あらかじめ同伴者が居る事は至に伝えてあったので、菊理がタカオを連れて現れても、至はそれほどうろたえはしなかった。
会見場所に個室を選んだのも、何かを見越しての事だったとも思える。
さすが、若社長はあらゆる場面でソツが無い。
手配をした女性秘書が、至のプライベートルームに出入りしていても驚かないほどに、気の利いた差配だった。
「ふーん……」
至は、タカオの頭からつま先までを値踏みするように見た。ドレスコードの無いカジュアルな和会席の店ではあるが、白い綿シャツにオリーブカーキのチノパンではとりつくろいようがない。なにしろジャケットやタイを見繕う時間は無かった。
それでも、それなりに見えてしまうのは、タカオのスタイルの良さだろう。
「ちょっと意外だ、君はサピオセクシャルなタイプだと思っていたからね」
「さ……ピオ? って何だ? 絆創膏か?」
「うん、それは多分サビオだね、タカオ……」
タカオと菊理のやりとりに、至は毒気を抜かれたのか思わず吹き出し、そのまましばらく笑い転げていた。
「なんだこいつ、人の顔見て笑うなんてシツレーな奴だな」
ぽつりとタカオが言い、菊理もまったく同感だという様子で力強く頷いてみせた。
会見場所に個室を選んだのも、何かを見越しての事だったとも思える。
さすが、若社長はあらゆる場面でソツが無い。
手配をした女性秘書が、至のプライベートルームに出入りしていても驚かないほどに、気の利いた差配だった。
「ふーん……」
至は、タカオの頭からつま先までを値踏みするように見た。ドレスコードの無いカジュアルな和会席の店ではあるが、白い綿シャツにオリーブカーキのチノパンではとりつくろいようがない。なにしろジャケットやタイを見繕う時間は無かった。
それでも、それなりに見えてしまうのは、タカオのスタイルの良さだろう。
「ちょっと意外だ、君はサピオセクシャルなタイプだと思っていたからね」
「さ……ピオ? って何だ? 絆創膏か?」
「うん、それは多分サビオだね、タカオ……」
タカオと菊理のやりとりに、至は毒気を抜かれたのか思わず吹き出し、そのまましばらく笑い転げていた。
「なんだこいつ、人の顔見て笑うなんてシツレーな奴だな」
ぽつりとタカオが言い、菊理もまったく同感だという様子で力強く頷いてみせた。