そこには両親と祖父母だけでなく、花梨と瑶太もいたが、花梨は不機嫌そうにし、瑶太は敵意に似た眼差しを祖父母に向けている。

 どうやら柚子を庇う祖父母が気に食わないようだ。


 すると、ようやく花梨が柚子の存在に気付いて「お姉ちゃん」と声を出した事で、他の者も柚子に気付いたようだ。


「ああ、柚子。怖かったわね。無事で良かった」


 そう言って抱き締めてくれるのは、母ではなく祖母。
 良かったと安堵の表情を見せるのは、父ではなく祖父。

 この時に、柚子の気持ちは固まった。


「お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも心配掛けてごめんね」


 祖母が口を開こうとしたが、声を発する前に、先に花梨が言葉を発した。


「全くお姉ちゃんのせいで、いっつもお父さん達とお祖父ちゃん達って喧嘩ばっかり。
 いい加減にしてよね。当てつけみたいに家出するなんて、かまってちゃんなの?
 心配してほしいからって面倒掛けるの止めてよね」

「花梨!」


 祖父が怒鳴りつけるが、花梨が意見を変えることはない。
 それどころか、隣にいた瑶太が柚子に近付いてきて威圧する。


「花梨に手を上げたばかりか、花梨やその家族に迷惑掛けるなんて何様のつもりだ」


 その言いようにムカッときて言い返そうとしたが、それは続いてリビングに入ってきた玲夜によって先を越された。


「お前こそ俺の花嫁に対して何様のつもりだ」