「陽菜」


呼ばれて顔を上げると、そこにはナオヤが立っていたのだ。


「ナオヤ、どうしてここにいるの!?」


「陽菜からの電話で、どうしてもユマのことが気になったんだ」


ナオヤは息を切らしてそう言った。


走ってきてくれたみたいだ。


途端に嬉しさがこみ上げてきて、ジワリと涙が滲んできた。


もうダメだ。


誰も救えないと思っていたけれど、あたしの言葉はちゃんとナオヤに届いていたのだ。


「ユマちゃんのお母さん! ナオヤが来てくれました!」


振り向くと、ユマちゃんのお母さんも泣いてしまいそうな顔をしていた。


「お願いします。ユマに会わせてください」


ナオヤはそう言い、深く頭を下げたのだった。