「行事は何をなさいますか?」


 言いたくないことを口に出した。

 ガイドとしては言わなくてはならないため、言わずに済ませることは残念ながら出来なかった。


 今城先生はやはり、目を細めてあからさまに嫌そうな顔を示す。前の現実で、仕事以外では丸一日中ゲームをしていた彼は根っからのインドア派だ。人付き合いも必要最低限に留め、集団行動を好まない。学生のときもそうだったのだろう。今彼の脳内ではきっと、学生時代の面倒な行事メモリーが途切れ途切れに再放送されている。ディスクは傷み、フル再生は幸い叶わないと推測。


「生徒達の行事ですよ? 今城先生はいつも通りここから観察するだけです。生徒の成績やステータス、設備のチェックとか色々。やるべき事は数えきれません」

「そうだった……。この学校で僕は行事に参加しなくていい。前準備も当日準備も作業も後片付けもしなくていいんだ」

「そんなに顔色を悪くして、頭抱えるほど嫌がらなくても……」


 面倒くさいのは分かるが、行事の日は授業がない分身体的疲労はプラマイゼロだったと記憶している。