――恋に落ちるのは一瞬。

そんなことをいったのは誰だったのか。
けれどその日、確かに俺は一瞬で恋に落ちた。


Twitterの企業中の人をはじめて四年目、フォロワーも五十万人を突破とそこそこ人気のアカウントになった。

――なのに。

「このように、ツイートから与える印象は……」

「ふぁ……」

出そうになったあくびを噛み殺す。
壇上では机上の空論でしかない講演が、永遠に続いていた。

……数字だけで宣伝効果とかわかったら苦労しないって。

統計学から見る、Twitterでの宣伝効果、だったか? 今日の講演内容は。
俺からすればこんなものを聴いても無駄でしかないが、会社からは行ってこいと無理矢理出席させられた。
まあ、座って聴くフリをしているだけで給料になるんだ、よしとしよう。

退屈な内容、さらに有用性のあることも出ないとなると、会場のほとんどが俺と一緒であくびを噛み殺している状態になっていた。