あたしはテレビを見ていた。
長閑な一日の終わり。
簡素な住宅街だ。

自然が豊かである。

と夜に、ぎゃあ、ぎゃあ、と赤子の鳴くような声が響く。

「まただ」とあたし。

おそらく鳥の鳴き声だと思う。

あたしはマイクロフィルムで顕微鏡を見ながら、生物図鑑を読み解いていく。

日本に住む鳥は渡り鳥や宿鳥を含めて417種類ほどだと考えていい。

動物そのものの種類は植物や昆虫よりもはるかに少ないことを知る。

したがって同定は容易かと思われた。
しかし一方で一般家庭には生物や鉱物などのまとまった図鑑がなく、したがって分類学は日本では徐々に後退しつつあった。

あたしが頼りにしていたのは、同定が難しい場合はたとえば属で止める必要もある、という教師の言葉だった。また、生物の分類体系も網→目→科→属→種と識別ノウハウそのものがさらに進捗した点も見落とせない。これは主に我慢強い勉強とテストによるものだったが。