コーヒーをつぎながら待っていると、玄関のインターホンが鳴った。わたしは、ドリッパーをテーブルに置いて玄関へ走った。
レンズを覗くと、彼が写っている。わたしは勢いよくドアを開けた。
「よ、小雪」
「健! よく来てくれたね、入って入って!」
健は、玄関で黒い靴を脱いでリビングへ向かうわたしの後を追う。
「可愛いね。また、うさぎのぬいぐるみ増えた?」
リビングにあるぬいぐるみを見て、健が聞いてきた。
もうすぐ、わたしの誕生日なので少し早く友達が買ってくれたぬいぐるみに気がついて、彼が聞いた。
「あっ! うん、そうなの」
ぬいぐるみの置き場に目を通す。
やっぱりピンク色のぬいぐるみが1番多い。わたしが好きな色は、ピンクと白なのでほとんどのぬいぐるみの色がこの二色なのである。もちろん、茶色や黄色があるけれど、ピンクや白のぬいぐるみと比べるとかなり少ない。
「相変わらずのうさぎ好きだな」
「いーじゃん、別に」
わたしは少し怒ったふりをしてみせると、健は大袈裟に吹き出した。
「冗談、冗談。そんな小雪に、いいプレゼント持ってきてやったよ!」
「本当? なになに?」
「後でね」
ずるいな、とわたしは思った。待ちきれないという感じまで追い込ませておいて、結局今は渡さないなんて。