わたしは自分の手鏡を取った。
お母さんの言う通り、わたしの顔は真っ赤だ。
なんで、こんなに赤いんだろう。そういえば、心臓もうるさいくらいに鳴っている。
分からない。
全然分からない。
落ち着け、落ち着け。
心の中で、わたしは自分に言い聞かせた。
「あぁー! んもう!」
全然落ち着きを取り戻せない。クールダウンの時間が欲しいのに。
わたしは、ベッドの上にあるパステルピンクのハート形のクッションを抱きしめて横になった。
そのままクッションに顔を埋める。
なんで、こんなに顔が熱いの。
なんで、こんなにドキドキするの。
「すー、はあー。すー、はあー」
仰向けになって、深呼吸を繰り返してみる。
「全く。さっきから何やってるのよ。深呼吸、聞こえてるわよ」
再び部屋に入ってきたお母さんが、苦笑いしながら聞いた。
「なんか……」
そう聞かれても、分からないものは答えられないよ。
「ちょっといらっしゃい」
言おうとしたけれど、お母さんはわたしの返事を待たないで、それだけ言った。