しかもさ、と彼女は、

「だってライダーさんには、悪い人少ないって聞いたことあるし」

 何を根拠なのかは知らないが、

「それにさ、そのヘルメット」

 と彼女が指差す先には、予備にとホルダーに下げてある、ハーフのピンクのヘルメットがあった。

「たぶん彼女さんのなんだろうけど」

 そこで初めて彼女は笑った。