どういう形であれ、他人の死に近づいているのだ。


だけど、鬱状態の人は自分自身の死を常に身近に存在している。


たとえ魂が汚れていたとしても、強烈な死の色にさえぎられて、あたしたちには見えなくなってしまうといわれている。


実際のところは、判断するための能力がないだけかもしれない。


「へぇ。色々とあるんだなぁ」


雄大はそう言うと、すぐに興味を失ったようにテレビ画面へと視線を戻したのだった。