左之助の家は、そのころからすでに酒問屋を営んでいた。五人の姉を持つ末っ子の左之助はずいぶんと甘やかされて育ち、近所でも名の知れた悪童だった。
 当時、社の敷地は今よりももう少し広く、殿舎の裏にはちょっとした森もあり、季節を問わず左之助たちは入り浸っていた。
 木の枝を拾って戦ごっこをしたり、だれが一番早くてっぺんまで登れるか、木登り競争をしたり。
 そんな毎日が当たり前のように過ぎていく。

「もうすぐ、夏祭りだよな」
「おお! 今年も、子ども神輿をかつぐぞー!」
「あーあ、早く、おとなとおなじの神輿が担ぎてえなあ」
「おめえみてえなチビ助、無理だって」

 社の境内に円陣を組み、裏の森で拾った竹で竹トンボを作る左之助たちの話題は、数日後に迫った祭りの話題でもちきりだった。
 器用に小刀を使い竹片を切り出しているのは、大工の倅の松太郎だ。負けず嫌いの左之助も、ちらちらと相手の技を盗み見しながら竹を削る。
 そのうちに皆が無言になり作業に熱中していると、輪の中心に影が落ちた。
 急に暗くなった手元に、左之助が顔を上げる。

「ふん。喜一か」

 大きな目を輝かせて竹トンボ作りをのぞき込んだのは、左之助の三軒隣の家の喜一だった。
 喜一は呉服屋の息子らしく、とても遊びに来たとは思えない仕立ての良い着物で現れ、それが色白い顔によく似合う。町人の子どもに見えないくらいの品の良さが、ときおり左之助の気を苛立たせていた。

「なんの用だ?」

 つっけんどんに尋ねると、それを気にしたようすもなく喜一がニコニコと笑う。

「わたしも、作ってみたいな」

 ひとつ年下のくせに、やけに落ち着いた話し方も気にくわない。口をへの字に曲げて意地悪を言った。

「よそゆきでできるわけないだろう」

 もし左之助がそんな上等な着物を汚したら、三日はご飯を抜かれてしまう。 
 ところが喜一は自分の着物を眺め、折れそうに細い首をかしけて、ほんわりと笑んだ。

「そんなんじゃないよ。気にしないで」

 左之助はまだ憎まれ口をたたこうとしたが、最年長の松太郎が割って入った。

「出てくるなんて久し振りだな。身体は大丈夫なのか?」
「うん。最近は熱も出してないから、少しだけならいいって」

 生まれつき身体が丈夫でない喜一は、ほかの子のように外で遊ぶことがなかなかできずにいた。肌の白さも手足の細さもそれ故だ。

「よかったな」

 松太郎が席を詰めて自分の隣に場所を空けてやると、喜一は着物が汚れるのも気にせずちょこんと腰をおろす。
 左之助は不機嫌な顔になるが、穏やかだが身体の大きい松太郎には力で敵わないので、黙々と自分の作業に没頭した。

「できた!」

 喜一が嬉しそうに完成した竹トンボを高く掲げると、松太郎も目を細める。

「初めてにしては上出来だぞ。がんばったな」

 褒められて頬をほんのりと赤くするようすを、左之助は面白くなさそうに横目で見ていた。

「じゃあ、オレは親父の手伝いに戻らなきゃいけねえから」

 全員のトンボ作りが終わったのを確認すると、松之助は帰り支度をする。
 面倒見の良い彼は去り際に左之助を手招きして、言い聞かせるのを忘れなかった。

「いいか、仲良くするんだぞ。喜一は身体が弱いんだ」
「……わかってらい」

 そっぽを向きながら答える左之助を不安そうに何度も振り返りながら、松太郎は帰っていった。
「よし。じゃあ、だれが一番高くまで飛ばせるか競争だ!」

 それぞれが、思い思いの方向に竹トンボを飛ばしはじめる。
 ある者のトンボは木の枝に突っ込み、葉陰で休んでいた小鳥をびっくりさせ、ある者のは上まで登らず、石畳の参道にカラリと落ちた。
 その中で左之助のトンボは群を抜いてよく飛び、一本杉の脇をすり抜け向こう側へ着地した。

「左之助ちゃんのトンボ、すごいねぇ」

 喜一が目を丸くして感心すると、左之助は得意気に鼻をこする。
 気をよくした左之助は、喜一に挑むように言った。

「おまえもあれくらい飛ばしてみろよ」
「うん!」

 見よう見まねで喜一は、手の中の竹トンボをくるくると回し空に放った。
 夏の青空に飛び込むように喜一の竹トンボは登っていく。
 くるくると回りながら上を目指して飛ぶ様を、喜一は口をぽかんと開け、眩しい日射しを避けるよう両手でひさしを作って見守る。
 トンボは拝殿の屋根の真上で失速し、そのまま落ちた。屋根にぶつかり、カランコロンと乾いた音を立てて転がり落ち、地面に敷かれた砂利で止まる。
 それを喜一が慌てて拾いに行き、傷が付いていないかを熱心に確認してから、大事そうに丁寧な手つきで砂を払う。

「けっこう飛んだなぁ」
「うん。左之助のより高く飛んだんじゃねえか?」
「やるなあ、喜一」

 仲間たちから受ける生まれて初めての讃辞に、喜一は照れ笑いで応えていた。
 それまで自分に向けられていた仲間の関心を、いまは喜一が一身に集めている。左之助はむかっ腹をたて、八つ当たりのように喜一に言った。

「おい、喜一。おれの竹トンボとどっちが高く飛ぶか、勝負しようぜ」
「え? でも、左之助ちゃんのトンボ、よく飛ぶから勝てないよ」
 
 突然の対決の申し出に困り顔の喜一を、左之助がせせら笑う。

「なんだ、負けるのが怖いのか? お坊ちゃんは、尻の穴までちっちゃくてお上品だ」

 すると、周りまで調子に乗って口々にからかいだしてしまう。

「へえ、見せてみろよ」

 ひとりが着物の裾をめくろうとする。
 喜一は必死で前身頃をおさえた。

「やめてよ!」
「まだ襁褓(むつき)をしているんだろう」
「赤ん坊はお神輿なんてかつげないぞ」
「やーい。弱虫毛虫、意気地なし」

 だれかが言い出すと、たちまち合唱がはじまった。
 弱虫だの意気地なしだのとはやしたてながら、喜一を囲んで全員でぐるぐると周り追い詰める。
 ついさっき、自分の竹トンボを褒めてくれた友達の手のひらを返した言葉の暴力に、喜一の眼が潤みはじめた。固く目をつむり耳をふさいでその場に座りこんでしまう。
 そこにいるだれもが、赤子のように大泣きするだろうと予想していた。
 けれど喜一は白い手の中のトンボをじいっと見つめ、いまにもこぼれそうなほどに溜まった涙を、ぐいっと袖でぬぐい去った。

「わたしは赤ん坊でも弱虫でもない! いいよ、勝負しよう!」

 それまでのどこか頼りなげだった喜一の瞳の奥に静かな炎が灯り、真っ直ぐ左之助を睨んだ。
 突然変わった喜一の表情に、左之助は内心で舌打ちを打つ。
 いつだってやわらかな笑顔で、左之助の後からゆっくりとついてきていた彼の、初めての反抗だった。
 でもここで引き下がっては、次は自分が弱虫の謗りを受ける番だ。戸惑いを気取られないよう腰に手を当て仁王立ちし、精一杯の威嚇をしてみせた。
 それでももう、喜一の瞳は揺らがない。左之助を真正面からしっかり見据えていた。

「よ、よし。勝負だ! 負けても泣くなよ」
「もちろん」

 迷いのない力強い返事に左之助が一瞬たじろいだが、どうにかして踏み留まる。

「そ、そうだ。ただの勝負じゃつまらないから、なにか賭けよう」

 苦し紛れの思いつきに、喜一が首を傾げ不思議そうな顔をした。

「おれが勝ったら……」

 左之助が喜一を頭のてっぺんから爪先までを見渡し、その腰に目を留め、一点を指さして宣言する。

「その根付をもらう!」

 皆の視線が、喜一の帯に挟まれた小さな巾着のひもの先にある根付に注がれた。
 咳止めの薬が入っている袋が落ちないよう付けられた根付は、べっこう飴色をした琥珀である。
 左之助が、前に一度じっくりと見せてもらったそれは、中に小さな虫が閉じ込められている珍品だ。
 喜一は手のひらに乗せた琥珀を見つめ、眉を寄せて考えている。
 おそらくは高価な品なのだろう。怖じ気づいて勝負を断ってくれればいい。そうすれば左之助の不戦勝だ。面目が保てる。
 左之助は卑怯にもそう考えていた。

「わかった」
「へっ?」

 左之助は、予想外に聞えてきた承諾の返事に、思わず間抜けな声が出て顔を紅くする。

「いいよ、これで。でも、わたしが勝ったらなにがもらえるの?」

 言われて、自分の全身をくまなく見渡すが、琥珀に見合うような物はなにひとつ持っていないのは一目瞭然だった。
 うーんと腕を組んで考える。
 ふと、左之助の頭の中に良案が閃いた。

「もしおまえが勝ったら、今度の祭りで子ども神輿の一番前をかつがせてやる!」
「ええーっ!?」

 その提案にほかの一同から抗議の声があがる。
 神輿の先頭の担ぎ手は、言わば祭りの花形。毎年、子どもたちの間で熾烈な場所取り争いが起こるほど人気があるのだ。

「大丈夫だよ、おれが勝つからさ」

 それに万が一負けたとしても、左之助の懐は全く痛まない。ずるい考えが頭の中を横切っていく。

「じゃあ、いいか? あの一本杉を越せるかで勝ち負けを決めるぞ」

 自分はさっき、余裕で越えたばかりだ。今度も大丈夫なはずだと、ドキドキする胸に言い聞かせる。
 喜一はうなずいて、手のひらでくるくるとトンボを回す練習を始めていた。
 それを何回か繰り返すと、そびえ立つ一本杉のてっぺんを見上げ、静かに言った。

「いいよ。受けて立つ」

 二人は両手のひらに竹トンボの軸を挟み、少しでも有利になるようにと高く掲げる。
 仲間が固唾を呑んで見守る中、どちらともなく声が出た。

「いっせいのせっ!」

 勢いよく手のひらをこすると、放たれたふたつのトンボは、羽を軽快に回しながら空高く上昇していく。
 全員の目がその軌跡を追い、天を見上げる。

「あっ!」

 だれかが、小さく叫んだ。
 片方のトンボが失速し、濃緑の葉が茂る杉の枝の中に突き刺さる。
 もう一方は軽々と頂点を越え、かさりと小さく音を立てて向こうの草むらに落ちたのがわかった。
 その音がした瞬間、皆がわれ先にと駆けだし確かめに行く。
 無造作に生い茂った夏草の上に、静かに横たわるひとつの竹トンボを中心にして、たくさんの瞳がそれを見下ろす。
 その中から震える白い手が伸び、そっとトンボを拾った。

「……わたしのじゃ、ない」

 喜一がぼそりとつぶやいた。
 竹トンボを目の前に突き出され、左之助がきょとんとしたまま受け取った。たしかに、自分が作ったものである。

「やったあ!!」

 ようやっと勝ちを実感して歓声をあげると、皆が左之助を取り囲んで、それぞれに祝いの言葉を浴びせかける。
 もみくちゃにされ満面の笑みでそれに応えていた左之助が顔をあげると、唇をぎゅっと結んで立ち尽くしている喜一と目が合った。
 
 喜一はしばらく左之助を見つめていたが、はっと気がつくと、腰の巾着から根付けを外す。。
 ゆっくり左之助に近づき、眉を八の字にして薄く笑みを浮かべた。その表情に、左之助の胸の奥がチクチクとうずく。

「やっぱり、左之助ちゃんはすごいや。これは男同士の約束だからね」

 左之助の手のひらに、つるりと光る琥珀をちょこんとのせた。
 その白い喜一の手を見て、目を見開く。そこは、無数の小傷でいっぱいになっていたのだ。
 きっと彼は、今日初めて小刀を使ったのだろう。松太郎に教わりながら、慣れない手つきで竹を削った際にできた傷だった。

「喜一、おまえのその手……」

 左之助の指摘に、皆も気がついて眉を寄せた。

「痛くないのか?」
「あっちの手水舎で洗う?」
「オレ、手ぬぐい持ってる!」

 心配する友達の声に、喜一の顔には自然と微笑みが戻ってきていた。

「ありがとう。でも全然痛くないんだよ。血ももう出ていないし」

 喜一がそう言うと、全員が安心してほっと息を吐いた。

「でも……」

 一本杉を見上げて、喜一の顔が再び曇っていく。喜一の竹トンボが、まだ杉に刺さったままだった。

「あそこじゃあ、無理だな」
「残念だけど、諦めろよ」

 仲間たちの慰めの言葉をかけても、喜一は諦めずに上を眺め続けている。

「しかたがないよ。だってこの木は、なぁ?」
「そうそう。登るわけにいかないもんな」

 子どもひとりでは抱えきれないほどの幹に巻かれたしめ縄に、視線を寄せた。

「ご神木になんか登ったら、お狐さまの祟りにあっちまうよ」

 子どもたちはうんうんとうなずき額を合わせ、ぶるぶると肩を縮こめる始末。
 ところが喜一は、ざらつく樹皮に両手を添えて下駄を脱いだかと思うと、なんと幹に足をかけたのだ。

「お、おい」
「喜一、止めろよ」

 細い身体にしがみついて皆で止めようとするが、喜一も杉の幹にペタリとすがり付いて離れない。

「お願いだよ、離しておくれ。あれを取りに行きたいんだ」

 勝負に負けても泣かなかった喜一が涙声で懇願するが、周りも必死だ。

「ダメだよ。それに、おめえには無理だって」

 言われてみれば、たしかに喜一はしがみつくだけで、少しも上に登れていない。
 ひ弱な喜一が、大木のてっぺん近くまで登るなどとうてい無理なことなのだ。
 自分の非力さを思い知らされがっくりと肩落とすと、ぺたんと根元に座りこんでしまった。
 その姿に、左之助は溜め息をひとつ吐いてから、下駄を脱ぎ捨て着物の裾をたくし上げた。杉の木の上を見据えて喜一の横に立つ。
 突然むき出しの足が横に現れ、驚いた喜一が顔をあげた。

「……左之助ちゃん?」

 呼びかけに左之助が視線を下げ、ぶっきらぼうに答える。

「しかたねえな、おれが取ってきてやらあ」

 そう言い捨て、手足を器用に使ってするすると登り始めた。

「おいっ!左之助までなにやってんだよ」
「ほんとにまずいって」

 焦る仲間を尻目に、左之助はどんどん上へと進んでいく。
 あっという間に小さくなっていく左之助を、皆で見上げていると、つい今し方まで青かった空が、にわかに鉛色の雲に覆われはじめていた。
 生ぬるい風が木々の間を抜けて届き、遠くから雷鳴が届く。
 喜一を止めていた子どもたちの顔からさっと血の気が引いて、ガチガチと歯を鳴らす。

「やっぱり、お狐さまが怒ってる!?」
「お稲荷様が、雷様を呼んだんだ!!」

 恐怖に叫びをあげ、木の上の左之助を置き去りにして、蜘蛛の子を散らすように子どもたちが一本杉の元から逃げ去っていく。
 振り返りもせずに鳥居をくぐって全力で走り帰る彼らの後ろ姿を、喜一は緊張した面持ちで見送った。
 木の上に視線を戻すと、なおも登り続けている左之助に大声で懇願する。

「左之助ちゃん! もう、いいから。危ないから降りてきてよ!」
「馬鹿言うなよ。あともう少しなんだから、待ってろって!」

 左之助は枝に足をかけ、木にしがみついて上を見たまま怒鳴り返すと、さらに高みを目指しはじめた。
 雷の音はどんどん近付いてきている。
 心配そうな喜一が眺めやると、少し離れたことろでピカピカと閃光が空を切り裂いていた。
 それだけでも不安な気持ちで小さな胸がいっぱいになるのに、見上げる喜一の顔に、ぽつりと大粒の雨まで落ちてきた。
 上に行くにつれ、幹も枝も細くなり足下が不安定になっていく。
 あと少し。ふたりが同時に心の中で思った。
 左之助は枝の先、繁る葉の中に埋もれたトンボに片手を伸ばす。
 指先が触れたそのとき、鋭い閃光と雷鳴が轟いた。 
 幸いなことに雷はこの辺りに落ちたようではなかったが、その音と光は、左之助たちの度胆を抜くには十分すぎるほどに効果があった。

「うわっ!」

 驚いて両手を木から離し足が滑る。左之助はそのまま落下していった。
 喜一は驚愕のあまり声も出せずに、目を見開いたまま動けないでいる。
 もうダメだ。これまた同時にふたりが思ったそのとき、清らかな一陣の風とともに白い塊が飛び上がった。
 それは、落ちてくる左之助を、地面に追突する直前で襟首を捕まえ、くるりと一回転させ衝撃を和らげてから、地に放した。
 木の根元に大の字になって伸びた左之助に、喜一が駆け寄る。

「しっかりしてっ!?」

 喜一がペたぺたと頬を叩く。「うーん」とうなり声を立てながら左之助は目を開けた。

「……おれは助かったのか?」

 信じられないというように頭を振って身体を起こすと、全身を確認する。

「怪我は? 痛いところはない?」

 自分のことのように顔を蒼くして心配している喜一に、左之助はうなずいた。

「平気みたい」
「よかったあ」

 無事を確信し安心したふたりは、いまさらにへなへなと腰を抜かしてへたりこんだ。

「だから、神木に登ってはいかんと言ったであろうに」

 ふたりしかいないはずの雷鳴が鳴り響く境内で、お互いとは別の声が聞こえ、左之助ちは同じように首をかしげる。

「そのようなところにおっては、雷に打たれるぞ」

 また聞えてきた声のほうを見て、喜一たちは文字通りに飛び上がった。

「な、な、なに!? 白い……犬?」
「しゃべる犬?」
「犬にしては、大きいんじゃない?」
「よく見てみろよ、喜一。尻尾が三本あるぞ!?」

 いったん顔を見合わせて、ふたりいっしょに謎の獣を指差して震えあがる。

「お狐さま!?」

 ものの見事に重なった声に、白狐がうんざり顔になってそっぽを向いた。

「丸焦げになりたいならば、いつまでもそこに居るがよい」

 ぷいと尾を向け、のっそりと社に向って歩き出す。
 激しさを増す雨と、いっこうに止まる気配がしない雷鳴。またもや鋭い稲光が、暗い雨空に走った。
 高い杉の木の側にいたら、本当に雷に打たれてしまうかもしれない。左之助と喜一はどちらからともなく手を繋いで、恐る恐る白狐の後ろに付いていった。

 社に入る前に、狐は後ろにいる左之助たちにはお構いなしに、ぶるぶると身体から水滴を払い落とした。

「ぎゃっ!」

 飛び散った雫がかかり、左之助が大げさな声を上げる。
 軒下で、喜一が懐からさっき友達に借りた手ぬぐいを出して、左之助に渡した。
 左之助はそれを受け取ると、ごしごしと喜一の頭を拭き始める。

「先に左之助ちゃんが拭きなよ」

 頭を手ぬぐいで包まれながら喜一が言っても、左之助は手を止めなかった。

「おめえに風邪でもひかれちゃ、おれが怒られるんだよ」

 ようやく喜一の全身を拭き終え、自分はずいぶんとおおざっぱに雨粒を拭う。
 建物の中は薄暗く、ときどき光る稲妻で中の様子がわかる。奥で、身体にほんのりと白い光を帯びた狐がこちらを向いて座っていた。

「そこでは、雨が降りかかろう。こちらに来るがよい」

 ふたりは一瞬ためらったが、そろりそろりと近付いていく。
 白狐の前に並んで正座し、がばっと土下座をした。

「もうしわけありませんでした!」

 床に額を押しつけて、ぶるぶると震える。

「それは、なにに対しての謝罪なのじゃ?」

 左之助が額を床にぺったりと付けたままで言った。

「ご神木に登ったことです。本当にすみません!」

 半ば怒鳴るような左之助の声が、狭い社殿の中で反響する。すると、続いて喜一も蚊の鳴くような声で陳べた。

「左之助ちゃんは、わたしの竹トンボを取りに行ってくれたんです。だから悪いのはわたしです。祟るのはわたしだけにしてください!」
「違います。勝負をしようって言ったおれが悪いんです。おれのほうを祟ってください!」

 かばい合うふたりのつむじの先で、さわさわと尻尾が行き来する。

「先ほどからきいておると、祟るとかなんとか、穏やかではないのう。妾がいつ、そなたらを祟ると申したのじゃ」
「え?でも、雷とか……」

 白狐の言葉に、思わず左之助が顔を上げる。

「雷雨なんぞ、夏にはよくあることじゃろう?だいたい、そのつもりなら、助けたりはせぬわ」
「あ……」

 そうだった。一本杉からの墜落を助けてくれたのは、ほかならぬ、目の前の狐だ。 
 白狐は左之助の前にゆらりと進み出て、怯えの色の映る瞳をじっと見据える。

「妾はいく度も申したはず。神木には登るでないとな。身体は大きゅうなっても、まだまだ童じゃな」
「お狐さま、おれのこと知ってるの?」

 左之助は狐の金瞳をのぞき込むと、不思議なことで徐々に怖さが消えていく。

「そなたと会ったのは、七つ参りの前日が最後じゃったかの」

 数年前の秋のことを懸命に思い出すと、ひとりの女の子の姿が呼び起こされた。

「え? もしかして、あかね?」

 あかねはゆっくりと口の端をもちあげた。
 あの日も、ひとりきりで遊んでいた左之助は一本杉に登ろうとして、突然現れたあかねに怒られたのだ。
 驚きで目を丸くして声も出ない左之助は放っておいて、あかねは喜一に目を向けた。
 それまでやりとりとじっと聞いていた喜一は、あかねの視線が自分に向いたことで背筋をぴんと伸ばす。

「そなたは、あまり見かけぬ顔じゃな。ここの氏子ではないのか?」
「わたしは枡嵜(ますざき)屋の喜一です。あの、身体が弱くって、自分はお宮参りに来れていなかったんです」

 ちいさく産まれた喜一は、お七夜も七つ参りのときも高熱を出し、生死の境をさまよっていたと聞いている。首を縮めて告げると、あかねはやわらかな笑みを向けた。

「そうか。おぬしが喜一か。すまぬな、ちゃんと聞き知っておるぞ」

 思わぬ言葉に喜一が顔を上げると、あかねは嬉しそうに言った。

「なに。そなたの父母が、息子の健康を祈願しによく参りに来ておるのよ。やっと当人に会うことができたわ」
「父さんと母さんが?」

 自分の知らなかった事実を知り、喜一も目を大きく開いて驚いていた。
 そんな二人に、あかねはあらためて諭す。

「よいか。神木に登ったからといっても、すべてが悪いというわけではない。木霊の気を害すものでなければ、災いは起きぬ。しかしあれほどに高くまで登っては、神木でなくとも危険なのじゃ。この社内で人死にが出るのは勘弁してもらいたい」

 厳かに静かな口調で話すあかねの言葉は、子どもたちを思う慈愛に満ちたものであり、左之助たちも神妙な顔つきで聞き入っていた。

「わかったかの?」
「はい。申し訳ありませんでした」

 もう一度揃って頭を下げるふたりに、あかねはぱたぱたと尻尾を振って応えた。
  
 
 しばらくして、左之助が喜一の異変に気付いた。唇を青くして小刻みに震えているのである。
 最初はお狐さまであるあかねに対しての畏れなのかと思ったが、どうやら違うようだった。

「おい、喜一。大丈夫か?」
「……うん、平気」

 そう返した顔は蒼白く、とても普通には見えない。額に手を当ててみると、熱もあるようだった。
 だんだんと呼吸が荒くなっていく喜一に、あかねも顔を曇らせる。

「雨に打たれ、身体が冷えてしまったのだろう。喜一や、近う」

 あかねにそう言われても、喜一は畏れ入って動かない。しかたがないので、あかねが自ら近寄っていく。
 喜一に寄り添い、ほわほわの白い毛皮をくっつけた。

「ほれ、妾を抱くがよいぞ」
「えっ?」

 驚く喜一の袖をぐいっと噛んで、強引に引き寄せると、ぽふっと喜一の身体が、あかねにもたれかかる。

「……あったかい」

 あかねの神気に触れ、喜一の顔色にほんのちょっと赤みが戻ってきた。

「お狐さま、もこもこで気持ちいいです」

 喜一は艶のある滑らかな手触りの毛皮に手を入れて、撫で繰り回している。

「わたし、犬や猫が飼いたかったんですけど、喉に悪いからって許してもらえなくって」

 あかねの顔が急に渋いものに変わる。守狐を、犬猫と一緒にするとは何事ぞ。
 横から左之助がそろっと手を伸ばしてきたが、あかねはそれを一本の尻尾でぴしりと払った。
 やがて雷鳴が遠ざかり、激しく屋根を打ち付けていた雨音も消えた。
 静かな寝息を立てている喜一を起こさぬようにそっと立ち上がると、左之助は社の扉を開いた。
 外には眩しい日射しが戻り、湿り気の多い熱気が流れ込んでくる。
 ふと足下に目を降ろすと、喜一の竹トンボが板の間にぽつんと置かれていた。

「ふん。木霊も粋なことをする」

 あかねが呟き、そっと立ち上がる。
 表のほうから必死に喜一を呼ぶ声が聞え、左之助が飛び出すと、先に帰った仲間が枡嵜屋に報せたようで、喜一の両親が血相を変えて境内を探し回っていた。
 左之助がおとなたちを本殿に連れて行くとすでにあかねの姿は消えており、深い眠りに落ちている喜一だけが残されていた。

 ふわぁっと、あかねの口から大きなあくびがひとつ出た。明日は祭りで、忙しいのに……。

「そんなこともあったかのぅ」

 眠そうな目をこするその見た目通りの童女のような仕草に、幾人もの孫や曽孫、玄孫までいる左之助の顔は、爺やのそれになった。

「儂は、あのときあかね様に触れなかったのが、今でも悔やまれるんだがなぁ」 

 隙あらば撫でようとする気配を感じ、あかねは左之助の前ではもう、狐の姿に戻るのを止めようと心に誓う。

「あかね様はご存じねえかもしれねえが、あのあとも大変だったんでさぁ」
「ほう」

 社の外で起きることまであかねが知る術はないので、町のようすはもっぱら、参拝客から聞く情報に頼るしかない。

「稲荷での一件を親父に知られちまいまして、そりゃあこっぴどく説教されたんですわ」

 左之助の父は秘蔵の酒を何本も携えて、枡嵜屋へ謝りに行ったという。

「おまけに祭りが終わるまで店の手伝いにこき使われて神輿は担げず、風邪をこじらせ寝ついちまった喜一の見舞いにも行かずじまい」
「それは、自業自得というものじゃ」
「あいかわらず、あかね様は厳しいな」

 取り付く島もないあかねの言い様に、左之助はポリポリと禿頭を掻いて苦笑いする。

「そんなだから、忙しさにかまけてすっかり忘れていて」
「なにを?」
「喜一の根付けでさあ。あのとき袂に入れたまでは覚えてたんだけども、それがどっかへいっちまってて」

 左之助が染みだらけの手で頬づえをついて、はぁと長い溜め息を吐いた。

「思い出してからすぐに、家中はもちろん、この社の境内も通った道もぜんぶ目を皿にして探したんだけんども、まったく見つからんで」

 たいした品だったから、もうだれかが拾ってしまったのかもしれない。左之助はとうとう諦めて、正直に枡嵜屋の旦那の所へ謝罪にむかった。
 当然酷く怒られて弁償問題になるだろうと覚悟の上だったのだが、喜一の父は懐の大きな男だった。

「やっぱり、あとあとお江戸のど真ん中、ああ今は東京っていったか? に、大店をもっただけあって、気っ風が良い旦那だったなあ」

 彼は、子どもに持たせた時点でなくすことも視野に入れていたといい、左之助の親にも言わずにいてくれたのだ。
 まあけっきょく、良心の呵責に耐えきれずに、左之助自身でバラしていまい、でっかい雷を落とされたのだけれども。
 八十年以上経った今でもそのときの両親の鬼の形相が忘れられないと、九十を越えた老爺が情けない顔になった。

「で、その根付けを見つけたいと申すのじゃな?」
「ご明察」

 左之助はニヤリと笑うが、あかねは腑に落ちない。

「なぜいまさらなのじゃ? もっと早う参ればよかったに」

 あかねのもっともな指摘に、左之助は月明かりに浮かんだ境内を、遠い目で眺めやった。

「お恥ずかしい話、なくしたことさえ忘れておりましてな。人間、長く生きすぎると忘れっぽくなっていけねえや」
「たかだか、百年にも満たぬではないか」

 齢四百を越えたあかねには、人の一生はあまりにも短い。
 その言葉に、左之助は微苦笑を浮かべている。

「まあ、儂は幸せにも玄孫までみれたし、親兄弟はもちろん、女房、子どもに孫、悪友どもも大勢待っているだろうから、いつあっちへ逝っても良いかと思っていたんだが」

 ふうと息を吐いて視線を落とした。

「だがいよいよになると、根付けのことが気になってなあ。あれを見つけて、喜一に返さないことには、向こうへ逝ってもあいつに合わせる顔がねえってさ。なに、男のけじめってやつかねえ」

 独り言のように語り薄く微笑む左之助に、あかねは眉を寄せて首を傾げる。

「ふうむ。じゃが、思いつくところは、当時もくまなく探したのであろう?」

 あかねがその気になってくれたことに、左之助が胸を撫でて安堵する。

「行けるところは全部。けども、一カ所だけ手つかずの場所が」

 左之助はそう言うと、拝殿脇の一本杉に目をやった。

「あの木には、あれ以来登ってねぇんですよ。だからあかね様のお許しをいただこうと、こうして参った次第でして」
「妾の許しというより、木霊に聞いてみぬことにはのう」

 ふたりはご神木の根元に立ち、てっぺんを見上げる。
 あれからさらに幹は太くなり高さも伸びた杉は静かにそびえ、その頂点は夜空に溶け込むように見えなかった。

「木霊よ、話は聞いておったであろう。良いか?」

 あかねがしめ縄付近のざらざらした樹皮に、小さな手を添え尋ねた。
 すると、風もないのに葉がざわざわと音を立てる。

「……そうか。すまぬな」

 あかねが大木を見上げて礼を言う。

「木霊が構わぬと申しておる。じゃが、傷など付けずに登らぬといかんぞ」

 ご神木の許可を得て、左之助の顔に喜色が浮かんだ。

「かたじけない。もちろんですわ」

 杉に向って深々と頭を下げた左之助に、あかねが不安そうに言った。

「じゃが、ちいと暗いのう」

 いくら月明かりがあっても、木登りして探し物ができるほどではない。それに繁る葉の中に入ってしまえば、そのわずかな光さえも届かないだろう。
 再びふたりで杉を見上げ思案に暮れる。
 仕方なしにあかねが狐火を呼ぼうすると、どこからともなく小さな光が集まりはじめた。

「……蛍」

 左之助の呟きに応えるように、それらが点滅を繰り返す。
 たくさんの蛍たちはご神木に成るように留って、灯りを点した。
 ちかちかと瞬く様は、さながら天の星が降ってきたよう。

「いい冥土の土産話ができたなあ」

 その幻想的な光景に、左之助はしばし目を細めていた。

「――左之助や」

 静寂をそっと解いたあかねの呼びかけに、左之助は我に返る。
 あかねが力強くひとつうなづくと、左之助は下駄を脱ぎ、杉に枯れ枝のような手を当てた。

「ご神木様、すみません。ちっとの間だけ汚え足をかけるのをお許しくだせい」

 断りを入れてから手足を一本杉に絡ませ、上を目指し登りはじめる。
 蛍たちは、左之助を導くように光の道を作り、それに従って手足を動かしていくと、子どものころのようにするすると身体が動いた。
 それもそのはず。ひとつ手を動かすたびに痩せこけていた腕に肉が戻り、ひとつ足を動かせば、棒のようなふくらはぎに張りが出る。
 さらには、杉の中ほどに辿り着くと、左之助は竹トンボを飛ばしていたあのころの子どもの姿になっていた。
 
「左之助ちゃん、がんばれ!」

 根元で待つあかねの横から、上に向って叫ぶ声がした。

「おぬしも来ておったのか」

 喜一はニコリと笑い、竹トンボを持っている方とは反対の側の手を左之助に向って振る。
 進みを止めていったん下を向いた左之助が、片手を離してそれに応えた。

「おうっ。待ってろよ!」

 徐々に細くなる幹を危なげなく順調に登り進めていくと、ふいに蛍の道が途切れる。
 その先を見ると、ぽっかりと空いた暗がりの中に、蛍の光とは違うきらりとした冷たい光をみつけた。
 樹洞らしい穴に手を入れその光を掴むと、懐かしいつるりと冷たい感触がする。

「あった!!」

 喜一たちに向って、左之助は琥珀ごと手を振って教えた。
 手のひらにのる根付けのひもは、長い年月によってさすがに朽ち果てていたが、べっこう飴色の琥珀は当時のままの輝きを宿していた。

「長いこと借りたままで、悪かったな」

 するすると地面に降りた左之助は、ぶっきらぼうに琥珀を差しだした。

「ううん。ありがとう」

 喜一は竹トンボを帯に挟み、両手で大事そうに琥珀を受け取る。
 その様子を見届けると、蛍たちはいっせいに一本杉から離れ、ふたりを囲んで飛び回りはじめた。

「――逝くのか?」

 あかねの問いに、左之助はゆっくりと首を縦に動かす。

「あかね様、ご神木様。本当にありがとうございました」

 満足そうな顔をして坊主頭を深く下げた。その横で、喜一もぺこりとお辞儀をする。
 いつかのように喜一が左之助の手を握り、にっこりと顔を見合わせて同時にこくんとうなづいた。
 ふたりの姿が小さな光に変わり、蛍の群れに混じる。
 それを待っていたかのように、蛍たちは光の川になって天に昇っていった。

 東の空が白みはじめ、気の早い鶏の声が微かに聞える。
 あかねは、両腕を天に突き上げ大きな伸びをした。

「最期まで、狐騒がせな奴よのう」

 蛍の消えた空を見上げ、独りごちて溜め息、ひとつ。
 
 
 さあ、賑やかな夏祭りの朝がくる。
 今日も暑くなりそうだ。


【 祭り前夜のさがしもの  完 】
 小さな稲荷の守狐のあかねは、春先からお尻がムズムズしていた。
 この感覚には覚えがある。新しい尾が生えてくる前触れだ。
 まあ、正確には『生える』と言うより『分かれる』に近いのだが、根元がむず痒くなるので、生えるというほうが近いとあかねは思っていた。

 百年生きてあやかしとなった狐の尾は、初めの百年は一本のまま。そのあとおよそ百年経つ毎に一本ずつ増えるので、齢四百を越えたあかねには、まもなく四本目が生えるはずである。
 九百歳で大妖『九尾の狐』に、そして千年生きたら『仙孤』として、仙郷への出入りが許されるようになるのだ。
 だけど、それはまだまだ先のこと。


「あかねー! あそぼうぜ」

 酒屋の勝一が境内にやってきた。
 先日、曾祖父が九十才の大往生を遂げたばかりなのに、元気なことだ。
 ご神木の一本杉に寄りかかって、お尻をもぞもぞさせていたら、勝一が心配して訊いてきた。

「なんだ、おまえ。かわやか? だいじょうぶ、オレ見てないから、そっちの草むらですませてこいよ」

 とたん、あかねの顔が真っ赤っかになった。

「なっ!? ば、馬鹿を言うでない!そんなのと、違うのだ」
「じゃあ、どうしたんだよ。ご神木に尻なんかむけたら、バチが当たるって、ひいじいちゃんが言ってたぞ」
「妾は平気なのじゃ」

 ぷいっと、あかねは赤い顔でそっぽを向くと、勝一は口をへの字に曲げた。

「あいかわらず、わけのわかんないことばっかり言うなぁ」
「ほっとけ」

 端から見れば、微笑ましく子どもがじゃれているようにしか見えないだろう。

 それからあかねは、勝一に誘われるがままに、木登りやら石蹴りやらと、遊びに付き合わされた。
 いいかげん日が傾いてきたので、勝一に家に帰るように言う。

「あかねは? おまえも早くかえれよ」
「うむ。妾も、もう疲れた。戻るとする」

 こんなに動き回ったのは、ずいぶん久し振りの気がする。さすがにヘトヘトに疲れていた。

「じゃあ、またな」

 手を振って鳥居の向こう側へ消えていく勝一を見送ると、あかねは重い足を引きずりながら本殿へと戻る。
 ふぅと一息吐いて白狐姿に戻り、ぶるぶるっと身体の埃を払い落とすと、背後に妙な違和感を感じた。
 ゆっくり首を後ろに巡らせてみれば、自慢のふさふさ尻尾が四本、ゆうらゆうらと揺れている。
 今日も一日、この町は平和だった。


【 あかねさまのしっぽ  完 】

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