「皆さんで話しているところ失礼」
「シ、シドウさん」
いつの間にか、知らない間に霧が空間を埋め尽くすように音を立てず、シドウさんが私たちの前に姿を現した。
そして、キキョウさんの肩に長く白い指を置く。人差し指を、とん、とん、とんと一定のリズムでその肩の上で刻んでいる。
キキョウさんは動かない。
「真由さん。今度、僕に真由さんが作ったハーブティを飲ませてくれないかな? 僕に合うハーブを選んで欲しいね」
あくまでも穏やかに、通る声で話す。
「そ、それは……、まだまだ人に淹れられるようなものでは」
「へえ……じゃあ、嘘なんだ。カフェで話した皆を幸せにしたいっていう言葉」
まるで別人かのように、さっきとは違った低く冷たい声を出す。人差し指の速さが、先程よりも早くなる。
「嘘なんかじゃ」
「じゃあ、僕に淹れてくれるね?」
「……はい」
これも、シドウさんから私への試練なの? シドウさんはどうしてそこまで人間のことを恨んでいるの?
聞かせて欲しい、そしてその苦しみを少しでも私が昇華させてあげられることが出来れば、シドウさんだって苦しみの呪縛から解放されるはず……。
「さあ、キキョウ行こう」
「行かないよ」
キキョウさんは肩に乗るシドウさんの手を払った。
「真由さんの側にいる。災いが終息するまでは」
「へえ……分かったよ。弟にもそう言っておこう」
シドウさんさんは、その言葉を言うと厨房から出て行った。
「シ、シドウさん」
いつの間にか、知らない間に霧が空間を埋め尽くすように音を立てず、シドウさんが私たちの前に姿を現した。
そして、キキョウさんの肩に長く白い指を置く。人差し指を、とん、とん、とんと一定のリズムでその肩の上で刻んでいる。
キキョウさんは動かない。
「真由さん。今度、僕に真由さんが作ったハーブティを飲ませてくれないかな? 僕に合うハーブを選んで欲しいね」
あくまでも穏やかに、通る声で話す。
「そ、それは……、まだまだ人に淹れられるようなものでは」
「へえ……じゃあ、嘘なんだ。カフェで話した皆を幸せにしたいっていう言葉」
まるで別人かのように、さっきとは違った低く冷たい声を出す。人差し指の速さが、先程よりも早くなる。
「嘘なんかじゃ」
「じゃあ、僕に淹れてくれるね?」
「……はい」
これも、シドウさんから私への試練なの? シドウさんはどうしてそこまで人間のことを恨んでいるの?
聞かせて欲しい、そしてその苦しみを少しでも私が昇華させてあげられることが出来れば、シドウさんだって苦しみの呪縛から解放されるはず……。
「さあ、キキョウ行こう」
「行かないよ」
キキョウさんは肩に乗るシドウさんの手を払った。
「真由さんの側にいる。災いが終息するまでは」
「へえ……分かったよ。弟にもそう言っておこう」
シドウさんさんは、その言葉を言うと厨房から出て行った。