「う~ん、やっぱり闇雲に歩き回ったってダメだよ。そもそも、この水族館にお祖父ちゃんが来てるって保証もないし」

明日香は十数歩歩いただけですでに諦め始めていた。

彼女は気付いていないが、この根気の無さと無計画さは祖母譲りである。

しかし、70歩くらい歩いたところで、まぐろチップに含まれた頭によいとされるDHAが作用したのだろうか、明日香にナイスな考えが閃いた。

「『捜さないで下さい』ってことは、“本当は捜して欲しい!”って、ことだよね!」

彼女はニヤリと笑うと素早く周囲を見回し、係員を探した。