◆◇◆◇
「あっ! 葵ちゃんおはよう!」
葵を見るなり、陽太は元気に挨拶してくる。
「陽太、ずいぶん早いね」
苦笑しながら言うと、陽太は「そんなことないんじゃない?」と首を傾げた。
「だって、もう九時になるよ? それに学校に行く日だったら遅いぐらいだと思うけど?」
「そりゃそうだけど……。けど、私はさっき起きたばっかだし」
「えっ! さっきまで寝てたの? なんで?」
「――休みだからに決まってんでしょ。もう、いちいち煩いよ……。
それより入んなよ。お母さんも、外で陽太を待たせちゃ可哀想だ、って言ってたし」
葵が言い終わるか終わらないかの間に、陽太はそそくさと靴を脱ぎ始めた。
普通ならば図々しいと思われがちな行為であるが、葵の家では陽太は常に歓迎されるので、彼が来ると母親が特に手放しで喜ぶのである。
「ハル君いらっしゃい」
案の定、母親は心の底から嬉しそうに笑みながら、葵と並んでリビングに入ってきた陽太を歓迎した。
「おはよう、おばちゃん!」
陽太もすっかり気を良くしたようで、母親に満面の笑みを返していた。
「ごめんね。葵はまだご飯の途中だから」
「ううん、待つのは慣れてるから大丈夫だよ」
「あらあら」
二人のやり取りを見ながら、葵は何とも言いがたい複雑な気持ちになった。
(とりあえず、とっとと食べちゃお……)
葵は自分の定位置に再び戻り、正座して箸を手に取った。
「あっ! 葵ちゃんおはよう!」
葵を見るなり、陽太は元気に挨拶してくる。
「陽太、ずいぶん早いね」
苦笑しながら言うと、陽太は「そんなことないんじゃない?」と首を傾げた。
「だって、もう九時になるよ? それに学校に行く日だったら遅いぐらいだと思うけど?」
「そりゃそうだけど……。けど、私はさっき起きたばっかだし」
「えっ! さっきまで寝てたの? なんで?」
「――休みだからに決まってんでしょ。もう、いちいち煩いよ……。
それより入んなよ。お母さんも、外で陽太を待たせちゃ可哀想だ、って言ってたし」
葵が言い終わるか終わらないかの間に、陽太はそそくさと靴を脱ぎ始めた。
普通ならば図々しいと思われがちな行為であるが、葵の家では陽太は常に歓迎されるので、彼が来ると母親が特に手放しで喜ぶのである。
「ハル君いらっしゃい」
案の定、母親は心の底から嬉しそうに笑みながら、葵と並んでリビングに入ってきた陽太を歓迎した。
「おはよう、おばちゃん!」
陽太もすっかり気を良くしたようで、母親に満面の笑みを返していた。
「ごめんね。葵はまだご飯の途中だから」
「ううん、待つのは慣れてるから大丈夫だよ」
「あらあら」
二人のやり取りを見ながら、葵は何とも言いがたい複雑な気持ちになった。
(とりあえず、とっとと食べちゃお……)
葵は自分の定位置に再び戻り、正座して箸を手に取った。