でも早妃さんを思い出しもしない私に苛立っていたに違いない。
「沙雪……」
雪香は少し驚いたように私を見ている。まさか私が謝るなんて思ってなかったのだろう。
「言っておくけど、雪香を許した訳じゃ無いから、ただ話は聞く……座って」
愛想の無い声で言うと、雪香は一瞬傷付いたような顔をしながらもすぐにそれを隠し、ベッド脇の椅子に腰掛けた。
「雪香は何を話したいの?」
私から話を切り出すと、雪香は迷う事なく答えた。
「全部」
「……全部って」
私が聞きたいのは、三神さんに関する話だけで正直言って全て聞くなんて億劫に感じる。
この前までの私なら絶対に拒否していたけれど……。
「なるべく手短に話して」
釘を刺しながらも雪香の話を聞くと決めた。
「もう知ってると思うけど、私はずっと義父の監視下に有って自由が無かったの、義父はとても厳しい人で私にとって辛い毎日だった……そんな生活の中で蓮と会うのだけが楽しみだったの……ずっと蓮が好きだった」
知っていたことなのに、実際雪香の口から聞くと動揺した。
「蓮は私を大切にしてくれたけれど、その気持ちは家族に向けるもので私を女としては見てくれなかった。蓮は常に恋人が居てそれを見るのはとても辛かった。でも離れられなかったの」
その時の気持ちを思い出しているのか、雪香は辛そうに表情を歪ませた。
「いつも不満を抱えながら生活していた……そんな時に沙雪と再会したの。私すごくショックを受けた」
「……どうして?」
「沙雪はたった一人で、お父さんの葬儀を取り仕切ってたでしょ? しっかりしててテキパキ動いて……すごいと思った、私達十年前は何もかも同じだったのに、どうしてこんなに差がついてしまったのかって思った」
「取り仕切ってたって言っても、ひっそりとした家族葬だったし……」
感心される程のこととは思えない。やるしかないから、動いてた訳だし。
それに……葬儀の時は、私の方こそ十年振りに会った雪香を見て劣等感を持ってしまっていたのに。
「それでもすごいよ。沙雪は何でも自分で考えて決められるんだから……きっと沙雪なら義父の言いなりにならないんだろうと思った。そんな風になりたかった。双子なんだから私にも出来るはずだって……」
「私みたいに?」
「沙雪……」
雪香は少し驚いたように私を見ている。まさか私が謝るなんて思ってなかったのだろう。
「言っておくけど、雪香を許した訳じゃ無いから、ただ話は聞く……座って」
愛想の無い声で言うと、雪香は一瞬傷付いたような顔をしながらもすぐにそれを隠し、ベッド脇の椅子に腰掛けた。
「雪香は何を話したいの?」
私から話を切り出すと、雪香は迷う事なく答えた。
「全部」
「……全部って」
私が聞きたいのは、三神さんに関する話だけで正直言って全て聞くなんて億劫に感じる。
この前までの私なら絶対に拒否していたけれど……。
「なるべく手短に話して」
釘を刺しながらも雪香の話を聞くと決めた。
「もう知ってると思うけど、私はずっと義父の監視下に有って自由が無かったの、義父はとても厳しい人で私にとって辛い毎日だった……そんな生活の中で蓮と会うのだけが楽しみだったの……ずっと蓮が好きだった」
知っていたことなのに、実際雪香の口から聞くと動揺した。
「蓮は私を大切にしてくれたけれど、その気持ちは家族に向けるもので私を女としては見てくれなかった。蓮は常に恋人が居てそれを見るのはとても辛かった。でも離れられなかったの」
その時の気持ちを思い出しているのか、雪香は辛そうに表情を歪ませた。
「いつも不満を抱えながら生活していた……そんな時に沙雪と再会したの。私すごくショックを受けた」
「……どうして?」
「沙雪はたった一人で、お父さんの葬儀を取り仕切ってたでしょ? しっかりしててテキパキ動いて……すごいと思った、私達十年前は何もかも同じだったのに、どうしてこんなに差がついてしまったのかって思った」
「取り仕切ってたって言っても、ひっそりとした家族葬だったし……」
感心される程のこととは思えない。やるしかないから、動いてた訳だし。
それに……葬儀の時は、私の方こそ十年振りに会った雪香を見て劣等感を持ってしまっていたのに。
「それでもすごいよ。沙雪は何でも自分で考えて決められるんだから……きっと沙雪なら義父の言いなりにならないんだろうと思った。そんな風になりたかった。双子なんだから私にも出来るはずだって……」
「私みたいに?」