-side 田島亮-
現在、新聞部室の中央にある長机の周りには4つのパイプイスが並べられている。
そして俺と新聞部員3人がそれぞれパイプイスに座っているという状況だ。
ちなみに席は俺から見て正面にリンさん、右隣にアリス先輩、そして右斜め前に相川さん、という配置になっている。これはアリス先輩に指定された席配置だ。
そして机の上には何やらたくさんの文字が書かれた模造紙が置いてある。おそらくこれが新聞部特製オリジナル双六だろう。
「よーし!じゃあ早速ゲームを始めよう!」
アリス先輩はそう言うとポケットから小さいフィギュアのような物を4つ取り出し、模造紙上の『スタート』と書かれている場所に置いた。
盤上に置かれたミニフィギュア4つにはそれぞれ特徴があり、金髪の女の子のフィギュア、赤髪の女の子のフィギュア、黒髪の女の子のフィギュア、そして黒髪の男の子のフィギュアが1つずつあった。
...つーかこれ多分俺たちを模したミニフィギュアだろ。
しかも結構似てるじゃねえか。無駄に完成度高いなオイ。
「あのー、アリス先輩、このコマなんとなく俺たちに似てる気がするんですけど一体どうやって手に入れたんですか?」
「あー、このコマ?某有名玩具会社に特注で作ってもらったのよ」
「わざわざ今日のためだけにそんなことしてたんすか!?」
えぇ...バレンタインの時も思ったけど渋沢家の金の使い所おかしくないか...もっとまともなことに使えよ...
「そんなことどうでもいいからさっさと始めるアル」
「ワタクシも早く遊びたいであります!」
どうやら新聞部員2人はアリス先輩の特注品に対して全く動じていないようだ。多分長い間アリス先輩と一緒にいるからこんなことに一々驚いたりしないんだろう。
「よし!じゃあまずはジャンケンでサイコロをふる順番を決めましょうか!」
そして俺たちはアリス先輩の指示に従い、ジャンケンで順番を決めることになった。
さあ、いよいよ変人だらけの双六大会の開幕だ!
ーー---------------------ー
※ジャンケンの結果、サイコロをふる順番はアリス→リン→瀬奈→亮に決定。
アリス「よし、じゃあゲームスタート!まずは私の番ね!そりゃあっ!」
瀬奈「おー、いきなり6が出たのであります!さすが部長であります!」
アリス「えーっと、今止まったマスの内容は...『左隣の人が愛を囁いてくれる』ですって!」
亮「え?双六のマスって普通『一回休み』とか『2マス進む』とかですよね?何すかこの内容?」
リン「新聞部オリジナルだからそんなの関係ないネ。ほらお前、ごちゃごちゃ言わずにさっさと部長に愛を囁くアル」
亮「そういやアリス先輩の左隣って俺かぁぁ!」
アリス「ダーリン♪早くして♪」
亮「このマス作ったの絶対アリス先輩でしょ!席配置を指定してきたのもこの状況を作るためだろ!」
アリス「ソ、ソンナコトナイヨ」
亮「はあ...まあわかりましたよ。やりますよ」
アリス「あれ?もっと強く抵抗されると思ってた」
亮「まあ、一応ある程度の覚悟は決めてこのゲームに参加してるんで」
リン「ん?なんで覚悟が必要アルか?」
瀬奈「楽しいゲームだからそこまでの覚悟は必要ないと思うのであります!」
亮(いや、変人のアンタらとゲームするのって色々覚悟が必要なんだよ...)
アリス「じゃあダーリン!そろそろ愛を囁いてもらおうかしら!」
亮「はぁ...では失礼します...」
アリス「...ゴクリ」
亮「愛してるよ、アリス」
アリス「キャァァァ!!!!!」
亮「これでいいですかね...」
アリス「十分よ...これならダーリンに会えない春休みも乗り切れると思うわ...ウヘヘ、ウヘヘェ...」
亮「そ、そうですか...」
リン「じゃあ次はワタシの番ネ。エイッ」
アリス「3ね!」
リン「マスには『田島亮が自己紹介する』って書いてるネ」
亮「まさかの名指し!?」
アリス「いや、リンちゃんと瀬奈ちゃんとは初対面じゃん?だから自己紹介必要かなと思って」
亮「ピンポイントでそのマスに止まるのスゴイっすね...まあ別に頼まれれば双六関係なく自己紹介くらいしますけどね」
アリス「さっすがダーリン♪」
亮「では自己紹介をさせていただきます。俺の名前は田島亮です。趣味はゲームしたり漫画読んだりすることです。あとはアニメも結構見てます」
亮(普段はオタク趣味公開してないけどこの人達にならバレても多分引かれないだろ)
瀬奈「おー!田島くんとは気が合いそうであります!ワタクシも漫画やアニメは大好きであります!」
リン「ワタシも中国にいる時から日本のアニメは見てたアル。日本が誇るべき文化ネ」
アリス「私も漫画やアニメは大好きよ!」
亮「え...?もしかして新聞部の皆さんはオタクでいらっしゃいますか?」
アリス「まあそうなるわね」
亮「...俺の家に漫画とかアニメの円盤とか大量にあるんですけど今度来ます?」
アリス、リン、瀬奈「 「「行く!」」」
亮(なんか思わぬ形でオタク友達が出来たな...)
瀬奈「では次はワタクシの番であります!それっ!」
リン「4が出たアル」
瀬奈「えーっと、マスには『陶芸のおかげで集中力が研ぎ澄まされた!1マス進む』と書いてあるのであります!」
亮「誰が作ったのかすぐ分かるマスだな...」
アリス「はい、次はダーリンの番よ!」
亮「よーし、それっ!...って1かよ...」
リン「アハハ、ざまーみろアル」
亮(なんかこの子の口汚さにも慣れてきたな...)
亮「えーっと、マスの内容は『陶芸にどハマりする。3回休み』か...って休み多くね!?」
瀬奈「あ!またワタクシが作ったマスであります!」
亮「相川さん...3回は多いよ...」
瀬奈「陶芸にはそれだけどっぷりハマる魅力があるということであります!」
亮(君さっき陶芸のおかげで1マス進んでなかったっけ...)
〈1ターン目終了〉
【現在の順位】
1位 アリス(6マス)
2位 瀬奈(5マス)
3位 リン(3マス)
4位 亮(1マス)
-------------------------
〈そして3ターン後〉
【現在の順位】
1位 アリス(24マス)
2位 リン(15マス)
3位 瀬奈(14マス)
4位 亮(1マス)
亮「休みは終わったけどこれ絶対逆転するの無理だろ!」
アリス「まだ分からないじゃない!」
リン「部長の言う通りアル」
瀬奈「ネバーギブアップであります!」
亮「いや無理があるわ!つーかアリス先輩まだ6しか出してないじゃねえか!4回連続6を出すってどんな確率だよ!」
アリス「ふふ、きっとダーリンに愛を囁いてもらったおかげね!」
亮「俺の声に運気アップ効果があるなんて知らなかったです...」
リン「次は部長の番ネ」
アリス「よーし、それっ!」
亮「また6かよ!」
アリス「えーっと、『恋も部活も絶好調!2マス進む』だって」
亮「さらに進むのか...」
リン「次はワタシの番ネ。それっ」
亮「うわ、リンさんも6出た...」
リン「マスには『現世は競争社会。他人を蹴落とさなければならない。自分以外全員1マス戻る』って書いてあるネ」
亮「なんで双六にこんなシリアスなマスがあるんだよ...」
瀬奈「田島くん!早く自分のコマを1マス戻さないといけないのであります!」
亮「あ、そうだね。ってうわ、俺スタート地点に戻っちゃったよ...」
リン「5ターン目でスタート地点は草生えるネ」
亮「リンさん...リアルの会話でネット用語使うのはやめようね...」
瀬奈「次はワタクシの番であります!そりゃあっ!」
リン「4が出たアル」
瀬奈「えー、マスには『中華料理を食べて元気いっぱい!1マス進む』と書いてあるのであります!」
リン「そのマスはワタシが作ったアル」
瀬奈「リンちゃんに感謝であります!」
亮「俺どんどん置いていかれてるな...」
アリス「ダーリン元気出して!次はダーリンの番よ!」
亮「もう俺サイコロ振っても意味ない気がするんですけどね...まあちゃんと最後までやりますよ。それっ!」
リン「ププ、今度は2が出たアル。お前ほんと運無いネ」
亮「えー、マスの内容は...『中国旅行に行く。5回休み』...って5回!?」
リン「お前全然進まないネ」
亮「このマス作ったのリンさんだろ!さすがに5回はヤバイって!」
リン「中国は魅力がたくさんある国アル。旅行に行ったらしばらく帰りたくなくなるはずネ。それくらい休むのが当然アル」
亮「もう帰りたい...」
〈5ターン目終了〉
【現在の順位】
1位 アリス(31マス)
2位 リン(20マス)
3位 瀬奈(18マス)
4位 亮(2マス)
-------------------------
〈そして5ターン後〉
【現在の順位】
1位 アリス(61マス)※ゴールまであと2マス
2位 リン(38マス)
2位 瀬奈(38マス)
4位 亮 (2マス)
亮「5回休み終わったけど俺もう負けでいいです...」
リン「部長が強すぎるアル。ずっと6を出してるネ」
瀬奈「さすが部長であります!」
亮「いや、そのサイコロ絶対おかしいだろ...」
アリス「ほらダーリン元気出して!次のターンはダーリンからサイコロ振っていいから!」
亮「今更たかが数マス進んでも焼け石に水ですけどね...でも一応好意は受け取っておきます...そらっ!」
瀬奈「おー!6が出たのであります!」
亮「えぇ...今頃かよ...最初に出てくれよ...」
リン「ほら、さっさとマスの内容を読むアル」
亮「えーっと、え?なんだこれ?『大爆発』って書いてあるんだけど」
リン「あ、それワタシが作ったやつネ」
亮「大爆発ってどういう意味?」
リン「そのマスを踏んだ人は死人扱いになって強制最下位ネ。あとそのマスを誰かが踏んだ時点でゲームが終わるアル」
亮「えぇ...俺双六で死んだの初めてだわ...てかゲーム終わりかよ!」
アリス「いやー、楽しかったわね!」
瀬奈「はい!楽しかったのであります!」
亮「えぇ...誰もゲームが終わることに対して抗議しないのかよ...」
〈ゲーム終了〉
【最終順位】
1位 アリス(61マス)
2位 リン(38マス)
2位 瀬奈 (38マス)
4位 亮(死亡)
--------------------------
-side 田島亮-
ゲームを終えた俺たちはつい先ほどまで4人で後片付けをしていた。今、ちょうど後片付けが終わったところである。
そしてイスに座って一息ついていると俺の向かい側に座っているリンさんが声をかけてきた。
「ワタシと瀬奈はこの後職員室に用事があるから部長と田島は先に2人で帰ってもいいアル」
「うん、わかった。じゃあアリス先輩、帰りましょうか」
「そうね。じゃあ瀬奈ちゃん、リンちゃん、お先に失礼するね!」
そして帰ろうと思い、イスから立ち上がるとリンさんがまた俺に声をかけてきた。
「オイ、田島」
「リンさん、俺に何か用?」
「お前また部室に来るアルか?」
「え?急にどうしたの?」
「新聞部員以外の日本人でワタシと一緒に遊んでくれたのはお前が初めてアル。楽しかったからまた部室で一緒に遊んで欲しいアル」
なるほど。そういうことだったのか。なんだ、ただ口が悪いだけってわけじゃないんだな。素直でかわいいところもあるじゃないか。
「わかった。また部室にくるよ」
「本当アルか!?えへへ、嬉しいアル!」
リンさんは俺の返答に対してニッコリ笑って喜んでくれた。
この子の笑った顔初めて見たな...普通にかわいいじゃねえか...
「田島くん!ワタクシも楽しかったのであります!」
俺がリンさんとの会話を終えると、今度は相川さんが俺の側に歩いて来た。
「実はワタクシは同学年の友達が全然いないのであります。だから同級生と遊ぶのは久しぶりだったのでとても楽しかったのであります。今後も友達として親しくしてくれたら嬉しいのですが...」
「はは、何言ってるんだよ。一回一緒に遊んだんだから俺たちはもうとっくに友達だよ。これからもよろしくね」
「うわーん!田島くん良い人過ぎるのでありますー!」
そう言うとなぜか相川さんがいきなり俺に抱きついてきた。
「ちょ、相川さん!?」
え!?いきなり何してんの子!?
...でも年相応に膨らんでいる胸が押し付けられる感触は非常に心地よい。しばらく続けてもらおうじゃないか。
「ちょっと瀬奈ちゃん!いくら友達が出来て嬉しいからってダーリンに抱きつくのはダメ!離れてぇ!」
俺が無抵抗でいると、隣にいたアリス先輩が慌てて俺から相川さんを引き剥がした。
「あ、田島くん!ごめんなさいであります!つい嬉しくて...」
俺から離れた相川さんは顔を真っ赤にしながら俺に謝ってきた。
...あれ?変人な部分ばかり見てたけどさ、もしかして新聞部員って2人とも普通にかわいかったりする?
「ダーリン?なんでニヤニヤしてるの?」
「えっ!?べ、別にニヤニヤなんてしてませんけど?」
「ふん!どうせ2人のことをかわいいなぁとか思ってたんでしょ!」
「い、いや!そういうわけでは...」
え、なに心の声が聞こえてんの?この人の観察眼凄過ぎて怖いんだけど。
「はい!じゃあもう2人との用事は済んだみたいだしダーリン帰るよ!」
アリス先輩はそう言うといきなり俺の右腕を掴んできた。
「え!?なんでいきなり腕掴むんですか!?あ、ちょっと!痛いから引っ張らないでくださいよぉぉ!」
そしてアリス先輩はそのまま俺の腕を引っ張って部室の外に引きずり出した。
「先輩?いきなりどうしたんですか?」
「ダーリンがあの子たちばかり見るから...」
「え?何か言いました?」
「いや!なんでもないの!急にこんなことしてごめんね!」
「いや、まあそれはいいんですけど...」
「ダーリン、今日は部室に来てくれてありがとうね」
「いえいえ。でもなんで俺を呼び出したんですか?双六なら3人でも出来ましたよね?」
「確かに双六は3人でも出来たわ。でも私がダーリンを呼んだ本当の理由は双六を一緒にするためじゃないのよ」
...え?じゃあ本当の理由って何なんすか?
現在、新聞部室の中央にある長机の周りには4つのパイプイスが並べられている。
そして俺と新聞部員3人がそれぞれパイプイスに座っているという状況だ。
ちなみに席は俺から見て正面にリンさん、右隣にアリス先輩、そして右斜め前に相川さん、という配置になっている。これはアリス先輩に指定された席配置だ。
そして机の上には何やらたくさんの文字が書かれた模造紙が置いてある。おそらくこれが新聞部特製オリジナル双六だろう。
「よーし!じゃあ早速ゲームを始めよう!」
アリス先輩はそう言うとポケットから小さいフィギュアのような物を4つ取り出し、模造紙上の『スタート』と書かれている場所に置いた。
盤上に置かれたミニフィギュア4つにはそれぞれ特徴があり、金髪の女の子のフィギュア、赤髪の女の子のフィギュア、黒髪の女の子のフィギュア、そして黒髪の男の子のフィギュアが1つずつあった。
...つーかこれ多分俺たちを模したミニフィギュアだろ。
しかも結構似てるじゃねえか。無駄に完成度高いなオイ。
「あのー、アリス先輩、このコマなんとなく俺たちに似てる気がするんですけど一体どうやって手に入れたんですか?」
「あー、このコマ?某有名玩具会社に特注で作ってもらったのよ」
「わざわざ今日のためだけにそんなことしてたんすか!?」
えぇ...バレンタインの時も思ったけど渋沢家の金の使い所おかしくないか...もっとまともなことに使えよ...
「そんなことどうでもいいからさっさと始めるアル」
「ワタクシも早く遊びたいであります!」
どうやら新聞部員2人はアリス先輩の特注品に対して全く動じていないようだ。多分長い間アリス先輩と一緒にいるからこんなことに一々驚いたりしないんだろう。
「よし!じゃあまずはジャンケンでサイコロをふる順番を決めましょうか!」
そして俺たちはアリス先輩の指示に従い、ジャンケンで順番を決めることになった。
さあ、いよいよ変人だらけの双六大会の開幕だ!
ーー---------------------ー
※ジャンケンの結果、サイコロをふる順番はアリス→リン→瀬奈→亮に決定。
アリス「よし、じゃあゲームスタート!まずは私の番ね!そりゃあっ!」
瀬奈「おー、いきなり6が出たのであります!さすが部長であります!」
アリス「えーっと、今止まったマスの内容は...『左隣の人が愛を囁いてくれる』ですって!」
亮「え?双六のマスって普通『一回休み』とか『2マス進む』とかですよね?何すかこの内容?」
リン「新聞部オリジナルだからそんなの関係ないネ。ほらお前、ごちゃごちゃ言わずにさっさと部長に愛を囁くアル」
亮「そういやアリス先輩の左隣って俺かぁぁ!」
アリス「ダーリン♪早くして♪」
亮「このマス作ったの絶対アリス先輩でしょ!席配置を指定してきたのもこの状況を作るためだろ!」
アリス「ソ、ソンナコトナイヨ」
亮「はあ...まあわかりましたよ。やりますよ」
アリス「あれ?もっと強く抵抗されると思ってた」
亮「まあ、一応ある程度の覚悟は決めてこのゲームに参加してるんで」
リン「ん?なんで覚悟が必要アルか?」
瀬奈「楽しいゲームだからそこまでの覚悟は必要ないと思うのであります!」
亮(いや、変人のアンタらとゲームするのって色々覚悟が必要なんだよ...)
アリス「じゃあダーリン!そろそろ愛を囁いてもらおうかしら!」
亮「はぁ...では失礼します...」
アリス「...ゴクリ」
亮「愛してるよ、アリス」
アリス「キャァァァ!!!!!」
亮「これでいいですかね...」
アリス「十分よ...これならダーリンに会えない春休みも乗り切れると思うわ...ウヘヘ、ウヘヘェ...」
亮「そ、そうですか...」
リン「じゃあ次はワタシの番ネ。エイッ」
アリス「3ね!」
リン「マスには『田島亮が自己紹介する』って書いてるネ」
亮「まさかの名指し!?」
アリス「いや、リンちゃんと瀬奈ちゃんとは初対面じゃん?だから自己紹介必要かなと思って」
亮「ピンポイントでそのマスに止まるのスゴイっすね...まあ別に頼まれれば双六関係なく自己紹介くらいしますけどね」
アリス「さっすがダーリン♪」
亮「では自己紹介をさせていただきます。俺の名前は田島亮です。趣味はゲームしたり漫画読んだりすることです。あとはアニメも結構見てます」
亮(普段はオタク趣味公開してないけどこの人達にならバレても多分引かれないだろ)
瀬奈「おー!田島くんとは気が合いそうであります!ワタクシも漫画やアニメは大好きであります!」
リン「ワタシも中国にいる時から日本のアニメは見てたアル。日本が誇るべき文化ネ」
アリス「私も漫画やアニメは大好きよ!」
亮「え...?もしかして新聞部の皆さんはオタクでいらっしゃいますか?」
アリス「まあそうなるわね」
亮「...俺の家に漫画とかアニメの円盤とか大量にあるんですけど今度来ます?」
アリス、リン、瀬奈「 「「行く!」」」
亮(なんか思わぬ形でオタク友達が出来たな...)
瀬奈「では次はワタクシの番であります!それっ!」
リン「4が出たアル」
瀬奈「えーっと、マスには『陶芸のおかげで集中力が研ぎ澄まされた!1マス進む』と書いてあるのであります!」
亮「誰が作ったのかすぐ分かるマスだな...」
アリス「はい、次はダーリンの番よ!」
亮「よーし、それっ!...って1かよ...」
リン「アハハ、ざまーみろアル」
亮(なんかこの子の口汚さにも慣れてきたな...)
亮「えーっと、マスの内容は『陶芸にどハマりする。3回休み』か...って休み多くね!?」
瀬奈「あ!またワタクシが作ったマスであります!」
亮「相川さん...3回は多いよ...」
瀬奈「陶芸にはそれだけどっぷりハマる魅力があるということであります!」
亮(君さっき陶芸のおかげで1マス進んでなかったっけ...)
〈1ターン目終了〉
【現在の順位】
1位 アリス(6マス)
2位 瀬奈(5マス)
3位 リン(3マス)
4位 亮(1マス)
-------------------------
〈そして3ターン後〉
【現在の順位】
1位 アリス(24マス)
2位 リン(15マス)
3位 瀬奈(14マス)
4位 亮(1マス)
亮「休みは終わったけどこれ絶対逆転するの無理だろ!」
アリス「まだ分からないじゃない!」
リン「部長の言う通りアル」
瀬奈「ネバーギブアップであります!」
亮「いや無理があるわ!つーかアリス先輩まだ6しか出してないじゃねえか!4回連続6を出すってどんな確率だよ!」
アリス「ふふ、きっとダーリンに愛を囁いてもらったおかげね!」
亮「俺の声に運気アップ効果があるなんて知らなかったです...」
リン「次は部長の番ネ」
アリス「よーし、それっ!」
亮「また6かよ!」
アリス「えーっと、『恋も部活も絶好調!2マス進む』だって」
亮「さらに進むのか...」
リン「次はワタシの番ネ。それっ」
亮「うわ、リンさんも6出た...」
リン「マスには『現世は競争社会。他人を蹴落とさなければならない。自分以外全員1マス戻る』って書いてあるネ」
亮「なんで双六にこんなシリアスなマスがあるんだよ...」
瀬奈「田島くん!早く自分のコマを1マス戻さないといけないのであります!」
亮「あ、そうだね。ってうわ、俺スタート地点に戻っちゃったよ...」
リン「5ターン目でスタート地点は草生えるネ」
亮「リンさん...リアルの会話でネット用語使うのはやめようね...」
瀬奈「次はワタクシの番であります!そりゃあっ!」
リン「4が出たアル」
瀬奈「えー、マスには『中華料理を食べて元気いっぱい!1マス進む』と書いてあるのであります!」
リン「そのマスはワタシが作ったアル」
瀬奈「リンちゃんに感謝であります!」
亮「俺どんどん置いていかれてるな...」
アリス「ダーリン元気出して!次はダーリンの番よ!」
亮「もう俺サイコロ振っても意味ない気がするんですけどね...まあちゃんと最後までやりますよ。それっ!」
リン「ププ、今度は2が出たアル。お前ほんと運無いネ」
亮「えー、マスの内容は...『中国旅行に行く。5回休み』...って5回!?」
リン「お前全然進まないネ」
亮「このマス作ったのリンさんだろ!さすがに5回はヤバイって!」
リン「中国は魅力がたくさんある国アル。旅行に行ったらしばらく帰りたくなくなるはずネ。それくらい休むのが当然アル」
亮「もう帰りたい...」
〈5ターン目終了〉
【現在の順位】
1位 アリス(31マス)
2位 リン(20マス)
3位 瀬奈(18マス)
4位 亮(2マス)
-------------------------
〈そして5ターン後〉
【現在の順位】
1位 アリス(61マス)※ゴールまであと2マス
2位 リン(38マス)
2位 瀬奈(38マス)
4位 亮 (2マス)
亮「5回休み終わったけど俺もう負けでいいです...」
リン「部長が強すぎるアル。ずっと6を出してるネ」
瀬奈「さすが部長であります!」
亮「いや、そのサイコロ絶対おかしいだろ...」
アリス「ほらダーリン元気出して!次のターンはダーリンからサイコロ振っていいから!」
亮「今更たかが数マス進んでも焼け石に水ですけどね...でも一応好意は受け取っておきます...そらっ!」
瀬奈「おー!6が出たのであります!」
亮「えぇ...今頃かよ...最初に出てくれよ...」
リン「ほら、さっさとマスの内容を読むアル」
亮「えーっと、え?なんだこれ?『大爆発』って書いてあるんだけど」
リン「あ、それワタシが作ったやつネ」
亮「大爆発ってどういう意味?」
リン「そのマスを踏んだ人は死人扱いになって強制最下位ネ。あとそのマスを誰かが踏んだ時点でゲームが終わるアル」
亮「えぇ...俺双六で死んだの初めてだわ...てかゲーム終わりかよ!」
アリス「いやー、楽しかったわね!」
瀬奈「はい!楽しかったのであります!」
亮「えぇ...誰もゲームが終わることに対して抗議しないのかよ...」
〈ゲーム終了〉
【最終順位】
1位 アリス(61マス)
2位 リン(38マス)
2位 瀬奈 (38マス)
4位 亮(死亡)
--------------------------
-side 田島亮-
ゲームを終えた俺たちはつい先ほどまで4人で後片付けをしていた。今、ちょうど後片付けが終わったところである。
そしてイスに座って一息ついていると俺の向かい側に座っているリンさんが声をかけてきた。
「ワタシと瀬奈はこの後職員室に用事があるから部長と田島は先に2人で帰ってもいいアル」
「うん、わかった。じゃあアリス先輩、帰りましょうか」
「そうね。じゃあ瀬奈ちゃん、リンちゃん、お先に失礼するね!」
そして帰ろうと思い、イスから立ち上がるとリンさんがまた俺に声をかけてきた。
「オイ、田島」
「リンさん、俺に何か用?」
「お前また部室に来るアルか?」
「え?急にどうしたの?」
「新聞部員以外の日本人でワタシと一緒に遊んでくれたのはお前が初めてアル。楽しかったからまた部室で一緒に遊んで欲しいアル」
なるほど。そういうことだったのか。なんだ、ただ口が悪いだけってわけじゃないんだな。素直でかわいいところもあるじゃないか。
「わかった。また部室にくるよ」
「本当アルか!?えへへ、嬉しいアル!」
リンさんは俺の返答に対してニッコリ笑って喜んでくれた。
この子の笑った顔初めて見たな...普通にかわいいじゃねえか...
「田島くん!ワタクシも楽しかったのであります!」
俺がリンさんとの会話を終えると、今度は相川さんが俺の側に歩いて来た。
「実はワタクシは同学年の友達が全然いないのであります。だから同級生と遊ぶのは久しぶりだったのでとても楽しかったのであります。今後も友達として親しくしてくれたら嬉しいのですが...」
「はは、何言ってるんだよ。一回一緒に遊んだんだから俺たちはもうとっくに友達だよ。これからもよろしくね」
「うわーん!田島くん良い人過ぎるのでありますー!」
そう言うとなぜか相川さんがいきなり俺に抱きついてきた。
「ちょ、相川さん!?」
え!?いきなり何してんの子!?
...でも年相応に膨らんでいる胸が押し付けられる感触は非常に心地よい。しばらく続けてもらおうじゃないか。
「ちょっと瀬奈ちゃん!いくら友達が出来て嬉しいからってダーリンに抱きつくのはダメ!離れてぇ!」
俺が無抵抗でいると、隣にいたアリス先輩が慌てて俺から相川さんを引き剥がした。
「あ、田島くん!ごめんなさいであります!つい嬉しくて...」
俺から離れた相川さんは顔を真っ赤にしながら俺に謝ってきた。
...あれ?変人な部分ばかり見てたけどさ、もしかして新聞部員って2人とも普通にかわいかったりする?
「ダーリン?なんでニヤニヤしてるの?」
「えっ!?べ、別にニヤニヤなんてしてませんけど?」
「ふん!どうせ2人のことをかわいいなぁとか思ってたんでしょ!」
「い、いや!そういうわけでは...」
え、なに心の声が聞こえてんの?この人の観察眼凄過ぎて怖いんだけど。
「はい!じゃあもう2人との用事は済んだみたいだしダーリン帰るよ!」
アリス先輩はそう言うといきなり俺の右腕を掴んできた。
「え!?なんでいきなり腕掴むんですか!?あ、ちょっと!痛いから引っ張らないでくださいよぉぉ!」
そしてアリス先輩はそのまま俺の腕を引っ張って部室の外に引きずり出した。
「先輩?いきなりどうしたんですか?」
「ダーリンがあの子たちばかり見るから...」
「え?何か言いました?」
「いや!なんでもないの!急にこんなことしてごめんね!」
「いや、まあそれはいいんですけど...」
「ダーリン、今日は部室に来てくれてありがとうね」
「いえいえ。でもなんで俺を呼び出したんですか?双六なら3人でも出来ましたよね?」
「確かに双六は3人でも出来たわ。でも私がダーリンを呼んだ本当の理由は双六を一緒にするためじゃないのよ」
...え?じゃあ本当の理由って何なんすか?