負けた。
勢力の趨勢を決する、絶対に負けてはならない戦に負けてしまった。
指揮していた部隊はことごとく千々に引き裂かれた。従ってくれた部下は泥濘に沈み、物言わぬ骸となった。
そして、私はずぶ濡れのまま山狩りから逃げ回っていた。
「居たか!」
「いや、こっちにはいない」
「探せ、まだ遠くには行っていないはずだ。『八雲の麒麟』と呼ばれた軍師。討ち取れば天蓮寺さまより銭三百貫の大手柄だ」
隠れた茂みの傍で交わされる言葉。
雨よりも冷たい言葉に、私はじっと身を潜める。見つかれば、足軽たちは槍や刀を私に突き立てることに躊躇などしないだろう。
「でもよ……ここは、白鉄の山だぞ。おっかねえよ」
ふと雨の中、そんな声がぽつりと漏れた。
「ああん? まさか、おめえ白鉄山の『人食い化け狐』の迷信でも信じているのか?」
「いや、人食い狐の話なんて……信じちゃいねえけどよ……山を登って行った奴らは、だれも帰ってこねえじゃねえかよ」
臆病者扱いされた、足軽が刀をふって否定する。
「…………へっ! ど、どうせ山で迷ってるだけさ」
その声で沈黙が落ち、松明の音だけが雨に混ざる。
ああ、ここは化け狐が支配するという曰く付きの白鉄山だったのか。
いつのまにか、そんな山奥にまで逃げ落ちてしまったのだと息を吐いた瞬間、草むらが音を立てる。
「ひっ!?……なんだ、ただの子狐じゃねえか。くそが、脅かしやがって! あっちに行きやがれ」
槍を握っていた足軽が、苛立ち紛れに獲物を突き出す。
「おいやめろ!」
制止する間もなく、狐の悲鳴が上がる。
(ひどいことをしますね)
無辜の獣に対する横暴な振る舞い。そんな非道に眉根にシワが寄るのを自覚しながら、音を立てぬようにゆっくりと匍匐前進で移動する。
あちこちの矢傷が痛み、疼くような熱を孕んでいる。早く治療せねば命に関わるだろう。
お屋形さまは無事だろうか。くつわを並べた仲間たちは、生きて逃げおおせただろうか。あの悪鬼がごとき強さの天蓮寺から、命を拾うことはできただろうか。
考える間に風雨はますます勢いを増し、容赦なく体温を奪っていく。
もはや太刀を握る力も弱く、具足もとうの昔に失ってしまった。
「ああ……これは、ありがたいですね」
ふと、茂みのなかにぽっかりと岩のくぼみを見つける。
なにかの祠のようにも見えるが、この際は気にしてはいられない。神仏のお導きだと思い、身を隠す。
「……はぁ、ここならしばらくは見つからないでしょう」
草木を掻き分けねば目に付かないであろう石の窪み。そこで丸くなっていると、なにか温かいものが触れた。
「……あなた、さっきの」
それは小狐だった。引きずった足には切り傷があり、そこからヒタヒタと血が流れている。足軽に斬りつけられたのだろう。
「天蓮寺の足軽たちは無粋なことをしますね。まだ子供ではないですか」
庇うように傷口を舐める小狐に手をのばすと、小狐は牙を剥いて威嚇をしてきた。
無理もない。ついさっき意味もなく、『人』に傷つけられたばかりなのだ。
「怯えなくても大丈夫です。治療するだけですよ」
私はそういって懐にしまいこんでいた残りのサラシを広げる。自分が巻くには小さすぎるが、小動物の傷を庇うことくらいは出来るだろう。
手の伸ばした瞬間噛まれた。
「くっ、すみません。怒るのも無理はないことですね……手当をするので、少し待ってください」
暴れる小狐に、血が滲み出した手で包帯を巻く。
キツすぎぬように丁寧に傷を抑えて、暴れる小狐に軟膏を塗って解放してやる。
「これで大丈夫ですよ」
ぎりっと睨むように距離を取った子狐は、ちらりと傷口に巻かれた包帯をみて不思議そうな顔をする。
「もう……見つかってはいけませんよ」
ジッとこちらを見つめる小狐を語りかけると、すぐに踵を返して暗い森へと姿を消しまう。
「気をつけるのですよ」
小狐はあっという間に見えなくなってしまったが、最後に一度だけ振り返ったのが印象的だった。
やがて雨の音が小さくなる。
「おい、今度はこっちだ。木のくぼみ、茂み、岩陰もくまなく探せ……ここであの軍師を取り逃がせば、無くなるのは我らの首。そう心得よ」
弱まった雨脚に胸をなでおろす暇もなく、その怒号はすぐ近くで聞こえた。
幸運を祈る間もなく、松明の宿す茜色の光が暗い岩窪の中にまで這い寄ってくる。
まずい、と太刀を取り脱兎のように駆け出した。
「いたぞ、あそこだ」
「回り込め、逃がすな」
怒号を背に息を切らし走る。失った体力など、ほとんど回復していない。
背後を照らす松明の光は、数えるのもバカバカしくなるほどだ。
「虎頭明王の裁きを受けるがいい」
行く手を遮るのは白頭巾。
天蓮寺の配下たる僧兵が、手にした薙刀を突き出してくる。
「遠慮しておきます」
「な、ぐっっっ!」
抜刀しつつ、鋭い突きを受け流して、脇下を斬りつけて駆け抜ける。
「こいつ、強いぞ……ぐぁっっ!?」
槍を振り上げる足軽の太ももに、脇差を投げつけて動きを止める。
足に刃物を生やすことになった足軽に、肩口からぶつかってひるませて、首を一刀にて堕とす。
「逃げるぞ。追え」
背後からの声から遠ざかるように、山中を駆ける。
息が切れる。心臓が破裂しそうだ。
「囲め、囲んでから仕留めろ」
「始末しろ」
追いすがるは敵ばかり。
まさに四面楚歌。逃げ場などどこにもないが、足掻く以外の選択肢などない。私は主君のもとに戻らねばならないのだ。
「イヤァァァァァァ、げあっ!?」
眼前を塞ぐ足軽の槍を躱して、その顔面を上下に両断する。
左右から同時に振るわれる薙刀を滑るようにかいくぐり、双方の片足を跳ね飛ばす。
「邪魔です」
立ちふさがるものを薙ぎ払い。追いつくものを斬り棄てる。
大金に目がくらんだ足軽が、主命を狂信する僧兵が行く手を阻む。
「げあっっっ!」
首を狩ろうとする剣刃を躱し、その命を断ち切る。
ここが戦場である以上、相手が老人であろうと元服したばかりのような少年でも、立ちはだかるであれば躊躇わず斬る。鉄火場で迷えば死ぬのはこちらなのだ。
「手強いぞ。同時にかかれ、ガッッッッ!」
仕掛けようとしていた僧兵の眼窩に、奪い取った脇差で一輪挿しを作り、更に山の奥へ。
「はぁ……はぁ……」
斬ったのはニ十を越えただろうか。
血に染まり、泥に穢れ、稀代の名軍師と呼ばれた人間がひどいありさまだ。
「ぐっ!」
背中に衝撃。この一日で何度も受けた矢の痛みが、肩口で灼熱を撒き散らす。
かまわず、行く手を塞いでいた僧兵を刀を振るう。
家宝の『禊丸』は、薙刀の太刃を小枝のように叩き折り、そのまま屈強な僧兵の首を宙に舞わせる。
「この、まだもがくか!」「虎頭明王の名のもとに!」
「戯言を語るな。破戒僧ッ!」
鉄棍が振り下ろされるより先に頭蓋を割り、禁じられた殺生に身を染める僧兵に両腕を斬り捨てる。
「ぎゃあああああああっ! 腕がぁぁぁっ」
鮮血を飛沫かせながら泥に沈んだ腕を探す僧兵の脇を抜け、駆けつける新手を振り払うように速度をあげる。
息が切れる、心臓がうるさい。
「くそ、こんなところで……死んで、たまるか」
薙ぎ払われる刃を切り落とし、驚愕する足軽の顔面に切っ先を叩き込む。
「貴様ッ、さっさと……ガッ」
追いついた僧兵が薙刀を振りかぶった隙に投石。具足のない脛を石で打擲して、怯んだ瞬間に刃を喉に奔らせる。
最後の断末魔もあげられず神仏のもとに旅立った僧に目配せもせず、坂を駆け上がる。
「は、ぁ……はぁ……ぐっ」
息が乱れる。体が重い。まるで、いくつもの具足をまとったかのようだ。
だが、死ねない。死ねないのだ。主君のもとに戻るまでは。
「ぐ、がっ」
無様にも生き延びようと足掻く私に、また矢が突き刺さる。
傷口は灼熱を撒き散らすのに、ひどく体は寒い。
「か、覚悟っ」
そこに突き出される槍の穂先。
いつもならば、苦もなく躱せるはずの稚拙な突きが脇腹をかすめて痛みを生み出す。
「しま、った」
そして、痛みに踏みとどまった足場が、不意に崩れ――そしてその先は崖だった。
背後が崖だったと気づいたときには全てが手遅れだった。
強い衝撃が身体を襲い、大きな水音が全身を包む。
冷たい水が全身を濡らし、濁流が肺腑へと容赦なく流れ込んでくる。
「がぼっ、げぁっ……」
何度も硬いものに体はぶつかり、上下のまるでわからなくなり、そして最後に強い衝撃が頭に走り、夜より深い闇が意識を呑みこんでいった。
※※※
勢力の趨勢を決する、絶対に負けてはならない戦に負けてしまった。
指揮していた部隊はことごとく千々に引き裂かれた。従ってくれた部下は泥濘に沈み、物言わぬ骸となった。
そして、私はずぶ濡れのまま山狩りから逃げ回っていた。
「居たか!」
「いや、こっちにはいない」
「探せ、まだ遠くには行っていないはずだ。『八雲の麒麟』と呼ばれた軍師。討ち取れば天蓮寺さまより銭三百貫の大手柄だ」
隠れた茂みの傍で交わされる言葉。
雨よりも冷たい言葉に、私はじっと身を潜める。見つかれば、足軽たちは槍や刀を私に突き立てることに躊躇などしないだろう。
「でもよ……ここは、白鉄の山だぞ。おっかねえよ」
ふと雨の中、そんな声がぽつりと漏れた。
「ああん? まさか、おめえ白鉄山の『人食い化け狐』の迷信でも信じているのか?」
「いや、人食い狐の話なんて……信じちゃいねえけどよ……山を登って行った奴らは、だれも帰ってこねえじゃねえかよ」
臆病者扱いされた、足軽が刀をふって否定する。
「…………へっ! ど、どうせ山で迷ってるだけさ」
その声で沈黙が落ち、松明の音だけが雨に混ざる。
ああ、ここは化け狐が支配するという曰く付きの白鉄山だったのか。
いつのまにか、そんな山奥にまで逃げ落ちてしまったのだと息を吐いた瞬間、草むらが音を立てる。
「ひっ!?……なんだ、ただの子狐じゃねえか。くそが、脅かしやがって! あっちに行きやがれ」
槍を握っていた足軽が、苛立ち紛れに獲物を突き出す。
「おいやめろ!」
制止する間もなく、狐の悲鳴が上がる。
(ひどいことをしますね)
無辜の獣に対する横暴な振る舞い。そんな非道に眉根にシワが寄るのを自覚しながら、音を立てぬようにゆっくりと匍匐前進で移動する。
あちこちの矢傷が痛み、疼くような熱を孕んでいる。早く治療せねば命に関わるだろう。
お屋形さまは無事だろうか。くつわを並べた仲間たちは、生きて逃げおおせただろうか。あの悪鬼がごとき強さの天蓮寺から、命を拾うことはできただろうか。
考える間に風雨はますます勢いを増し、容赦なく体温を奪っていく。
もはや太刀を握る力も弱く、具足もとうの昔に失ってしまった。
「ああ……これは、ありがたいですね」
ふと、茂みのなかにぽっかりと岩のくぼみを見つける。
なにかの祠のようにも見えるが、この際は気にしてはいられない。神仏のお導きだと思い、身を隠す。
「……はぁ、ここならしばらくは見つからないでしょう」
草木を掻き分けねば目に付かないであろう石の窪み。そこで丸くなっていると、なにか温かいものが触れた。
「……あなた、さっきの」
それは小狐だった。引きずった足には切り傷があり、そこからヒタヒタと血が流れている。足軽に斬りつけられたのだろう。
「天蓮寺の足軽たちは無粋なことをしますね。まだ子供ではないですか」
庇うように傷口を舐める小狐に手をのばすと、小狐は牙を剥いて威嚇をしてきた。
無理もない。ついさっき意味もなく、『人』に傷つけられたばかりなのだ。
「怯えなくても大丈夫です。治療するだけですよ」
私はそういって懐にしまいこんでいた残りのサラシを広げる。自分が巻くには小さすぎるが、小動物の傷を庇うことくらいは出来るだろう。
手の伸ばした瞬間噛まれた。
「くっ、すみません。怒るのも無理はないことですね……手当をするので、少し待ってください」
暴れる小狐に、血が滲み出した手で包帯を巻く。
キツすぎぬように丁寧に傷を抑えて、暴れる小狐に軟膏を塗って解放してやる。
「これで大丈夫ですよ」
ぎりっと睨むように距離を取った子狐は、ちらりと傷口に巻かれた包帯をみて不思議そうな顔をする。
「もう……見つかってはいけませんよ」
ジッとこちらを見つめる小狐を語りかけると、すぐに踵を返して暗い森へと姿を消しまう。
「気をつけるのですよ」
小狐はあっという間に見えなくなってしまったが、最後に一度だけ振り返ったのが印象的だった。
やがて雨の音が小さくなる。
「おい、今度はこっちだ。木のくぼみ、茂み、岩陰もくまなく探せ……ここであの軍師を取り逃がせば、無くなるのは我らの首。そう心得よ」
弱まった雨脚に胸をなでおろす暇もなく、その怒号はすぐ近くで聞こえた。
幸運を祈る間もなく、松明の宿す茜色の光が暗い岩窪の中にまで這い寄ってくる。
まずい、と太刀を取り脱兎のように駆け出した。
「いたぞ、あそこだ」
「回り込め、逃がすな」
怒号を背に息を切らし走る。失った体力など、ほとんど回復していない。
背後を照らす松明の光は、数えるのもバカバカしくなるほどだ。
「虎頭明王の裁きを受けるがいい」
行く手を遮るのは白頭巾。
天蓮寺の配下たる僧兵が、手にした薙刀を突き出してくる。
「遠慮しておきます」
「な、ぐっっっ!」
抜刀しつつ、鋭い突きを受け流して、脇下を斬りつけて駆け抜ける。
「こいつ、強いぞ……ぐぁっっ!?」
槍を振り上げる足軽の太ももに、脇差を投げつけて動きを止める。
足に刃物を生やすことになった足軽に、肩口からぶつかってひるませて、首を一刀にて堕とす。
「逃げるぞ。追え」
背後からの声から遠ざかるように、山中を駆ける。
息が切れる。心臓が破裂しそうだ。
「囲め、囲んでから仕留めろ」
「始末しろ」
追いすがるは敵ばかり。
まさに四面楚歌。逃げ場などどこにもないが、足掻く以外の選択肢などない。私は主君のもとに戻らねばならないのだ。
「イヤァァァァァァ、げあっ!?」
眼前を塞ぐ足軽の槍を躱して、その顔面を上下に両断する。
左右から同時に振るわれる薙刀を滑るようにかいくぐり、双方の片足を跳ね飛ばす。
「邪魔です」
立ちふさがるものを薙ぎ払い。追いつくものを斬り棄てる。
大金に目がくらんだ足軽が、主命を狂信する僧兵が行く手を阻む。
「げあっっっ!」
首を狩ろうとする剣刃を躱し、その命を断ち切る。
ここが戦場である以上、相手が老人であろうと元服したばかりのような少年でも、立ちはだかるであれば躊躇わず斬る。鉄火場で迷えば死ぬのはこちらなのだ。
「手強いぞ。同時にかかれ、ガッッッッ!」
仕掛けようとしていた僧兵の眼窩に、奪い取った脇差で一輪挿しを作り、更に山の奥へ。
「はぁ……はぁ……」
斬ったのはニ十を越えただろうか。
血に染まり、泥に穢れ、稀代の名軍師と呼ばれた人間がひどいありさまだ。
「ぐっ!」
背中に衝撃。この一日で何度も受けた矢の痛みが、肩口で灼熱を撒き散らす。
かまわず、行く手を塞いでいた僧兵を刀を振るう。
家宝の『禊丸』は、薙刀の太刃を小枝のように叩き折り、そのまま屈強な僧兵の首を宙に舞わせる。
「この、まだもがくか!」「虎頭明王の名のもとに!」
「戯言を語るな。破戒僧ッ!」
鉄棍が振り下ろされるより先に頭蓋を割り、禁じられた殺生に身を染める僧兵に両腕を斬り捨てる。
「ぎゃあああああああっ! 腕がぁぁぁっ」
鮮血を飛沫かせながら泥に沈んだ腕を探す僧兵の脇を抜け、駆けつける新手を振り払うように速度をあげる。
息が切れる、心臓がうるさい。
「くそ、こんなところで……死んで、たまるか」
薙ぎ払われる刃を切り落とし、驚愕する足軽の顔面に切っ先を叩き込む。
「貴様ッ、さっさと……ガッ」
追いついた僧兵が薙刀を振りかぶった隙に投石。具足のない脛を石で打擲して、怯んだ瞬間に刃を喉に奔らせる。
最後の断末魔もあげられず神仏のもとに旅立った僧に目配せもせず、坂を駆け上がる。
「は、ぁ……はぁ……ぐっ」
息が乱れる。体が重い。まるで、いくつもの具足をまとったかのようだ。
だが、死ねない。死ねないのだ。主君のもとに戻るまでは。
「ぐ、がっ」
無様にも生き延びようと足掻く私に、また矢が突き刺さる。
傷口は灼熱を撒き散らすのに、ひどく体は寒い。
「か、覚悟っ」
そこに突き出される槍の穂先。
いつもならば、苦もなく躱せるはずの稚拙な突きが脇腹をかすめて痛みを生み出す。
「しま、った」
そして、痛みに踏みとどまった足場が、不意に崩れ――そしてその先は崖だった。
背後が崖だったと気づいたときには全てが手遅れだった。
強い衝撃が身体を襲い、大きな水音が全身を包む。
冷たい水が全身を濡らし、濁流が肺腑へと容赦なく流れ込んでくる。
「がぼっ、げぁっ……」
何度も硬いものに体はぶつかり、上下のまるでわからなくなり、そして最後に強い衝撃が頭に走り、夜より深い闇が意識を呑みこんでいった。
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