クリスマス・正月と年を跨ぎ、まだ冷えは続いているがいつもの年より雪が少ないおかげか、暖かい日差しが時折差しかける。


その日は天気がよく、雪でガチガチだった路面は氷が溶け、外に出たくなるような空だ。


久しぶりにカーテンを全開にして全身に光を浴びる。


何色にも折り重なる陽射しの元には悠希がいて、いつも通りこたつに入り、まったりと過ごす二人の時。


部屋の暖かさと陽射し。


そいつが眠気を誘い、あたしは目を閉じかけた。


“ガサガサ”


するとどこから取り出したのか擦り合わせた音と共に、悠希はおもむろに紙袋を目の前に差し出した。


あたしは状況が掴めなくて、紙袋を見つめアホ面で頷き、ただただ笑う。


「ん!!」


「んっ?」


「ん!!」


手も出さず突きだされた紙袋を見てるだけのあたしに悠希は痺れをきらしたのか、紙袋に手を入れ、真っ白なパーカーを取り出した。


「鈍感すぎ。おまえ笑ってんじゃねえよ。ほれ、これあげる」


悠希の香水の匂いが付近を漂い、踊る心。


「この匂い大好き」なんて思いながらパーカーに手を伸ばし受け取って広げてみたら、サイズは大きい。


「香水の匂いするけどもしかしてこれ悠希着てたとか?」


「そう。お前に似合いそうだなって思って持ってきたんだ。着てみ!」


「え~似合うかなぁ~」


急なプレゼントが恥ずかしかったけど、照れて着てみたらぶかぶかで袖が手を覆う。


ますます全身が悠希の匂いに包まれ、鼻を袖に押し当て、大好きな匂いをかぐ。


まるで悠希に抱きしめられてるみたいで幸せだ。


「お~似合うじゃん。これ古着屋で買ったんだ。俺東京いた時、趣味で買いだめしてたんだぁ」


「悠希、めちゃオシャレだもんね」


「年代物とかヴィンテージ好きだかんな」


「つうかさぁ~」


「ん?なんだ?」


「いきなり変な提案しゃうのは可能?」


「変な提案ってなんだよ!?金ならやらんぞ!」


「いらねえよ!馬鹿か!そうじゃなくて近くでいいからこれ着て買い物行きたい」


あたしは嬉しさのあまりこの幸せな姿をみんなに見せて回りたい衝動にかられ、唐突に提案してみた。