10年と1日前の春を。

結局、来たのはこの前と同じファミレスだった。

今回は少し人数が増えて、あと数人でクラス全員が揃う所だ。

私はなるべく遠くの方の席を取り、そこを完璧に確保する。


隣は、この前カラオケの後帰る時に、手を振ってくれた子、宮島さんだった。


「李依ちゃんと隣で良かったよ〜。 私あんまり大勢いる場所で騒ぐような人間じゃないからさ」


「あっ、それなです! 私もあんまりこういう交流って参加しない人種だから」


「あはは、李依ちゃんって結構面白いんだね。 なんか李依ちゃんの事を知るためになら、この会があってもいいかも」


後半真剣に言って、二人で爆笑した。


「ちょっとちょっとぉ、李依ったら私以外の女とイチャイチャしてぇ! 私も中に入れなさいよ」


わざと彼女目線で来られたのに少しイラッと来て、一瞬真顔になる。


「おーい、渡辺! 倉田が呼んでるぞ」


「はいはーい! 今行くぅー! じゃあね、二人とも、楽しんでよ〜!」


男の子に呼ばれて、百香はすぐに席を外した。

私は、ドリンクバーで取ってきたメロンソーダを、ゆっくりと飲む。

炭酸類に興味のないハルトは、多分大人っぽいコーヒーや紅茶などを飲んでいる事だろう。

ちょうど後ろの席辺りにいるハルトは見られないけど、だいたい予想がついてしまう。


「・・・・・・李依、ちょっといいか」


妄想していた事がバレたのかと、一度跳ね上がってしまったが、見せた事のない表情に、私は無言の相槌を打つ。

宮島さんは、私の凍りついた顔とハルトの真剣な眼差しに、オロオロとしていた。


「あれぇ? ハルト、成瀬さん連れてどこ行くんだよ〜!」

「えー? ハルト、まさか別れてくれってパターンかぁ?」


私達が付き合っている事を知っている男子達は、ハルトをからかっている。

その時、私の前を歩いていたハルトの足が止まった。







「お前らいい加減にしろよ。 お前らに関係ない事だ、突っ込んでくんな」







今まで聞いた事の無い、低いトーンで言い放った。

そんなに怒るって事は、本当に別れ話だったりして・・・・・・。

そんな身の毛もよだつ想像をしてしまった。


しかし、ハルトの声は、周りの男子達を黙らせてしまう程の怖さだった。


「李依、ちょっとついてきてくれ」