部長は私を甘やかしすぎです!


一次会が終わり三組のカップルが帰っていった

残りは竜二のマンションへ




「一気に人数減ったな(笑)」

俊が寂しそうに言う

「でも、まあ……いつも全員揃ってたわけじゃなかったからな」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ」

「俺も客の指名入ってたら行けないしな」


「あっ、貴志さんは確かにそうですね」


「年に一度くらいは集まりたいよな」

今日の幹事の祐介も言う



「美咲がこれなくなっちゃったら淋しいな、来年試合出れない……雫ちゃんどう?」



「私、運動はあんまり得意ではないので綾さんとは実力の差がありすぎますよ。練習する時間もないですし」



「ハア、お見合いでもして見よっかな~」

「見合い?見合いするなら俺と付き合えよ」



みんなシーンとなる

「えっ、貴志、冗談?」

「冗談じゃないよ。そんなことみんなの前で言えるか」

「急すぎて……」

「お前の髪は俺がずっとカットするんだよ」



雫は竜二の手を繋いだ

「今のはプロポーズかな?」


竜二の耳元で囁く

竜二は雫の手を握り返した



「貴志は指名がよく入るくらいモテるし、女の子に誘われるでしょ?それに休みも私と合わないし……」

「客に手はださないよ。何かあったら今は何でも広がる時代だぞ」



「綾?俺らも休み合わなかったけどお互い話して一緒にいれる時間を考えて同棲という形にしたんだ。

最初食事に行ってから一ヶ月会えなくて、だから俺が強引にだけど一緒に住みたいって、朝の一時間、夜の二時間でも話したかったから。お互い話せば一緒にいる時間は作れるよ」



「俺もそうしたい。これから二人で話そう、行くぞ」

綾の手を繋いで帰ってしまった

「カップルが成立しましたね」

「急だな、なんかあぶれた感半端ないんだけど……」

「貴志って本当モテるんだぜ」

「確かにカリスマ美容師っぽいですよね、背も高いしスラッとしてて」



「雫ちゃん……」

「あっ、竜二さんもカッコいいですよ」

「も?」

「竜二、めんどくさい」

「はい」



竜二は大人しくなった

「貴志も竜二みたいに綾が最後の客になった時は食事には行ってたみたいだしSNSあげて貴志のことを知ってもらおうとしてカット行けば拡散してたから少しは意識してたんじゃないかな。

自分の顔は隠して貴志の顔は出してたから」

「あっ、そういえば見たことあるな」



「じゃあ、よかったということで……もう少ししたら年があけますよ」

残りのメンバーで新年を迎えた




年が開けて
真中家、昼

兄も帰って来ていて五人で正月を過ごした

雫と母は二人でお喋りをし、男三人でお酒を呑んでいた


「来年の二月か、わかった。空けておく」

「うん、ありがとう兄貴」



「竜二、四日の日の仕事の予定は?」

「二日に回りきれなかった店舗があれば四日にと思ってるけど……」


「じゃあ明日頑張って終わらせて四日は八階で接客しろ」

「接客?ってお茶出しとか?」

「お茶は秘書がいるだろ?お前も来客に挨拶しろってことだよ。顔を覚えてもらえってことだ」


「えっ……」



「時期社長の紹介ってことだよ、よかったな。竜二」

「まだ、早いよ親父は役職定年なんだからまだ年数あるし」



「バカ、まだワシは引退せんぞ。でも顔を覚えてもらうには早いほうがいいんだよ。今は跡継いでも誰もついてこないよ。今の役員が可哀想だ」

「横に立ってればいいってこと?」

「そうだ、後ワシが挨拶行く時にも連れていくから秘書同士で日程合わせろ」



「……わかった」

父はそう言うと雫と母の方へ行った



「結婚関係あると思う?」


「いや、結婚は直接関係は無いだろうけどお前が雫ちゃんを大事にしてることがわかるから社員も大事にできるようになってきたと判断したんじゃないか?」

「そっかな……」



雫がやってくる

「竜二さん、お父さんから聞いたよ。あれ、泣いてる?」

「雫ちゃん……」


「お兄さんにまた言われた?」

「またって?俺別に何も悪いこと言ってないよ」


「あっ、いえ悪い事ではなくてですね、この間も感謝してるってお兄さんに言われて帰ってきてから泣いちゃって……日本酒呑むと泣き上戸になるみたいで」



「あっ、こいつ三杯呑んだし、さっき誉めたわ(笑)」

「やっぱり~、可愛いんだけど日本酒注意なんですよ(笑)」


雫は竜二の頭をよしよしとなでる



夜まで真中家では賑やかな声が響いていた






四日には竜二は父の横に立ち来客に紹介された
そして年始の挨拶などで一月はバタバタと過ぎていった



紀之と、広樹の結婚式も二人で出席し
そして……

翌年の二月の大安の日曜日



式場

「雫ちゃん、出来たよ」

「貴志さん、ありがとうございます。お客様なのに頼んじゃってごめんなさい」

「いやいや、去年の二組もやってきたし、花嫁が綺麗になるのは嬉しいね。雫ちゃんは若いから化粧のノリもいいね」


「竜二さんの秘書の方にブライダルエステをしたほうがいいよって言われて通ったんですよ」


「確かにね、今度綾にも薦めてくれるかな(笑)」

「はい(笑)」



コンコン

「雫ちゃん、準備できた?」

竜二が入ってきた

「はい」


「可愛いね、貴志ありがとう」

「いや、まだまだこれからお色直しもあるから」


「雫ちゃん、ごめんね。仕事の関係で少し長くなってしまうけど」

「大丈夫です。竜二さんのこれからの支えになる人達ですから」

「じゃあ、行こうか」

「はい」




教会式が終わり雫はブーケトスをした

みんなが取り合う中、雫はもう一つ花束を持った


「綾さん、これどうぞ」

「えっ!」

「ブーケです。二つ用意してもらってました(笑)貴志さんとお幸せに……」



「ありがとう。さすが貴志のヘアアレンジだなって思う。可愛い」

「はい、可愛くしてもらいました」



「雫ちゃん、そこはまた……控えめに(笑)」

「あっ、また言っちゃった(笑)」

「男はほっといていいの。可愛いものは可愛いんだから自分で可愛いと思わなきゃ」


「俺が言いたいのに」



「雫ちゃん、可愛いよ」

「あっ、お兄さん。ありがとうございます」

「兄貴まで……」



「結婚式は花嫁が主役だからな。可愛いじゃないか」

「へへっ、竜二さんもカッコいいよ。後で前髪おろしてかわいくなってね(笑)」

「かわいいって……雫ちゃん、それは家で言って」

「はい(笑)」



二人の楽しい結婚披露宴が始まった



竜二のテニス仲間が盛り上げてくれ華やかな式となった






サクラスーパー本社ビル

四月一日、入社式

社長の挨拶

「七名のみなさん、入社おめでとう。これから三ヶ月の研修を受け各配属が決まります。まずは本社総務課付けとする」



辞令を次々に渡していく

「真中雫」

「はい」



「頑張ってください」

「はい!」



辞令を受け取った左手の薬指には結婚指輪が光っていた





END

あらすじ

大手サクラスーパー三沢店

面接が行われることが社内回覧で回ってきた

三沢店のお客様の声に寄せられたコメントで若い女の子が誉められてるのに興味を持った竜二は私服でしばらく店内の様子を見て回ることに
そこで長蛇の列をてきぱきと早い対応でこなしていく女の子の姿を見つける

常連客とも話ながら、また客も楽しそうに列に並ぶ
竜二も列に並ぶのが楽しみになっていた

三沢店の面接が始まった
一番最後に面接をした若宮雫という女の子は竜二の前に座ると「どこかでお会いしたことが……」いつも仕事の時は前髪を上げている竜二は私服の時は髪をおろしていたのにその事に気づいたのは雫だけだった
竜二は雫の話に興味が沸きもっと話したいと食事に誘う

雫は仕事の話だと承諾をして二人は面接終わりに食事へ行くことに

そこで酔って車で寝てしまった雫は目を覚ますと竜二の高級マンションだった



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