、、はずだったのに

「ばあっッッッッ!!!!」

得体の知らぬ何かに肩をつかまれて、
桜都は思わず固まった。

「ぎゃあああああああああ!!!!」

つい、叫ばずにはいられなかった。

パッと振り返ると、
そこにはいるはずのない、
髭を生やした父の姿があった。

「お誕生日おめでとう桜都。」

父は桜都にそう言ったみたいだったけれど、
桜都は頭の中がパニックになって,
もうそれどころではなかった。

「桜都に会いたくて帰ってきちゃった!」

父は桜都の誕生日を祝うために、
海外の仕事に一旦切りをつけて、
一週間の休みをもらったらしかった。

「え〜っっ?!?!?!
帰ってきちゃった!、、じゃないよ!!」

と思わずツッこんでしまったけれど、
それは桜都が父に会えた嬉しい気持ちを
隠すための、ただの照れ隠しだった。

よく見たら父の隣には母もいて、
ちゃっかりカメラまで持っていた。