古来から、
人が生まれる時間、死の時間、と
潮の満ちる時間、引く時間の関係を 「知期表」として、表し体系する流れがあった。
現在も臨床の場で 意識されることも、少なくない。

月と太陽、地球にて引力が働く中、海洋は その引力により、高速度の潮流をつくる。

引力は、地球における海洋のみならず、巨大な湖にも働きかける。

琵琶湖は 100万年以上前から存在する、世界でも数少ない 古代湖でもある。
それ故 、湖底には100以上の遺跡も内包する。

注ぎ込む支流は、約460河川。
歴史の中で、水上航路として活用され、湖岸には 多数の港がある。

日本海の若狭湾から 陸揚げされた物品は、琵琶湖から、京、大坂、瀬戸内海へと運ばれてきた。

県内一級河川、琵琶湖。
それだけ、支流が流れ込むにも、関わらず、出流川は、たった1つ。
瀬田川のみである。
その為、滋賀には 二級河川が存在しない。

そんな
海ではなき 琵琶湖にも、
『満ち引き』は存在する。

潮のような大きな、水位変化ではなく、
引力による震え、

『精震』である。

それは、常より 琵琶湖と共に生きる人々が ようやく感じる事が
出来る わずかな 潮流である。

時間は30分ほど。
わずかな時間であっても、
その震えは 水中を泳ぐモノ、
水上を行くモノに
体感として 伝わる。

潮のリズムと、
人の呼吸のリズムは同じ。

鮭は、満ち潮の時に 遡上して、
産卵をする。

人は月の引力に押されるように、

生まれ、引かれるように 逝く。

水上から顔を出して、
息をして 生まれた人は、

逝く時、潜るように、
大きく息をを吸い込んで、
終わる。


シオンが、夏。
水中で抗うことが叶わなかった
流れは、

マザーレイクの 震え
だったのだろうか。