~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〇 学校に行きたくない
〇 いじめられたくない
〇 歌う怖さを消したい
〇 勉強したくない
〇 暑いのが嫌だ
〇 寒すぎるのも嫌だ
〇 新しい洋服が欲しい
〇 最後の大会当日に戻りたい
〇 お小遣いを上げてほしい
〇 学校なんて消えてしまえ
〇 好きなことだけしていたい
〇 傷つきたくない
〇 事故に遭った日の大会で、金賞を獲りたかった
〇 …………………………………………
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
思いつくまま書き出した。乱れている呼吸で、自分が呼吸し忘れていたことを自覚した。
息を整えながら、書き出した欲しいものややりたいこと、願いをじっと眺めた。
この中から、三つ、選ばなきゃ……。
特に叶えたいものはなんだろうと考えていると、いくつかの願い事の筆圧がやけに強く、濃く浮き上がってくるように見えた。
「最後の大会当日に戻りたい」と「事故に遭った日の大会で、金賞を獲りたかった」、そして、「いじめられたくない」の三つ。
最初の二つはほぼ同じだから、「大会当日に戻って、金賞を獲りたい」でも成立するよね。
まとめた願い事を、スマホに映し出されたままのサイトのフォームに書き込んだ。
**********************
↓ 送信フォームはこちら ↓
~~~~~~~~~~~~~~~~~
名前:佐々木 夕夏
連絡先:〇〇〇〇〇@△△△.com
初めまして。電車の広告で見かけて、試しに送ることにしました。
私の願い事は二つ、最後の一つはまだ分からないので、あとで送ります。
一つめは、今年の冬に出るはずだった合唱の大会に出て、そこで金賞を獲らせてほしいこと。
二つめは、今いじめを受けているから、いじめられない学校生活にしてほしいこと。
もしも、神様がいるなら、私の願いを叶えてください。
よろしくお願いします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本当に、問題なければ以下の送信ボタンを押してください。
[送信]
**********************
「本当に」
そこだけが妙に引っかかって、右手の親指は、あとは押すだけのボタンに近づけないままでいた。
スマホを持つ両手が、小刻みに震えている。
本当に、の深い意味は分からない。考えられない。……考えたくない。
「夕夏ー!夕ごはんだから降りてきなさい!」
お母さんの少し怒り気味の声に驚いて、椅子から立ち上がった勢いのまま、送信ボタンを押してしまった。
同時に、急に視界がぐわんぐわんと揺れて、目の前に見えているはずの画面が気持ち悪く歪み始めた。
どうしよう、立っていられない。
早くお母さんのところに行かないと、また怒鳴られる。
ご飯の時に嫌味を言われる。味のしないご飯を、苦行みたいに食べることになる。
"朋美ちゃんは優秀で、歌もうまくて、それに比べてあんたは……"
"朋美ちゃんは、朋美ちゃんは……"
アノコ ト チガッテ アンタ ハ
" シッパイサク "
昔、お母さんに静かに言われた一言が、頭の中で、パンッと弾けた。
ああ、思い出さないようにしていたのに。
必死に、考えないように、封印していたのに。
スマホが手から滑り落ちると同時に、全身が後ろに引っ張られるような感覚で、私は意識を手放した。
〇 学校に行きたくない
〇 いじめられたくない
〇 歌う怖さを消したい
〇 勉強したくない
〇 暑いのが嫌だ
〇 寒すぎるのも嫌だ
〇 新しい洋服が欲しい
〇 最後の大会当日に戻りたい
〇 お小遣いを上げてほしい
〇 学校なんて消えてしまえ
〇 好きなことだけしていたい
〇 傷つきたくない
〇 事故に遭った日の大会で、金賞を獲りたかった
〇 …………………………………………
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思いつくまま書き出した。乱れている呼吸で、自分が呼吸し忘れていたことを自覚した。
息を整えながら、書き出した欲しいものややりたいこと、願いをじっと眺めた。
この中から、三つ、選ばなきゃ……。
特に叶えたいものはなんだろうと考えていると、いくつかの願い事の筆圧がやけに強く、濃く浮き上がってくるように見えた。
「最後の大会当日に戻りたい」と「事故に遭った日の大会で、金賞を獲りたかった」、そして、「いじめられたくない」の三つ。
最初の二つはほぼ同じだから、「大会当日に戻って、金賞を獲りたい」でも成立するよね。
まとめた願い事を、スマホに映し出されたままのサイトのフォームに書き込んだ。
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名前:佐々木 夕夏
連絡先:〇〇〇〇〇@△△△.com
初めまして。電車の広告で見かけて、試しに送ることにしました。
私の願い事は二つ、最後の一つはまだ分からないので、あとで送ります。
一つめは、今年の冬に出るはずだった合唱の大会に出て、そこで金賞を獲らせてほしいこと。
二つめは、今いじめを受けているから、いじめられない学校生活にしてほしいこと。
もしも、神様がいるなら、私の願いを叶えてください。
よろしくお願いします。
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本当に、問題なければ以下の送信ボタンを押してください。
[送信]
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「本当に」
そこだけが妙に引っかかって、右手の親指は、あとは押すだけのボタンに近づけないままでいた。
スマホを持つ両手が、小刻みに震えている。
本当に、の深い意味は分からない。考えられない。……考えたくない。
「夕夏ー!夕ごはんだから降りてきなさい!」
お母さんの少し怒り気味の声に驚いて、椅子から立ち上がった勢いのまま、送信ボタンを押してしまった。
同時に、急に視界がぐわんぐわんと揺れて、目の前に見えているはずの画面が気持ち悪く歪み始めた。
どうしよう、立っていられない。
早くお母さんのところに行かないと、また怒鳴られる。
ご飯の時に嫌味を言われる。味のしないご飯を、苦行みたいに食べることになる。
"朋美ちゃんは優秀で、歌もうまくて、それに比べてあんたは……"
"朋美ちゃんは、朋美ちゃんは……"
アノコ ト チガッテ アンタ ハ
" シッパイサク "
昔、お母さんに静かに言われた一言が、頭の中で、パンッと弾けた。
ああ、思い出さないようにしていたのに。
必死に、考えないように、封印していたのに。
スマホが手から滑り落ちると同時に、全身が後ろに引っ張られるような感覚で、私は意識を手放した。


