「なにって、君だってもうわかってるんだろ? 美術部の部員たちはもう全員俺と関係を持っているよ?」


平山先生はネクタイを緩めて近づいてくる。


「嘘でしょ……」


「本当だよ。みんな次のコンテストで入賞したいから、必死だよ」


平山先生はジリジリと近づいてくる。


あたしは近くの机をなぎ倒して出口へと走った。


しかし、いつの間にか鍵がかけられていたのだ。


鍵を開ける手が震えて、モタモタと時間ばかりを食ってしまう。


その間に平山先生はあたしのすぐ後ろへ歩み寄り、あたしの体を抱きしめていた。


「嫌! 離して!」


「抵抗していいと思ってる? そんなことしたら、もうコンテストに参加できなくなるよ?」


それは悪魔のささやきだった。


あたしの体は完全に硬直してしまった。


全身から血の気が失せていき、鼓動ばかりが早くなる。