惟子は一人になり、ドサリとベッドへ荷物を置くと床に座り込んだ。
「疲れた……」
やはり気を張っていたのだろう、しばらくそこへ座っているとお腹がグーっと音を立てた。
「そりゃそうよね。今日は何も食べてないわ」
持ってきたおにぎりもなくなり、惟子はそろそろと立ち上がった。
自分の家から持ってきた洋服などは全く役に立たないとおいてきたが、図鑑やお絹から拝借した着物、あとは調味料や日常品を簡単に片づけると台所へと向かった。
「あら、すごい。いろいろ揃えてくれてるのね」
惟子は冷蔵庫のような箱を覗き込むと、中には食材がいろいろと入っていた。
意外にもサービスのいい職場に感心しつつ、台所を確認する。
ガマ蛙の店よりは小さいがコンロも、シンクもありなんでも自炊できそうだ。
「意外と社員思いじゃない」
そんなことを一人言いながら、惟子は何を作ろうかと思案する。
「だいたい向こうと同じ食材だわ」
安心しつつ、久しぶりに大好物の安定の味が食べたくなった。それに簡単にできる。
(まずはご飯がないと始まらないわよね)
ごそごそと台所の下の棚を探すと米をみつけて、惟子はそれを炊飯器にセットする。
ガス窯に似ているのだが、やはりここでも妖火がついたのがわかった。
「これで炊けるのはすごいわ」
感心しつつ、惟子は冷蔵庫を物色し始めた。
「卵もあるし、あらレタスがあるわ。ねぎの代わりにレタスチャーハンにしようかしら」
鼻歌交じりに、色からしてたぶん豚か何かのこま切れ、凍ったエビを見つけるとそれをだした。
「お肉もエビもなんて豪華なのかしら。でもまずはやっぱり腹ごしらえよね。どこにきてもご飯はきちんと食べないと」
自分に言い聞かすように、惟子はそう言うと調理にとりかかった。
#あやかし飯4 エビレタスチャーハン
レタスを一口大に切り、豚肉も食べやすい大きさに切る。
熱したフライパンに油をひき、肉とエビを入れ炒まったところにご飯を入れたら卵をご飯に絡めながら炒めていく。
塩コショウ、現世からもってきた万能中華の元を入れる。
たちまちニンニクのいい香りが部屋いっぱいに広がった。
「本当は生のニンニクとか使いたいけどないみたいだし、そう言う時に現世の万能調味料ってなんて便利」
フライパンを器用に振りながら、惟子は米をパラパラに仕上げていく。
「最後にお醤油を回しいれたら完成ね」
お皿に盛りつけたところで、勢いよくドアが叩かれる音がして惟子は驚いて振り返った。
「はーい。どなた?」
玄関へと向かいながら惟子は声を掛けると、切羽詰まったような声がした。
「ねえ、ねえ、あなた新入りでしょ? とてもいい匂いがするのだけど。あっ、私となりの風花よ」
その言葉に、惟子はドアを開けた。
「あら、こちらからご挨拶に行こうと思っていたのよ」
ニコリと笑顔を向けると、肩までの茶色の髪に真ん丸の瞳がそこにはあった。
惟子と同じぐらいの年と聞いていたが、少し年下のように見えた。
きっとこの子も変身するのだろうが、今はまったく変わったところは見当たらなかった。
惟子は風花を招き入れると、惟子の顔もみず風花はチャーハンへと走っていった。
「これね!」
クンクンと臭いをかぐと、その香りをいっぱいに吸い込んだ。
確かにいい香りだが、となりの家にいたのだろう風花はとても鼻がいいのだろう。
もしかして犬か何かかしら?そんなことを思いながら惟子はとりあえず風花を椅子へと促した。
「ごあいさつ代わりに、あなたも食べる?」
惟子は多めに作ってあったチャーハンをお皿に入れながら風花に問いかけた。
「いいの? もちろん食べるわ。お腹がペコペコだったのよ……」
(可愛らしい子だわ)
惟子はスプーンと皿を置くと、風花は一気に食べ始めた。
その様子はいつもカフェであやかしを見ていた時と同じで、惟子は温かい気持ちになりその様子を見ていた。
ひとしきり食べて落ち着いたのか、風花は大きく息を吐いた。
「ごめんなさい。いきなり。あなたのご飯が冷めちゃったわね」
申し訳なさそうに風花は目を細めた。
惟子は風花のあまりにもすごい食べっぷりに、自分が食べるのを忘れていたことに気づいた。
「ほんとうだわ」
そう言うと、惟子も自分のチャーハンを口に運ぶ。
「うん、美味しいわね。レタスのシャキシャキ具合もちょうどよかったわ」
「うん、とってもおいしかった。この味付け本当に最高よ」
パクパクと口に運びながら、嬉しそうに風花は惟子を見た。
「疲れた……」
やはり気を張っていたのだろう、しばらくそこへ座っているとお腹がグーっと音を立てた。
「そりゃそうよね。今日は何も食べてないわ」
持ってきたおにぎりもなくなり、惟子はそろそろと立ち上がった。
自分の家から持ってきた洋服などは全く役に立たないとおいてきたが、図鑑やお絹から拝借した着物、あとは調味料や日常品を簡単に片づけると台所へと向かった。
「あら、すごい。いろいろ揃えてくれてるのね」
惟子は冷蔵庫のような箱を覗き込むと、中には食材がいろいろと入っていた。
意外にもサービスのいい職場に感心しつつ、台所を確認する。
ガマ蛙の店よりは小さいがコンロも、シンクもありなんでも自炊できそうだ。
「意外と社員思いじゃない」
そんなことを一人言いながら、惟子は何を作ろうかと思案する。
「だいたい向こうと同じ食材だわ」
安心しつつ、久しぶりに大好物の安定の味が食べたくなった。それに簡単にできる。
(まずはご飯がないと始まらないわよね)
ごそごそと台所の下の棚を探すと米をみつけて、惟子はそれを炊飯器にセットする。
ガス窯に似ているのだが、やはりここでも妖火がついたのがわかった。
「これで炊けるのはすごいわ」
感心しつつ、惟子は冷蔵庫を物色し始めた。
「卵もあるし、あらレタスがあるわ。ねぎの代わりにレタスチャーハンにしようかしら」
鼻歌交じりに、色からしてたぶん豚か何かのこま切れ、凍ったエビを見つけるとそれをだした。
「お肉もエビもなんて豪華なのかしら。でもまずはやっぱり腹ごしらえよね。どこにきてもご飯はきちんと食べないと」
自分に言い聞かすように、惟子はそう言うと調理にとりかかった。
#あやかし飯4 エビレタスチャーハン
レタスを一口大に切り、豚肉も食べやすい大きさに切る。
熱したフライパンに油をひき、肉とエビを入れ炒まったところにご飯を入れたら卵をご飯に絡めながら炒めていく。
塩コショウ、現世からもってきた万能中華の元を入れる。
たちまちニンニクのいい香りが部屋いっぱいに広がった。
「本当は生のニンニクとか使いたいけどないみたいだし、そう言う時に現世の万能調味料ってなんて便利」
フライパンを器用に振りながら、惟子は米をパラパラに仕上げていく。
「最後にお醤油を回しいれたら完成ね」
お皿に盛りつけたところで、勢いよくドアが叩かれる音がして惟子は驚いて振り返った。
「はーい。どなた?」
玄関へと向かいながら惟子は声を掛けると、切羽詰まったような声がした。
「ねえ、ねえ、あなた新入りでしょ? とてもいい匂いがするのだけど。あっ、私となりの風花よ」
その言葉に、惟子はドアを開けた。
「あら、こちらからご挨拶に行こうと思っていたのよ」
ニコリと笑顔を向けると、肩までの茶色の髪に真ん丸の瞳がそこにはあった。
惟子と同じぐらいの年と聞いていたが、少し年下のように見えた。
きっとこの子も変身するのだろうが、今はまったく変わったところは見当たらなかった。
惟子は風花を招き入れると、惟子の顔もみず風花はチャーハンへと走っていった。
「これね!」
クンクンと臭いをかぐと、その香りをいっぱいに吸い込んだ。
確かにいい香りだが、となりの家にいたのだろう風花はとても鼻がいいのだろう。
もしかして犬か何かかしら?そんなことを思いながら惟子はとりあえず風花を椅子へと促した。
「ごあいさつ代わりに、あなたも食べる?」
惟子は多めに作ってあったチャーハンをお皿に入れながら風花に問いかけた。
「いいの? もちろん食べるわ。お腹がペコペコだったのよ……」
(可愛らしい子だわ)
惟子はスプーンと皿を置くと、風花は一気に食べ始めた。
その様子はいつもカフェであやかしを見ていた時と同じで、惟子は温かい気持ちになりその様子を見ていた。
ひとしきり食べて落ち着いたのか、風花は大きく息を吐いた。
「ごめんなさい。いきなり。あなたのご飯が冷めちゃったわね」
申し訳なさそうに風花は目を細めた。
惟子は風花のあまりにもすごい食べっぷりに、自分が食べるのを忘れていたことに気づいた。
「ほんとうだわ」
そう言うと、惟子も自分のチャーハンを口に運ぶ。
「うん、美味しいわね。レタスのシャキシャキ具合もちょうどよかったわ」
「うん、とってもおいしかった。この味付け本当に最高よ」
パクパクと口に運びながら、嬉しそうに風花は惟子を見た。