・
・【美しい料理って何?】
・
「美しい料理って何だろうな」
ふと琢磨がそう言ったが、まさしくそれが真理だと思う。
だって人にとって美しいってそれぞれだもんなぁ。
まあ人じゃなくて、あやかしさんだけども。
それはそれで、それぞれだろう。
「やっぱり色鮮やかな、虹みたいな料理ってことじゃない?」
「美しいイコール虹って発想が貧困だな、色数だけでしか物事考えていないの?」
「いやそういうことじゃないし! 青空に虹とか綺麗じゃん!」
「でも青空は空だからいいんだろ、食事の時に青はダメだろ。食欲を失わせる効果のある色じゃん、青って」
「じゃあ虹単独! 虹単体なら!」
「いやでも虹にも青あるし、食紅とかで色付けると絵の具感が出て、美しさは無くなるんだよな」
「じゃっ、琢磨は何か考えがあるんだろうねっ! そんなに否定するということは!」
「ハナマさんが美しいと思うモノを考えるということだろ?」
「ハナマさんが美しいと思うモノ……何だろう、絵画かな」
「何でそんなに絵の具のほうへいこうとしているんだよ」
「いや絵の具のほうにいこうとはしていないよ!」
「いやもう絵の具のチューブに口つけて飲もうとしてるじゃん」
「全然そのレベルまでいっていないし!」
「この絵の具を飲んで、この色のオーラを出すんだっ、とか言いながらさ」
「そんな馬鹿じゃないわ! オーラは絵の具で決定しないし! 多分!」
「黄色い絵の具をグングン飲んでいって」
「いやだからオナラじゃないし! オナラのオーラを自ら出しにいってないし!」
「いや俺は黄色い声援みたいな、人気のオーラを出すというつもりで黄色って言ったんだけども」
「引っ掛けじゃん! 絶対そういう意味じゃなかったし! 最初の! 出始めは!」
「出始めってなんだよ、オナラみたいに言うなよ」
「出始めイコール、オナラって何だよ! そっちのほうがおかしいだろ!」
「よく格闘ゲームとかで出始め無敵になるとかあるけどさ、オミソはオナラの出始め無敵になりそうだな」
「何だよ! オナラの出始め無敵って! それディスってんのか! それとも褒めてんのか、もはや分かんないわ!」
「いやもうオナラを極めすぎて」
「じゃあディスってんな! オナラ極めるほど出してないし! そもそも女子はオナラなんてしないし!」
「いやそこは男子も女子も隔たりなくオナラするだろ。男女平等の世界観だろ」
「そんなところで男女平等を振りかざすな! いいの! 女子はオナラしないでいいのっ!」
「オナラしないとあとあと大変になるけども、大丈夫か?」
「そんな心配いらないし! というかハナマさんの話はどうしたんだよ!」
「ハナマさんも黄色いオーラ出してそうだな」
「いやっ、いない人の悪口止めろよ!」
「いやいや花粉って意味で」
「黄色って結構いっぱいあるな! チクショウ!」
「オナラうんぬんよりも女子がチクショウって言うなよ。オナラは生理現象だけどもチクショウは口の悪い言葉だろ」
「正論を吐くな!」
「というかハナマさんが美しいと思うことは、まさしくこれだと思うんだよね」
「オナラかっ!」
「いやだからオナラじゃなくて、花粉ね、というか花ね、花」
「……花かっ!」
「そう、自分が美しいと思うモノをいつも身に着けているモノでしょ、普通に考えて」
「じゃあ早くそう言えよ!」
「一応、いろいろ考えていたんだよ、いろいろ考えながら会話していたんだよ」
「会話しなくていい! 考えることに集中しろ!」
「いやでもオミソと会話するの楽しいからさっ」
何だ、余裕そうに笑いやがって。
そんなに馬鹿に見えるかっ。
全く、琢磨は腹立つなぁ。
「まあとにかく、だからこの、花を使った料理をしてみてもいいかもしれない」
「……でもさ、花が好きなんだから、花を食べたくはないんじゃないのかな?」
私がそう言うと、う~んと唸りながら俯いた。
そして。
「確かにその可能性もあるんだけども、でもなぁ、それ以外のことも浮かばないし。逆にオミソは何か案ある?」
チクショウ!
あるはずないだろ!
絵画がマックスだよ!
「いやまあ、無いけども……」
「じゃあ花でいってみてもいいと思う。花と言えばエディブル・フラワーだよな。生産段階から食用にも耐えられるような肥料を使って育てた花」
「でもそれをサラダに散らすみたいなことでしょ、それって安易じゃない? それこそただ花を食ってる感が出て、不快と言えば不快なんじゃ……」
「確かに、花感が強いよな、かわいそうで食べられないみたいな感じにはしたくないな」
「じゃあさ、花ズッキーニなんてどう? 野菜だし、マジの花が散らしてあるよりは食べやすくない?」
「……花ズッキーニって何?」
おいおい、花ズッキーニを知らないとは。
どうやら食知識のほうは私が上回っているようだな!
いいぞ! この優越感!
「花ズッキーニというのは、花がついた状態のズッキーニで、ズッキーニ自体はまだ未熟なんだけども、ちゃんと食べれて、その花も一緒に食べられるの。そして花に挽肉とかを詰めてフライパンで焼くのっ!」
「ちゃんと花の形が残って、火も通るのか?」
「そうそう! 大丈夫だよ!」
「じゃあそれで決定だな、ありがとう。やっぱり食べ物の知識だけは詳しいな、オミソは」
「いや食べ物以外も詳しいし!」
そんなこんなで言い合いをしながらも、私と琢磨はどんどんメニュー案を固めていった。
・【美しい料理って何?】
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「美しい料理って何だろうな」
ふと琢磨がそう言ったが、まさしくそれが真理だと思う。
だって人にとって美しいってそれぞれだもんなぁ。
まあ人じゃなくて、あやかしさんだけども。
それはそれで、それぞれだろう。
「やっぱり色鮮やかな、虹みたいな料理ってことじゃない?」
「美しいイコール虹って発想が貧困だな、色数だけでしか物事考えていないの?」
「いやそういうことじゃないし! 青空に虹とか綺麗じゃん!」
「でも青空は空だからいいんだろ、食事の時に青はダメだろ。食欲を失わせる効果のある色じゃん、青って」
「じゃあ虹単独! 虹単体なら!」
「いやでも虹にも青あるし、食紅とかで色付けると絵の具感が出て、美しさは無くなるんだよな」
「じゃっ、琢磨は何か考えがあるんだろうねっ! そんなに否定するということは!」
「ハナマさんが美しいと思うモノを考えるということだろ?」
「ハナマさんが美しいと思うモノ……何だろう、絵画かな」
「何でそんなに絵の具のほうへいこうとしているんだよ」
「いや絵の具のほうにいこうとはしていないよ!」
「いやもう絵の具のチューブに口つけて飲もうとしてるじゃん」
「全然そのレベルまでいっていないし!」
「この絵の具を飲んで、この色のオーラを出すんだっ、とか言いながらさ」
「そんな馬鹿じゃないわ! オーラは絵の具で決定しないし! 多分!」
「黄色い絵の具をグングン飲んでいって」
「いやだからオナラじゃないし! オナラのオーラを自ら出しにいってないし!」
「いや俺は黄色い声援みたいな、人気のオーラを出すというつもりで黄色って言ったんだけども」
「引っ掛けじゃん! 絶対そういう意味じゃなかったし! 最初の! 出始めは!」
「出始めってなんだよ、オナラみたいに言うなよ」
「出始めイコール、オナラって何だよ! そっちのほうがおかしいだろ!」
「よく格闘ゲームとかで出始め無敵になるとかあるけどさ、オミソはオナラの出始め無敵になりそうだな」
「何だよ! オナラの出始め無敵って! それディスってんのか! それとも褒めてんのか、もはや分かんないわ!」
「いやもうオナラを極めすぎて」
「じゃあディスってんな! オナラ極めるほど出してないし! そもそも女子はオナラなんてしないし!」
「いやそこは男子も女子も隔たりなくオナラするだろ。男女平等の世界観だろ」
「そんなところで男女平等を振りかざすな! いいの! 女子はオナラしないでいいのっ!」
「オナラしないとあとあと大変になるけども、大丈夫か?」
「そんな心配いらないし! というかハナマさんの話はどうしたんだよ!」
「ハナマさんも黄色いオーラ出してそうだな」
「いやっ、いない人の悪口止めろよ!」
「いやいや花粉って意味で」
「黄色って結構いっぱいあるな! チクショウ!」
「オナラうんぬんよりも女子がチクショウって言うなよ。オナラは生理現象だけどもチクショウは口の悪い言葉だろ」
「正論を吐くな!」
「というかハナマさんが美しいと思うことは、まさしくこれだと思うんだよね」
「オナラかっ!」
「いやだからオナラじゃなくて、花粉ね、というか花ね、花」
「……花かっ!」
「そう、自分が美しいと思うモノをいつも身に着けているモノでしょ、普通に考えて」
「じゃあ早くそう言えよ!」
「一応、いろいろ考えていたんだよ、いろいろ考えながら会話していたんだよ」
「会話しなくていい! 考えることに集中しろ!」
「いやでもオミソと会話するの楽しいからさっ」
何だ、余裕そうに笑いやがって。
そんなに馬鹿に見えるかっ。
全く、琢磨は腹立つなぁ。
「まあとにかく、だからこの、花を使った料理をしてみてもいいかもしれない」
「……でもさ、花が好きなんだから、花を食べたくはないんじゃないのかな?」
私がそう言うと、う~んと唸りながら俯いた。
そして。
「確かにその可能性もあるんだけども、でもなぁ、それ以外のことも浮かばないし。逆にオミソは何か案ある?」
チクショウ!
あるはずないだろ!
絵画がマックスだよ!
「いやまあ、無いけども……」
「じゃあ花でいってみてもいいと思う。花と言えばエディブル・フラワーだよな。生産段階から食用にも耐えられるような肥料を使って育てた花」
「でもそれをサラダに散らすみたいなことでしょ、それって安易じゃない? それこそただ花を食ってる感が出て、不快と言えば不快なんじゃ……」
「確かに、花感が強いよな、かわいそうで食べられないみたいな感じにはしたくないな」
「じゃあさ、花ズッキーニなんてどう? 野菜だし、マジの花が散らしてあるよりは食べやすくない?」
「……花ズッキーニって何?」
おいおい、花ズッキーニを知らないとは。
どうやら食知識のほうは私が上回っているようだな!
いいぞ! この優越感!
「花ズッキーニというのは、花がついた状態のズッキーニで、ズッキーニ自体はまだ未熟なんだけども、ちゃんと食べれて、その花も一緒に食べられるの。そして花に挽肉とかを詰めてフライパンで焼くのっ!」
「ちゃんと花の形が残って、火も通るのか?」
「そうそう! 大丈夫だよ!」
「じゃあそれで決定だな、ありがとう。やっぱり食べ物の知識だけは詳しいな、オミソは」
「いや食べ物以外も詳しいし!」
そんなこんなで言い合いをしながらも、私と琢磨はどんどんメニュー案を固めていった。