人形娘のマグは小説を書くことに自信がない。なぜなら言葉は組み合わせ論のように増えていくもので現実問題としてこれ以上言葉を増やすとたとえば共通理解や体験といったものの本質がつかみ取れなくなることを懸念していたからだ。

事実マグは苦労して文章を今編纂し直している。それは「換言すれば名は何も表さない」という格言通りには。

長くマグは文系研究は歴史研究を除いて原則、禁止していた。それは忙しい世の中、文系などが言葉を増やすと困るからだった。

それにマグは「シンプルな言葉」のほうが好きだった。それは計算式が七色の虹を作るような。

それに重畳な言語は残るものか?

マグが得た結論は小説という体制を変化させるバグとなることだった。

つまりマグは安定した言葉を求めていたのである。たとえばスペイン語のような。