただの車輪になった
自転車で、
何んにも さえぎるモノがない
坂道を、
サルみたいに 笑
叫びながら
ユキノジョウは ノーブレーキで
爆下りる!!
サイコー↗️↗️↗️
サイコー↗️↗️↗️
サイコー↗️↗️↗️
このまま、青い海に
つっこむみたいな 道だぞー。
なんだ!ここ!
とんでもねー、道だなっ!!
とんでもねー、
とんでもねー、
あはは!
ハイパーテンション!
頭が さえるような
空気を 切って
ドンドン 走る
電動自転車のユキノジョウを
ユリヤが
ブレーキをかけながら
やっぱり 電動自転車で
追いかけ下りてきている、
背中に、気配を
ちゃんと、感じる。
ゴーーーーっと
下りる途中、
下に、穴が空いた
白いコンクリートのドーム
2つ。見えた!
そこ めがけて、
何も 考えないで
真っ白に
2人で つっこむ!
あれが、『島のキッチン』で
聞いた アートだ!!
『キキーッ』
駐車場の平地で
大きく ハンドルを切って
ブレーキ。
ユキノジョウは、
後ろからくる、ユリヤの姿を
ハンドルに方
ひじをついて
ニマニマと 待つ。
『あんたら、檸檬のホテルで
ボランティアか?ちんまいのに、
えらいなあ。ほれ、食べな。』
そういって、おばあちゃんは
メロン みたいな うりを
ユキノジョウと、ユリヤに
差し出してくれた。
『まくわうり。知らんか?』
知らない。
切ってる 見た目は メロン?
でも、うり?
うりは、生で 食べたことない。
きゅうりか?
タッパーの それを、
消毒した 手で つまんで
口にする。
「あ、あんまり、甘くない。」
となりで、ユリヤが
口を 押さえた。
思った味じゃない時の しぐさだ。
ついでに 言うと、
ユリヤは 余り甘ったるいのは
苦手な 女子。
「おー。ばあちゃん、さっぱり
した メロンみたいだぞ!」
ユキノジョウは、2個目に
手を のばしている。
メロンより、
しっかりしてる 食べごたえだな。
おばあちゃんは、ニコニコして、
ユキノジョウ達を 見ている。
子どもってのは、
得だなーって 思うよ。ほんと。
そんな風に してたら、
島の キッチンの人が 予約してた
お弁当を 持って来てくれた。
副女さんは、
ネマワシの天才だな!
「ユリ、オレらは ここで 食べて
から、レモンに持っていこーぜ」
ユキノジョウは、
もらった お弁当の1つを、
ユリヤにわたす。
「ごちそうさまでした。
ありがとうございます」
おばあちゃんに、ユリヤが お礼を
言って 頭を下げた。
「これから、お昼ごはん 食べる
の?おばあちゃん達。」
ユキノジョウが、聞くと
「もう、食べたんよ。このあと、
誕生日会が ここであるよって、
待ってる。あんたらも、出る?」
おばあちゃんは、わざわざ
さそってくれた。
あー、入り口に なんか
誕生日会ある よって、書いてたな
「ありがとう!でも、いいや。
食べたら、アートとか
見に行くし。あ、近くに なんか
あるんなら、教えてー。」
それで、おばあちゃんは
持ってた チラシのうらに、地図を
えんぴつで 書いてくれた。
島の キッチンは、
南国の家と、昔の家を
合わせた ような ところで、
風が 通って気持ちよかった。
あと、誕生日会の おりがみの
飾りつけが カラフルで 楽しい。
島で 野菜を 作った人とか
黒板に ある。
ユキノジョウは、
ユリヤと 島のキッチンで、
お弁当を 先に食べてから、
レモンのホテルで 受付の
ボランティアを している、母親と
アコに お弁当を とどけて、
教えて もらった場所に、
電動自転車を、
すっ飛ばして 来たのだ。
お誕生日会の時は、
少し アートの見学が すくって、
聞いた。
「ユリ、誕生日会出たかった?」
ようやく、追い付いて
顔を 赤くしてる
ユリヤに ユキノジョウが聞く。
全力で オレに、
着いてきたんだよなー。
とも 思う。
「ユキの誕生月じゃないよ。」
ユリヤが、ユキノジョウの隣に、
電動自転車を 止めて
笑顔で、言うから、
なぜか 満足になって 短く
「そっか。」と、答えて、
白いドームに 2人で 歩く。
島の 中腹の 空の下
棚田に 囲まれた 緑の絨毯に
60メーター広×20メーター高の
盛り土をして
網掛の 骨を 組み
白練り コンクリートで 覆う
2ヶ所の 大穴を 天に開けて
固まれば
盛り土を 抜いて
さらに
土を 掘り出し
下げる
内部を 白く 整え
深めの 床も 整え
床に 特別の 仕上げ
地中に 少し 埋まって
白の ドームが 出来たら
天に 明けられた
大穴に
風に たゆたう ほどの
1本の
長いリボンを 渡す
影牢の ように
空気に 揺れる へその緒 の様
さあ
足に
なって
特別に 仕上げられた
肌障りの よい 床を
子宮の口の ような
半トンネルから 上がると
目の前に 広がるのは
天に 明けられた
大穴から
青空が見える
白い 惑星の内部 だよ
ママ
歩みを 進めてる
!! 思わず 足を上げる
水が
水が 足もとに
生きている!!
無数の水が 水玉に生まれ
意識を持つかの様に
床を 走る
水玉のまま
水玉と水玉が ぶつかり
合わさり
長い 水の生き物に
姿を 変えて
ピローっと 走った
1日をかけて
水玉は
たまに
また 床に消えたり しつつ
だんだんと
白い 惑星の中に
透明な
泉を 出現させる
天に 開けた 大穴から
体を出せば
緑と 鳥と 虫の声と
太陽の光を 浴びて
へその 緒の ような
リボンの たなびくを 眺める
白い 惑星の 端じっこに
行けば
天井は 体が入るか
どうかになって
そのまま床に 寝転がる
耳に わずかな
水の音
ここは 母体
子宮の中で みる
生まれる光
白い コンクリートの膜
その境に 体をつけると
外の棚田を 感じる
目を閉じる
水の音がして
安心する
水を辿ると
棚田に 意識は 出て
山際の
四角い清水に 着く
弘法大師が作った
湧水の社
水場は 古代から
枯れる事ない
水場で
白い母体に流れる
水の源
水は 島人により 日々
白い子宮に
水玉を 綿々と あらわす
1日かけて 泉をつくり
母体子宮を 流れた水は
地中に帰る
『 ねぇ ママ。 ここは、
そんな 美術館 です。』
生まれておめでとうございました。
明らかに、チャラそうなお兄さん
白いスーツを着て、
たれ目系の 『しけメン』だな。
ふつう顔 なのに、
イケメン風を そう 言うんだよ。
「あれ~?君達、白鷺くんと
香箱ちゃん だよねぇ。僕、
昨日 の 農村歌舞伎、見たよ~。
ここ でも、
ボランティアなんだぁ」
母親達が 受付の
休み時間を 奥で している 間
ユキノジョウと、ユリヤは
受付の 代わりを していた。
『レモンホテル』は、
黒い家が たくさんある集落、
島の キッチン 近くにある
アートの ホテルだった。
ホテルで、
体験の アートとかで、
昼間は アート体験の お客さんを
こうやって、
迎える。
で、
1日1組だけ 泊まれて、
その間も、アートの体験を
する みたい だけど、
支配人が
『泊まりの 間は、普段言ってない
気持ちを、言葉に するのが、
泊まる 人の ルールなんだよ。』
って、
言ってたから、ここは、
泊まっては いけない場所だ。
このダンジョンは
あぶない。
ユキノジョウは、
入ってきた、
お客さんに、
「こんにちわー。」
って、
あいさつを するユリヤを見た。
お客さんの
チケットかパスを 見て、
看板の せつめいを 見せる。
とりあえず 2人組になった
ペアに、
音声ガイドを わたす。
音声ガイドが、指令する まんま
進んでもらう。
だいたい、
受付の 仕事は
こんな 感じだ。
ホテルは レモンの飲み物 とか
飲むだけでも 出来て
さっき、
支配人さんが くれた
レモンサワーは
激シュワ おいしかった!
それで、
少し 人が切れてきたなぁって
ユリヤと アコと
さっき おばあちゃんに
地図を 書いてもらった
チラシを 見てたら、
「小学生ぃ?中学になるのかな?
昨日も 今日も ボランティアァ、
えらいねん~。」
なれなれしく、
話しかけてきた、白スーツ。
ユキノジョウも、
昨日の舞台の 1番うしろに、
白スーツがいたのは、
おぼえてた。
だって、
白スーツ。暗くなると、
よけい ボンヤリ 目立つだろ!
「ねぇ~。香箱ちゃんはぁ、
家庭的な 女の子なのかなぁ。
なんかね、
そんな 感じだよねぇ ~。」
?!!!っ!
「『おじさん』。ロリコン?」
こいつ、
ナンパ してきやがったぞ!!
ユリヤは ニブイから
わかってない 顔して
だまってる からな。
キケン!キケン!
「『おじさん』はやめてぇ。
きっと、20はぁ 離れてないよ
ん。まだ 『お兄さん』だよぉ。
あれ? もしかしてぇ、僕は、
おじさんに、なるのん~?!」
ざまぁみろ。
真っ青な マジ顔になった。
「じゃあ、『お兄さん』。
ペアの人と、この 音声ガイドを
つけて下さいよ。」
ユキノジョウは、
せつめいの 看板を 指さした。
「ええ~。今は、
1人なんだよん、
困ったなぁ~。」
白スーツしけメンめ、
全然 こまって そうじゃない。
「じゃあ、少し待って、
後から 来る人とかと、
ペアを お願いするとかに
なるんですけど、待ちますか?」
ユキノジョウは、
教えてもらった 言葉を 白スーツに
言っとく。 早口で!
まあ、どーしてもの 時は
1人で 回って もらうんだけどな。
なのに、
白シケメン野郎←これでいいや。
「あ!良いこと思いついたよん。
香箱ちゃん。僕と一緒に、回って
よ~。ほらペア誕生だよん。」
?!!っ!
こいつっ、キケン!キケン!
てか、母親達!フシンシャだぞ!
「ユリ、親達、呼んできて。」
タイキャク させるぞ!
ユキノジョウの言葉で
奥で まだ 休んでる
母親達を、呼びに ユリヤが 立つ。
と、
「おー兄さん!アコが ごいっしょ
しますか?」
すげー、いい顔して
アコのヤツが 白シケメン野郎の
白れースーツんすそを、
ひっぱった。
おぉ?!
グッジョブ?!か?
いや、妹を このフシンシャに
くっつけて、大丈夫なのか?
それとも、
時間かせぎ?
あー、ちげーな。これ。アコ、、
単に、シケメンも 好きってか。
「あれ~?こんなに可愛いレディ
なんてぇ 隠れていたのかい?
光栄だなぁ~。ペア~成立~。」
いや、いや、いや、
まて、まて、
なんで、
他に お客さん こないかな!!
げ!白シケメン野郎!
ふつーに、腕を出すとか
チャラい全開か?
アコが、
ハジメが くの字に出した
方腕に、なんの ためらいなく
手を 回す。
「お兄ちゃん!音声ガイド!」
アコが、ユキノジョウに
仕事を進めた時、
横から 副女さんの 声がした。
「ハジメさん? 久しぶりです。
今日もボランティアですか?」
「あれ~?副女さん? お久しぶり
ですねぇ。こちらは 副女さんの
お子様達でしたかぁ。奇遇~。」
ケラケラと、ハジメは
副女に 笑いかけた。
じと顔の ユキノジョウに、
副女さんが、
ハジメとは
芸術祭 ボランティアの 先で、
よく 顔を 会わせて、
馴染みに なったと
説明される。
まだ、
なっとくできない、
ユキノジョウを よそに、
ユキノジョウの 母親も、のんきに
「わ、アコ!さっそく、イケメン
ゲットね。」
「いや、会計女さん、DNAいなめ
ないでしょ。コレは 。」
とか、
やりとりを したり、
副女さんに、指摘されながら
よゆーで、アコを 送り出した。
白シケメン野郎が、
うれしそーな アコと
腕を組んで
ヒラヒラと、手を振って
音声ガイドの指示で
『レモンホテル』の 道順に
消える。
パーティーかよ。
結局、
この後 コーフン気味の アコと
戻ってきた 白シケメン野郎は、
母親達の 同意のもと
後半の空き時間を、
一緒に アートを
ユキノジョウ達も こみで、
見に行く事に
なって しまった。
決して 広く ない
島で
『袖ふれあう仲』 になると、
えんえん そこかしこで、
出会うという、
『島あるある』 ループの
ターンに、
ユキノジョウと、ハジメは
入った。
① 次に、進む
② 一旦セーブ
①を選択
副女さんと、ハジメが
芸術祭の ボランティアで
顔見知りだった 事で、
受付仕事を まだ 続行する
母親達は
体よく、子ども達を
ハジメに 預けたわけで。
「ハジメさん、、
オレは、ユキノジョウです。
で、ユリヤに、アコ、なんで。」
『白鷺くんと、香箱ちゃん』の
呼び名の ままな、
ハジメに、ユキノジョウが
挨拶めいて、指摘する。
ハジメの運転する、
白のオープンカーの 助手席に
ユキノジョウが 座り、
後部座席は、
ユリヤと アコが 並ぶ。
見る事さえ 初めての 車形に
ユキノジョウと アコは
歓声を あげて、
「120キロだすと~、ジェット
コースターみたいだよん~」
との ハジメの 言葉に、
ユリヤは 悲壮な顔を見せた。
「え!白鷺くん、ユキノジョウ?
香箱ちゃん~、ユリヤ?~
凄いねぇ、ぴったりだねぇ。
それで、檸檬に いたのぉ?
自転車のってぇ 旅するぅ?
何 それぇ~!夏休みの
主人公 だなぁ~。文学~!」
島での 時速は 30キロ程度。
オープンカーの風が お互いの声を 遮るが、
聞こえない 程ではない。
「あの! 意味、わかんないん
ですけど!!なんなんですか!」
「あは!
白鷺→ユキノジョウ
ユキノジョウ→基次郎。
香箱→ユリヤ
ユリヤ→レモン→爆弾!
なら、アコ→お姫さまってする?
でぇ僕→お坊ん で、いいよん~
ね?、白鷺ぃくん~?」
ハジメは、
その タレ目を ユキノジョウに
ウインクさせて 悪戯に 笑う。
ユキノジョウは、
この瞬間に どうでも、
良くなって、サイドミラーごしに
後ろを見てみる。
ユリヤが、体を前に
出してきたからだった。
「ハジメさん。それ。
本の話、ですか。レモンの。」
「あれん?香箱ちゃん、本好き?
それもぉ、なかなか渋いセンス?
う~ん、
3分の1だけぇ 当たり~!!」
ユキノジョウが、
隣の席で、 不機嫌な顔を作る。
白の オープンカーは、
青空と 緑の 下り坂を、
爽快に 走り抜け、
道を行く 人の視線を 拐って走る。
『わ、オープンカー!!』
程なく
シャッター音。
きっと、青を 背景に
白く光る バックスタイルを
写真に 撮っているに、
違いない。
「じゃあ~、渋い~文学少女の
香箱ちゃんはぁ
3つの時代のぉ ベストセラー本
知ってるかなあ?」
「あ、文学少女じゃないです。」
ユリヤが、
前のハジメの 肩を 叩いた。
勝手に話が、進みそうだと
考えたのだろう。が、
「ユリヤちゃん!がんばって!
ハジメさん!ユリヤちゃん、
学校で 1番頭いいんですよ!」
ユリヤに ガッツポーズを
見せて、空気を 読まない アコが
ハジメに 鼻息を 荒くした。
気が付くと、オープンカーは
麓にある、別の港町を 走る。
港町というより、
島の漁村といった、
喉かな 集落は、
焼板の 黒壁が 太陽に 照らされ
低い建物の 姿が
独特の 港を
浮き上がら せる。
ユキノジョウが 見ると、
いくつも ゴールが ある
バスケットゴールに、
旅人が、ボールを 投げていた。
「ジャンジャン♪
日本の 時代別 3大ベストセラー
江戸時代の ベストセラー本はぁ
『安房のお姫と八犬士のお話 』
だよん~♪」
ユキノジョウと アコは
キョトンと していたが、
ユリヤは すぐに タイトルを
ハジメに告げる。
「当ったり~! さすがぁ。
ジャンジャン♪ならぁ
明治時代の ベストセラー本はぁ
『日本の1万円札になってる人の
自由・独立・平等を 新しい
価値にぃ
身分じゃなくて、学問って本』
わかるかなぁ? 10人に1人は
読んでいたんだよん~。」
これは、
ユキノジョウと、アコも
紙幣人物である
著者を 言い 当てて、
ユリヤが 著した本を
やはり、言い 当てた。
「みんな~やるねぇ。
香箱ちゃん、学校1番!
なるほど
さてぇ、でもラストは
分からないだろうから、答え
言っちゃうねん~。」
そんな、
やり取りをしている間にも、
オープンカーは
たまに 水田や、
幾つもの 漁船留まりの
海沿いを
走り抜けていた。
「ジャンジャン♪
大正時代の ベストセラー本は、
なんと、
この島に いた人が書いた本~。
戦前かな?
みんなの 住んでる 神戸で
貧しい人が住んでた街にも
いてた 人なんだよ 。
ガンジーと、シュヴァイツァーに
並んで『3大聖人』て、
世界じゃあ、有名だった人の本は
戦争のあった 時代なのに
200版も重版してぇ、100万部も
売れたんだよん。って、知らない
よねぇ。 まあ、香箱ちゃんがぁ
大人になってぇ、思い出して~」
そう言って、
ハジメは ハンドルを握りながら
アハハと、笑顔になる。
ユキノジョウは、
その ハジメの横顔が、
小豆島で 会った
農村歌舞伎の青年の 横顔と
重って、後ろの
ユリヤを 振り返る。
「あ!!お兄ちゃん!
田んぼに、
白くて、足が 長い鳥が いる!」
アコが、山側に広がる 水田を
指さして、叫んだ。
「日本に 昔からいる、メダカが
いるんだよ~。
それを、狙ってるのかなん?
お姫さま、目がいいねぇん。」
海沿いに森がそこだけ
コンモリしている 神社横の
なんとか 通れる道を行くと、
だんだん、
アスファルトは
砂利道に 変わっている。
「もう、すぐだよん~。」
そう、ハジメが オープンカーを
操りながら、予告をした時
「あの、ハジメさん、さっきの人
神戸のコープ、作った人、
ですよね、、、
お母さんが、
その人、戦争の時、
ここに トラワレテ、いたって 」
ユリヤが、
後部座席から 答える。
白のオープンカーは、
白い砂浜に出た。
道は、そこで途切れて、
広場になっている。
ハジメは、
ハンドルを切って
『キッ。』っと
ブレーキする。
「到着~。ピンポンピンポン♪!
香箱ちゃん、当たりぃ。
さすがぁ、副女さん~。
ど~ゆ~つもりでぇ、
この島に
来たんだろうねぇ?
ねぇ~
君たちの 大人はさぁ?」