一週間前──
「で、この前の合コンどうだったの!?」
「それがさ~、ハズレばっかで行って損したよぉ~」
「ねぇ聞いて、彼ったら最近ホント構ってくれなくて……」
「それって、浮気されてんじゃないの?」
私は会社の食堂にいた。
いつものお昼休み。
仲の良い同僚達と、同じピンクの制服を着て、みんなで同じA定食を食べる。
そして、私以外の二人は恋愛トークを弾ませていた。
「で、小夜は?」
そう言って私の方に話を振るのは、飯島尚子(いいじましょうこ)ちゃん。
同期で一番仲が良い、付き合って半年の彼がいる。
「えっ? 私……?」
「小夜ちゃんも合コン行こうよ~」
上目遣いで誘って来たのは、織部美里(おりべみさと)さん。
一年先輩で、彼氏いない歴一年。
最近よく合コンの話をしているが、未だ成果はないらしい。
「私は別にいーや……」
「はぁ~っ……またそんな事言って……」
尚子ちゃんはやれやれと溜息を吐く。
「だって、別に彼氏とか今は欲しくない」
「え~っ! なんでっなんでっ!?」
美里さんは私の方へと、身を乗り出した。
「……めんどくさいし」
「あのね~小夜、めんどくさいってそんな付き合う前から言ってちゃ元も子もないじゃない?」
「そうだけど……」
「小夜ちゃんいつから彼氏いないの~?」
「……えっと、高校の時からだから10年くらい……」
「じゅ、10年っ!?」
「そっ! 小夜ってばもう10年も恋愛してないんだって」
「うわぁ……それはある意味すごいかも」
二人は私を見てから顔を見合わせ、険しい表情になり再び私の方を真剣な表情で見つめた。
「小夜、悪い事は言わないから……あたしが紹介したあげる! ともかく彼氏作ろう!」
「小夜ちゃん、明日合コンセッティングするから、ね! 彼氏一緒に探そう!」
「えぇっ!? だから、いーってば!!」
「小夜!」
「小夜ちゃん!」
いつになく推しの強い二人の提案を、それでも私は首を振って拒否した。
「あ、あのね、二人の気持ちはありがたいんだけど……私、やっぱり恋愛は苦手っていうか」
「苦手?」
同時に二人はハモっていた。
息ピッタリだな~とかこんな時に、関係ない事をつい思ってしまう。
「あっ……うん……昔ね、高校の時その付き合ってた人に、こっぴどくフラれちゃって……」
「高校の時?」
「う、うん……尚子ちゃん顔怖いよ」
「10年前の話よね?」
「は、はい……美里さんも……なんでそんなっ……」
「「そんな昔の事いつまで言ってんのっ!?」」
ピッタリハモった。