第7話 初の路上ライブ
5月中旬、奈緒達は初の路上ライブに動いていた。大型スーパーの駐車場の一角に許可を貰ってテントを立て、レンタルして来た音響機材のセッティングを行っていた。メンバーが得た知識だと所謂地方アイドル達はチェキや生写真、CD音源やカメラでの2ショット撮影をやっているそうなので、それらを揃えていたのだった。許可を得て地域のフェンスや壁に写真部に撮って貰ったポスターを貼り、またウェブでHPを作り、BBSや問い合わせコーナーなどを設置した。全て明日香の陣頭指揮の賜物である。それでも不安なメンバー達はチラシを県内の中学、高校に配りまくった。衣装合わせやダンスレッスンも頑張った。リハも問題なく行えた。
明日香「これで人が来なかったら、解散だわ」
沙也香「そうだな。解散必至だな」
ささもっちゃん「でも、色んな人に協力して貰ってるから人来ませんでしたでは終われないですぅ」
奈緒「そうだね。これだけ派手に動きまくったからきっと来てくれるよ。愛を注ぐぞぉ~!お金稼ぐぞぉ!!」
明日香「うるさいわよ、奈緒さん。でも運営していくためにはお金も必要だわ、確かに」
友子「解散なんてさせません、ウチら当選で~す」
まゆみ「緊張してお腹痛くなって来ました」
スタッフは学校の保護者や関係者の女の子達が務める事になっている。そして、開始時間の正午の時刻は刻々と近づいて来た。既に会場は超満員の人でごった返しになっている。
男子学生A「ここだぜ、チラシやポスターを貼ってる奈緒ちゃん達がやってる会場」
男子学生B「そうだなここだ。楽しそうだけど、お前誰狙い?」
男子学生C「俺は断然、奈緒ちゃん。市内ではちょっとした噂になっている女の子だぜ」
年配のオタク男性「君らは奈緒ちゃん狙いかね」
三人「はいっ!!そうですが……。違うんですか?」
年配のオタク男性「まだまだ甘いな。僕は断然明日香ちゃん」
三人「あの女帝明日香ですか?あいつは他校にも知られていますよ。性格キツイって」
年配のオタク男性「そういう所が堪らなく好きなんだな。お化粧濃い所も好きだなぁ。ロングヘアー堪らん」
30代のオタク男性「僕は断然ささもっちゃん!妹にしたいからね、絶対。うへへ」
他にも買い物客、サラリーマンやOL、中高大学生など見物客も含めて1000人ぐらいの人が集まって来た。
そして、時刻は正午。いよいよライブ本番の時である。
明日香「よ~し!いくわよ。あんた達ぃ~!!!」
沙也香「気合い入れろや」
奈緒「ピンキーダイナマイト!!桃色爆弾大爆発だよ~!!!!」
全員「おぅ!!」
ピンキーダイナマイトの初陣記念ライブがスタートした。
明日香「まずは一曲目!!聞いてね!!、ピンキーダイナマイトのテーマ!!!」
1曲目は6人全員参加のEDMナンバー。ピンキーダイナマイトのテーマ。作詞は明日香で同じフレーズを繰り返す事で中毒性を狙った歌である。
奈緒「ピンキーダイナマイト♪桃色の危険な爆発物♪」
明日香「ピンキーダイナマイト♪ぶっとぶわよ!あなたの理性♪」
ささもっちゃん「ピンキーダイナマイト♪本能 子煩悩 I don't know♪」
沙也香「ピンキーダイナマイト♪今、破裂するかも恋愛武装集団♪」
まゆみ「ピンキーダイナマイト♪その愛に満ち溢れたその名を♪」
友子「呼んで叫んで轟いて♪」
全員「ピンキーダイナマイト♪」
全員「有難う御座いました」
1曲目が終わり、初のmcご披露となった。
明日香「みなさーん!初めまして、私達は桃色絨毯爆撃集団、その名も」
6人全員「ピンキーダイナマイトで~す!!!」
明日香「まずは奈緒さんからご挨拶だよ」
奈緒「ちょっと明日香さぁ~打ち合わせ道理やろうよ。そんなキャラじゃないでしょ?」
明日香「うるさい。皆さん御免なさい、この人ちょっと怖いですねえ。もじもじ、えへっ」
奈緒「皆ぁ~元気かねぇ~あたしゃ元気ぞね。奈緒ちゃんで~す。どもども!!」
ファン「うおぉぉぉぉ!!!奈緒ちゃ~ん!!!」
奈緒「おおっ、勢いが凄いね。私にファンが早くも居てくれてるのね。う・れ・し・い・ぞ。コレステロール高めな子もいて嬉しいぞ。ぽっちゃり大好き。奈緒ちゃんだぁ~!!!!」
ファン「すんげぇ~可愛い。ヤバい。死ぬぅ~」
沙也香「初めまして。沙也香だぜ。今日は着いて来い、お前らぁ~!!!」
ファン「かっけぇ~!あの子シブいんだけどぉ~」
沙也香「有難う!ホントは緊張してたんだ。宜しくな」
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。はわわわぁ~。ささもっちゃんはいるぅ~」
ファン「妹にしてぇ~。あの子意味が分かんないけど可愛いね」
友子「私に清き一票を。今日こそ当選確実、友子で~す」
ファン「可愛い~。チャラチャラしてそう。でも可愛い」
まゆみ「よろしくお願いしま~す。マッコウクジラが大好きまゆみで~す」
ファン「マッコウクジラ好きって。ちょっと狙い過ぎかな。可愛いけど」
明日香「女帝はメガネを付けた仮の姿。しかしてその実態は!!ラブリープリンセス明日香でぇ~す!!!」
ファン「……。ぅぉぉぉ」
沙也香「ブリッコキャラすんなや」
奈緒「それはキツイよ明日香。でも1部には受けたよ」
明日香「うっさいわね明日香よ。よ・ろ・し・く・ね。あんた達」
奈緒「それでは2曲目行きましょう!極東大旋風~百花繚乱絵巻~」
ファン「ピンキー最高!!うおぉぉぉ!!!」
友子「遥か昔の時代から~♪」
まゆみ「独自の彩り艶やかに~♪」
沙也香「台風銀座のお膝元~♪」
ささもっちゃん「八金女が威勢よく~♪」
明日香「土佐の荒波に身を任せ~♪」
奈緒「激震と化す東の都~♪」
全員「あぁ!我ら極東の旋風~♪」
全員「有難う~」
ファン「かっこいいぞぉ~!!」
最高潮の盛り上がり見せた2曲目はメタル系の楽曲。作詞は奈緒である。ゴリゴリのメタルサウンドに乗せて、日本への愛を台風銀座から東に直撃させる攻撃的なナンバーだ。
友子「はいはいまゆみさん。ここからはソロコーナーでぇ~す」
まゆみ「そうですね友子さん」
友子「MCやった事ないからいきなりまゆみちゃんにアイウエオ作文でぇ~す」
まゆみ「嫌だよぉ!出来ないよぉ!」
ファン「まゆみちゃ~ん頑張れ~」
友子「それではまゆみのま」
まゆみ「まずまずの腕前で」
友子「まゆみのゆ」
まゆみ「有名な板前さんが」
友子「おぉ!板前さんが_最後はまゆみのみ」
まゆみ「店出した」
ファン「うぉぉぉ!ちゃんとオトした。凄ぇ!」
友子「それは行きたくないお店ですねぇ。あっ、そろそろ準備が出来た様です」
まゆみ「それでは歌って頂きましょう。沙也香さんで、曲はアナーキーサヤイズムです。どうぞぉ~」
沙也香「盛り上がって行くぜぇ!1、2、1234~」
沙也香「スマホで話してるだけの間柄など~♪つまらないから会って話そう~♪」
「ひねくれ者って言われてる~♪あんたのいじらしい素顔が見たいな~♪」
「逆らう奴ほど可愛いはず~♪私はアナーキー~♪」
沙也香「どうもありがと!次は友子だよぉ~!!」
女性OLファン「きゃあ!良い歌詞!なんか泣けるぅ~」
沙也香「次は友子だよぉ~!!」
3曲目は沙也香のソロナンバー、アナーキーサヤイズム。曲はパンク調の楽曲になった。何を隠そう明日香を見ていて影響された自分を歌った歌である。因みに明日香は気付いてはいない。そして、続けて4曲目が流れ始める。4曲目は友子のソロだ。
友子「友子だよ!張り切って行きます!!ダルマさんがふっ飛んだ!!」
ファン「うぉぉぉぉ!!!」
友子「ダルマさん♪ダルマさん♪あたしはあなたのダ~ルマさん♪」
「あたしが勝ったらキラキラお目目を書いてね~♪」
「検索で急上昇♪あたしの認知度~♪」
「ダルマさんに目を書いて~♪ダルマさんが笑うよ~♪」
「ダルマさんにロケット点火~♪ダルマさんがふっ飛んだぁ~♪」
友子「ホントに有難う御座いま~す」
ファン「なんか凄く変な歌だけど面白いな~!」
友子「次はまゆみちゃんだよぉ!!」
4曲目は友子のソロナンバー、ダルマさんがふっ飛んだ!!。曲は90年代ユーロビート調の楽曲である。父が議員である友子は選挙に勝つイコールダルマという発想から、自身がダルマになれば恋の相手を勝たせてさらに楽しませてもあげられるという優しさを込めた歌である。そして5曲目はまゆみのソロ。
まゆみ「まゆみです。頑張りますので宜しくお願いします。ミルキープリンセス」
ファン「うぉぉぉぉ!!」
まゆみ「ミルキープリンセス!角砂糖で出来た私」
「ミルキープリンセス!スイ~ツが周りを取り囲む~の」
「ミルキープリンセス!女の子の目が気になるけ~ど」
「ミルキープリンセス!私はプリンセス!!」
まゆみ「有難う御座いました」
男性ファン「可愛すぎるぜ、まゆみちゃん」
女性ファン「ブリッコし過ぎかなぁ~可愛いけどねぇ」
5曲目はまゆみのソロナンバー、ミルキープリンセス。曲は昭和アイドル歌謡といった感じの曲。まゆみが密かに憧れていたお姫様のようなアイドルになってみたいという、かつての王道アイドル路線を絵に書いたような歌である。因みにメンバー内でも女子受けは極めて悪いと専ら評判の歌である。ある意味当然であると言えるだろう。そして6曲目はささもっちゃんのソロ。
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。宜しくお願いしま~す。ささもっちゃんはいるぅ~。それでは聞いてくださいね。ささもっちゃん漁解禁宣言~出来るもんなら妹にしてご覧よ~でぇ~す!」
ファン「待ってました!うぉぉぉぉ!!」
ささもっちゃん「HEY!HEY!そこのお兄さん♪早く餌を投げて御覧よ~♪」
「わたしが喜ぶ餌なんてそんじょそこらには置いてない~♪」
「果物、パンケーキ~一昨日来やがれ!」
「可愛いワンピースにお洒落なネックレス~ふぅ話になんない!」
「わたしはパパのガマ油が欲しいだけなのになぁ~!お兄さん♪」
ささもっちゃん「有難う御座いましたですよぉ」
ファン「なんちゅ~曲や。なんでガマ油が欲しいの。でも、何故かは分かんないけど良かったなぁ~可愛いなぁ~」
6曲目はささもっちゃんのソロナンバー、ささもっちゃん漁解禁宣言~出来るもんなら妹にして御覧よ~。曲は80年代ファンクサウンドに乗せたノリノリの楽曲。極めて変わり種を目指すささもっちゃんらしい歌である。次の7曲目は明日香のソロ。
明日香「明日香よ。みんな心して聞くようにね。分かった!それじゃ、行くわよ。女帝明日香狂奏曲~民は私の為に~!」
ファン「女帝!なんてタイトルや!!うぉぉぉぉ!!!」
明日香「私を追いかけてぇ~捕まえてぇ~離さないでね♪ねぇダ~リン♪」
「南の島でバカンスに来てるのぉ~♪私のすっぴんと太陽がとても眩しいわ♪ふふふんふふふん♪」
「なんてね。今、7時過ぎぃぃぃぃぃ!!」
「……。いや、なんとかなるか。いや、ならないわ~よ」
「いちゃつき登校にガン垂れて♪生活指導の先生ぶっとばし♪」
「有象無象を蹴散らしたなら~♪女帝メイクで貴方はとばっちり~♪フン、どいて♪」
明日香「どう!最高でしょ!いいわよね!!それでは最後は奈緒さん張り切ってお願いするわ!!!」
ファン「いや何というかそのまんまだなぁ~!最初のは驚いたけどね」
7曲目は明日香のソロナンバー。女帝明日香狂奏曲~民は私の為に~。曲は曲調がサビの前半と後半がガラリと変わる曲である。前半は王道アイドルソングだが後半はサイバーパンクにバックにはオーケストラが流れる楽曲。明日香が言うにはこの曲は夢から叩き起こされて機嫌が悪いまま登校した日に5分で出来た曲らしい。そしていよいよソロコーナーラストは奈緒の登場である。
奈緒「ソロコーナー最後は私が歌います。いざ行かん!桃源郷!!ラブショベルカーだぁ!!!」
ファン「奈緒ちゃん来たぁ~!ラブショベルカーってぇ!!何だそのタイトルは!!!スゲェ!!!!」
奈緒「私の恋愛は工事現場で♪大混乱につき私は重機で対応に追われます♪」
「強引で御免ね♪普通の女の子ならお手紙を渡すのに♪」
「パワーシャベルでGOING♪君の家へ~♪」
「私はあなたのラブショベルカー♪貴方はどんな綺麗事もしゃべれるかぁ~♪」
奈緒「奈緒ちゃんでした。あんがと」
ファン「行かないでぇ~!!!!!!」
8曲目は奈緒のソロナンバー。ラブショベルカー。曲はハードロックな楽曲で、デストーションを聞かせたエッジの立ってるリフが印象的なナンバー。奈緒は自身が働く工事現場でこの歌詞を閃いたと言う。奈緒らしさ全開の歌詞だった。
ささもっちゃん「いやぁ~!盛り上がりますねぇ~!!明日香さん」
明日香「そうね。私の時の10倍は盛り上がっていたわよ。腹の立つ」
沙也香「まぁまぁ!奈緒ちゃんがお着替えをしている間に繋がないといけない訳ですが…」
ささもっちゃん「わたしは謎掛けしてみたいです」
明日香「出来るの?あんたみたいなちんちくりんが」
ささもっちゃん「ファンの方お題を下さいね」
ファン「じゃあ、アイドル」
ささもっちゃん「有難う御座います。それでは、アイドルと掛けまして」
沙也香「アイドルと掛けて」
ささもっちゃん「バブルの弾けた不動産業者Aさんの人生と説きます」
明日香「その心は?」
ささもっちゃん「オタク(お宅)に全て捧げます」
明日香「嘘言わないで。ささもっちゃんは腹黒いですよ。オタクに人生捧げませんよぉ~」
ささもっちゃん「ブラックタイガーだぞぉ~ぐわぁ~ってやらせないで下さいよぅ~」
ファン「可愛い!腹黒くても好きだぁ~」
沙也香「それでは、そろそろ準備も出来たようなので参りましょう」
友子「9曲目行くよ!」
まゆみ「盛り上がって下さいね」
奈緒「皆行くよ!!桃色絨毯爆撃機ピンキーダイナマイト!!!」
沙也香「無敵のピンクのニーハイソックスは♪」
友子「雛苺のネイルのお手入れは♪」
明日香「潤んだ桃色リップの弾力は♪」
まゆみ「ピーチなチークとアイシャドウは♪」
ささもっちゃん「桜色に染まった頬っぺたは♪」
奈緒「ローズに染まったこの胸は♪」
全員「あなたに捧げるユーフォリア♪この先も一緒に逝きたいの♪」
全員「真愛なる神風特攻隊♪ピンキーダイナマイト♪」
全員「どうもありがとう!!」
ファン「うぉぉぉぉぉ!!凄くヤバい気持ちになるぅ!!!」
そして、9曲目は再度6人全員で桃色絨毯爆撃機ピンキーダイナマイトを熱唱。この曲は作詞奈緒。サイバートランス系の楽曲に女の色香とフェチズムな歌詞が並べた恋愛ソング。
明日香「今日は本当に長い間ですが有難う御座いました」
奈緒「皆のお蔭でこんなに素晴らしく、怪しげなライブに出来て嬉しい次第だよ」
沙也香「さっきのは流石に恥ずかしかったけどね。皆ありがと」
友子「わたしは自分のソロの時こけたのが恥ずかしかったです」
まゆみ「本当に有難う御座いました。グスン」
ささもっちゃん「泣いてるの?まゆみちゃん」
まゆみ「なんだか嬉しくて」
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。ささもっちゃんはいたぁ~ですぅ」
明日香「それでは最後に聞いて!盛り上がってほしいわ」
沙也香「あなたとの距離はゼロ」
ファン「うぉぉぉぉ!!最後かぁ~」
奈緒「いつでも傍に居たい♪」
明日香「温もりがいつも欲しい♪」
沙也香「あの素敵な一言も♪」
ささもっちゃん「あの笑顔も宝物♪」
友子「きっと終わらない永遠に紡げる~なら♪」
まゆみ「あなたとの距離はゼロのまま♪」
全員「有難う御座います」
ファン「うぉぉぉぉ!泣けるぅ~」
最後のナンバーはあなたとの距離はゼロ。ロックバラードに後半ではオーケストラも参加していく聴かせる壮大なナンバー。ファンとの距離をゼロにしたい奈緒が書いた作詞だ。
こうして初ライブは大成功で幕を閉じた。
第8話 初の物販と収益報告会
初ライブ終了後、ピンキーダイナマイトは初の物販を行う事となった。物販では色んな物が発売されていた。チラシにはこう書かれてある。
ピンキーダイナマイト物販商品
1、ソロか2ショットチェキ 500円
2、生写真メンバー10枚セット 500円
3、缶バッジ2個セット 500円
4、メンバー写真つきタオル 2000円
5、ガチャ(肩たたき券、15秒動画券、ビンタ券、2分サイン握手券、生写真10枚セット)1回500円 6、(女性のみ)ハグ券、ほっぺにチュー券 500円
7、サイン&握手券 500円
8、初ライブ記念ナンバリングカード 500円FUEL(ファンの総称)001~300
男子学生達「凄ぇ!全部買う!!」
オタク風男性達「買わずに言われるか!!!」
中高生女子達「全部コンプする~」
初回の物販は300人ぐらいが並び大行列となった。奈緒達は自身で対応してFUEL(ファンの総称)とコミニケーションを図った。
奈緒「初めまして!奈緒と言います。今日のライブは如何でしたか?」
30代オタク風男性「凄く興奮したねぇ。自分たちでやってるんだよね。プロのアイドルより可愛くて良かった。後、凄く町のポスターとか気になっててね。誰だこの可愛い子はって。奈緒ちゃんて言うんだね」
奈緒「はい。お兄さんバンダナイケてるよ。ちょっとぽっちゃり体系も奈緒は好きですよ。エヘヘ、隙あらばハイタッチだぁ」
30代オタク風男性「おぉぉ、ハイタッチしてくれるのかい。無料で良いのかい。君は天使だぁ~」
奈緒「必要としてくれる人の所へ行きたいだけですよ。ふふふ」
男子高校生「早くおじさん!次、俺の番」
明日香「初めましてね明日香よ、何か御用?」
中学生男子「えぇとですね、その女帝というのはなんですか?」
明日香「何よ、その質問。でも私の所へ来たんだからね。教えてあげてもいいわよ」
中学生男子「おっ、教えてください、明日香お姉さん」
明日香「女帝明日香はどんな時でもどんな人に対しても上に立ち、話す事を貫くのよ。それが私のポリシーなのよ」
中学生男子「へぇ~カッコいいですね」
沙也香「初めまして!お姉さん。沙也香と申します」
大学生女子「きゃ~!沙也香さんていうんだね。私、まどかっていうの。宜しくね。凄くボーイッシュだね。男装イケメン執事さんみた~い。何かスポーツとかやってるの?」
沙也香「キックボクシングを少々嗜んでおります、お嬢様」
大学生女子「きぁ!~!お嬢様って言われた。私鼻血でそうよ。執事キャラも出来るのね」
沙也香「ふざけてやってみただけだよ」
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。はわわわぁ~!ささもっちゃんはいるぅ~」
高校生男子「ささもっちゃんは変わった物が好きなんだね。何か欲しい物でもあったら言ってね」
ささもっちゃん「ぷぅ~。それならちくわ煎餅!!」
高校生男子「そんなん売ってるかな?いや、売ってるよね、きっと」
ささもっちゃん「売ってるよ、絶対。お兄ちゃん買ってきて!」
友子「友子だよ。宜しくね」
高校生男子「友子ちゃん、可愛いね。いきなりだけど悩み聴いてくれる?」
友子「良いよ!!」
高校生男子「僕、髪の毛が薄毛なんだけど友子ちゃんに嫌われるかな」
友子「うん、嫌い」
高校生男子「やっぱりね、そうだよね」
友子「ちょっと待って。そういう風に深く考えるからいけないのよ。もっと楽観的にならなきゃ。うちのパパもそうなんだけどね。禿げが嫌いな人はほっといてあたしみたいにハゲ好きアイドルを応援して」
高校生男子「嘘じゃないのかい?ホントにハゲ好きアイドルは実在するのかい?」
友子「嘘じゃないよ。信じて」
高校生男子「うひょ~」
まゆみ「まゆみで御座います。今日は宜しくお願いします」
金髪大学生男子A「まゆみちゃんっていうんだね。可愛いね、デートしようよ」
まゆみ「困ります。あれ、聞いてくれてますか?」
金髪大学生男子B「いいだろ、別にこれも出会いだしさ気軽に行こうぜ、なっ」
40代オタク風男性「やめないか。まゆみちゃんが嫌がっているだろう」
高校生男子「そうだ、止めろって言ってんだよ」
金髪大学生男子C「あぁ、誰に向かって口利いてるんだお前等は」
皆それぞれにファンと交流を持っていく中、突然まゆみの前に現れたのは立ちの悪そうな金髪の大学生達だった。周りも止めるように呼びかけたが、3人組は止めようとしなかった。まゆみが泣きそうになっていたその時だった。
相馬「止めろよ!お前なぁ生き方間違ってんぞ。取り敢えずその子の手離せ、ボケェ」
そうすると3人組はまゆみの手を離した。まゆみはその場にへたり込んだ。
金髪大学生男子A「あぁん。誰だおめぇ、死にたいのかよ」
金髪大学生男子B「金かけてねぇナリしやがって」
金髪大学生男性C「ダセェんだよ、カスが!!」
相馬「やれやれ、クソだりぃな!」
鬼塚「そうっすね。相馬さん。このすねかじりがぁ~」
成瀬「まぁまぁ、落ち着いて三下じゃないですか~」
相馬「まぁな。じゃあお前やれよ成瀬!」
成瀬「嫌ですよ。拳が腐ります」
鬼塚「自分やっても良いっすよ、相馬さん」
相馬「だりぃけど俺行くわぁ」
金髪大学生男子A「一人かよ。舐めやがって。お前ら殺っちゃうぞ」
まゆみ「誰か~助けに来てください」
金髪大学生男子B「うるせぇ!静かにしてろ!!」
3人組はナイフを取り出すと相馬という男の周りを取り囲んだ。その瞬間、相馬は目を見開いた。
相馬「俺は相馬といって今はしがない大工業だが、高校んときは結構ヤンチャしてよ。親に迷惑かけちまってよ。でも、その頃より衰えてはいないぜ。元雷鳴のNO1が相手してやるよ」
成瀬「よっ、元総長。カッコいいぜ」
金髪大学生男子C「雷鳴って今も県下に名を轟かすあの暴走族か?」
金髪大学生男子A「やべぇ!相馬って高校ん時名前効いたことあるぞ」
金髪大学生男子B「でも、本物か分かんないぜ、勝手に名前使ってるだけかも」
鬼塚「その割にはお前らビビり倒してるぜ」
そこへ、人込みを掻き分けピンキーダイナマイトのメンバー達がやって来た。
まゆみ「怖かったよぉ、友子」
友子「大丈夫、まゆみちゃん」
明日香「大丈夫なの?」
まゆみ「はい、何とか」
沙也香「あれ、奈緒ちゃん?」
ささもっちゃん「奈緒ちゃん先輩どうしましたか?」
奈緒はメンバーから離れ、おもむろに相馬の方へ近づいていくと懐かしそうに話し始めた。
奈緒「相馬君?」
相馬「あっ、奈緒ちゃん久しぶり。今日はちょっと遊びに来たんだけど変なのに巻き込まれちゃってね」
奈緒「じゃあ、あの頃の様にちゃっちゃと片付けますか?」
相馬「えっ、あっそう、そうだな。よし、お前ら今から顔が無くなるくらいぶちのめしてやるかな」
成瀬「相馬さんさっきと明らかにテンションが違いません?」
鬼塚「というより相馬さんだけ狡い」
金髪大学生男子A「マジでホンモンかよぉ~」
金髪大学生男子B「逃げるぞお前らぁ~。すいませんでしたぁ~」
金髪大学生男子C「おっ、おい。置いていくなよぉ~待ってくれぇ~」
相馬「ったくよ。久しぶりに喧嘩出来ると思ったのによ」
奈緒「元気だった。相馬君達。久しぶりだよね。ウリウリ」
相馬「やめてくれよ奈緒ちゃん。仲間が見ている前で乳首グリグリするのはやめろよ。ったく相変わらずだなぁ」
成瀬「お久しぶりだね。奈緒ちゃん」
鬼塚「お久しぶりだな。奈緒ちゃん。って相馬さん良いな」
この三人組は奈緒の昔の知り合いである。奈緒が高校1年生の頃、男子校の高校3年生だった3人であった。ケンカの腕は滅法強いがイケメンの割に女性には弱い元総長の相馬と、体が大きく顔もまぁまぁイケているケンカ番長元副総長の鬼塚と、小さく華奢な体でありながら女にモテて、喧嘩の腕はピカ1な元NO3の成瀬の三人は地元の暴走族集団、雷鳴の元トップ3である。
七海「あれ、相馬さんじゃん、懐かしいねぇ」
蘇我「あっ、相馬さんじゃありませんか。お久しぶりです」
相馬「おう、お前らか。元気にしてたかってまだ付き合ってないんか」
蘇我「嫌ですよ。七海なんてお子様ですから自分はもっと大人の感性を持った…」
七海「うるさい、」
蘇我「止めろ七海」
__バコッ、グェッ
七海「相馬さん達は奈緒ちゃんを見に来たの?」
相馬「そうだ。久しぶりに休みが貰えたんでな」
奈緒「何かでも懐かしいよね。皆で揃ったのってあの時以来だよね」
鬼塚「そうだね奈緒ちゃん。ぐふふ。相変わらず可愛いなぁ」
成瀬「鬼塚。キモいぞ。涎拭けよ」
相馬「何かでも本当に懐かしいよな。あん時確か雷鳴とピンクジャガーのメンツで奈緒ちゃんをクリスマスイブに迎えに行った時だったよな」
奈緒「そうだね。懐かしい」
明日香「奈緒さ~ん。戻るわよ」
奈緒「じゃあまた今度ね。」
相馬「あぁ、今度また夏に時間を作ったらみんなで会おう」
奈緒「バイバイ!」
奈緒はピンキーダイナマイトのメンバーの所へ戻って来た。メンバーは奈緒を見ると訝しげな表情で観察して来る。
友子「奈緒先輩。あのぉ、先輩って付き合っている人いるんですか?あのカッコいい人達の中に居たりして」
まゆみ「奈緒先輩。あの相馬さんって呼ばれてた人が私を助けてくれたんですけど。お礼も言えなかったんです。相馬さんってお付き合いしてますか?」
奈緒「いや、付き合ってる訳じゃないよ」
まゆみ「私、初めて男の人を見てドキドキしました。これって恋なんですか?」
奈緒「それは、きっと胸焼けだよ。お酒でも飲んだ?」
まゆみ「飲んでないです。ホントにあの人を見るとドキドキするんです。」
ささもっちゃん「それはね、錦鯉の呪縛であって…」
まゆみ「もういいですぅ」
明日香「恋なんて一種の伝染病でしょう?騙されないでよね」
沙也香「私はまゆみちゃんの気持ちちょっとは分かるけど」
こうしてメンバーは自分の持ち場に戻りファンとのふれあいに戻った。
そして、3時間に及ぶ物販は大盛況のうちに幕を閉じた。
明日香「やっと終わったわ!」
奈緒「さすがに疲れたね」
沙也香「こっちは完売だよ」
ささもっちゃん「こっちもで~すぅ」
友子「後は帰って計算しましょう」
まゆみ「それでは片付けましょうか」
大型スーパーのオーナーにお礼に行ってきたり、機材や衣装などの片付けをして夕方5時にメンバー達は撤収となった。そして、次の日明日香は前線基地に皆を集め、ささやかなパーティと収益報告会議を行う事にした。
明日香「それでは皆さん、カンパ~イ」
奈緒「おっぱ~い」
明日香以外の5人「おっぱ~い!!」
明日香「私に対する嫌がらせなのそれは」
沙也香「固いこと言うなよ明日香」
ささもっちゃん「そうですよ。Aカップ貧乳アイドルにおっぱ~い」
明日香「ぐりぐりされたいの、馬鹿」
まゆみ「ところで売上ってどれぐらいあったんですか?」
友子「全部友子の」
ささもっちゃん「菜緒ちゃん先輩友子先輩に何か言ってやって下さい。好き好き~」
菜緒「ささもっちゃん胸に飛び込んで来ないの」
まゆみ「はわわ、はわわいいなぁ」
パーティはすぐに終わり次に売り上げと関係各所へのお礼金見積もりやメンバーの収益の話になった。
明日香「これを見て欲しいわ」
チラシにはこう書かれてあった。
ピンキーダイナマイト物販商品
1、ソロか2ショットチェキ 500円 30万円
2、生写真メンバー10枚セット 500円 15万
3、缶バッジ2個セット 500円 15万
4、メンバー写真つきタオル 2000円 45万
5、ガチャ(肩たたき券、15秒動画券、ビンタ券、
2分サイン握手券、レア生写真10枚セット)1回500円 10万
6、(女性のみ)ハグ券、ほっぺにチュー券 500円 5万
7、サイン&握手券 500円 30万
8、初ライブ記念ナンバリングカード 500円FUEL(ファンの総称)001~300 15万
まゆみ「以上で合計収益は165万円になります」
明日香「此処から出費を差し引きたいと思うわ」
・ポスター&チラシ10万
・衣装代6人分×2 36万
・小道具製作費 4万
・その他 10万
まゆみ「差し引いた額は、105万円でした」
明日香「お世話になった人達には35万渡すから70万は私達の収益になるわ」
沙也香「でも、個人で売り上げは違うけど各10万ぐらいだったのかな」
友子「友子全部欲しい」
まゆみ「私はどれくらいだったか知りたいです」
ささもっちゃん「各自の売り上げは無いのかな」
友子「友子1位当選確実」
明日香「それは無いわよ、馬鹿ね私よ」
奈緒「それもないと思うけどね、おほほ」
沙也香「余裕だね、奈緒ちゃん。いいなHカップは」
明日香「あまり出したくは無いけどこんな感じよ」
紙にはこう書いてあった。
1位 奈緒
2位 ささもっちゃん
3位 沙也香
4位 まゆみ
5位 明日香
6位 友子
明日香「圧倒的に男性人気は奈緒ちゃん。次いでささもっちゃん、沙也香とまゆみがほぼ同率。少し下が認めたくないけど私で、最下位、友子」
友子「何かの間違いよそれは。奈緒先輩おっぱいで男をたらし込んだんでしょうね」
まゆみ「良かった。友子より上だ」
ささもっちゃん「私、2位ですよ。奈緒ちゃん先輩♪友子先輩に勝ちました♪」
沙也香「私が3位ってびっくりなんだけど」
まゆみ「4位だけど次は3位になりたいな。私、頑張れ」
友子「ピエロだ道化師だ球があったら乗りたい気分。ぐすん」
奈緒「みんな頑張ったよね。向上心持っていこう♪」
明日香「なんで私が5位。意味分からないわ」
こうして初の物販と収益報告会は幕を閉じた。
第9話 写真集&イメージV制作
奈緒達は6月のある日、写真集撮影とイメージビデオ撮影に東洋町の来ていた。ここはサーフィンの有名な土地で観光客も訪れる高知県で有名なスポットだ。
奈緒「やっと着いたね、皆」
ささもっちゃん「そうですね、奈緒ちゃん先輩。ここで撮影するんですね」
沙也香「水着は2セット持ってきた。お気に入り水着とスクール水着」
明日香「スク水は今しか着れない神聖なものよ」
奈緒「何でお前は知ってんだ、キモい」
友子「友子はなんかエッチっぽくて嫌だ」
まゆみ「私もです。ホントは違うけど!!」
その時、遠くから映像のカメラやハンディカムを沢山持った男がやって来た。
明日香「今日は宜しくお願いします。パパさん」
パパ「こちらこそ。こんな美人さん達を被写体に撮れて写真好き冥利に尽きるなぁ、俺は」
沙也香「私、水着になるのは抵抗あるんですけど、大丈夫でしょうか?特にスク水」
パパ「パパはねぇ剥げているけど撮影歴は長いし、何より写真を愛しているから来ただけです。ホント」
ささもっちゃん「その割には前屈みになっていますよ」
友子「怪しいですねこの人」
奈緒「私はフェチズムを全面に出していきたいです。パパさんそういうの好きそうだし」
パパ「よし、奈緒ちゃん脱いでみようか。はぁはぁ」
奈緒「はい。分かりました。全部脱ぎま~す」
まゆみ「ちょっとおかしいですよ奈緒先輩」
撮影会はまず学校指定のスク水と個人的に選んだ水着を着て写真撮影。その後、ハンディカムで水着のイメージV撮影を行っていく事となった。まず、砂浜にやって来た一行はスクール水着に着替えた。
友子「着替えたけど、やっぱり恥ずかしいな」
まゆみ「そうだね。お腹が気になっちゃうなぁ」
明日香「どうかしら。私はスク水でも似合うわ。アセアセ」
沙也香「どうした。なんか困る事でもあったか?」
奈緒「パット入れすぎじゃないの明日香?奇跡の谷間を作れたのはお祈りしたからなの?」
明日香「うっさいわね。パットなんて知らないわよ」
ささもっちゃん「私、ロリータささもっちゃん」
奈緒「可愛すぎる、キュートだよ。ささもっちゃんはハイレグにしようね」
ささもっちゃん「やめてください、奈緒ちゃん先輩。お尻が見えちゃいます。嫌いになりましたよ」
スクール水着での撮影は天性でアイドル才能を持ち合わせたフェチ好きの奈緒と類いまれなるアイドル研究で後天的に培った才能を持った明日香、隠れ巨乳として実はムッツリスケベなまゆみがリードする形で、可愛らしさ全開のささもっちゃんや嫌がっていた友子も撮影を終えた。だだ一人を除いては……。
沙也香「やっぱり無理だよ私。しくしく。いじめだよこんなの」
パパ「さあ早くポーズ構えて!色っぽい顔して、ハァハァ」
沙也香「そのハアハアっていうの止めて貰えませんか。嫌なんですけど。女性に変えてください」
パパ「バカもんが~。エロティシズムは立派な芸術なんだ。それも分からないで偉そうに言うな」
ささもっちゃん「そうだよクビレを作ってキュ♪ですよ沙也香先輩」
パパ「そうだよね、ささもっちゃんキュ♪」
ささもっちゃん「うぇ、キモいなぁ~」
沙也香「クビレを作ってキュ♪ってこれでいいですか?」
パパ「その感じいいよぉ。後は表情だ」
沙也香「こうですかぁ~」
パパ「その感じだ、いいよいいよ」
次に個人水着の撮影に入った。個人水着は奈緒は胸元を強調した赤のハイレグワンピース。ささもっちゃんはピンクのフリルの付いたローレグワンピース。友子は水玉のフリル付きビキニ。まゆみは白のハイレグビキニ。沙也香はミリタリーのビキニ。明日香は黒の超ハイレグレオタードワンピース。
パパ「うぉぉぉぉ!!」
明日香「まずは私からお手本を見せるわね」
沙也香「凄い慣れているんだなぁ」
奈緒「私より目立ってるかもね」
まゆみ「奈緒先輩はいいですね。赤で目立ちまくりですね」
奈緒「まゆみちゃんこそEカップは伊達じゃないね。スケベなんだぁ」
まゆみ「……。そんな事はないですよ。奈緒先輩には敵いません。ちょっとしたチャレンジです」
友子「奈緒先輩には絶対敵わないな。エッチ」
ささもっちゃん「もっと絡んでください、奈緒ちゃんセンパ~イ。胸大きくなりたいで~す」
沙也香「このおっぱいがいけないんだ。揉み揉み」
奈緒「止めて~皆感じちゃうよぉ~」
パパ「鼻血出ちゃう♪」
明日香「(私が注目されて無いじゃない)早くお願いしますね」
こうして水着撮影を終えたメンバーはイメージVの撮影に入った。スク水と個人水着の2パターンと制服姿の撮影を行った。勢いで若き日を存分に楽しんだピンキーダイナマイトのメンバー達は夕日に染まる海岸を後にした。
第10話 初のオフ会イベント開催
6月上旬、奈緒達はカラオケ店のVIPルームに来ていた。今日はカラオケオフ会と称して20人ぐらいのFUELがやって来ていた。第1回目の路上ライブも成功して100万あまりの売り上げがあったので、ファン感謝イベントと称してカラオケ店でオフ会を開くこととなった。格安の参加費1000円の値段故に、ホームへージには1500件の応募があったが、参加出来るのは少数の20人の神イベントとなった。集まったメンバーは中高生男子6人、20~50代オタク男性10人、10~20代女子が4人という感じだった。
明日香「御集まり頂きまして有難う御座います」
奈緒「今日は存分にはじけて絡み合いましょうね。みんな揉み揉みしていいよ」
沙也香「奈緒ちゃんちょっと言いすぎだよ。絡み合いまでは止めようよ」
友子「イケメンだったら絡みたいなぁ」
まゆみ「激しいスキンシップは風紀的にどうかと。女の子もいますしね」
ささもっちゃん「皆で歌いましょう♪」
26人はパーティルームに入る事となった。それぞれに話をしたい子の近くでFUELは座る事が出来た。メンバーは制服や思い思いのコスプレ衣装でFUELを持て成した。
友子「じゃああたしから歌う。貸して」
まゆみ「何にするの。いつもの?」
明日香「私に貸しなさい」
奈緒「そうじゃなくてファンの人に歌ってもらおうよ」
沙也香「そうだね。盛り上げ担当に徹したいし」
ささもっちゃん「ささもっちゃんタンバリンやるぅ」
促されて1人の男子高校生が立ち上がり「歌いま~す」と言って、ロック調の流行歌を歌い始めた。
それと同時に、ピンキーダイナマイトメンバーも盛り上げ始めたのだった。
奈緒「カッコ良かったよ健二君。はい、お手拭、どうぞ」
健二「ありがとう。めっちゃ嬉しい自分のライブ開いてるみたいな感じ」
聡「僕はデブでイケメンじゃないけどバラード歌っていい」
ささもっちゃん「いいと思いますよぅ。聞かせてください。張り切って行こぅ~♪」
希「私、あの曲歌ってほしいよ、沙也香ちゃん」
沙也香「分かりました。希お嬢様」
明日香「何その気になってんのよ」
まゆみ「デュエットですか?あまり知らない曲ですけど」
海斗「アニソンだよ。知らないかな。自分の年代じゃ分からないかな」
友子「その曲好き系だよあたし」
愛梨と真由樹「三人で歌おうよ」
それぞれに話しかけやすい人や短時間でもそうでない人もメンバー達はコミニケーションを図っていくのだった。そうして、2時間ぐらいの時間が過ぎた時、奈緒がとんでもない事を言い出した。
奈緒「そうだ。ビンゴ大会しよう!ビンゴ大会で1位になった人は好きなメンバーと一夜を共にする事」
一同「うぇぇぇぇぇ!!!」
奈緒「私はOKだけど駄目なの?」
明日香「そんなの駄目に決まってるでしょうが、この爆乳イノシシがぁ~」
沙也香「女の子なら何時でもいいよ」
明日香「だから何その気になってるのよ」
ささもっちゃん「ダンディな殿方をご所望ですぅ」
明日香「このちんちくりんが。奇を衒いたいだけでしょうが」
友子「あたし、絶倫系がいいの。ところで絶倫て何まゆみちゃん?」
まゆみ「知りません。知りたくありません」
奈緒「嘘だよ嘘。アイドルがそんな事する訳ないじゃん」
沙也香「そうだよね」
奈緒「実際には、この後ビンゴ大会をして、当たった人は好きなメンバーに何か1つお願いが出来るという事にします」
ファン「やったぁぁ~」
奈緒「楽しみにしててね」
そういうと奈緒はボックスを取出しその中に数字の書いた紙を入れだした。そして、FUELにはビンゴカードが手渡された。
奈緒「それでは参りますよ。19番」
ファン一同「あぁ~残念」
希「やった~。19番当たり」
ささもちゃん「次に来るのはコイツだ、2番」
ビンゴ大会はこのようにして繰り広げられ、リーチのファンもちらほら現れ始めた。
友子「次においでますのはアンタよ、34番」
健二「ビッ、ビンゴぉぉぉ!!」
まゆみ「おめでとう御座います。健二さんは誰に何をして欲しいでしょうか?」
健二「そうですね。えっと、奈緒ちゃんに握手して貰いたい。でいいかなぁ~奈緒ちゃん?」
奈緒「握手は何時でも出来るからハグしよハグ」
健二「ハググぅぅ!!」
奈緒「健二君大丈夫?」
健二「はぁはぁ、ハグとかしてもらってもいいんでしょうか?奈緒ちゃんとハグなんて死んでしまうぅ」
奈緒「いいよ全然。じゃあこっち来て」
健二「はっ、はい」
奈緒「行くよぉ」
健二の近くに行くと、奈緒は健二の耳元に顔を寄せた後一言呟いた。
___好きだぞ。健二。ギュ~
健二「……。奈緒ちゃん柔らかくて良い匂いがする。しっ、死ぬぅ」
奈緒「大丈夫?健二君。しっかりして」
明日香「このど変態Hカップがぁ~」
沙也香「これ私もやるの?無理無理無理」
ささもっちゃん「さすが奈緒ちゃん先輩はエロリストですねぇ~」
友子「まゆみちゃん、まゆみちゃんしっかり」
まゆみ「凄~いの見~ちゃった。見~ちゃったぁ~」
直ぐに健二とまゆみは意識を取り戻したが、心此処に非ずという状態になってしまった。そして、ビンゴ大会は小休止の後も続けられ、アイドルとしてはかなりギリギリをついた神企画になっていくのだった。
こうして、第1回カラオケオフ会は終わった。
第11話 初の慰安旅行へ
6月中旬、ピンキーメンバーは第1回路上ライブを成功させた売上金で、初の慰安旅行に来ていた。温泉に浸かってゆっくりのんびりしようと愛媛の道後温泉に来ていた。温泉に行ってみたらと言い出したのはまゆみの母であった。初の温泉旅行にメンバーはテンションが上がり切っていた。
奈緒「皆お風呂に行くよ」
明日香「私は後から行きますから先行ってて」
奈緒「何が不都合なことあるんだ。教えろぉ~明日香」
沙也香「そうだよ。そんな隠し事良くないぞ」
ささもっちゃん「おっぱいのことですか?気にしてるんですか?」
奈緒「女同士気にする事ないじゃないの。明日へ向かえ、円すい乳」
まゆみ「そうですよ。大きかったらそれはそれで重たいですよ。肩こりますし」
友子「早くお風呂行こうよ。皆」
明日香は密かに豊胸トレーニングを行い、念願叶い、Bカップになる夢を願っていたのだった。彼女の乙女心は小さな胸にしまってあったが、ここへ来て一気に溢れ出すこととなる。
明日香「もういいわよ。あなた達先行ったらいいじゃない私帰るわ」
奈緒「どうしたの明日香。地鶏まだ食べてないよ」
明日香「うるさいわよ。おっぱい大きいのそんなに偉い?」
奈緒「偉いです。過去の偉人パイオツ・カイデェーさんも言ってるよ」
沙也香「奈緒ちゃん?」
奈緒「何?」
バシンッと平手打ちする音が響いた。
奈緒「沙也ちゃん?」
沙也香「いくら明日香でも傷づく事だってあるしさ。あんまりオチョくるのやめなよ」
ささもっちゃん「そうですよ自分が一番おっぱい大きいからって酷いですよ」
友子「そうだよ奈緒先輩がいけないんだぁ~」
まゆみ「……」
その時だった。奈緒の中で何かがはじけたのは。
奈緒「あんたに傷つく事の意味分かんの?」
沙也香「……。奈緒ちゃん。どうしたの?目が怖いよ」
奈緒「ちんたら楽しそうに生きてるあんたなんかに何が分かるんだよ」
沙也香「ごっ、ごめん」
奈緒「こっちは両親死んでて必死で新聞配って生きてんだ。お前なんかに分かってたまるか」
その時、明日香が立ち上がり奈緒を思いっきり殴った。
明日香「偉そうに言ってんじゃないわよ。だかが両親居ないぐらいでなめないでよ」
辺りは静まり返り、奈緒は呆然としていた。小学5年生の時以来、本気で切れたが、それと同じぐらいの衝撃を自分が受け止める事になろうとは俄かには信じられなかったのだ。正気に戻った奈緒は口を開いた。
奈緒「明日香が帰る事ないよ。私が帰るよ」
明日香「そう…」
奈緒は障子を開け、足早に部屋を後にした。
友子「さあ皆さん改めてお風呂などどうですか?」
4人「……」
友子「…」
ピンキーダイナマイト始まって以来の亀裂にメンバーは意気消沈したのだった。
一方、奈緒は夜のネオン街を一人彷徨っていた。
奈緒「親以外で初めてだ。あんなに必死で切れた顔。全部私が悪いんだ。謝るべきなんだ。でも……。なんであんなに怖い顔出来るんだろう?」
奈緒には固定概念外しや習っている空手・合気道の腕以上に人には負けない圧倒的正負のエネルギーを持っていると信じ込んでいた。それを情熱として使っていたのだ。明日香も情熱がある子だと知りながらもあんなにエネルギーを出せる女の子だったのかと今更ながら思うのだった。
奈緒「明日香はもしかして…」
その頃、沙也香は一人で繁華街を彷徨う奈緒を探しに来ていた。
沙也香「すいません。ちょっと通してください」
不良A「痛てぇな、どこ見て歩いてるんだぁ~」
沙也香「御免なさい。急ぐので。すいません」
不良B「待てや。ちょっと付き合えや、道後の夜を満喫させたるわ」
???「止めろ」
そこに現れたのはたまたま一人で旅行にきていた担任のエロ泉谷だった。
不良A「なんだおっさん。死ねや」
不良B「あの世で詫びろやジジイ」
殴りかかって来た2人に対してエロ泉谷はごつい腕で2人の腕をつかみ、
エロ泉谷「あの世行はお前らだ」
というと、正拳中段突きを2人にお見舞いするのだった。2人はすぐに心が折れ、謝って帰っていくのだった。
エロ泉谷「大丈夫か、工藤」
沙也香「あんたそんなに強かったのかよ」
エロ泉谷「まあな」
沙也香「奈緒ちゃんを探してるけど見なかったか?」
エロ泉谷「何、奈緒ちゃん、来ているのか?」
沙也香「来てたけど喧嘩して出て行っちゃたよ」
エロ泉谷「そうかじゃあ手分けして探すか」
沙也香「うん」
そうして2人は奈緒の姿を追って行くのだった。
しばらくすると写真店の前で突っ立ている奈緒を見つけた。
沙也香「奈緒ちゃん」
奈緒「沙也ちゃん……」
エロ泉谷「奈緒ちゃん僕だよ」
奈緒「先生もいるんだどうして……」
沙也香「奈緒ちゃんごめん。私がつまらない事でこの旅行駄目にしちゃったね」
奈緒「ううん。そうじゃないよ、私が調子に乗ってたんだ。ゴメン」
沙也香「私の事はいいの。でも明日香は今回の旅行楽しみにしてたんだよ。ホントは胸の事とかもまあ、ちょっとは気にしていたかもしれないけど、ピンキーダイナマイトで売上5位だったじゃん。だから気にしてたと思うんだ自分は必要かってね」
奈緒「そっか。そうだったんだね」
沙也香「それに明日香はお母さんいないんだよね。小学生の時には病気で死んだんだって」
奈緒「やっぱり。そうだったんだ」
沙也香「明日香はきっと奈緒ちゃんに分かって貰いたいんだよ」
奈緒「知ってたんだ、私の事も」
沙也香「それはだいたいの生徒は知ってるよ。だから帰ろう旅館に」
奈緒「うん。謝るよ明日香にも皆にも。腹割って明日香と話してみたいな」
沙也香「それは何時になるか分かんないけどね」
エロ「それじゃ俺もおじゃましますか」
沙也香「来んなやエロ!」
奈緒「今日の所はお引き取りを」
こうして2人は旅館に戻るのだった。部屋では3人が固まって、明日香が1人離れて座っていた。
沙也香「ただいま」
奈緒「う~す。しゃ~す」
明日香「???」
沙也香「そこのお土産屋さんで坊ちゃん団子買ってきたよ。皆で食べよ」
友子「やったぁ!全部友子のだ」
ささもっちゃん「私も欲しいなぁ」
まゆみ「二人とも止めて」
奈緒「明日香にはこれだよ~」
明日香「……」
奈緒「青果店で買ったリンゴ2つおっぱいに装着」
明日香「止めて」
奈緒「どーだどーだ。ぐりぐり胸ぇ~」
明日香「止めてって言ってるでしょ」
その時、バシィっという音が気持ちいいほどはっきり聞こえた。奈緒が明日香を平手打ちしたのだった。
奈緒「あのさ……。もうこれで許せ明日香」
明日香「そっ、そう」
奈緒「悪かったよ色々と」
明日香「それでお相子のつもり」
バシィ!!今度は明日香が奈緒を張り倒した。そして、奈緒を見つめると2人して笑いあった。
明日香「あははは」
奈緒「あははは」
明日香「あはははって指さすなよ。意味変わってくるだろ、貴様」
奈緒「わりぃわりぃそんな笑い方するんだなお前は」
ささもちゃん「ささもっちゃんで~す。こんな笑い方で~す。むははは」
友子「友子はウフフが似合うよ。見て皆。まゆみちゃんも笑いなよ」
まゆみ「わたしはちょっと……」
沙也香「お前も笑え。このこのっ!!」
まゆみ「やめてくらはい。ウフフフ」
皆して笑いあったメンバーは握手したりハグしたりして2時間の出来事をゆっくり忘れていくのだった。
そして皆で温泉に入り、流しあいをしたり、お尻の形を自慢しあったりした。夕ご飯は豪勢に地鶏料理を堪能し、恒例のまくら投げもして夜を迎えた。全員がスヤスヤ眠る中、ぽつりと、
明日香「奈緒さん起きてる」
奈緒「起きてるけど、何」
明日香「私ね実は奈緒さんと似ていてね……」
奈緒「分かってる。皆まで言わない。明日香は……
………………お尻に自信あるんだろぅ?」
明日香「最低、死ね。……。ありがと、奈緒ちゃん」
こうして初の慰安旅行は終わっていくのだった。
第12話 CD、写真集、イメージV発売や動画投稿サイトへのPVアップロード
6月下旬、ピンキーダイナマイトは、以前録音・撮影したCDやライブDVD、写真集、イメージVの編集作業に追われていた。CDやライブDVDはCD‐RやDVD‐Rに自分たちで焼いてパッケージした手作りの物を。写真集は撮り溜めていた物の中からメンバー一人一人が厳選した物を50ページにまとめ上げ制作した。イメージVは全員の物を一つにまとめ上げ、1時間に映像動画編集でまとめ上げた。メンバーとの話し合いの結果メイキング映像をおまけで付けることにした。それらをHP上に貼り付け、WEB販売ができる体制を整えていった。BBSではすでにCD、ライブDVD、写真集、イメージVの事に関して多くの書き込みが観られ、発売を楽しみにしているFUEL達が多数観られた。新たにイベント情報の告知やSNSでのブログやつぶやきなどを併設したのだった。
明日香「皆集まりなさい」
奈緒「出来そう?予約注文は来てる?」
沙也香「来てるみたいだよ。CD、ライブDVDは2000件、写真集は2500件も来てるよ。イメージVは3000件に達しそうだよ」
友子「あたし10000件ぐらい行くと思う」
まゆみ「さすがにそれは無理でしょうけど」
ささもっちゃん「物販での手売りも合わせたら5000冊5000枚はいけると思いますぅ」
メンバー達はHPに掲載したCD、ライブDVD、写真集、イメージV、グッズ等の予約注文状況を見ていた。2000件~3000件の注文数に喜びを感じていた。
明日香「商品の発売は7月15日ウェブでも発売するわ。私が注文数に応じて必要な冊数や枚数を用意するわ」
沙也香「私達はどうすればいい?」
まゆみ「何かお手伝い出来る事ありませんか?」
奈緒「私達は水着で物販でアピールするよ」
ささもっちゃん「私は絶対嫌ですぅ。恥ずかしいです」
友子「あたし別にいいけど」
明日香「そんなの駄目に決まってるでしょ」
奈緒は手売りで売る商品を持って行きPRする為、大型セルレンタルビデオ店やCDショップを回った。
奈緒「すいません。店長ですか?」
水口「はい、店長の水口ですが、あっ、もしかしてピンキーダイナマイトの奈緒ちゃん?」
奈緒「はい、申し遅れました。私が高知県下にセルライト大好きなサキュバスと名を轟かせる村上奈緒で~す」
水口「うぉぉぉぉ!やはりそうだったんだね」
奈緒「今日はCDや第1回路上ライブの模様を収めたライブDVD、撮り下ろしの写真集にイメージV、グッズを持って来ました。お電話で話させて貰いました様に置いて頂けるんでしょうか?」
水口「もちろんだよ。僕も欲しいと思ってネットでHPを貼りついて観ていたんだよ。これは売れる。売れますぞい」
奈緒「有難う御座います」
そういうと店長の水口は特設コーナーに奈緒を連れて行くのだった。そこは、人目に付き易い入口から程近い場所であり、水口の粋な計らいで作られたピンキーダイナマイト専用のコーナーであった。
奈緒「こんなに広いスペースに置かせて貰えるんですか?嬉しすぎるぅ」
水口「最近はね本もCDもレンタルのDVDなんかでも売れない時代でね。だから、ウチとしてもピンキーダイナマイトに売り上げで助けて貰いたいと思っているんだよ。持ちつ持たれつだね」
奈緒「絶対売れる様にPR頑張りますから、宜しくお願いしますね」
その結果、各店舗に多くののCD、ライブDVD、写真集、イメージV、グッズを置かせて貰う事が出来た。奈緒は水口の配慮やウェブでの反応に自信を覗かせた。それに、地域の人達の暖かさと置いてくれる店の為にも絶対に売れるという決意を新たにした。
一方で、明日香達はPVの撮影を行っていた。曲は第1回路上ライブで盛り上がった、桃色絨毯爆撃機ピンキーダイナマイトという曲。衣装はライブの時の衣装と自前の私服と制服で撮影したのだった。曲はフェチズムを歌った大人の色気を出す感じの歌詞になっているので此処でもまた苦手分野になっている沙也香が足を引っ張る形になった。
明日香「違う。そうじゃないの。もっと欲しがってる表情してよ沙也香」
沙也香「欲しがってるって何を」
ささもっちゃん「男の子の固い物とか♪」
まゆみ「男の子の固い物って……。恥ずかしいよぉ、ささもっちゃん」
友子「男の子の固い物って言うと拳」
奈緒「ホントは分かってるな己は?ぐりぐり」
友子「止めてください。正解は素敵なステッキです。伸び縮みするんですよぉ」
沙也香「欲しがりますよ。欲しがればいいんでしょ」
逆ギレをする沙也香に奈緒は離れた位置から、男の生体について書いた真面目な本を見せつけて近づいて来た。
沙也香「何それ恥ずかしい、奈緒ちゃんやめてぇ。そんなの弟のしか見た事ないよ」
明日香「はい、カット。その表情でいいのよ。時間掛かるわね、あんたは」
沙也香「御免ね。恥ずかしいの苦手なんだ」
奈緒「でも、凄く可愛くなってるよ、ほらPV出来上がったみたいだよ」
沙也香「ありがとう奈緒ちゃん、もっと精進します」
PVはこうして完成した。メンバーの可愛らしくも妖艶な魅力が詰まった物となった。そして、明日香はこのPVをHP上にただ貼り付けるだけでなく、動画投稿サイトへUPしようと考えていた。
明日香「このME TUBEというサイトは世界の動画投稿を載せてるサイトなんだけど、ここに私達の曲のPVも載せてみるわよ」
ささもっちゃん「うひゃ~楽しみだい」
友子「あたしのPVもMTVで流れるのだぁ」
まゆみ「海外のランキングに乗る訳ないでしょ、友子」
沙也香「再生回数どれだけ行くかなぁ」
奈緒「私、自分で押しまくろうかな」
明日香「そんなん駄目よ。正当に評価を受けるわよ」
完成したPVはその日のうちにアップロードされ、この日は前線基地で解散となった。
次の日、奈緒が前線基地へやってくるとメンバーが雄たけびを上げていた。
奈緒「うぃぃぃす。どうしたの、宇宙人が皆UFOにアレルギーを持ってるって知った時みたいな反応は」
ささもっちゃん「奈緒ちゃん先輩、宇宙人アレルギー説を唱えているんですか?凄い尊敬」
沙也香「そんな事より凄いんだって。うちらの載せたPVが再生回数、一日で1000万回だよ」
奈緒「1000万?そんな事になるの?明日香」
明日香「私も信じられないけど1000万回見られてるって事実だからね」
奈緒達は驚愕するしかなかった。自分たちの掲載したPVが1日経たない間に、1000万回も見られているという事が俄かには信じれなかった。余りの再生回数に驚いたメンバーはコメント欄を見てみる事にした。
オレンジ野郎
凄い!自分たちで此処までやってしまうってこのメンバー才能あり過ぎ。あと、奈緒ちゃんって子は群を抜いて可愛い。俺の嫁にしたい。目指せ再生回数1億回。
自宅警備員
PVなどは荒削りだが、全員の表情が妖艶で且つキュートで深夜に見ると堪らなくムズムズする。それと奈緒ちゃんは女神級の女の子。世界に羽ばたくアイドルになると思う。
ジャキー女子高生DA
ヤバイ!皆可愛すぎ!!センターの奈緒ちゃんヤバすぎ。絶対全国区のアイドルに成るべき。可愛すぎる。
コメント欄を見てみると奈緒の事について書かれている事が殆どだった。
奈緒「私の事が書かれてあるねぇ」
友子「やっぱり奈緒先輩は何か違うオーラを持っているんだろうな」
まゆみ「そうだね。うん。凄すぎて涙も出ない」
ささもっちゃん「やっぱり奈緒ちゃん先輩のポテンシャル、凄っ!!」
奈緒「いやぁ~やっぱり胸ですかなぁ~。オへへ」
明日香「なんか奈緒さんって昔から人を引き付けるモノを持ってるわよね、ムカつく」
沙也香「そうだね。ムカつきもしないけど別次元の人って感じ、芸能人感あり過ぎだよ。羨ましい」
奈緒「ううん……」
奈緒は密かにアリスの女だと自覚してはいたが、ここまで影響がでしまう事に今更ながら少し後悔していた。それは、良からぬ事を考える輩にも知られてしまうからであった。自分の将来をあまり考えて来なかった奈緒にとって、この出来事は重大なターニングポイントになっていくが、それはもう少し後の話だ。
ちょうどその頃、奈緒がPRで回った大手セルレンタルビデオ書店では異様な光景が目撃されていた。店内に並んだ人の列はざっと数えて500人ほどで、店内のある一角に人が集中していた。それは、ピンキーダイナマイトのコーナーであった。行き交う人がCDや写真集などを手に取り、すぐにレジへ並ぶ姿はこの高知県という土地ではあまり見かけない風景であった。
お客さん1「すいません。ピンキーダイナマイトのCDと写真集あります?」
水口「申し訳ございません。ピンキーダイナマイトの関連商品は全て売れてしまいまして」
お客さん2「えっ、もう完売ですか。次回の入荷は何時ぐらいになりそうですか?」
水口「まだ何とも言えない状況でして、予約という形で宜しければ入荷と同時にお渡しできますが」
お客さん達「予約しますぅ。宜しくお願いします」
水口は余りの客の多さに予想していたとはいえ驚きを隠せなかった。本来は売り上げの2割程度しか書店の方には入らないが奈緒の優しさもあって、5割売り上げが書店に入ることになっていた。本日のピンキー関連の売り上げは450万円。半額の225万円が書店に売り上げとして残った。そして2時間後、奈緒がメンバーと連れてやって来た。
奈緒「水口さ~ん」
水口「あっ、奈緒ちゃん。メンバーの皆も」
一同「この度は関連商品を置かせて頂いて有難う御座います」
水口「いやぁ~僕はねぇ~今日ほど嬉しい日は無いよ。お客さんがこれだけ来てくれたのは開店当初以来じゃないかな」
明日香「いえいえ、そんな事は」
沙也香「さっきのお電話の内容だと奈緒ちゃんが置かせて貰ってた分は完売みたいですが」
水口「そうなんだよね。追加の予約注文も500件ぐらいあるし、もう倒れそうになるぐらい嬉しい」
ささもっちゃん「水口さんにやにやしてますぅ~」
水口「今日一日半笑いで仕事してたよ」
まゆみ「それはイケませんよ。でも気持ちは分かります」
友子「水口さん売り上げちょうだ~い。全部友子の」
奈緒「良かったです。水口さん」
メンバーは追加予約の注文票の数を教えてもらい、この日は書店を後にした。後日、追加予約数+1000ほどをCDショップや書店に持って行った。ウェブの予約数と合わせるとそれぞれのアイテムが1万を超える数に達していた。売り上げは関係各所に配った後、メンバーの今後の活動費用に充てる為に残しておく事となった。
第13話 中間テスト
7月中旬、奈緒達ピンキーダイナマイトメンバーもテスト期間を迎えていた。今日はテスト初日である。
沙也香「あぁ、テスト早く終わんないかな。マジで嫌だよ。中間テスト何て無くなればいいのに」
明日香「沙也香、うるさい。気が散る。今回は奈緒さんにどうしても勝ちに行くわよ、いい?」
沙也香「あぁ~ホント明日香は馬鹿だなぁ~。奈緒ちゃんは学年トップクラスの成績で、東大でも京大でも上智でも行ける人だよ」
明日香「何よ。私は万年2位に甘んじているのが自分で許せないのよ。沙也香、あんたも特進クラスのビリに君臨しているんじゃないわよ」
そんな2人を眺めながら、近づいて来たのは5年連続学年成績NO1の奈緒であった。
奈緒「私、郵便局を食べ~るぅ。食べ~るぅ。食べ~るぅ♪」
明日香「何なの?そのふざけた歌は。気が散るでしょうが。今すぐGET、OUT、HERE♪」
奈緒「そんな事言わないで、暇なのぅ~。勉強終わって暇なのぉ~。相手してぇ」
沙也香「この張りつめた空気の中よくそんな余裕で居られるね、奈緒ちゃん」
奈緒「年賀状ハガキも食べるぅ~?沙也ちゃん」
沙也香「いい加減にしてよね奈緒ちゃん。あなたは頭良いから余裕だろうけど私は今回もギリギリっぽいからさ」
奈緒「そう怒らないで。そのお詫びといってはなんですが、沙也香専用テスト範囲まとめノートを作っておいたから心配するなもし。明日香も見ればいいなもし」
明日香「私はそんな物要らないわよ。自力で解くからいいわ」
奈緒「強がりさんだなぁ~」
エロ泉谷「ほらぁ~お前ら~席に着け。テスト用紙配るぞぉ~」
チャイムが鳴り、席に着いた生徒たちは一様にエロ泉谷を凝視している。早く始めろと言わんばかりに。
エロ泉谷「そんなに見つめないで。先生困っちゃう~」
明日香「早くして!変態教師」
沙也香「あぁ、英単語一個トンだじゃねぇか!」
そして、テストは始まった。顔を歪ませている生徒が多い中、奈緒はスラスラと英語の長文問題を解いていく。明日香は必死の形相で挑んでいるし、沙也香はもう既に涙目になっている。
奈緒「Light can travel faster than anything else. っていうのはつまり、光は何よりも早く伝わるという事か。成程」
明日香「この文の場合 A …比較級 + than any other + B ですからして……ええと」
沙也香「ライトくんは早い旅行がお得意ですわよかな?」
こうして、時間が過ぎ午前の英語のテストは終わった。
奈緒「どう?自信はありますか?沙也ちゃん」
沙也香「無い。完全に死んだ」
明日香「私は空欄は埋めたわよ」
沙也香「私、途中からお絵かきがしたくなってたのよ。おほほ、私はこの件に関しまして一切記憶にございません。身に覚えがないと言っておりますように……」
奈緒「沙也ちゃん」
明日香「沙也香」
そして、昼休みを挟んで、日本史のテストが始まった。
奈緒「鉄砲が日本に輸入されたのは何年?ええと、これは良いご予算だから1543年かな。簡単、簡単」
明日香「1549年鹿児島に来航し領主島津氏の許可を得て布教を開始したのは、誰?ええと禿げ頭のとぼけた外国人よぉ~ええと確かフランシスコ・ザビエルよね」
沙也香「日本側の主な輸出品は、16世紀中頃から生産量が飛躍的に増加した?である。ええと確か金が銀なんだよな。どっちだっけ。いやここは正直に私が落としたのは銅ですと言った方が当たるような気が……」
こうして本日のテストは終わった。表情で言えば奈緒はウキウキで、明日香はまずまずといった表情。沙也香に至っては正解を見るのも怖いと言った表情からアヘアへ顔へ解脱を試みている始末であった。
奈緒「今回のテスト簡単だったね。全部分かったと思うよぉ~」
沙也香「羨ましい。奈緒ちゃん細胞を移植してくれ、頼むぅ~」
明日香「バカなことを言ってないで帰るわよ」
それから数日後、テストは終わって、今回の中間テストの成績が廊下に張り出された。もし赤点を取っていれば補習授業を受けなければならないので生徒たちも必死で成績表を見つめるのであった。
クラスメイトA「わぁ~私下から数えた方が早いよぉ~」
クラスメイトB「私はBEST10圏内だぁ~。ええと、今回もやっぱり奈緒ちゃんと明日香さんのデットヒートね明日香さん5教科で495点。奈緒ちゃん500点。満点を毎回とるのは神憑り過ぎているけどね」
沙也香「私はっとええと何処だろ~あっ、有った。下から5番目だ。やった。前よりちょっと上がった」
そこへ遅れて奈緒と明日香がやって来て、
明日香「どうだったの?沙也香」
沙也香「良かったよ明日香。赤点はギリギリ無かったから補習と追試は無し」
奈緒「良かったね~。ピンキーやらないといけないから、補習とかの時間正直取れないしね」
沙也香「そうだね。困った選択問題の時は鉛筆転がして選んでいたからね、わははは」
奈緒&明日香「そっ、そうなんだ」
兎にも角にもこうして中間テストは終わった。因みにささもっちゃんは高1の中での順位は下から2番目であった。まゆみは成績優秀者で高2で上から2番目。友子は下から6番目だった。メンバー達に楽しい夏休みが間近に迫っていた。
第14話 ライバルららぽち登場
8月上旬、ピンキーダイナマイトのメンバーは高知県のご当地アイドルららぽちを偵察に行っていた。ららぽちはピンキーとは違い芸能事務所に所属する本当の意味でプロのアイドルグループである。メンバーは自分達以外のアイドルグループを初めて目の当たりにする事となる。切っ掛けは地元TV出演の際、笹井プロデューサーから地元には他にもアイドルグループが居るよと教えて貰った事が切っ掛けだった。今日はその地元グループららこちが大型ショッピングモールで定期ライブを行うとの事で、メンバーは盗める所は盗んでグループの参考にしようと躍起になっていた。
明日香「ここね。さぁ一体どんなグループなのかお手並み拝見と行こうじゃない」
沙也香「たぶん、私達より歌唱力やダンスの実力は圧倒的に上だと思うよ」
ささもっちゃん「そうですかねぇ?ピンキーも地獄のダンスレッスン強化合宿をやったじゃないですか。地方アイドルなんてお芋食べてオナラしてる感じですよ。多分」
友子「それにうちらは5000万回の再生回数を叩きだしたグループですからねぇ。全部友子がやった訳ですが……」
まゆみ「偉そうに言わないの、友子ったらもう」
奈緒「地方アイドルだからって舐めて掛からない方が良いかもよ。とんでもない逸材がいたりする可能性が有るからね」
メンバーは軽く変装をしてショッピングモールの1階の広場に居たが、周りにはファンと思われる人達が30人ほど居た。時刻は19時5分前である。この後、19時からららぽちのステージが始まろうとしていた。
まゆみ「意外に人少ないですね。私達のデビュー路上ライブは告知も沢山してだけど、1000人ぐらいは居たのにな」
友子「これだけの人数でやっていけんのかな、ららぽちの事務所は。友子電撃移籍してあげようかな」
沙也香「要らないって言われるよ、多分ね」
友子「ヒドイよ。ぐすん」
奈緒「さぁ、始まるよ!」
そして、19時になったその時、ファンの歓声に答えてららぽちが可愛らしく登場すると、いきなりSEが流れだした。同時にやったぁ~とか来たぁ~というファンの怒号にも似た叫びが木霊した。
ファン1「うぉぉぉぉ!!リンちゃん行くぞぉ~」
ファン2「きゃあぁぁぁ!!華ちゃ~ん」
ファン3「いったらんか~い!!さっちゃん」
リン「ありがと、一曲目!聞いて下さい!」
華「フューチャーマイン!!」
桜「掛け声宜しく!」
その瞬間、激しいリズムが流れ出しららぽちの3人はキレのあるダンスを踊りだした。それと同時にファンも何か掛け声のような合いの手を入れ始める。
ファン達「よっしゃ~!ミョーホントゥスケ、化繊飛除去、ジャアージャアー、ファイボォ、ワイパァー」
ららぽち「最高の時に~君と居たい~♪感じてよ~穴が開くほど~見つめて♪」
その光景は正に一体感というに相応しくピンキーメンバーを驚愕させた。
明日香「地方アイドルってこんなに出来る者なのね。驚いたわよ私」
奈緒「華があるなぁ~あの子達こんなに歌もダンスも上手いなんてね」
ささもっちゃん「前言撤回宣言20xx年、後悔したので辞世の句を此処に書くに至りけり」
奈緒「ささもっちゃん、何も死ぬ事は無いぞ。見ようぞこの子達の舞台を」
ささもっちゃん「ははぁ~」
友子「ささもっちゃん意味が分かんないよ」
まゆみ「それだけ凄いって事よ、友子」
こうして、1曲が終わる頃にはショッピングモールの2階3階からもららぽちは注目を集めるのだった。
リン「今日は集まってくれて有難う。ららぽちリーダーのリンでぇ~す!」
ファン「リンちゃん最高!絶対結婚しようなぁ~」
華「おなじくららぽちの華でぇ~す!」
ファン「華ちゃ~ん!今日も可愛いよぉ!」
桜「さっちゃんはね、桜って言うのさホントだよ」
ファン「桜ぁ~!桜が一番可愛いよ!」
ららぽちのMCが始まって何曲かの曲が披露されて、時間が経った頃に衝撃は突然やって来た。
リン「そういえばねぇ、今日はビックリすることが有るがよ」
ファン「何~?」
華「それはですね、何時もは余り私達女性ファンが居ないんですが、今日は何と女性の方があちらに居らっしゃるんですねぇ~」
ファン「やったぁ~」
桜「しかもなんと有名人なんですよ。皆さ~ん!」
ファン「ざわざわ」
そうすると、ファンの人のみならずショッピングモールの人達の殆どが、ピンキーメンバー6人に注目を注いだ。メンバー達は焦り出すが逃げ出す暇も無かった。
リン「なんとあそこにいらっしゃるのは皆さんもご存じ、地元を賑わせているアイドルグループピンキーダイナマイトのメンバーさん達でぇ~す!」
お客さん「えぇぇぇぇ!!!!!!!」
明日香「やばいわよ。敵に見つかったわ」
沙也香「超注目集めているんですけど」
ささもっちゃん「注目ドンと来~い!わ~い!!」
友子「あたしのだよ。全部友子のスポットライト!!」
まゆみ「恥ずかしい!というか何、人の背中に隠れてるんですか」
奈緒「わぁ~、広い背中」
まゆみ「嫌いです。酷いですよ。しくしく」
奈緒「御免ね。嘘だよ嘘」
この瞬間ピンキーメンバーは針の筵状態になってしまう事になった。どういう思惑があったか分からないメンバーは戦々恐々としたが事態は思ったよりもフレンドリーな方向へと流れる。
リン「私達は皆と同じでピンキーダイナマイトが大好きで、さっき見かけた時、心臓止まるかと思ったがよ」
華「華もサインして欲しいぐらい大好きだよ。さっちゃんは?」
桜「さっちゃんはピンキーの2期生になりた~い!!」
リン「と言う訳なので、ピンキーダイナマイトのメンバーの方ステージへ上がってくれませんか?」
明日香「上がるしかなさそうね。この雰囲気」
沙也香「そうだね」
ピンキーメンバーはファンの間を通り抜け、ステージに上がる事になった。ららぽちはピンキーメンバーを招き入れるとマイクを向けて来た。
リン「今日はどうしてここにピンキーダイナマイトのメンバーさんが来ているの?」
明日香「私達より先輩なるららぽちさんのステージを一度見ておきたかったからです」
ささもっちゃん「凄い一体感でしたね」
友子「友子は感激で~す」
華「有難う御座います。私はピンキーの大ファンですよ。歌も踊りも楽しいから」
まゆみ「それはとてもうれしいです」
桜「ウチの事務所の社長も是非ピンキーをウチで預かりたいと言ってましたよ」
奈緒「そうですか。う~わんわん。くぅ~ん。お手」
沙也香「いや奈緒ちゃんペットとしてでは無くだな」
一同「あははは」
何度か会話のやり取りをするとピンキーとららぽちは仲良くなることが出来たのだった。ららぽちはメンバーが大学2年生ではっちゃけたトークが売りの20歳のリンと、高校3年生でおばかな18歳の華と、高校1年生で少し天然な16歳の桜の三人からなるアイドルユニットである。ファンの数はピンキーに比べれば少ないが、高知県の地元を代表するアイドルで今から3年前に結成され、アイドルとしては長めのキャリアを持つグループだ。メンバーチェンジは1度も無く、またファンからの信頼も厚い。アイドルグループの先輩として、そして良きライバルとしてこれからも仲良く居て欲しいとピンキーメンバーは思い、この日は帰って行ったのだった。
第15話 ららぽちラジオゲスト出演
8月中旬、ピンキーダイナマイトメンバーは地元高知県のラジオ局に来ていた。今日は、以前共演を果たしたららぽちのラジオ番組にゲストとして呼ばれていたのだった。ららぽちは高知県でラジオの冠番組を持っており、もう2年間もレギュラーを務めている。メンバーもららぽちの様に番組を持ちたいと思う様になっていた。
明日香「ここだわ。FMはちきん。このラジオ局の土曜日15時から1時間、ららぽちの枠があるんだわ」
沙也香「ららぽち凄いね。1時間もやってるんだね」
ささもっちゃん「どんなコーナーがあるのかな?ささもっちゃんのフライを揚げましょうコーナー作って貰おう」
友子「じゃあ友子はメントスコーラ一気飲みのコーナーがいいなぁ」
まゆみ「そんなコーナーはないよ、きっと。ヤル気あるの皆は」
奈緒「あっ、プロデューサーさんだよ。皆羽交い絞めにして」
明日香「何で羽交い絞めにするのよ、馬鹿」
加藤「プロデューサーの加藤です。皆がピンキーダイナマイトのメンバーだね。初めまして」
奈緒「加藤プロデューサーさん。大好きです。会ったばかりなのにドキドキします」
加藤「どうしたんだい?奈緒ちゃんだっけ。くっ付かれると恥ずかしいよ。好きなんて嘘言わないでぇ」
奈緒「好きになったものは仕方ないです。ピンキーもレギュラー1枠下さいね。お願いします」
加藤「それに関しては超前向きに検討させて下さい」
明日香「いやらしいわね。そんなやり方でレギュラーを勝ち取らないで、分かった?」
沙也香「流石というべきだね」
ささもっちゃん「まさに速攻!」
友子「友子ももっと好きで~す。加藤さ~ん」
まゆみ「やめなよ。奈緒先輩と違ってDカップしかないじゃん」
友子「うるさいよ」
メンバーは奈緒のプロデューサー籠絡作戦によりレギュラーを勝ち得る手前までやって来た。そして、勢いをつけたメンバーは加藤に連れられ、ラジオ局内に入りブースの外までやって来た。そこにはららぽちのメンバー達が打ち合わせをしており、後本番まで10分という所だった。
奈緒「どうも、土佐の荒波が育んで生まれたHカップの奈緒で~す」
リン「あっ、奈緒ちゃんだ。今日は宜しくね」
明日香「宜しくお願いしますわね」
ささもっちゃん「私達はどのコーナーに出るんですか?揚げ物のコーナーとか有ります?」
華「それはないかな、あはは。後、フリートーク、お便り紹介コーナーの後でゲストを呼ぶ事になっているから」
沙也香「ゲストに呼んで貰って光栄です」
桜「近い年齢なのでざっくばらんにお願いね」
友子「OK任せて」
ららぽちは打ち合わせを終え、ブースに入り番組は始まろうとしていた。『ららぽちの八金ラジオ』という番組のタイトルである。ピンキーメンバーは初のラジオ放送現場に立ち会い緊張を隠せなかった。ららぽちメンバーは手慣れた様子で準備し、そして、番組は始まったのだった。
リン「さぁ、始まりました。ららぽちの八金ラジオ。パーソナリティーのリンと」
華「華と」
桜「桜で~す」
リン「いや~、最近は熱いですねぇ。暑いときはアイスに限るけど2人はどんなアイスが好き?」
華「華はかき氷ですね。一気に食べてキーンとするのが好きです」
桜「私はバニラアイスが好きで~す。ナッツが入っているのが好きで~す」
オープニングのフリートークを見ていたピンキーメンバーはブースの外で話し始めた。
奈緒「ああっやって話すんだね。全然ボケなくていいのかなぁ?」
友子「私ならストレス溜まっちゃうけど」
ささもっちゃん「受け狙いしなきゃ。ラジオの向こうの人が噴き出すぐらい」
明日香「そういうもんじゃないのよラジオは」
沙也香「ちょっとしたギャグは必要だけどね」
まゆみ「私は多分もうこのメンバーに毒されているんだわ。これが本当の可愛いトークなんだわ」
奈緒「聞き捨てならないな。私達がまるでヨゴレアイドルみたいじゃない」
ささもっちゃん「取り押さえろ、友子先輩」
友子「うりゃ、御免なさいと言いなさいまゆみ」
まゆみ「嫌よ。私可愛いトークがしたいもん」
沙也香「止めろよ、ららぽちのトーク終わるぞ」
明日香「次はお便りのコーナーになるわよ、ちゃんと聞いて」
ピンキーメンバーがふざけていると、番組は次のコーナーへ差し掛かった。次はリスナーからのお便りのコーナーだ。
リン「それでは、さっそく最初のお便りです。ららぽちの皆さんこんにちは」
華「こんにちは」
桜「こんにちは」
リン「皆さんは夏休みになって何処へ行きましたか?僕は千葉の親戚の家へ帰省していました。との事ですが2人は何をしてた?私はプールへ泳ぎに行ってたよ」
華「夏祭りに行ってました」
桜「私は沖縄へ旅行に行ってました」
お便りのコーナーに入ってからピンキーメンバーがまた外で話し始めた。
奈緒「こういうのってフリとして受け取るんじゃないんだね。皆だったらどう返す」
ささもっちゃん「はい、動物園に行って馬と鹿ばかり褒めてました」
奈緒「はい合格。友子ちゃんは?」
友子「お父さんにお弁当渡しに県庁へ行って、お弁当を忘れて来ましたと報告して来ました」
奈緒「おもしろいね」
友子「奈緒先輩は?」
奈緒「私はアメリカの秘密基地エリア51を偵察に行って参りました」
友子「UFOが目撃されている所だ」
ささもっちゃん「スゲェー」
奈緒「まゆみちゃんは?」
まゆみ「ええと、大した事無いんですけどホエールウォッチィングへ行ってましたよ」
ささもっちゃん「どうやって?ツアーで行ったの?」
まゆみ「自家用クルーザーで行っておりました。えへへ」
奈緒「ささもっちゃん、友子ちゃんやりなさい」
ささもっちゃん「この金持ちがぁ~」
友子「うらやましいぞぉ~」
沙也香「だから、止めろっていってるだろう。うるさいって」
明日香「なんで質問にボケなきゃいけないのよ、奈緒さん静かにして」
奈緒「すまん」
友子「すまん」
ささもっちゃん「すまん、すまん」
まゆみ「完全にまゆみ毒されちゃったの、とほほ」
こうしている内にいよいよメンバーがゲストに呼ばれる時がやって来た。そしてゲストトークのコーナーが始まった。
リン「それではここで、ゲストさんを呼んでみたいと思います。ハガキやメールで出て欲しいと反響も多かったこのグループです」
華「それでは登場していただきましょう」
桜「ピンキーダイナマイトの6人で~す」
明日香「こんにちは、ピンキーダイナマイトのリーダーの明日香です」
沙也香「サブリーダーの沙也香です」
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。ささもっちゃんはいるぅ~」
友子「絶対それ言うよね。あっ、私は花占いではヒヤシンス、友子で~す」
まゆみ「キャラが違いすぎるよ友子。あっ、まゆみと申します。宜しくお願い致します」
奈緒「皆の糖質、心に脂肪、炭水化物界のフルパワーマーメイド奈緒で~す」
一同「私達ピンキーダイナマイトです」
リン「あはは、ピンキーダイナマイトはおもしろいねぇ。さっそくですが、質問のお便りが来ているのでご紹介しましょう」
華「はい、ららぽち、ピンキーダイナマイトの皆さんこんばんは。僕はピンキーの大ファンなんですが、ピンキーダイナマイトの皆さんは男の人にドキッとする所はどういう所ですか?」
明日香「私は車を運転するときに片手で運転するワンハンドステアリングに痺れたりするわね」
沙也香「それ明日香のお父さんでしょ?」
明日香「うるさいわね。カッコ良くしてるんだからそういう事言うの止めて欲しいわね」
桜「沙也香さんは?」
沙也香「私は格闘技をやっているので、ハイキックで1撃で倒してしまったりするとカッコいいと思ってしまうよね」
華「次はまゆみちゃん」
まゆみ「私は車でバックをしている時に片手でハンドルを回す仕草ですね」
友子「よくある奴それ」
ささもっちゃん「明日香先輩ともちょっと被ってるし」
リン「じゃあ友子ちゃんは?」
友子「友子は~壁ドンドン」
桜「壁ドンじゃなくて?」
友子「壁ドンドンは凄く怒っているからカッコいい」
まゆみ「それ友子本人居ないじゃない?ただ壁叩いているだけでしょう?」
友子「そうだよ。それがいいの友子は」
ささもっちゃん「女性を置いてどんどん先に行く人」
明日香「なんでよ。そういう人大嫌いよ、私は」
奈緒「置いて行かれそうになるの着いてくの楽しいかもね。ドキドキして」
まゆみ「ちょっとわかります。奈緒先輩は?」
奈緒「大きいお腹ぼよ~ん、いやマジで」
一同「……」
奈緒「私のぽっちゃり好きは理解されないの知ってるもんねぇ~。ぽっちゃり組合をアイドル界に作ってやろうその内」
リン「奈緒ちゃんの変わった好みが分かった所で1曲聞いて下さい、ららぽちでフューチャーマイン!」
曲が流れ出すと皆は一斉に奈緒の男の趣味は変わっていると笑ったのだった。そして、トークは続き、ラジオは〆に差し掛かっていた。
リン「それでは今日はピンキーダイナマイトの皆さん有難う御座いました」
メンバー「有難う御座いました」
華「また何処かで共演出来たらいいね」
桜「また遊びに来て下さい」
こうして、ラジオの生放送は終わり、メンバーはららぽちやスタッフに別れを告げ、帰る事となった。