三学期になり、三年生達の進路指導は大詰めになる。進学を希望する生徒がいれば就職の道を選ぶ生徒もいる。

 学校の評価を考えると、進学するなら難易度の高い学校を、就職するなら大手の就職先を希望し、その夢を叶えてほしいところだ。しかし生徒のレベルや能力を学校側が上げるには限界があり、ましてや学習へのやる気なんてものは下手に関わると下げるだけとなってしまう。


 結局のところ、学校というものはサポートに過ぎない。生徒個人の努力で進路は決まる。

 努力をしても報われない生徒だっている。



「また、進路指導か……」


 今城先生はそんな生徒達に再度進路指導を受けさせる。でなければ彼らは浪人、もしくはフリーターという道を歩まなくてはならなくなり、学校の評価も落ちてしまう。


「合格率八十パーセントを切っている生徒は、大事をとってもう少しレベルを下げさせたほうがよろしいかと思います」

「いや、八十も怪しい。八十パーセントで去年も落ちたやつが数人いただろ」

「ええ。ですが、今城先生の精神面の負担は少なく済みます」


 報われない生徒達に、君が希望しているところは難しいと伝えるのはわりと心苦しいらしい。プレイヤーの今城先生は判断を下すだけで、それを伝えるのは教師陣の役割なのに。先生は苦しいと言う。感情移入をしてしまっている。

 今の現実を現実呼ばわりするだけのことはある。


「嫌な仕事より、生徒のことを考えてあげるのですね」