近代日本における
『貴族』とは
明治に在した『華族』と
いわれ、その類は
出自や、明治政府誕生に
おける貢献などで、
報奨されたりなど
いくつかに分けられる。

江戸において公家に由来する
『堂上華族』、

江戸大名家に由来する
『大名華族』、

国家勲功により賜る
『新華族』、

公家出身で神僧籍から還俗した
『奈良華族』といった
『僧華族』『神門華族』、
である。

原則、華族は東京に住を
置く事が定められ、
華族の教育のために開校された
一環学院にて教育され
貴族院、帝国軍、明治政府官僚
そして皇邸庁といった公政務に
ついた。
多い時は110家ほどの華族が
名を連ねている。

皇族が婚姻を結ぶのも
華族からとなり、
華族は宮内庁管轄。
時代は
現代となり、華族制度は
終わり
旧華族の扱いである。

ハジメの母親は

還俗からの華族家から
元大蔵省を司る一族に
嫁いだが、
ハジメを出産して後に
治らない病により
離婚させらた。

旧華族の実家には戻らず、
ハジメと籍を興して
母親とハジメは
各地を静養巡礼するかのように
ホテル住まいをしていく。

そんな母子2人の
仮住まい生活も
ハジメが大学に通う頃
終演。

たった1人の家族でもあった
母親が 亡くなった。

本来なら 実家門から
重々たる送儀になるのを
ハジメと 母親付きの
執事と侍女で葬くり
相続の手続きをしていた中

毛色の違う封書を見つける。

西の財閥企業家、本人からの
ある学校への特待生支援の
寄付願い。

経緯はわからないが、
母親が 首都圏でもない
西の特殊な学校に
寄付者として名を連ねて

学校から遠く住し、尚且つ
女性旧華族の血縁である事に
縁を繋げてきたらしい。

母親が亡くなる数ヶ月前に
届いていたままに
なっていた封書。

唯一の家族であった
母親の死は辛く、
その中にあって整理に
忙殺される世界で
気力を削がれていた
ハジメは、

何もかも捨て置いて
封書を言い訳に
首都を出た。

気分転換や、慰労の旅に
出るなんて 今は
気持ちにならない。

母親は、沢山のモノを
残してくれた。

けれど、たった1人になった
孤独の中で
追い立てられるように
それらを
整理をする虚しさに
耐える煩雑さ、

胸に虚空を開けた
ような
生きてないような感情を
蓋している
自分を見続けるのも
限界になった。

何もかも滅茶苦茶になって
壊し巻くって
何処かに 行ってしまいたい。

誰かが待つ
そんなシガラミさえ
もうないくて 1人きり
誰か 片付けてくれよと
笑うしかないのか。

ハジメは、空笑いする
灰色になった世界から
少しだけ
自分を隔離したくなって

新幹線の
当日券を買った。
目指すは、西。

特殊な学校の 『名刺』だけを
手がかりに。