翌日の放課後。俺は、彼女を誰もいなくなった教室へ呼んだ。
「ごめん。真子ちゃん」
「……へ?」
これだけいたずらばかりしていた俺が、いきなりこうなるだなんて、そりゃあ彼女もパニクるだろう。
「ごめん。最初さ、いじりやすそうだから、ああやっていたずらしてたけど、もうやめる」
俺は、そう言った後、
「もう、俺のこと。忘れてもらえないか?」
と聞いた。
「忘れるって……」
口以外、彼女は固まっている。
「つまり、俺とお前は、会わなかったことにするということだ」
「……」
「じゃあね。明日から、俺の記憶にお前はもう、いないから」
俺は、唖然としている彼女を置いて、教室を出た。
彼女は、全く教室を出ようとはしていなかったけれど、いずれ出るだろう。
俺のそばにいたくない。
そう思っているだけだ。
俺の姿が、完全に彼女の目から消えないときっと駄目なのかもしれない。
それなのであれば、急いで帰らないと。