3時間目の理科も終わり、また休み時間になった。
トイレでお手洗いをすませ、わたしはハンカチで手を拭きながら廊下を歩いていた。
「真由」
甘くかすれた声が聞こえて、真っ正面を見ると彼が歩いてくるのが見えた。
「蓮……! どうかした?」
「ちょっと聞きたいことがあって」
「なあに?」
ハンカチをポケットに入れながら、わたしは聞いた。
「今日、屋上に来てもらっていいか?」
屋上。
今日は放課後の予定は、なんにもない。普段、屋上になんていかないけれど、一体なんだろう。
「うん。いいよ」
わたしは口角を上げて頷いた。
「ありがとう。じゃあ待ってるから」
彼は、いつもと変わらない笑みを浮かべた。