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目を覚ますと、知らない天井だった。
白い壁。かすかな寝息。どこかで鳥が鳴いている。
身を起そうとして、なにやらシーツが押さえられていると思ったら、顔見知りの男の子が顔だけベッドに乗せて寝ていた。ぼんやりと、その短い髪の毛に触れようとして、ぱっと手を引っ込める。起こしては悪いと思ったのだ。
窓の外には、水色の空が広がっていた。窓枠の上の方には白い雲がぼんやり浮かび、下の方からは背の高いビルがにょきにょき生えてきている。
どこだろう。近所から、こんな景色は見えない。でもなんだか、懐かしい感じもする。初めてじゃない気がする。
「病院……?」
かすれた声は、まるで自分のものじゃないみたいだった。ずいぶんと、久しぶりにしゃべったように感じた。
私はゆっくりと立ち上がって、窓ガラスに顔を押しつける。
ゆっくりと流れていく白い雲に、見覚えなんか、あるはずもないのに。
なんでだろう。
どうして、懐かしく思うんだろう。
記憶ははっきりとはしない。
けれど確かに、以前にも一度、こんなことがあったような――。